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現役コンサルが語る、フェルミ推定でありがちなNGケースへの対策【プロによる実践講座:その1】

はじめに

戦略コンサルティングファームの選考では、ケース面接が課されることがほとんどです。ケース面接の基本であるフェルミ推定については、書籍を含め様々な対策法が流布していますが、ここで何が求められているのかを理解せず、紋切り型の解法にばかりとらわれていては、この独特の面接を突破することは困難でしょう。

そこで今回は、社会人や学生に向けてケース面接の指導や執筆活動をしている現役の戦略コンサルタントに、フェルミ推定へのアプローチ方法について解説していただきました。

どのような考え方を持って解くべきか、「ありがちな良くない例」をレビューしながら、より良い考え方を学んでいただきたいと思います。

フェルミ推定への対策法

面接官が見たいのは、論理的に抜け漏れの少ない回答を「考え出せる力」

コンサルティング会社の面接試験には、他の業界では見られない、変わった選考過程が存在しています。その一つが、いわゆるケース面接です。今回は、ケース面接の基本であるフェルミ推定について取り上げます。

ケース面接で見られている能力の代表例が、「論理力」です。この論理力に加え、面接を通して、「コミュニケーション能力」や「考えることを楽しめるか」などを見ていると聞いたことはないでしょうか。

この意見そのものは、基本的に正しいと思います。しかしながら、ケース面接の練習を見ていると、多くの方は若干間違って解釈しているように思えます。私は、経営コンサルタントとして働く傍らで、多くの方のケース面接練習を、マンツーマンで行ってきました。

詳細は後述しますが、「論理力を見ている」と言われると、なぜか知っているフレームワークにあてはめようと「思考停止」してしまい、状況にふさわしくない切り口で問題を解き始める方が多いです。また、コミュニケーションについても、面接官から不完全さの指摘を受けない、完璧な回答を「表現」する能力のように考えている方が少なからず見受けられます。

今回は、その一例と解決策を「ありがちな良くない例」を用いて提示します。今回例示するケースは、「東京都内にタクシーは何台あるのか」です。本パートでは、まず「ありがちな良くない例」を示し、次にそれについてレビューを行います。皆さんは、面接官になったつもりで、この例を読んでみてください。

ありがちな良くない回答の例

【パートA】
東京都内のタクシーの台数の定義ですが、東京都内で登録され、それなりの頻度でタクシーとして営業・利用されている車両の台数を対象とします。よって、「ウーバー」や「タクシー用に製造されて納品を待っている乗用車」などの特殊なものは含まないものとします。 それでは、3分程度考える時間をいただいてもよろしいでしょうか。(ここで3分考えて、考えをまとめる)

【パートB】
タクシーの台数を求めるにあたって、「都内のタクシーの総需要」を計算し、それを「タクシー1台あたりの供給量」で割ることで、「タクシーの台数」を求められると考えられます。そのため、この「需要」と「供給」を計算してみたいと思います。

【パートC】
では、都内のタクシーの総需要を求めます。まず、東京都内の人口は、性別と年代別に合計8つに分けられます。(男女×0歳から80歳までを20歳区切りで分類)。東京は1,200万人の人がいるので、各性年代で150万人の人がいるとします。0歳から19歳の人は、男女ともタクシーにほとんど乗らないので、一人当たり年1回乗るとします。

次に20-39歳を考えます。まず女性の半分程度は専業主婦であると想定されるため、タクシーの需要は限定的であると考えられます。 お金に余裕がある人であることがまず条件であると思われるので、専業主婦の30%程度を対象とし、この方たちが、重い買い物などをした場合を考え、2週間に1回程度利用すると推定します。

20-39歳の男性のほぼ全員、そして20-39歳女性の半数は、労働者と考えられます。 この方たちは、所得がまだ低い方が比較的多いので、自腹でタクシーに乗る機会は限定的であると思われますが、夜遅くまで働いた場合のタクシーチケットや、夜遅くまでお酒を飲んだ後の帰宅需要が考えられます…(以下省略。)

【パートD】
次に、タクシー1台あたりの供給量を求めます。(今回は省略)

