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フェルミ推定の教科書【テクニック編 2/6】例題2 とあるカフェ1店舗の売上:ケース面接における数式分解の適切なアプローチとは?

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本コラムでは、前回に引き続き、基礎編として、最もよく出題されるフェルミ推定のパターンの2つ目と、例題1例題2を合わせた基礎編のまとめを解説していきます。

ここまでのコラムを読んでいることが前提ですので、併せてご覧ください。

今回の記事の要点は下記3点です。

【テクニック編 2/6】の要点

  • 「市場規模」のようなマクロな数値は、需要(消費者)視点で計算した方が議論しやすい
  • 「1店舗の売上」のようなミクロな数値は、供給(企業)視点で計算した方が議論しやすい
  • とはいえ、テーマや面接官のタイプによって「正解」は異なるため、面接官と議論しながら進めよ

 

◆「フェルミ推定の教科書」バックナンバー◆

【原則編】:他の学生と差がつくポイントとは?
 ➢Step1 目的数値を因数分解【原則編 1/7】
 ➢Step2 振れ幅の大きい項目を細かく分解【原則編 2/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認【原則編 3/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認(続き)【原則編 4/7】
 ➢Step4 各項目の具体的な数値を設定 & Step5 数値の設定理由を説明【原則編 5/7】
 ➢Step6 数値の計算を実施【原則編 6/7】
 ➢Step7 計算結果を総括【原則編 7/7】

【テクニック編】:数式分解の適切なアプローチとは?
 ➢例題1 カフェ市場の売上【テクニック編 1/6】
 ➢例題2 とあるカフェ1店舗の売上【テクニック編 2/6】
 ➢例題3 カフェへの来客数 & 例題4 存在するカフェの店舗数【テクニック編 3/6】
 ➢例題5 都のカフェ市場の売上 & 例題6 スタバ全店の売上 & 例題7 デカフェコーヒーの売上【テクニック編 4/6】
 ➢例題8 訪日外国人によるカフェ市場の売上【テクニック編 5/6】
 ➢例題9 ニューヨーク州におけるカフェ市場の売上【テクニック編 6/6】

【一歩差がつく回答編】
 ➢缶ビールの市場規模は?(1/2)【一歩差がつく回答編1】
 ➢缶ビールの市場規模は?(2/2)【一歩差がつく回答編2】
 ➢ディズニーランドの客数は?(1/3)【一歩差がつく回答編3】
 ➢ディズニーランドの客数は?(2/3)【一歩差がつく回答編4】
 ➢ディズニーランドの客数は?(3/3)【一歩差がつく回答編5】

 

【例題2】 日本のとあるカフェ1店舗の売上

さて、例題1の結論を出す前ですが、先に例題2の検証も進めていきます。

例題1のように市場規模のようなマクロ指標ではなく、1店舗の売上というミクロ指標であれば、どうすべきでしょうか。今回も、「需要」と「供給」のそれぞれの側から、計算式を立てていきます。
原則編(※【原則編 1/7】に遷移します)の例題と同じテーマなので、まだ読んだことがない方は、併せてご確認ください。

目標数値の分解式:需要(消費者)視点の場合

さて、カフェ1店舗に来店する方の「母数」をどう定義しましょうか。

仮に、ディズニーランドであれば、日本全国からお客さんが来るでしょう。しかし、カフェは、近くで「住んでいる」「働いている」などの限られた人しか来店の可能性がないと思われます。

そうなると、「商圏」のようなものを設定する必要が出てくるでしょう。たとえば以下のように分解することになると思います。

・売上 = [客数] × [客単価]
・客数 = [商圏内人口] × [利用する人の割合] × [1人あたり利用頻度]


しかし、すでに述べた通り、「移動中に車で近くを通りかかった人」や「旅行・買い物・お出かけ・仕事の取引先に来ており、近くにいる人」など、様々な客層が考えられるのですが、「商圏内人口」では、「住んでいる人」や「働いている人」しか取り込めていないことに注意が必要です。

目標数値の分解式:供給(企業)視点の場合

「原則編」で解説した問題と同じであるため、細かい議論は省きますが、以下のように分ける事ができるでしょう(例題1の市場規模推定を「供給」で実施した場合の、店舗数の推定がないバージョンともいえます)。

