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目次
はじめに
プロによる実践講座、いよいよ第3回。今回も現役の戦略コンサルタントに、実際のケース面接を想定したうえでの「ありがちな失敗例」や、思考ポイントについて伺っております。「論理的であることを伝えようとするあまり、かえって論理的でない考え方をしてしまう」、ピンと来る方いらっしゃいますでしょうか?
シリーズものになりますので、ぜひ前回・前々回分もご覧いただければと思います。さまざまなテーマを例に挙げて「ありがちな良くない回答例」を示しつつ、基本的な心構えなどを詳述しております。
現役コンサルが語る、フェルミ推定でありがちなNGケースへの対策【プロによる実践講座:その1】
現役コンサルが語る、戦略コンサルタントがケース問題を解く方法(実践解説付き) 【プロによる実践講座:その2】
ケース面接の落とし穴
多くの方とケース面接の練習を行っていくうち、「論理的であることを伝えようとするあまり、かえって論理的でない考え方をしてしまう人」がとても多いことに気づきました。
「ケース面接」ということを意識するあまり、論理的に伝えることばかりを重視してしまい、本来あるべきプロセスを無視した不自然なアプローチで取り組んだ結果、偏った(非論理的な)回答を導き出してしまう
……という方々です。
この原因は、「論理的に考えられた答え」をいきなり「論理的な視点」から考えようとしてしまうところにあると考えられます。本来「考える」ことと、「伝える」ことは違うはず。当然それぞれに適したプロセスがあるにも関わらず、その2つを同一視してしまった結果起こる事象です。
そこでまずは、問題解決におけるプロセスを確認したいと思います。
問題解決プロセスは、大きく「情報・視点を整理する」「考える」「伝える」の3ステップです。
(下記のプロセスは、“一般的”な分け方ではなく、今回の解説に沿った“オリジナル”な分け方で示してありますので、ご注意ください。)
問題解決プロセスの前提確認
(1)情報・視点を整理する
・基礎的な「情報」を収集し(頭の奥底から引っ張り出し)、「業界を見る視点・考え方(物事の分け方・軸・変数)」を整理する(2)考える
・集めた情報をもとに、現状分析を行う
・「問題点/課題/重要ポイント」を特定する
・「問題点/課題/重要ポイント」にあった、解決策を考案する
(3)伝える
・考えた内容を基に、聞き手が不自然に思わないプレゼンストーリーを作成する
・プレゼン資料に落とし込む(資料を作成する)
ケース面接(例題とありがちな回答例)
今回は架空のお題を例に、「ありがちな良くない回答例」に沿って解説していきたいと思います。
例題前半部分の「売上推定」がフェルミ推定にあたり、後半の「売上を上げる方法」はケース問題にあたりますので、回答例ではそれぞれについて、分けて解説します。
◆ありがちな良くない回答例(売上推定)
◆ありがちな良くない回答例(売上向上策)
実はこのケースを練習に使った場合、大半の方が上記のようなプロセスで解答を導き出しますが、面接官の視点で上記の回答例を読むと、多くの疑問点が発生します。
・【パートD】で全顧客の客単価を800円としているが、【パートC及びF】で言及している通り、2次会需要などを考えると20時~22時は客単価が上がると思う。話している内容が矛盾している。
※一般的にラーメン屋がどのようなメニュー(ビールなど)を取り揃えているかをあらかじめ整理していれば、売上向上の打ち手を考える前に、客単価の不自然さに気付けたはず◆客層設定の矛盾
・【パートC】では、客層にサラリーマンしか言及していない。しかし八重洲は東京駅という交通の要所、かつ飲食店以外の店も数多くある場所なので、「旅行中・移動中の客」「買い物客」など、サラリーマン以外にもさまざまな客層が想定できるのでは?
※時間帯別の需要において、事前に「どのような需要パターン(客層)が存在するか」を整理しておけば、他にも複数のターゲットが見込めることに気付けたはず
◆閉店時間設定が前提として不適切
・【パートF】で言及している通り、飲み会後の2次会需要がある地域であることを前提とするならば、【パートB】で設定した22時閉店という時間は早すぎる。「経営的に非合理 or 特殊なラーメン屋」であるという捕捉がないことを考えると、適切な「前提」とは言いにくい。
※周りに飲み屋が多く2次会需要を見込めるという情報をおさえていれば、「22時閉店」が極めて不自然な前提であると気付けたはず
◆打ち手による効果への疑問
・【パートG】で新たな客層を増やす話をしているが、単純に「女性客」「低カロリーを意識する客」を増やしたところで、その大半が昼に来店してしまったら?
