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フェルミ推定の教科書【テクニック編 5/6】例題8 訪日外国人によるカフェ市場の売上:ケース面接における数式分解の適切なアプローチとは?

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前回は「応用編パートB」の3つの例題を扱いましたが、本コラムでは「発展編」の2つの例題のうち1つ目を解説していきます。

ここまでのコラムを読んでいることが前提ですので、併せてご覧ください。

今回の記事の要点は下記3点です。

【テクニック編 5/6】の要点

  • 性質が大きく異なる、2種類のフェルミ推定が混じっている場合がある
  • メインテーマと関係ない要素が問題文に入っているときに注意が必要
  • メインテーマの式の分解が複雑になるため、式に論理的な間違いが発生しやすいので要注意

 

◆「フェルミ推定の教科書」バックナンバー◆

【原則編】:他の学生と差がつくポイントとは?
 ➢Step1 目的数値を因数分解【原則編 1/7】
 ➢Step2 振れ幅の大きい項目を細かく分解【原則編 2/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認【原則編 3/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認(続き)【原則編 4/7】
 ➢Step4 各項目の具体的な数値を設定 & Step5 数値の設定理由を説明【原則編 5/7】
 ➢Step6 数値の計算を実施【原則編 6/7】
 ➢Step7 計算結果を総括【原則編 7/7】

【テクニック編】:数式分解の適切なアプローチとは?
 ➢例題1 カフェ市場の売上【テクニック編 1/6】
 ➢例題2 とあるカフェ1店舗の売上【テクニック編 2/6】
 ➢例題3 カフェへの来客数 & 例題4 存在するカフェの店舗数【テクニック編 3/6】
 ➢例題5 都のカフェ市場の売上 & 例題6 スタバ全店の売上 & 例題7 デカフェコーヒーの売上【テクニック編 4/6】
 ➢例題8 訪日外国人によるカフェ市場の売上【テクニック編 5/6】
 ➢例題9 ニューヨーク州におけるカフェ市場の売上【テクニック編 6/6】

【一歩差がつく回答編】
 ➢缶ビールの市場規模は?(1/2)【一歩差がつく回答編1】
 ➢缶ビールの市場規模は?(2/2)【一歩差がつく回答編2】
 ➢ディズニーランドの客数は?(1/3)【一歩差がつく回答編3】
 ➢ディズニーランドの客数は?(2/3)【一歩差がつく回答編4】
 ➢ディズニーランドの客数は?(3/3)【一歩差がつく回答編5】

 

例題による解説:発展編

さて、基礎編と応用編の内容を踏まえつつ、発展編のフェルミ推定を見ていきます。

この発展編では、例題1の市場規模の計算に関連する応用パターンを見ていきます。ここまでに学んだアプローチを利用すれば、解くことができますが、その適用や考え方が難しい問題を2問ほど紹介します。使用する例題は、以下の2つです。

➢ 例題8:外国人旅行者による、カフェ市場の売上
➢ 例題9:ニューヨーク州のカフェ市場の売上

 

【例題8】 外国人旅行者による、カフェ市場の売上

さて、外国人旅行者に限定されていますが、これも市場規模というマクロな数値を求めています。そのため、需要・消費者側をベースに、式を分解してみましょう。

・市場規模 = 「外国人旅行者数」 × 「カフェを利用する人の割合」 × 「利用回数」 × 「単価」

母集団の数が不明である

さて、需要ベースで計算してみたものの、外国人旅行者数がどの程度の数か、簡単には判断することが難しいでしょう。500万人かもしれませんし、1億人くらいかもしれません。感覚的に設定するには、曖昧さが大きい数値です。

係数で外国人旅行者の割合を計算するのは難しい(応用編パートA、Bより)