・売上 = [客数] × [客単価]
・客数 = [レジ数] × [営業時間] × [単位時間あたり処理件数] × [営業日数]

分解式の妥当性判定: 需要と供給のどちらが適切か

さて、上記の「需要」と「供給」による分解を評価してみましょう。

需要側の項目は、商圏の判定は難しい

さて、需要サイドの考え方は、「商圏」の設定が難しそうです。

まず、「商圏」はどの程度の広さがあるのでしょうか、「半径500m」「半径2000m」とした場合で、数字が16倍も変わってしまいます。また、同じ面積の土地でも、「タワーマンション・高層ビル」「一軒家」で、住む・働く人の数が、こちらも桁違いに変化します。

また、すでに述べた通り、「住んでいる人」「働いている人」などの、「商圏」に定常的にいる人以外も少なくないと思われる点でも、曖昧さは大きいです。

さらに、「1店舗のカフェ」には、商圏内に競合も存在するので、その数や影響も加味する必要があります。

以上のように、商圏の設定というのは、あまりに影響項目が多く、「これらを適切に定義しながらイメージする」こと、「そのイメージを面接官に共有する」ことは、なかなか難易度が高いように思われます。

供給側の項目は、大きな問題はない

一方、供給側については、大きな問題はなさそうです。「店舗のサイズ」や「立地」などを前提として決めてしまえば、レジ数は1台や2台など明確に定義できますし、営業時間も合理的な設定が可能でしょう。また、単位時間あたり処理件数も、現実的に考えて、「○○分に1件が限界」などと定義できるため、大きなずれが発生することもなさそうです。
※詳細は、原則編をご覧ください。

例題1と例題2のまとめ

今回、需要と供給の両面からそれぞれ式を導出し、それらを比較しながらどちらが妥当か検証しました。

さて、例題1と2の両方を通してわかったことをまとめてみましょう。

テクニック: 一般的な傾向とパターン

基本的に、「市場規模」のようなマクロ的数値は、需要による、消費者目線の利用状況をベースに計算する方が、議論しやすいことが多いです。

一方、「1店舗の売上」のような、ミクロな数値は、供給による、企業目線をベースにした方が、計算しやすいです。「1店舗」という単語からわかる通り、基本的には、小売店・外食などが対象になることが多く、企業目線の中でも、消費者が利用する空間・見ることができる“店舗”を軸にすると、議論しやすいでしょう。

あくまで、両方・複数考えておくことが重要

しかし、「どちらが妥当か」については、様々な要因によって変化することに注意してください。

テーマの特性によって、適切なアプローチが異なる

まず、「フェルミ推定のテーマ(カフェ)が何か」によって変化する点に注意が必要です。すでに述べた通り、一般的な傾向として、「市場規模」のようなマクロ的な数値の計算は、需要からの方が、アプローチしやすいことが多いと思われます。

しかし、そうではないテーマも考えられます。たとえば、「飛行機」「都内の電車」「東海道新幹線」などのテーマの場合、供給が明確に制限されています。空港・滑走路・線路の数によって、運行できる便数・本数が制限されるためです。(また、「ディズニーランド」のようなものも、常に込み合っており、供給に制限されるといえるでしょう)

このような場合は、供給をベースに考えた方が、アプローチしやすいと思われます。

基本的に、世の中、特に日本では、「需要」が売上規模の制限になるものが多いように見えます。需要側が過剰なのであれば、ビジネスになるため自然に参入・供給が増加するのが一般的であり、供給を増やすことがそれほど難しくないパターンが多いからです。

しかし例外もあります。インフラ系は、需要が増えているからと言って、簡単に供給を増やすことが難しい場合も多いです。既存の線路や滑走路で限界まで運行している場合、線路や滑走路を増やす必要がありますが、土地の確保もありますし、投資額が膨大です。また、一度供給を増やしたら、簡単に撤退・基に戻すことができません。

以上のように、テーマ(カフェ、新幹線、ディズニーランド・・・)などによって、適切なアプローチは変化します。「市場規模だから需要ベース」と“公式的”にアプローチを決めるのではなく、「市場規模なので、需要の方が適切と思われるが、一応供給ベースの計算方法と比較検討する」といった形で、仮説として利用する程度にしましょう。