実はこのケース問題を練習に使うと、半数以上の人が上記のように解き始めます。

さて、面接官になったつもりで上記のケース例を読むと、どこに突っ込みたくなるでしょうか。例えば、【パートC】だけでも以下のようなことが気になります。

●「性別×年代」の分類から始めているが、なんとなく“公式”にあてはめた感じがする。

●「20-39歳の労働者」の需要パターンとして、夜遅くまで働いた/飲んでいた場合の需要を上げているが、他にもあるのでは。さらに、専業主婦と同じように、重たい買い物をした場合にも当然利用する気がする。

●こう考えると、「20-39歳の労働者」だけ見ても、この回答者が需要の全体像をおさえているのか否か、よくわからない。

さて、ここで「論理力があることを面接で見る」ということが何を意味しているか、考えてみましょう。以下の2つのパターンをご覧ください。

【パターン1】
初めから論理的に矛盾のない回答のように思えるが、どこかの書籍で書いてあった回答と全く同じ

【パターン2】
最初提示された回答は、多少の論理的な抜け漏れがあったが、「そこおかしくない?」と指摘したところ、「どこが」「どのように」おかしいか適切に回答者自身で認識し、返答が返ってきた

実は、パターン1は必ずしも良いとは言えません。独力で出した回答が論理的に完璧であったとしても、それは「過去に取り組んだことのあるケースだった」「たまたま専門分野のケースであった」などの可能性もあり、他のケースにおいても論理的な回答が再現可能かどうか、判断できないからです。(後述しますが、パターン1の場合は、質問を通して論理力があるか判断します。)

重要なのは、面接官が評価したいのは「論理的に抜け漏れないアウトプット」そのものではなく、「論理的に抜け漏れの少ない回答を考え出せる力」だということです。こうした「考える力」を確認するために面接官が質問するのが、「考える過程に存在する個々の細かいプロセス」や「頭の中に描かれている全体像」などです。

ここでもう一度、上記の「ありがちな良くない例」を見返してください。性年代の分け方が公式にあてはめただけに見えるため、思考の過程や考える力は、ほとんど見えてきません(あてはまりそうな公式を探してきただけに見えます)。

また、各性年代における需要パターンは、漏れが多すぎるようにも見えます。しかしながら、いくつかの性年代には漏れを埋めるような需要パターンが出ているため、この方の頭の中では「全体像」が整理されている可能性も考えられます。いずれにせよ、この回答では「考え出せる能力」の有無はよくわからないのではないでしょうか。

このようなとき、面接官は「質問」という手段を通して、その回答から「考える力」の有無を判断しようとします。しかし、一般的に「全体像」が見えないと、お互いの持つ前提が異なっている可能性が高く、根本的なコミュニケーションが成り立ちにくくなります。上記の「ありがちな良くない例」は、「全体像」がよく見えないため、面接官にとって「質問」を考え出すのが非常に困難なのです。

では今回は、面接官はどのような切り口で質問すべきでしょうか。

性年代という分け方に沿って、20-39歳を対象に需要パターンの全体像を確認しようとすると、「足腰が弱い人の病院への行き帰り」などのパターンを導出するのは難しくなります。さらに、そもそも東京都の人口を対象としているため、「外部からの旅行者」なども出てきづらいです。

しかし、「そもそも需要のパターンは何だろうか」といった質問をすると、回答者を大きく誘導してしまうことになりかねません。これは、「回答者の回答方針を全否定している」「回答者が考える力を示す(方針変更する)機会を大きく奪っている」ことになり、あまり良い質問とは思えません。

上記の「ありがちな良くない例」は、面接官にとって質問しづらい回答であり、かつ「全体像」がはっきりしないため、仮に質問をしても、コミュニケーションが成り立たない可能性が大きいです。つまり、質問を経ても「考える力」の有無はよくわからないという結論になってしまうでしょう。

面接は双方向コミュニケーション。面接官にツッコミの余地を残せ

なぜこのような状況になってしまったのでしょうか。いくつかの要因に分けて解説します。

MECEを過剰に意識してしまう
原因としては、そもそも「性年代」という“公式”的な切り口が、あまり適切でなかったことが考えられます。このような“公式”的な切り口を利用しがちな背景には、「論理的に答えなければならない」という思考が、むしろ悪い方向に作用している点が挙げられます。

「論理的に答えなければならない」と言われると、論理的に抜け漏れがない(MECE)ことが最優先に満たすべき要件と感じられてしまい、あらかじめMECEが担保されている、「性年代別」「3C」「4P」「売上=客数×客単価」といった“公式”に飛びついてしまいます。しかし、公式を使えば必ず最適解が出るとは限らず、そもそも“公式”である以上、論理力を示したことにはなりにくいです。

