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現役コンサルが語る、新規事業の採算性検討のケース問題に潜む意図(後編)【プロによる実践講座:その22】

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本コラムの趣旨

前回のコラムでは、おにぎり屋の新規出店の採算性検討から、面接官の出題意図を探ることで、問題の重要論点を探っていきました。

設問の構成を「出題者の意図」を考えるという視点を持ちながら考えつつ、「実際の当事者の立場」に立って採算性可否の検討を想像すれば、「具体的にどのようなビジネスモデルなのか明確にすること」および「より有望な採算性の良いビジネスモデルを考案する必要があること」が必要であると感じられるのではないかと思います。

今回のコラムは、「これらの原則を踏まえて、現実的にはどの程度広く・深く検討を進めるべきか」を解説します。また、「より細かいプロセス中で発生する重要なポイント」についても、解決策を含めて解説いたします。

現実的な思考プロセス: 問1 – Step1 有望なビジネスモデルを考案・議論

さて、これまでの解説を踏まえて、どのような解答内容が妥当か、簡単に考えてみましょう。

まず、理想としては、ビジネスモデルを構成する様々な要素(店舗形態、場所、コンセプト、価格帯・・・)を洗い出し、そこから様々なビジネスモデルのパターンを考えたいところです。しかし、ケース面接においては、時間の制限があるため、これらすべての組み合わせに対して検証を実施するのは不可能でしょう。

現実的な落としどころとしては、ビジネスモデルを構成する様々な要素を洗い出し、その中から、「特にキーとなりうる重要そうな箇所」を特定し、そこから順番に前提を置いていくのが現実的かと思います。

いったんMECEなどを気にせず、ビジネスモデルを構成する要素を洗い出してみる

さて、ビジネスモデルを構成する要素として、どのようなものがあるでしょうか。ここは、イメージを持ちやすくするため、あえてMECEにせず、ラフに洗い出してみます。

・出店場所: 新幹線のホーム、駅の改札の外、駅のホーム、駅の売店・レストランフロア など
・主要客層: サラリーマンor移動・観光客、男性or女性・・・
・食事オケージョン: 朝食 or 昼食 or 夕食 or 間食
・店舗形態: テイクアウトのみ or イートイン込み・・・
・食べる場所: 店舗 or 自宅 or 職場 or 歩きながら or 座席・・・
・商品コンセプト: コスパ重視 or 質・味重視の高付加価値
・調理場所: 店舗で調理or 調理済み商品を店舗に持ち込む

※さらに、上記を決定するためには、「客層とニーズ」「想定される競合」など、別の様々な視点の内容を検証する必要があるでしょう。今回は、紙面の都合上、いったん省きます。

重要そうに見える要素から、前提を置いていく

これらの各要素から、どの項目が最も良いか、すべての組み合わせパターンについて議論している時間はないと思われるので、特に重要に見える要素から、議論・決定していくのが良いでしょう。

さて、どの要素が重要でしょうか。ここは意見が分かれるところかと思いますが、「出店場所」が、「在来線ユーザー向けの場所」「新幹線ユーザー向けの場所」などのいずれかによって、それ以外の要素の項目の選択が、大きく変化すると想定されます。ここを基準として各要素を決定すると、議論がスムーズになると思います。

あとは、面接官と議論・確認しつつ、すでに決定した前提条件(出店場所など)に合わせて、他の前提を決めていくことになるでしょう。ある程度の数の前提を決めれば、Step2の採算性検討が可能になるはずですので、いきなりすべての要素の項目を決定するのではなく、残りの要素はStep2の中で必要になったタイミングにて決定していけばよいでしょう。

面接官と議論をしやすくするため、選択した項目の対案も提示しておく

この時、一応、各要素の対案・選択肢を準備しておくのがおすすめです。以前にも解説した通り、面接官はある程度「自身が正しいと信じる答え」をもっている場合も多く、さらに「自身が正しいと信じる答えを、受験者が導出する」ことを求めてくる場合も少なくありません。

この時、「出店場所としては、新幹線のホーム、駅の改札の外、駅のホーム、駅の売店・レストランフロア などがありますが、今回は新幹線のホームで考えます」と述べれば、議論がスムーズです。面接官が納得しない場合、「なんでその選択肢にしたのか理由を教えて」「今回は、いったん〇〇で計算してもらっていい?」といった形で突っ込みを入れることができます。また、別の選択肢が提示されていると、議論を通した修正がスムーズに行いやすいです。

「新幹線」の要素を見落とさないための視点

さて、もしかしたら、「新幹線のホーム」「新幹線の利用者」といった要素に、まったく気が付かなかった方もいるかもしれません。

視点:「問題文を因数分解する」

このような場合、やはり「問題文」をしっかりと読めていないのが原因かと思います。今回の例題の問題文を因数分解すると、わざわざ「品川駅」と指定されているのがわかります。