面接官によって、適切と考えるアプローチが異なる

さて、これまで述べてきた「妥当性の検証」は、あくまで私の個人的な意見に過ぎません。

あたり前のことですが、世の中の事象は、「論理的にこちらが正しい」と決められるほど、単純ではないものが多いです。今回議論しているのは、フェルミ推定の「議論の初めの方で決める、アプローチの方向性」なので、具体的にはその先の検証をしないとわからない、つまり、決定する時点では曖昧さが大きい内容といえます。そのため、議論内容は、かなり「仮説」的なニュアンスを含みます。

そうなると、面接官によって、「正しいと考える方法」にばらつきが出てきます。

また、ケース面接は、しょせん「思考力を見るテスト」ですので、「正しい答えを出す」ことが目標ではありません。そのため、面接官からすると、「こちらのアプローチの方が、思考力を見るのに適切」といった視点も重要になります。

どのようなアプローチが適切か、面接官と議論できるようにする

以上のことを踏まえると、どのように議論を進めるべきでしょうか。

もちろん、「正しい思うアプローチ」を考え、その理由を述べられるようにしておくことが重要です。しかしそれだけでなく、あくまで「複数パターンのアプローチを考えておき、面接官と議論しながら、議論の結果に応じて、アプローチを選択する」といった方法の方が、様々な理由でリスクが少なくなります。

フェルミ推定の式の分解アプローチを決めるにあたって、「何が正しいか」だけでなく、「どのようなパターンが考えられ、それらの利点・難点は何か」といったことも考えるよう、注意してください。

補足: 例題1の今後の回答における注意点

さて、例題1の回答を、今後進めていくうえで、注意すべきポイントについて、ここで簡単に言及します。
※例題2は、「原則編」で詳しく解説したので、そちらをご覧ください。

どの項目を細かく考えるか

需要の式の中では、相対的に見れば、「カフェを利用する人の割合」や「利用頻度」が最も曖昧なので、ここを細かく分解・検証していくことになるでしょう。「原則編」の「ポイント4」でも言及した通り、おそらく、2軸目を設定して、細かく議論することになるでしょう。2軸目には、「ユーザーのカフェやコーヒーの嗜好度」などを設定していくことになると思われます。

母数の範囲は適切か

今回は、日本人口を母数にしました。しかし、日本のカフェを利用する人は、ほかにもいます。厳密に述べれば、外国人観光客のような方が存在するからです。

しかし、外国人観光客の様な人が占める割合はわずかでしょう。受験者側から、「小さいので計算の対象外とする」と明言するか、もしくは「ほかにはない?」と面接官に聞かれたときに、外国人観光客という母数を答えられるよう、あらかじめ把握してきましょう。

【数式分解のアプローチ】 第一段階

さて、【数式分解のアプローチ】では、各例題からわかったことを加えながら、フェルミ推定における、数式分解時に考慮すべきことをまとめていきます。

上記の例題2問を踏まえると、必要な視点やステップは、以下のようになるでしょう。

➢ 複数の分解方法を考案する
  ➢ 「需要(消費者)」と「供給(企業)」から、それぞれ分解していく
➢ より計算に適した式を選択する
  ➢ イメージ・計算が難しい、曖昧さが大きい項目を含む式を排除する
    ➢ 需要アプローチ: 母数の範囲が明確である。割合・頻度などの値が極端に小さくならない
    ➢ 供給アプローチ: 供給の最大値を明確に制限できる箇所・項目が存在する

基本的には、上記のような解き方を試すことになると思われます。しかし、これだけでは、現実的にアプローチが難しいフェルミ推定もありますので、応用編以降の例題を踏まえつつ、この「解き方の基本」をブラッシュアップしていきます。

それでは最後に、今回の記事の要点を改めてまとめると下記3点です。

【テクニック編 2/6】の要点

  • 「市場規模」のようなマクロな数値は、需要(消費者)視点で計算した方が議論しやすい
  • 「1店舗の売上」のようなミクロな数値は、供給(企業)視点で計算した方が議論しやすい
  • とはいえ、テーマや面接官のタイプによって「正解」は異なるため、面接官と議論しながら進めよ

 
さて、次回のコラムでは、「応用編パートA」として、2つの例題に対する、式の分解アプローチの解説を行っていきます。併せてご覧ください。


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【まず初めに読んでおきたい】
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