フェルミ推定の教科書【原則編 1/7】Step1 目的数値を因数分解:ケース面接で他の学生と差がつくポイントとは?
2024/06/11
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コンサルティングファームをはじめとした、様々な企業の採用選考で出題されるケース面接。多くの方が、以下のような課題に悩んでいるのではないでしょうか。
➢ とりあえず、何回かケース面接をやってみたけど、どこを改善すればよいのかわからない
➢ 面接官の反応は悪くないのに、選考が通過できない
以前のコラムでも解説しましたが、ケース面接、特にフェルミ推定では、「根本的なアプローチ」がイマイチであり、面接の序盤で、すでに厳しい状況に陥っている方が多いのが実情です。
※このような場合、面接官もどこからコメントしてよいか、判断が難しいため、「面接官の反応は悪くないのに、選考が通過できない」となります。
本シリーズでは、筆者が経営コンサルタントとして働く一方で、多くの学生・若手社会人の方と、1対1で、ケース面接練習を手伝いながら見出してきた、「よく“つまずく”ポイント」と「それを回避する」方法をカウンセリングしていきます。
まず、今回の記事の要点は下記3点です。
- フェルミ推定では「計算力」というより「思考力」が問われていると考えよ
- 振れ幅の大きい項目のみを、さらに細かく因数分解せよ
- 「仮説思考をしない」くらいの心がけで臨め
導入:フェルミ推定ってどんなもの?
フェルミ推定とは、「何かしらの数値を、情報が少ない中で、論理的な思考を基に、短時間で“概算”する」手法と考えてください。
ケース面接では、主に以下のような題材にて、フェルミ推定が出題されます。
➢ 何かしらの数を推定する(例:日本に存在する自動車の数は?)
これらの数値を、短時間ながらある程度の精度を持った数値を予測するという、「時間の短さと予測精度の高さのバランス」をとった計算が求められます。
一般的に実施される数値の推定とは、かなりアプローチが異なる
一般的に、上記のような数値を計算する場面では、「様々な調査などを駆使」しつつ、「長い時間」をかけて、「正確な数値を計算する」ことに重点が置かれているでしょう。
そのため、フェルミ推定とは、少し変わった・不自然なアプローチであると言えます。練習しておくと、よりスムーズに実施できるでしょう。
大原則:あくまで「思考力」を判断する試験であると心得る
ケース面接の中で実施されるフェルミ推定において、何を問われているかについて、誤解があるように見受けられます。
まず、「計算力」が問われているというよりも、あくまで数字を使うときの「思考力・論理力」を見ていると考えてください。
単純な数字の計算力であれば、筆記試験で判断できる
まず、コンサルティングファームから見て、受験者が数値の計算力がるか否かを見たい場合、どうするべきかという、企業側の視点で考えてください。
そもそも、計算力を確認するのに、最も良いのは、筆記試験やWebテストです。
筆記試験の方が、面接よりもコストが低い
まず、面接は、現役のコンサルタントを配置する必要があり、とてもコストがかかりますが、ペーパーテストは、きわめてローコストです。
筆記試験と比べて、面接は計算の試行回数が少な過ぎる
また、ケース面接中に計算力を見る時間や回数は、限られています。ケース面接中の、数少ない計算をたまたま間違えただけで、合否を決めるなど、確率論的に見て非合理的です。(緊張していると、計算ミスしやすく、これは数値に強い人でも、少なからず発生します)
実際の仕事では、筆記試験のような場面で、数値の計算力を発揮する
また、数値の計算を、他者(面接官)に詰められながら行うことなどめったになく、一人で黙々と仕事をしているときに実施するのが普通です。つまり、仕事中に計算力を問われるのは、むしろ筆記試験に近い場面です。
以上のように、そもそも、ケース面接で計算力を見るなど非合理的に他なりません。
筆記試験からはわからない、数値を基に考える「思考力」を見ている
しかし数値の計算は重要でなくても、そもそも数値を計算する前の、「数式の立て方をはじめとした思考力」は見られています。
このあたりの「思考力」系の話は、数値計算と違い、正しい回答が定義できない側面もあるので、筆記試験ではなく面接で判定するのにぴったりです。
フェルミ推定における、思考力発揮のポイントとは?
