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現役コンサルが語る、ケース面接で業界の特徴から課題抽出する方法(後編)【プロによる実践講座:その14】

本コラムの趣旨

前回のコラムでは、カラオケBOX業界のケース問題を例に、「具体的な業界やビジネスの特徴」や「それを踏まえて特定した課題と打ち手の方針について、一例を提示しました。

本コラムでは、そもそもの目的である、「業界やビジネスの特徴から、課題を抽出し、打ち手につなげる方法」を身に着けるための、根本的かつ汎用的な考え方やアプローチを解説します。「キー・ファクター(競争優位性の源泉となる機能)」や「ボトルネック(ビジネスの構造上の問題・難点・負担など)」は、業界ごとに異なるため、これらを特定し、意味のある個所を改善する打ち手を提案するためには、暗記ではなく、より客観的な視点から、どう汎用的な考え方をすべきかを学習する必要があります。

さて、本コラムは、【プロによる実践講座:その13】を閲覧済みであることを前提に作成されています。先に「その13」のコラムをご確認の上、本コラムを読んでみてください。

また、今回の解説の終盤に、「なぜ、フェルミ推定したうえで、ケース問題(売上向上など)の解答がもとめられるのか」についても解説しました。併せてご確認ください。

重要なのは上記の具体的な特徴や課題ではなく、どのように課題を想起するかという考え方である

ここまでの解説(コラム「その13」)では、業界・ビジネスの特徴をしっかりと把握することで、課題が見つかることを示すため、具体的に、課題の1つと、そこにたどり着くまでの現状分析を天下り的に提示しました。

しかし、上記を「暗記」したとしても、それは類題(場所貸しビジネス)に対してしか利用できず、他の問題への汎用性がありません。そして、そもそも今回のカラオケBOXの問題において、有用な課題が上記「平日昼の低稼働率」の1つのみであるとも考えにくいです。

学習すべき考え方は、もっと一般的に、「どのような思考をすれば、上記のような課題にたどり着くことができるのか」にあるはずです。そうすれば、他のケース問題や他の課題を考えだす上で有効である、汎用的な考え方が身につくはずです。
 

有用な視点や軸は、暗記しておいてもうまく利用できない

さて、業界の特徴1~4には、様々な視点や考え方の軸が出てきました。例えば、「時間帯」の軸、「コスト、特に固定費」の視点などです。また、「場所貸しビジネス」「稼働率」といった単語も出てきました。しかし、これらの軸や視点は、いったいどこから出てきたのでしょうか。

もちろん、「直観」「頭の良さ」などといった言葉で理由付けしてしまえば、説明としては簡単でしょう。しかし、仮に「頭の良い人」の場合を想像してほしいのですが、今回のカラオケBOXの解答では「時間帯別」「固定費」などといった軸や視点に言及するかもしれませんが、一方で、別のケース問題であれば、それに合わせて違った軸や視点をすぐに提示するはずです。

では、なぜ違った軸や視点を提示できるのでしょうか。あらかじめ、頭の中にあらゆる視点や軸が暗記されていたとしても、それらが今回の問題に合うか否かを1つずつ確認してしまうと、非常に時間がかかります。つまり、頭の中に視点や軸の“辞書”があったとしても、それだけでは不十分です。

有用な視点や軸を素早く想起するために有効な考え方とは?

さて、ここから、「汎用的な考え方」の解説に入ります。

このようなとき、必要な視点や軸を素早く考え付くには、「カラオケBOX」というビジネスについて具体的に考えてみることが有効です。

さて、この具体的に考えるときの方法は、今回のケース問題だと、大きく2つあります(※以下、各方法にて抽出される特徴は重複があります)。

方法1: 業界の特徴を、他業界と比較しながら考える

この方法1は、非常に基本的なものです。例えば、上記の天下り的な解説で簡単に実施したように、他の一般的な業界であるコンビニを持ち出し、カラオケBOXとの違いがどこにあるのかを比較すれば、以下のような、様々な違い(業界の特徴)が判ります。

・消費する商品(飲食物など)だけでなく、場所に対して時間単位でお金を取る(⇒場所のコスト負担が高い可能性が高い)
・エンタメ需要であり、個人よりもグループで消費することが多い(⇒グループで時間を合わせる必要から、消費時間帯に偏りが生じる)
・夜遅い時間、朝まで営業している。(⇒ 夜の需要がメインである)