まず、簡単に計算できそうな「日本人口」から、「外国人旅行者数」を、簡潔に係数などで計算するのは困難でしょう。

理由は2つあります。

1つ目は、そもそも、外国人旅行者と日本人口は、母数として別の集団であり、日本人口から特定・制限しても計算できません(どちらかと言えば類推でしょう)。

2つ目は、日本にいる人のうち、外国人旅行者数が占める割合はわずかであると考えられるからです(※注:各外国人旅行者が、日本滞在する日数は、わずかです。年間3000万人旅行に来ていたとしても、今日この時間に日本にいる人は、この数十分の1になってしまうでしょう)。

1%や0.1%といったとても小さい値も、あり得そうな感じがするため、「極端に小さい値を定義しなければならない項目を含む式の分解を避ける」という観点から、イマイチなアプローチです。

また、例題5~7で実施したように、問題文をシンプル化しても、結局のところ「日本人」を「外国人旅行者」に変換しなければならないため、上記の需要ベースの計算と同じようなプロセスが、結局必要になってしまいます。

供給ベースの計算は、さらに厳しい

しかし、これを理由に「需要ベースのアプローチはイマイチ」と考えて、供給ベースで考えたとしても、例題1の「カフェ市場の売上」の時の供給ベースの考え方よりも、さらに意味不明になるでしょう。

いわゆるカフェの供給(ドトールやスターバックス)において、「日本人向け」「外国人向け」で、店舗・席・レジなどが、明確に分けられているわけではありません。つまり、外国人旅行者をうまく特定・制限することが困難です。

フェルミ推定が2つあると考えるとよい

さて、ではどう考えるべきでしょうか。結論としては、2種類のフェルミ推定が混じっていると考えるのが良いと思われます。

とりあえず、問題文を分解⇒シンプル化してみる

そこで、応用編パートBで実施したように、まずは問題文を分解してみると、「外国人旅行者」「カフェ」「市場規模」といった要素から構成されることがわかります。

応用編パートBでは、この後問題文をシンプル化することで、「日本人口」「カフェ」「市場規模」としましたが、今回の場合、次の「日本人口 ⇒ 外国人旅行者」という「類推」が難しいのが問題でした。(例題5の東京都の人口であれば、この計算は簡単でした)

「外国人旅行者数」は、テーマの「カフェ」と関係なさそうな、とってつけたように見える要素である

そもそも、なぜカフェのテーマ対して、いきなり「外国人旅行者」という要素が来たのか、少し唐突な感じがします。例題67は、「スターバックス」と「デカフェコーヒー」であり、両方ともテーマである「カフェ」に関連する要素です。しかし、外国人旅行者というのは、カフェとは直接関係ない、関連の薄い要素です。

そう考えると、「外国人旅行者数は」という問い自体が、1つの独立した問題のように見えてきます。また、「外国人旅行者の数は?」というフェルミ推定の問題が成り立つようにも考えられます。

そもそも、「外国人旅行者数」が、もう一つのフェルミ推定と考える

ここまでの議論をまとめましょう。いったん、需要サイドのアプローチに限定して考えます。

・外国人旅行者数は、日本人口から係数で計算できるほど単純ではない(例題5の東京都の人口とは異なる)
・フェルミ推定のテーマである「カフェ」と、「外国人旅行者」は、お互い関連が薄い要素である(例題67の、スターバックスやデカフェコーヒーと異なる)
・「外国人旅行者の数」という部分自体が、1つのフェルミ推定として成り立つように見える

本来であれば、なるべく簡単にフェルミ推定の式を構築したいところですが、今回の場合、「外国人旅行者の数」という部分自体を、別のフェルミ推定のように扱う(フェルミ推定が2つあると考える)のが良いでしょう。

まず、比較的軽めの「外国人旅行者数」というフェルミ推定を解き、出てきた数値を「カフェ市場の売上(外国人旅行者のみ)」で利用するようなイメージです。

あくまで、片方のフェルミ推定はおまけであり、テーマ側のフェルミ推定に時間を使う

2つのフェルミ推定を解くと述べましたが、あくまでテーマは「カフェ」であるため、メインは「カフェ市場の売上」と考えるべきでしょう。そのため、「外国人旅行者数」については、ある程度大雑把に計算を実施していくことになると思います(例えば、「カフェをほとんど利用しない」ような「外国人旅行者のセグメント」があれば、その「セグメントの人数がとても大きい」場合を除いて、計算から除外してしまってもよいと思われます)。

