フェルミ推定の教科書【原則編 3/7】Step3 全体像に過不足がないか確認:ケース面接で他の学生と差がつくポイントとは?
2018/07/05
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本コラムでは、前回に引き続き、「とあるカフェ一店舗の売上金額は?」というフェルミ推定の回答例に沿って、ケース面接で「やりがちな間違い」や「差がつくポイント」を解説していきます。
ここまでのコラムを読んでいることが前提ですので、併せてご覧ください。
今回の記事の要点は下記3点です。
- 具体的な数値の設定は後に回し、先に全体像を描け
- 初めの一人で考える時間で、回答を最後まで作り終わるな
- 面接官が、質問やアドバイスをしやすくなるよう、回答の流れを気をつけよ
【Step3】 検討の全体像に過不足がないかを確認する
さて、ここまでの「Step1」と「Step2」を振り返ってみると、実は、これまで「具体的な数値」の議論は出てきていないことがわかります。基本的には、「数式」や、定性的な視点の話ばかりでした。
この後、各項目に数値を設定していくわけですが、細かい数値を設定する前に、押さえておかなければならないことがあります。
➢ 面接官と自分の間で、認識が異なる、曖昧な箇所はないか
これらの確認は、もちろん自主的に実施するのがBestですが、不十分な箇所があれば、面接官から質問・突っ込みを受けるでしょう。質疑応答という、面接官とのコミュニケーションにも注意が必要です。
以上をどのように実施していくべきか、考えてみましょう。
【やりがちなミス】 全体像を提示する前に、個別の数値を設定し始める
フェルミ推定を進めていく中で、以下のような解き方をする方が少なくありません。例えば以下のように、考えている内容を話すパターンです。
➢ まず、「客数」を議論していきたいと思います
➢ 「席数」は60席と定義します。
➢ 「席の占有率」は、朝がXX%で、・・・(以下省略)
さて、この解き方のどこがまずいのでしょうか。少し考えてみましょう。
【ポイント6】数式で全体像を定義し終わるまで、個別の数値の設定を開始してはいけない
上記の解き方は非常に問題があります。
その理由は、まず「客数」を定義するにあたって、「席数」や「席の占有率」を当たり前のように細かく定義していますが、「なぜこれらの項目が必要なのか」「これらの項目を定義することで、本当に客数が計算できるのか」といったことが、説明されないまま、細かい数値の計算に入ってしまっています。
そもそも、数式の分解方法は、様々存在している
しかし、「ポイント2」でも述べた通り、客数の分解の方法は1つではありません。レジの供給を軸に、客数を定義する方法もあるはずです。つまり、面接官からすると、客数の分解方法は、自明ではありません。そのため、受験者が明示しないと、どのような方針・ロジックで計算しているのか、面接官には分からないのです。
聞き手である面接官にとって、目的地や位置づけが明確でないため、様々な話が伝わりにくい
そのため、面接官からすると、「この計算を続けて、本当にあっているのかな」といったことを気にしながら聞くことになります。また、数式の分解が明示的に行われていない以上、「結局、設定した各数値を、どのように計算(四則演算)するのだろうか?」と疑問も頭に浮かぶでしょう。
つまり、受験者が考えた内容が、面接官に伝わっていないことになります。
数式の分解方法がやり直しになると、個別数値設定の時間が無駄になる
もし「客数」を、「席数」×「席の占有率」・・・と分けていっても、「論理的に、正しい計算式にはならない場合」や、「筋が悪いため、面接官からやり直しを命じられる結末が待っている場合」には、後ほど、数式を変更することになります。つまり、数式の各項目の細かい数値の設定に使った時間が無駄になってしまいます。
以上のように、全体像を提示せず、逐次的に数値を設定していくのは、「論理的思考プロセス」「論理的コミュニケーション」のどちらの視点で見ても、良い方法とはいえません。いきなり数値を当てはめるのではなく、まずは「数式」の議論、定性的な議論をしっかりと行って、全体像を定義しましょう。
【やりがちなミス】 最初の一人で考える時間で、回答を全て作成しようとする
さて、ケース面接において、最初に3~5分程度、一人で考える時間を与えられることが多いです。この時間は、何にあてるべきでしょうか。