すべてを一人で考えなければならないと感じてしまう
また、「“1”から“100”まで、すべて自分で答えを出す」必要があると考えている節も感じられます。

しかし、実際の仕事というのは、チームでディスカッションしながら進めていくもので、例えば最終的なアウトプットが“80”まで到達した時に、その中でどの程度あなたが貢献したかで評価されるはずです(さらに言えば、そもそも考える時間はたった3分程度しか与えられず、きわめて短いです)。

その観点からも、論理的かつ不完全さのない回答を、ケース面接中に一人で作り出すことを求められているとは考え難く、むしろ面接官の指摘や助言が多少あった方が自然だと思われるのです。

面接官からの質問や指摘をネガティブに感じてしまう
さらに、質問や指摘自体をネガティブにとらえているようにも見えます。しかし「質問」は、面接官からすると「考える力」を確認するためにはほぼ必須の行動です。

「3分考えた後の最初の回答」は、一方通行のコミュニケーションであるため、「あらかじめ持っていた回答」「誰かの受け売り」の可能性があり、それだけで「考える力」を判断することは困難です。

一方、質問は双方向のコミュニケーションであり、「特定の個所を詳細に質問する」などの方法によって、強制的に回答者自身に考えさせるポイントを見つけ、「考える力」を確かめることができます。

そのため、不完全な部分を指摘されるのを恐れ、その部分をごまかしたり隠したりすると、面接官からの質問を通じた双方向コミュニケーションは困難になります。「不完全な部分を見つけてもらう」ことを、むしろ「考える力」を見せるチャンスととらえ、考えていることを面接官に対し明瞭に表現しましょう。

以上のことから、面接官は「最終プレゼンを聞くクライアント役員」などではなく、「ディスカッションに付き合ってくれる先輩社員」程度に考え、面接では双方向のコミュニケーションを意識しつつ、「面接官から積極的に質問や指摘を引き出し、その都度あなたの思考力で補強しつつ、最終ゴールを目指す」といった気軽な心構えで十分だと思われます。

改善例と重要なポイント
では、今回はどう改善すべきでしょうか。唯一の正しい答えは存在しませんが、先ほどの「ありがちな良くない例」では、結局「需要のパターン」の話をしているあたりで、回答者の考えを面接官が理解できなくなり、本当に論理的に考えられているのかがよくわからなくなってしまいました。

需要のパターンを“網羅的”かつ“構造的”に押さえられるか否かは、難易度が高く、回答者によって差が出る重要なポイントです(そのため、回答者の頭にある全体像が、面接官にとっては想像しづらいのです)。差が出やすいからこそ、面接官に考える力を示すのには良い切り口だと言えます。そこで、需要のパターンを起点に考えなおしてみましょう。

【パートC】
まず、タクシー利用の需要として、以下のものが考えられます。
- 仕事中の、営業や会議のための移動
- 終電後まで働いた後の帰宅需要
- 夜遅くまで、お酒を飲んだ後の帰宅需要
- 多くの買い物をしたのちの移動需要
- 病気中など、普通の移動手段が使いづらい場合の移動需要

これを見た感想はいかがでしょうか。おそらく「モレもダブりもありそうだな」と感じたのではないでしょうか。しかし、先ほども話した通り、「考える時間は3分」「実際の仕事はチームで協力」ということを考えれば、いきなり完全な答えを出す必要はないと思われます。むしろ、この最初の回答をもとに、面接官が質問する機会を複数創出できれば、結果として「考える力」を示すことが可能です。

今回は、回答者の頭の中にある「全体像」がわかりやすく、面接官が質問しやすくなっています。例えば、以下の2つの質問が考えられます。

●最初に挙げた2つは仕事上の需要で、後ろから2つはプライベートの需要に見える。もう1段階物事を抽象化できるか、質問して試してみよう。

●これは東京都内に住んでいる人の需要のみを見ている気がする。しかし、「出張」「(地方・海外からの)旅行」などの、東京都以外に住む人の需要があるはずである。十分な思考の広さ・全体像があるか確認してみよう。

これらの質問を経ると、例えば以下のように回答が改善されます。

【パートC】
◆仕事上の需要
- 仕事中の、営業や会議のための移動
- 終電後まで働いた後の帰宅需要
- 夜遅くまで、お酒を飲んだ後の帰宅需要(取引先、社内)