もし、「外国人旅行者の数」をメインに聞きたいのであれば、面接官はそちらをフェルミ推定のテーマにするはずです。あくまで、重要なのは「カフェ市場の売上」という視点だと考えましょう。

※補足:この計算の続きにおける注意点

さて、面接官は、わざわざ「カフェ市場の売上」を聞くにあたって、なぜ「外国人旅行者」という要素を入れたのでしょうか。それは、「外国人旅行者」の要素を入れることで、議論内容の難易度が上がり、思考力を見るために、より適切な問題になるからです。

まず、外国人旅行者は、せいぜい数日程度、日本に滞在するだけであり、日本人のように、365日間ずっと日本にいるわけではありません。つまり、「利用頻度」の母数は、365日ではなく、旅行日数になるなど、少し考え方や数値の単位が、単純な例題1の「カフェ市場の売上」や例題5~7とは異なり、複雑になりますので、間違えないよう注意しましょう。

また、数値を設定するときも、「外国人であるため、カフェやコーヒーへの嗜好度合が異なる」こと、「旅行中であるため日常とお金の使い方が異なる」ことなども考慮して、カフェ利用率や利用頻度・回数などを定義する必要があるでしょう。

このように、「“日本人”が“日常的”にカフェを利用するのとは、色々と条件や考え方が異なる」ことを踏まえつつ、「客観的な回答ができるか」を見るため、あえて、「外国人旅行者」という、カフェとは関係ない要素を持って来ていると考えるのが妥当です。注意しながら回答を進めてください。

 

【数式分解のアプローチ】 第4段階

さて、発展編の1問目からわかったことを加えたうえで、フェルミ推定における、数式分解時のアプローチをまとめておきましょう。

➢ 複数の分解方法を考案する
  ➢ 「需要(消費者)」と「供給(企業)」から、それぞれ分解していく
  ➢ うまく数式が分解⇒計算できない場合は、どんな数値であれば計算できるか考える
    ➢ 計算できそうな数値を組み合わせて、目的とする数値が計算できないか考える
  ➢ 問題文を分解⇒シンプル化したものを作成してみる
    ➢ 問題文を分解し、各項目をより一般化・イメージしやすい項目に置き換えてみる
    ➢ シンプル化した問題文の分解式なら、より簡単に作成できないか検討する
      ➢ その分解式に係数をかける形で、目的数値のシンプルな分解式が作成できないか考えてみる
➢ より計算に適した式を選択する
  ➢ イメージ・計算が難しい、曖昧さが大きい項目を含む式を排除する
    ➢ 需要アプローチ: 母数の範囲が明確である。割合・頻度などの値が極端に小さくならない
    ➢ 供給アプローチ: 供給の最大値を明確に制限できる箇所・項目が存在する
  ➢ 場合によっては、曖昧さが大きい項目を、別のフェルミ推定と扱うことで、曖昧さが解消しないか検討する
    ➢ そもそも、テーマと何も関係がない、制限するような要素である場合に多い

それでは最後に、今回の記事の要点を改めてまとめると下記3点です。

【テクニック編 5/6】の要点

  • 性質が大きく異なる、2種類のフェルミ推定が混じっている場合がある
  • メインテーマと関係ない要素が問題文に入っているときに注意が必要
  • メインテーマの式の分解が複雑になるため、式に論理的な間違いが発生しやすいので要注意

 
さて、次回のコラムでは、発展編のもう一つの例題である「【例題9】 ニューヨーク州のカフェ市場の売上は」の式の分解アプローチと、この発展編のまとめの解説を行っていきます。次回がラストになりますので、併せてご覧ください。


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