※昼の時間帯はすでに100%占有されている状態であるため、客の総数は増えないのでは。
◆背景・論理の不足
・【パートF】と【パートG】の両方に言えるが、「思いつき」を提示しているように感じる。
※「これらの施策がなぜ最良なのか」「どうしてこの施策を実施すべきなのか」など、これらの解決策に至った背景や論理が見えてこない。
このような穴だらけの回答を導き出してしまうのは、なぜでしょうか。
それは、全体感(全体像の大まかな把握)を欠いているからです。
全体感に欠ける回答は、一部の要因や情報のみに言及しているためバランスが悪く、結果、面接官には「理由を後付けした」「思いつきを回答した」、非論理的な内容として伝わってしまいます。
正しい回答を導き出すには、適切な問題解決プロセスが重要
「網羅性の欠如」が起こる原因は、本コラムの最初に解説した問題解決プロセスのうち、「情報・視点を整理する」という思考プロセスが、抜けていることにあります。
「ありがちな良くない例」では「情報・視点を整理する」プロセスが不足していたために、「考慮すべき情報や視点が抜けてしまう」「現状分析や課題特定が行われない」といった問題が発生しました。
また、「売上向上策を考える前に、そもそも「現状分析」や「課題把握」といったプロセスがないので、2つとも「思いつき」に見える」……という指摘についても同様です。
(例題の場合、前提となる「ラーメン業界に対する全体像」についての情報・視点がないと、相対的に見てどこに大きな問題・課題があるのか特定できません)
正しい回答を導き出すには適切な問題解決プロセスに則り、前提を構築するうえでの情報や業界を見る視点・考え方を先に整理して考えることが大切です。
では、上記をふまえて、例題に対する模範的な思考プロセスを下記に示します。
(ここでは「売上向上策」の例のみ掲載します)
◆模範的な思考プロセスの一例
この考えからは、問題解決を図るために必要な、さまざまな視点(変数)が読み取れます。
・客層:「サラリーマン」「サラリーマン以外の客層」
・時間帯: 「ランチ」「ランチの直前直後の時間(ピーク外の周辺時間)」
・利用経験: 「トライアル」「リピート」
ケース面接で求められているのは、複数の視点を網羅しつつ、現状分析・課題把握を行い、課題解決の方向性を提示することです。
一般的なコンサルティングのプロジェクトの場合、過去/日常的に考えている/取り組んでいるテーマであるため、すでにある程度の知見があることが多いです。
(これは上記の例にあるような「“ラーメン屋のプロ”」や「皆さんのゼミや研究のテーマ」などもあてはまります)
これは、言い換えると、普段から(ケース面接を始める前の時点で)、すでに「情報・視点を整理する」というプロセスを実施済みであることになります。そのため、「情報・視点を整理する」というプロセスを(ケース面接の初めに)意識的に行わなくても、結果として「情報・視点を整理する」という要件を踏まえた回答が可能です。
一方、ケース面接は、知見が全くないテーマ・業界について取り組まなければならない場合が大半です。この場合、「情報・視点を整理する」プロセスを明示的に行わないと、論点のずれた、おかしな解答になってしまうリスクが高いです。
「情報・視点を整理する」というプロセスをきちんと行ってこそ、どのような視点で考えることが可能か整理でき、状況に応じた最適な案を提示できます。
繰り返しになりますが、ケース面接は「全く知見のないテーマや業界について考える」という、極めて特殊な状況で行われます。
(さらに悪いことに、時間が少ないため「プロセスそのものの妥当性を評価する」という意識を持ちにくく、ついつい必要なプロセスを抜かしていても、気付かないことが多いです)
このような特殊な状況であるからこそ、ゼミや研究といった普段取り組んでいるテーマとは異なり、「情報・視点を整理する」というプロセスを意識的に行う必要があることを、くれぐれも忘れないでください。
おわりに
正しい問題解決プロセスに則り、「情報・視点を整理する」ことの重要さをお分かりいただけたでしょうか。しかし、このように「情報・視点を整理する」プロセスをしっかり行うようにアドバイスしても、うまく実践できない人は多いもの。そこで次回は、「情報・視点を整理する」プロセスを正しく実践するための方法について詳しく説明したいと思います。
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