重要なことなので繰り返しますが、ケース面接のフェルミ推定で判断したいのは、数値の計算力ではなく、あくまで、数値を基に考えるときの「思考力」です。
さて、ではどのようなポイントで、思考力を見ているのでしょうか。本コラムでは、1つの例題の回答例に沿って、ストーリーで解説をしていきます。
本シリーズ「フェルミ推定の教科書」の全体像
本シリーズでは、大きくは、以下の内容に分けて解説していきます。
➢ テクニック編: 数式分解のアプローチを体系的に整理する
➢ 一歩差がつく回答編:他人と圧倒的に差をつけて内定するための例題を解く
さらに、原則編は、以下の内容に分けて記載していきます。
➢ 各種ポイントの詳細: 特に重要かつ間違えやすいポイントに対して、複数のタイプのフェルミ推定を比較しながら、詳細に解説する
本コラムでは、「原則編」の「ポイント一覧」を、1つの例題に沿って解説していきます。
「やりがちなミス」を考慮しつつ、以下のポイントを紹介していきます。
ポイント1)より数値の曖昧さ・振れ幅が大きい項目を、細かく分解する
ポイント2)式の分解の切り口は、複数パターンを考え、比較検討する
ポイント3)現実感のある議論をするため、知っている例を、具体的にイメージしてみる
ポイント4)ツリー構造だけでなく、2軸のマトリックスも活用しながら整理し、面接官と議論する
ポイント5)「定性的な分類 ⇒ 定量的分類 ⇒ 数値に落とす」という順序を経ながら考える
ポイント6)数式で全体像を定義し終わるまで、個別の数値の設定を開始してはいけない
ポイント7)最初の一人で考える時間において、具体的な数値の設定に時間を浪費しない
ポイント8)面接官をディスカッション相手と考え、指摘を適時自分の意見に反映する
ポイント9)面接官と明示的に共有できていない前提・状況がないか、適時確認する
ポイント10)前提・状況の設定は、最初ではなく、適時必要なタイミングで実施する
ポイント11)絶対的な数値の大きさではなく、他の数値との相対的な大小を議論する
ポイント12)正確に計算するのではなく、だいたい正しい値になるよう計算すればよい
ポイント13)主要パターン以外は、係数を利用するなど、簡略に済ませる方法も考慮する
例題: とあるカフェ1店舗の売上金額は?
さて、今回のフェルミ推定のお題は、「とあるカフェ一店舗の売上金額は?」です。
※この例題は「テクニック編」の第2回でも扱いますが、「原則編」ではこの例題に対する一連のアプローチに沿って解答方法を解説していきます。
いったん、この問題に対して以下の条件がかけられたものとして、解いていきます。
➢ 面接時間は30分とする
➢ 最初に3分間、一人で考える時間を与えられる
さあ、解説をはじめていきましょう。
【Step1】 目的数値(売上金額)を因数分解する
さて、目的数値である、売上金額を求めるにあたって、売上金額が何によって構成されるか分解するのが基本です。多くの方は、以下のように分解します。
・売上金額 = [客数] × [客単価]
さて、この次に何をしましょうか。
当たり前ですが、いきなり「客数」や「客単価」の数値を「1000人」「500円」などと、そのまま置くのは不適切です。面接時間が30分あるので、「客数」や「客単価」をもっと細かく分解し、より精緻に計算することが求められています。
この次にどうアプローチするかは、人によって異なってきます。しかし、基本的には、以下の「ポイント1」に沿って行うのが、筋が良い回答と言えるでしょう。
【やりがちなミス】 どの項目も、平等に分解してしまう
この時、皆さんが、よくやりがちなのが、「客数と客単価を、同じような粒度で分解していく」というものです。
ツリーのバランスの良さと、合理的なプロセスは関係ない
確かに、客数と客単価を、同じような粒度で分解していくと、分解したツリーの図が、バランスよくきれいに見えます。世の中のコンテンツに含まれている「ロジックツリー」などは、バランスが取れたきれいな形のものが多いため、ついつい、バランスよく分解する必要があるかのように感じてしまいます。
しかし、「ツリー構造のバランスを良くする」ことが、「論理的である」ことにつながるのでしょうか。
【ポイント1】より数値の曖昧さ・振れ幅が大きい項目を、細かく分解する
改めて、「客数」「客単価」をどうやって分解していくべきか考えてみましょう。
あくまで、精度の高さに寄与する(曖昧な)項目のみ分解するべき
フェルミ推定というのは、「短時間で、ある程度精度が高い概算」をするのが目標です。
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