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現役コンサルが語る、“ビジネス的視点”に立った論点設定~「新商品展開」の例題から(後編)【プロによる実践講座:その18】

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本コラムの趣旨

前回のコラムでは、コーヒーメーカーの新製品開発と導入に関する問題について、主にコスト側の視点から解説を行いました。

メンテナンス費用については、具体的な業務のイメージができていないと、ついつい見逃してしまいがちなコスト項目です。また、「新たに」新型のコーヒーマシンを開発し、それを導入していく以上、新しいオフィスへの導入だけでなく、自社の旧型コーヒーマシンの置き換えが検討されるべきですが、その時、コストには旧型コーヒーマシンに関するものも言及が必要でしょう。

本コラムでは、売上サイドについて、解説したいと思います。【プロによる実践講座:その17】を閲覧済みであることを前提に作成されていますので、先に「その17」のコラムをご確認の上、本コラムを読んでみてください。

前回のおさらい: なぜ問題文に付加情報があるのか

さて、前回のコラムにて、問題文が下記のようなシンプルなものでなく、今回のように付加情報がある場合、何かしらの意味があることについて言及しました。

※例題をシンプルにしたバージョン

コーヒーメーカーの機械を無料で提供し、インスタントの粉の販売によって売上を上げるモデルにおいて、コーヒーメーカーの機械の製造費用(10万円)を回収するのに、どの程度の期間が必要か計算してください。

両者を比較すると、例えば、「新型コーヒーメーカーを開発」「レギュラーコーヒー並みの味に改善」といった要素が付加されて、問題文が作成されているのがわかります。前回のコラムでは、「新型コーヒーメーカーを開発」という情報が付加されている理由を考察しました。今回は「レギュラーコーヒー並みの味に改善」という情報が付加されている理由を考察していきます。

要素2: 「レギュラーコーヒー並みの味に改善」の意味とは

さて、問4(前回コラムの「設問」参照)では、コーヒーの販売量を計算するにあたって、フェルミ推定するうえで考慮すべきことを質問しました。

このとき、ゼロから数値を積み上げで考えることは、もちろん方法の1つです。大雑把なイメージとしては、以下の3つのステップで考慮することになるでしょう。(この後の解説で何度か言及します)

・Step1: コーヒーメーカーが導入されるオフィスの社員数を仮定
・Step2: 一人当たりのコーヒー需要量を推定(コーヒーを飲む人の割合。飲む頻度・量)
・Step3: 最終的に、競合ではなく、自社が導入したコーヒーメーカーを選択する割合(競合: 自販機コーヒー、カフェのテイクアウト、CVSコーヒー、その他SMやCVSで購入した缶コーヒー など)
※これら3つのステップの数値の掛け算が、コーヒーの販売量となります

しかし、販売量を決める1つの大きな要素である「味」について言及した「レギュラーコーヒー並みの味に改善」という問題文の内容を利用できていない解答は、何か重要なことを見落としている可能性が高いです。それについて、考察してみましょう。

旧型コーヒーマシンの展開実績や結果があるのに、ゼロから売上を積み立てて予測するのは非合理的

ビジネスの当事者の立場で考えれば、この新型の導入可否を決定するうえで、もちろん新型コーヒーメーカーの売上予測をしたいと考えると思います。しかし、今回の場合、いきなりゼロベースで売り上げを積み上げ始めるとは思えないです(せっかく、旧型の売上実績を持っているのに、旧型のデータや知見を無視して予測するのは、非合理的です)。

まずは「旧型と比較して、どれだけ売上が伸びるか」といった検討プロセスを経て、新型の売上予測を実施しましょう。

「味の改善」は、どの部分に効果を及ぼすのか

さて、今回の例題では、旧型コーヒーメーカーのビジネスがすでに存在します。これが、新型コーヒーメーカーだと、どこに変化を及ぼすのでしょうか。

まず、新規導入か置き換えかに関わらず、当然ですが旧型コーヒーメーカーより新型コーヒーメーカーの方が、高い売上が見込める必要があります(わざわざ研究開発費を投じていますし、味が改善している以上、単純な製造原価も上がっている可能性が高いです)。

特に、コーヒーメーカーは、オフィス内という圧倒的に「利便性が高い・アクセスの良い」位置にあり、おそらく社員に「無料」で提供されているでしょう。「価格」と「利便性」で最も優っており、普段過ごしている場所の最も身近にあることから、消費者がコーヒーを飲みたいと思ったとき、最初の候補に出てきやすい選択肢と考えられます。しかし、それでも購入されないとなると、原因の大半は、「味」にあると想定できるでしょう。

このようなコーヒーメーカーの特性を鑑みると、新型コーヒーメーカーが味を改善したことは、販売量に大きなインパクトを与えそうです。

さて、これらのことを押さえたうえで、「レギュラーコーヒー並みの味に改善」することによって、どういうロジックで、高い売上が見込めるのか、上記の3つのステップで考えてみると、説明を省略しますが「Step3: 自社のコーヒーメーカーを選択する割合」、つまり競合から需要を奪い取る部分が、最も有効だと考えられます。今まで同様、一番身近にあり、利便性や値段で優っているのに加え、味が競合と同等になれば、趣味的な要因や偶然の要因などを除き、基本的に競合を選択する理由がほぼなくなるため、一部競合からは、かなりの顧客が新型コーヒーメーカーに流れてくるでしょう。

数値を計算するとき、論点を反映した計算ロジックを組む

以上の様に、「レギュラーコーヒー並みの味に改善」という部分は、「自社のコーヒーメーカーを選択する割合」という競合視点の部分に最も効いてきます。まず、そのことについて言及するべきでしょう。