方法2: 現実のビジネスにおける打ち手を洗い出し、その背景を推測する

この方法は、一見すると、トリッキーな方法にみえます。しかし、以下の具体的な事例を見れば、そこまで不自然な考え方ではないことが、ご理解いただけると思います。

現実のビジネスで実施されている「打ち手」には、その背景となる課題や問題意識があるはずです。実際の打ち手を見ながら、その背景を推測することは非常に有効です。

現実の打ち手1: 利用時間に応じて料金を請求

カラオケBOXは「時間単位で料金を取る」システムになっていることに注目します。その理由を、単純にかんがえれば、おそらく、「場所を占有されることが大きなコストになる」「コストにおいて大きな割合を占める」ことが想像できます。

現実の打ち手2:時間帯や曜日によって利用料金が変化

カラオケBOXの料金表は、時間帯によって異なります。まず、時間帯で見れば、平日昼や休日は割引料金が適用されていることが多いです。

わざわざ、これらの時間帯の価格を安くしている理由として、単純にかんがえれば、「この時間帯は客が少ないから、安くしてでも客に来てほしい」ことや、「この時間帯は、価格感度が高い客が多い」ことなどが想定されます。

また、別の視点として、「来客・消費によって変動するコスト(変動費)の割合が低いため、客数増によるコスト増加が小さい」からこそ、そもそも大幅な割引が可能であるとも考えられます。

現実の打ち手3:客層に応じて、割引を適用

カラオケBOXの料金表は、客層によっても異なります。具体的には学割のようなものが提供されています。

その背景は、原則的に考えれば「客層によって価格感度が大きく異なる」と想定しているということでしょう。しかし、もっと踏み込んで考えれば、「もっと来店してほしい客層が、価格感度の高い客層である」ことを意味している可能性も十分にあります。

(※価格感度が高い客が、すでに十分な数、来店していれば、割引する必要がありません。例えば、仮に学生は休日の昼から夕方にしか来店しないと単純化した場合、この時間帯の稼働率がすでに高ければ、割引しても、稼働率の改善余地が小さいでしょう。そうなれば、客単価が減る分、売上や利益が減少してしまう可能性が高い、よくない施策となってしまいます。)

現実の打ち手から、問題点や課題を抽出するメリットは多い

シンプルに考えると、ゼロベース・新規で現状分析を行い、そこから問題点や課題を抽出するのが、普通かつ王道に見えます。しかし、この方法は、ある程度の量の現状分析が必要なため、時間や労力がかかります。特に、問題のテーマ(特に馴染みのない業界など)によっては、どこから手を付けるか皆目見当がつかない場合もあり、ケース面接という短い時間内で、王道の方法を実施するのは厳しい場合も多いです。

一方、現実の打ち手から逆算し、問題点や課題を抽出する方法は、あらかじめ方向性として現実の打ち手が提示されているため、ある意味で仮説思考のように、短い時間・低い労力で検討を進めることが可能になります。もちろん、この方法だけでは、網羅的に問題点や課題を洗い出すことはできませんが、議論や思考のとっかかりとして有効なので、特に「どこから手を付ければよいのか見当がつかない」「与えられた時間が短い」といった場合に活用してみてください。

補足1: 同じ打ち手でも、付加的な分析結果を紐づけることで、提案の説得力が上がる

いったん、上記の「時間帯」の議論がなかったとしましょう。仮に、純粋に市場や消費者の分析を行い、「年配者の来客数を増やす施策」を提言した場合どうなるか考えてみます。

もちろん、この年配者向けの施策が有効なものであれば、それ単体だけでも、施策としての価値は高いでしょう。しかし、ここに「年配者は平日の朝や昼間にも来店できる」ことと、「カラオケBOX運営側として、ちょうど平日昼間の稼働率が低いという、業界共通の問題を持っている」という情報を付け加えることができれば、この年配者向けの施策がより効果的であるという論理補強になります。これによって、本質的な施策の価値の向上があったわけではありませんが、コミュニケーション上の問題に限って言えば、施策の説得力を向上させた(価値を向上させたように見える)といえるでしょう。

以上の様に、同じ施策を提案する場合であっても、より多くの現状分析を行い、その内容を紐づけることで、施策の有効性に関する説得力が上がります。

思考方法としては若干論理の後付け感もありますが、コミュニケーション用に提案の流れを再構築すれば、より論理的な根拠をもとに考えられた施策として提案することができます。「様々な情報を繋げる思考力・俯瞰力」「コミュニケーション能力」のどちらとも言えると思いますが、「様々な現状分析や課題を繋げて、1つの打ち手を補強・体系化する」ことは、重要な考え方なので、打ち手を提案するときに意識してください。

補足2: もし、課題特定・現状分析のプロセスなしで考えた場合のデメリット

もし、今回の解説にあった課題特定、およびそれに付随する現状分析なしで打ち手を考えた場合、どうなるでしょうか。

以下、「時間帯」に関する明確な意識がないまま、打ち手を考えていると想定してください。まず、“なんとなく”お客さんの利用形態を考えると、最も多そうな友達同士や会社の同僚による、「平日の夜」の集団利用を“なんとなく”想定すると思われます。そして、これらの客層の客数UPの施策を考えた場合、おそらく結果として「平日の夜」の時間帯に来店する客数が増える打ち手に収束すると思われます。