さて、なぜ具体的に対象の駅が「品川駅」と指定されているのでしょうか。品川駅の特徴を考えてみる必要がありそうです。

視点:「代表的な例と比較して考える」&「様々な主体の立場に立って考える」

ここで品川駅の特徴を抽出するため、一般的な駅と比較してみましょう。他の山手線の駅と比較した場合、「ビジネス街である」といった特徴もありますが、特に大きな特徴は「新幹線の停車駅であり、のぞみも停車する主要駅である」という部分かと思います(東京23区内の駅の中でも、新幹線が停車する駅はわずかです)。また、品川駅が、新幹線が止まる駅であることくらいは、大人であれば、東京に住んでいなくても知っている方が大半であると思われ、知識面の難易度は低いと思われます。

次に、この「新幹線」という部分が、今回の問題に何か影響がないかを考えてみましょう。ここで、新幹線ユーザーの立場に立って考えれば、「新幹線の駅には、駅弁屋などの売店で飲食物を購入できる」ことに気が付くことができ、「ここで出店するという選択肢もある」ということが導けるはずです。

心構え: 面接官はディスカッションパートナーと考える

仮に、品川駅についてよくわからない場合は、品川駅について、面接官に正直に聞きましょう。まず、品川駅というのが重要な要素でなければ、「別の駅でもいいよ」と変更を許可してくれるでしょう。そうでなければ、品川駅について説明してもらえるか、「どんな駅だと思う」という形で逆に質問され、議論しながら特徴を整理することになると思います。

少なくとも、ケース面接を受けに来る人の大半は、品川駅の特徴について理解できるはずです。もし、このような常識的な知識であったとしても、知らない場合は、変に濁したりせず、正直に聞いた方が良いと思われます。常識や知識の幅は個人間で多少異なるはずなので、たまたま知らない可能性もあることは、面接官も承知しているはずです。

知らずにおかしな認識や前提のまま議論を進めるよりも、正直に聞いた方が、リスクが少ないと思われます。ケース面接は、あくまで知識を問うのではなく、考え方や思考力を問うものであることを忘れないでください。

補足: 「新幹線の乗客」と「在来線の乗客」では、商品に求めるニーズがかなり異なる

余談ですが、今回のテーマのビジネスモデルに関して、少しだけ補足で追加説明したいと思います。

今回、販売商品として、「おにぎり」だけでなく、「汁物」も入っていることもポイントでしょう。新幹線と在来線のお客さんでは、まず、「汁物」の需要の考え方が異なると思われます。

通勤客であれば、オフィスまで持ち歩く手間がそれなりにありますし、職場で食べる場合、「におい」のある汁物は避けたいかもしれません。

一方、新幹線であれば、購入⇒乗車⇒着席の流れがスムーズであり、持ち歩きの手間は小さいでしょう。また、車内は、温めた駅弁を食べている人もいるため、においについてそれほど神経質にならなくても済みそうです。

また、別の視点だと、通勤客は「日常的に食べる」ものとして買っていますが、新幹線は「たまに食べる」ものとして買っている人も多いというのがポイントです。

そうすると、以下の内容に大きく影響するでしょう。

・価格感度: 日常的に買うものは、ある程度安い方がよい。一方、たまにしかない旅行や出張であれば、少しくらい高くても買ってくれる可能性も高いので、高級路線もありえる。
・商品ラインナップ:日常的に食べる人には、飽きにくくする工夫が必要である。そのためには、商品の種類を増やすことや、定期的に新商品や期間限定商品を出すことが望ましい。

以上のような視点でも、新幹線と在来線で、ビジネスの中身が大きく異なるでしょう。ここまで見てきた通り、面接官に対して、在来線と新幹線の2つのパターンがあることくらいは、少なくとも提示しておきたいです。

現実的な思考プロセス: 問1 – Step2: ビジネスモデルの採算が取れるか否かを検証する

現実のビジネスであれば、複数のビジネスモデルの採算性を検討するかと思います。しかし、ケース面接は、時間が限られるので、おそらく1つしか採算性の検証(フェルミ推定)を実施できないでしょう。そのため、Step1にて定性的な議論をしっかり行ったうえで、1つのビジネスモデルに特定しておき、そのビジネスモデルのみ計算することになるのが現実的かと思います。(具体的な計算式については、今回解説を割愛させていただきます。)

フェルミ推定結果の検証方法: 標準的なフェルミ推定との違い

さて、計算の結果が「採算が取れる」の場合は、まだ大きな問題はないでしょう。しかし、もし採算が取れないという結論になった場合はどうするべきでしょうか。(これまでの解説の通り、この問題は、基本的に採算の取れるビジネスモデルを考案することが求められている可能性が高いです。)

普段のフェルミ推定であれば、推定式の各数値の妥当性を検証し、「〇〇の数値が低すぎた」「〇〇の数値のインパクトが大きいので、時間があればここを精査すべき」といったコメントをすることになると思います(現実的に、この様な方向性しかないでしょう)。

しかし、今回は、Step1でビジネスモデルの洗い出しをしているため、「〇〇のビジネスモデルも採算性が高そうなので、時間があればこちらを検証してみるべき」といった、そもそもの回答の方向性を変更する趣旨のコメントもあり得るでしょう。