そして、議論に費やす時間や労力のバランスも重要です。今回の場合、わざわざ「レギュラーコーヒー並みの味に改善」と問題文に明示されている以上、面接官が競合比較についてじっくり考え方を見たいと考えている可能性は高いです。そのため、他の2ステップと比較して、この「自社のコーヒーメーカーを選択する割合」の部分にて、十分な議論を実施すべきでしょう。(また、別の表現をすれば、旧型コーヒーメーカー導入時にすでに検討したような内容を、いまさら再度検証するのは、無駄とも言えます。)

具体的な議論内容としては、まず当然ですが、自社選択率なので、まず競合比較が重要になります。ということは、競合の洗い出しがまず必要でしょう。今回の場合、どこまで広く考えるかによりますが、「自販機コーヒー、カフェのテイクアウト、CVSコーヒー、その他SMやCVSで購入した缶コーヒー」など、様々な競合が想定されます。

次に、自社のコーヒーメーカーとこれらの競合の強みと弱みを比較検討する必要があります。自社については、新型と旧型の両方のコーヒーマシンを比較対象に入れる必要があるでしょう。それらを踏まえると、旧型から新型になることで、どの競合から顧客を奪うことができるか(どの程度の割合の顧客を奪えそうか)、想定できるはずです。そうなれば、最後に現在の競合の売上規模を出せば、売上増加額が計算できることになります。

フェルミ推定もケース問題も、論点特定の重要性や、論点の中身に大きな違いはない

以上の様に、形式的にはフェルミ推定ではあるものの、問題文の要素である「レギュラーコーヒー並みの味に改善」という条件を考えると、ケース問題に近いと言えます。例えば、「売上向上のケース問題において考案した打ち手に対し、打ち手の妥当性やインパクトを測定するステップ」が近いでしょう。

また、ケース問題を定量的に実施した場合、「客数と客単価のどちらに施策を打つべきか」といった形で、それぞれの数値を意識しながら打ち手を考えるはずです。今回のフェルミ推定は、ケース問題に置き換えると、打ち手(新製品開発)が先に提示されており、その妥当性を検証するバージョンとも言えそうです。

いずれにしても、数値の計算だけではなく、どう考えるか(視点、論点など)が重要ですので、ケース問題と同等の心構えやアプローチで実施するのが望ましいです。

フェルミ推定の解答の妥当性検証

最終的にフェルミ推定によって算出された製造費用の回収年数の妥当性を、どう判断すべきでしょうか。

まず、当然ですが、機械には耐用年数があります。おそらく現実的には、数年程度でコストを回収できない(収支がプラスにならない)のであれば、導入は困難でしょう。

今回の問題は、あくまで投資回収期間を求められているので、数値を計算すればよいだけに思えるのですが、さすがに「3カ月」とか「30年」などになった場合、何か計算が間違っている可能性を考慮したほうがいいでしょう。

例えば、投資回収期間が長すぎる場合、可能性の一つとして、コーヒーメーカーを導入するオフィスの社員数が少なすぎる可能性がありますが、ここは「社員数が大きいオフィスにしか導入しない」という施策が可能なので、「オフィスの社員数」の数値が「小さすぎた」「変更する必要がある」旨の言及がほしいところです。

フェルミ推定ではなく、新規施策の妥当性検証であった場合

これが仮にケース問題、新製品展開の施策の妥当性検証であった場合はどうでしょうか。

まず、機械の耐用年数を考慮しつつ、「何年までであれば、事業として成り立つか」という年数をまず初めに提示・議論し、そのあとに、計算結果がそれに見合っているかを比較する必要があります。

さて、新規導入の是非はすでに判断されているとして、「置き換え」の場合はどうでしょうか。まず、紙面だと解説が複雑になるため、議論を簡略化させていただきます。仮に、投資回収期間の上限が5年であると仮定しましょう。

新規導入のコスト回収期間が2年などの短い値の場合、置き換えであったとしてもせいぜいその倍(4年)程度かと思われるため、他の視点の検証を経たのちに「既存の旧型コーヒーメーカーも、全て順次置き換え」という結論に落ち着く可能性も高いでしょう。

一方、新規導入のコスト回収期間が4年などの場合、置き換えは限定的になりそうです。もちろん、「顧客満足度」や「ブランド・味のイメージ」など長期的な影響項目を考慮する必要があるため、多少収益が下がっても早めに置き換えるという判断もあり得るでしょうが、ある程度、置き換え対象について、条件を付けざるを得ないでしょう(余談ですが、このような長期的な影響項目を、しっかり提示できることも重要です)。

本コラムのまとめ

今回は、面接官の出題意図を探りながら、問題の重要論点を洗い出しつつ、議論上の様々なステップにおける考え方について解説しました。

今回の問題は、要素「新しいコーヒーメーカーを開発」「レギュラーコーヒー並みの味に改善」に気がついており、それを踏まえた考え方をできたか否かが、一つ重要なポイントになるでしょう。これらの2要素は、問題文内で明確に記述されており、「事前知識」「たまたま思いついた」といった偶然部分による差は生じにくくなっているため、確実に押さえましょう。

そのうえで、ビジネスの当事者の立場に立って考えれば、「旧型コーヒーマシンとの置き換えの採算性検討」や「旧型と比較して、新型はどのような理由で売上を増加できるか」といった視点で考えることは、自然であると思われます。常に、「具体的にイメージしながら考える」、今回の場合、特に「ビジネス担当者の“当事者意識”を持ちながら考える」ことを心がけてください。


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