◆プライベート上の需要
- 夜遅くまで、お酒を飲んだ後の帰宅需要(友達)
- 多くの買い物をしたのちの移動需要
- 病気中など、普通の移動手段が使いづらい場合の移動需要

◆外部の人が東京に来たときの需要
- 出張時の移動需要(新幹線、空港など)
- 旅行者の移動需要

まだ、MECEでないポイントは多数残っています。しかし、この程度一覧化・体系化できれば、面接官もあなたの「考えるプロセス」「全体像」をイメージでき、この先の質問や詳細な議論がしやすくなります。

また、面接官が質問しやすい(つまり、不完全な部分を指摘しやすい)回答は、上記の改善例からも分かる通り、いったんは不完全な点を指摘されるというネガティブな要素を見せながらも、質問を通して、ネガティブな要素の少ない、より論理的な回答を「考える力」があることを示せる絶好の機会を創出しています。(繰り返しになりますが、考える時間が3分しかなく、実際の仕事はチームで動くことを考慮すれば、不完全な部分というネガティブな部分が多少存在することは、自然なことだと思われます)

不完全さを許容せよ。切り口が悪ければ、修正して再提案すれば良い

さて、実際の面接ではどのように進めるべきなのでしょうか。

まず、回答の最初の切り口が悪いと、全体像を面接官に伝えることが困難になり、質問などのコミュニケーションが成り立たなくなります。そのため最初の3分は、「最後まで答えを出すこと」ではなく、「適切な切り口」を選び、その切り口でまず項目を一覧化することに時間を使いたいところです。

しかし、面接を進めていくうちに、最初の切り口が悪かったと感じることもあります。その場合は遠慮なく、より良さそうな切り口で、再度回答を整理しましょう。例えば、上記の「ありがちな良くない例」で、面接官とのコミュニケーションが混乱してきたタイミングで、落ち着いて原因を分析します。

そうすれば、「需要のパターン」の全体像を定義することが、コミュニケーションを成り立たせるうえで重要だと気がつきます。その時点で、いったん「性年代」の軸を脇に置き、「需要のパターン」から再度話を始めましょう。(余談ですが、性年代の切り口が全く無意味なわけではありません。需要パターンの分類を行った後は、各需要パターンに該当する人数を、性年代の切り口で見ていけばよいでしょう)

ここまでいろいろなことを述べましたが、要は「論理的に考える力」を示すためには、「完全なアウトプット」そのものではなく、その背景にある「考える過程にある個々の細かいプロセス」を示すことが重要です。

そのためには、面接官からの質問を通じた、双方向のコミュニケーションが成り立つ必要があり、「頭の中に描かれている全体像」が伝わる必要があります。この時、「減点方式」だととらえ、「話すことすべてに論理的な穴がない」ことを意識すると、うまくいかなくなることが多いです。

評価方法は「加点方式」と考え、多少の不完全さを許容しながら、自分なりの考え方を示しましょう。そして、その「不完全なポイントに対する質問や指摘」という面接官の助けを積極的にもらうことで、「考える力」を示す機会を多く創出し、面接官からの質問への回答の中で、「考える力」を示しましょう。

最後に、ケース面接において「正しい回答」なるものは存在しません。なぜならば、何を重要とするかは、人によって異なるためです。この記事も、経験や様々な人の意見を踏まえてはいるものの、あくまで私の個人的な見解にすぎません。

しかしながら、「間違っている」と言い切っても差支えない方法は多く存在します。この記事も、「どうすべきか」はあくまで参考程度にとどめ、「何をしてはいけないか」を中心にインプットいただけますと幸いです。

また今回、「切り口」を選ぶときに注意すべき点については、簡単な紹介にとどめました。これについてはもっと適切なケースがありますので、もし別途機会があれば紹介したいと思います。

※なお、【パートA】【パートB】についても、改善点は存在しますが、【パートC】と比較すると些末な問題だと考えられます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。ケース面接において重要な、フェルミ推定の基礎を解説していただきました。これまで半ば機械的に切り口を設定してしまっている方もいたのではないでしょうか。

重要なのは、ぴったりと当てはまるフレームワークを探すことではなく、自分で考えた跡を面接官に示すことだということが、ご理解いただけたのではないでしょうか。


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