どちらが良いかは、「フェルミ推定の精度や質」だけでなく、「面接官が、どのビジネスプランを筋が良いと感じているのか」にもよるので、コミュニケーションスキル(相手の意図を読むスキル)が高い方が有利になるかと思います。そして、このStep2の出来の良さは、実質的にはStep1の検討・議論内容の質に大きく左右されるため、Step1の出来の良さが重要であることがポイントです。

現実的な思考プロセス: 問2 – 三年後の状況

まず、この問2については、「取って付けた」感じがします。基本的には、問1に対して、しっかり解答することが求められている可能性が高そうです(そもそも、面接を通して特に確認したい思考が、問2のような内容であるのならば、それに合わせた問題や設問を作成するでしょう)。

時間が足りなければ、問2の解答がなくても、それだけが理由で選考から落とされることはないと思います。

以前のコラムでも解説した通り、ケース面接は「加点方式」ととらえた方が良いです。問1を中途半端に実施して、無理やり問2に回答する時間を作ることで、両方の回答が中途半端になるくらいであれば、まず問1を確実に回答しましょう。

さて、それを踏まえたうえで、問2が存在する理由は何でしょうか。難しいところですが、まず「問1のヒントとして存在する」可能性と、「時間軸の変化に対する考察ができるかを見ている」可能性があります。

「問1のヒント」としては、主に2つ考えられるでしょう。ここまで解説してきた「問1にて、採算が取れるようなビジネスモデルを考えるべき」というだけでなく、「将来的に採算が立つかも考えるべき」というメッセージも読み取れます。

飲食店を開店するにあたって、様々な固定費もかかるため、当たり前ですが複数年の間、採算が取れる必要があります。しかし、このような問題形式で「採算性を計算」といわれると、ついつい“点”で考えてしまい、開店初年度のイメージが強いまま、短期の採算性の計算してしまう傾向があります。開店後、時がたつにつれて、市場環境は変化するため、変化後も中長期的に採算が立つか否かを、問1で考慮できていることが望ましいです。この問2は、そのことを指摘している(ヒントを出している)とも受け取れます。

「時間軸の変化に対する考察ができるかを見ている」という部分については、出店後に「競合が進出・対策をとってくる」「消費者が飽きてくる」など、様々な変化が考えられます。これらを洗い出す思考力と、その中で何が重要か(採算性へのインパクトが強いか)を考察する能力が見られているでしょう。

この時、「仮に出店した場合」ということは、すでに「採算性が成り立つ」という結果が出ている想定のため、採算性が成り立たなくなるような脅威・難点に対して、特に着目すべきでしょう。さらに、付け加えるのであれば、その場合の対策を合わせて提言できれば、評価が高いと思います。(解答の具体例は省きます。)

この時、もし問1で採算性を計算したビジネスモデルが適当・あいまいだった場合、採算性へのインパクトが強い項目を検討する意味が、そもそも薄くなってしまいます。

以上のように、上記のいずれであったとしても、問1の問題や回答が念頭にあって、はじめて問2が意味を持つと言えます。まずは、問1をしっかり回答できるよう、心がけましょう。

本コラムのまとめ

今回のコラムでは、新規事業の採算性検討のケース問題を取り上げました。

これまでのコラムでも解説した通り、まず問題文をよく読むことで「出題者の意図を読み取る」ことが重要です。そのためには、「問題文を因数分解」しながら、「当事者の立場に立って考える」ことなどが有効です。

今回のケース問題では、特に「より採算性の高いビジネスモデルを考える」ということが、暗に求められている可能性が高いことに気づいたか否かがポイントになると思います。ついつい、「計算」と言われると単純なフェルミ推定のように考えてしまい、“ふわっと”したあいまいな前提のまま、議論を進めてしまう方が多いです。しかし、採算性が成り立つか否かというのは、具体的なビジネスモデルの中身によって変化します。また、「新規事業の採算性を求めている」という計算する「目的」が提示されている以上、常識的に考えて「採算性が成り立ちそうな、良いビジネスモデルの採算性を知りたい」と意図をくみ取るのが自然です。

今回の問題の場合、問題文をよく読んで、「当事者意識をもって考える」ことが、最も自然かつ有効な思考かと思います(問2という、一種のヒントとも思える問題もあったため、出題者の意図がくみ取りやすくなっています)。ケース問題を、単なる思考ゲームのように扱ってしまい、あいまいな議論ばかりに時間を費やすことがないよう、注意してください。

今回のケース問題も、もし普段のディスカッションであれば、「新規事業だから、まずはビジネスプランを考えよう。そのためには、まずいろいろなアイデアを出さなくては」といったプロセスや意見が、自然に出てくる方が多いでしょう。しかし、「ケース面接」と言われてしまうからなのか、ついつい思考が停止してしまい、「フェルミ推定」などの「手法」にいきなり飛びついてしまいがちです。普段通り「自然」に考えるよう、注意しましょう。


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