皆さんがよくやりがちなのが、最終的な数値(売上金額)まで、一通り全てを導出するというものです。
しかし、最初に与えられる思考時間は3分程度であり、面接時間30分のうち1割に過ぎません。この段階で、最終的な数値が求められているのでしょうか。
【ポイント7】最初の一人で考える時間において、具体的な数値の設定に時間を浪費しない
結論から言うと、最初の3分間に最終回答を求められているとは、思い難いです。
中途採用のケース面接よりも、最初の思考時間が短い
その理由は、面接の全体時間(30分)に対して与えられている時間があまりに短い(3分程度)ことです。
例えば、中途採用では、30~45分程度のケース面接に対して、10~15分程度の一人で考える時間が与えられます。つまり、ビジネス経験のない新卒採用の方が、一人で考える時間が短いことになります。
中途採用の事例を考えると、ますます最初の3分で、最後の回答まで求められているとは思えません。
新卒採用では、ケース面接中に、面接官は適時アドバイスや修正がしたい
では、なぜ新卒採用の方が、最初の思考時間が短いのでしょうか。その理由は、「面接官が、適時軌道修正を行いたいから」と考えてください。
直前の「ポイント6」をはじめ、ここまで解説してきた通り、数式や切り口がイマイチ・間違ったまま検討を進めても、その後の検討が無茶苦茶になってしまいます。そうなると、検討がやり直しになり、それまでの検討やそれに費やした時間が無駄になってしまいます。
これは、特に、ビジネス経験に乏しい、新卒採用の方において、発生しやすいです(新卒採用では、ビジネスと何ら関係ないことばかり勉強・経験している、理系などの学生も少なくないため)。
中途採用であれば、ビジネス経験がある方々なので、無茶苦茶な議論になるパターンは少ないです。また、ビジネス経験があるのに、無茶苦茶な議論をしてしまうような方は、仕事上の吸収力がないと思われるので、その時点で落としてしまっても、まあ問題ないでしょう。
しかし、新卒採用は、ビジネス経験のない方々です。そのため、ある程度は、ビジネス的な議論の段取りができていなくても、仕方がないでしょう(それを理由に落とすのは、あまり「論理的」な選考基準とは思えません)。
そのため、おかしな方向に行きそうになった場合、面接官としては、適時方向修正のための質問などを挟みつつ、総合的に思考力を見ようとします。
最初の3分程度の思考時間では、式の分解や定性的な考え方をまとめる程度でOK
話をまとめると、そもそも中途よりも短い思考時間で、最終結果まで求められているとは思えません。新卒採用では、面接官が「補助のための質問やアドバイス」「適時方向性の修正」をするため、最初の思考時間が短くなっています。
上記の点を踏まえて、最初の3分では、あまり先の方まで考えておく必要はないでしょう。数値の計算や設定ではなく、このStep3までの、数式の分解や定性的な議論にとどめるようにしましょう。そうすることで、考えた内容や議論に費やした時間が無駄になることを防ぐことができますし、そもそもの3分という時間の短さを考慮すると、この程度が限界(むしろ、この程度ですら、時間的に厳しい)でしょう。
数値の設定まで終わってしまう場合は、途中の検討が不十分ではないか、要検証
逆に、最後の計算まで終わってしまった場合、途中の検討が不十分である可能性が高いです(中途採用の方が、10分以上かけて終わる内容を、3分で終えることができるのでしょうか?)。
直観・感覚で進めて、結果的にGoalはあっていたというパターンもあり得ますが、その場合でも、面接官とその結果に至った「背景・理由」を確認していくことになるため、結果的に、間の議論の細かい整理が必要になります。つまり、式の分解や定性的な視点の整理を、後からすることになります。
あまり、最初の3分間で、話を進めすぎないよう、注意してください。
では最後に、今回の記事の要点を改めてまとめると下記3点です。
- 具体的な数値の設定は後に回し、先に全体像を描け
- 初めの一人で考える時間で、回答を最後まで作り終わるな
- 面接官が、質問やアドバイスをしやすくなるよう、回答の流れを気をつけよ
さて、次回のコラムでは、引き続きStep3の解説を行っていきます。併せてご覧ください。
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