しかし、ここで1つ問題があります。「スペースを売る商売」において、繁忙時間帯の客数を増やした場合に、本当に売上が伸びるのでしょうか。実は、今回のカラオケBOXにおいては、それでも売上が伸びる余地がありそうな(繁忙時間でも空室があることも少なくない)珍しい業界です。しかし、大半の「スペースを売る商売」においては、繁忙時間の稼働率が高い(空室・空席がほぼない)ため、客を増やしても、ほぼ同数の客が、空室・空席がないことを理由に離れて行ってしまいます(近隣の競合店舗や、類似の別業態のサービスに移動するでしょう)。その場合、打ち手の効果はほぼなくなってしまいます。(「宿泊業のGW時期」「ビジネス街の飲食店のランチタイム」などを想像してみましょう)

以上の様に、仮に今回の課題(平日の昼間の稼働率の低さ)から打ち手を考えなくても、そこに至るまでの現状分析で出てきた視点や軸(時間帯)があることで、意味のない打ち手を述べてしまうリスクを減らせます。広い視点で現状分析を行うことは、多くの課題を抽出して良い打ち手を出すという「ポジティブ」な側面だけでなく、筋の悪い打ち手を提言することを防ぐ「ネガティブ・チェック」的な側面でも非常に有用です。

参考: なぜ、売上向上策を考えさせる前に、フェルミ推定を行うのか

よくあるケース面接の問題として、ケース問題(売上や市場規模の向上)と一緒にフェルミ推定を出題するパターンがあります。今回の例題でいえば、下記のような問題になります。

・都内の某ビジネス街に位置するカラオケBOXの売上とコストの構造を分析し、次に売上を向上させる施策を考えてください

さて、なぜ両方セットで出題するのでしょうか。もちろん、両方の問題を通して、面接官が多くのポイントを(フェルミ推定も)確認したい可能性もあります。しかし、別の考え方として、「フェルミ推定を解くことが、ケース問題を解くうえでヒントになっている」ということを抑えておいた方が良いでしょう。

コスト推定によって、「家賃」「固定費」の重要性に気が付く

まず、フェルミ推定でコストの推定をすると、どうなるでしょうか。まず、コスト項目を洗い出すとき、「家賃」に関するコスト項目はわかりやすいので、見逃す人はほとんどいないでしょう。コスト項目を洗い出したのちに、各コストの計算をすることになりますが、ある程度適切に計算すれば、「家賃」の部分が非常に大きい値となるはずです。つまり、「固定費、特に家賃の割合が大きいビジネスである」ことに気が付けます。

売上推定によって、「平日の昼間」の稼働率の低さに気が付く

次に、売上をフェルミ推定すると、どうなるでしょうか。まず、主要な売上項目が「単位間当たりの利用料金」であるため、まずこれをメインに売上の推定を行うでしょう。「単位時間当たり」とあることから、このとき「時間帯(+平日・休日別)」に分割して、売上を推定(稼働率や客単価を推定)する方法を選択する可能性は高いです。そうすれば、詳細なフェルミ推定の数値を考える中で、「時間帯別に稼働率が大きく異なる」ことに気が付く可能性が高いです。

さらに言えば、上記のコストと売上のフェルミ推定で判明したことを合わせて、「固定費が高いのに、平日の昼間の稼働率が低くてもったいない」といった考えが浮かぶ可能性が高まります。

フェルミ推定もケース問題も、本質的には大きく変わらない

以上のように、フェルミ推定を行う中で、ケース問題(売上・市場規模の向上)にも必須である「定量的なインパクトを考慮する視点を持つ」「定性的な視点や要素を洗い出す」という部分を、しっかり考える機会を得られます。

そもそもフェルミ推定のときに利用する視点や軸は、「数値そのものや、数値の計算方法に大きな違いを及ぼす」ものが選択される必要があります。そのため、ケース問題を解く場合に重要な、「数値改善の対象として有望な箇所の特定(例:平日の昼間)」や「重要な視点(例:固定費・家賃の割合が高い)の特定」が、すでにフェルミ推定にて実施できていることが多いです。

以上の観点から、フェルミ推定のアプローチを考える時、「何かオリジナリティのある(奇抜な)方法」よりは、「ビジネス・問題解決の観点から有意義な方法」を考えるという心構えで考えた方が良い場合が多いです。これは特にフェルミ推定とケース問題がセットで出題される時、特に重要ですので、覚えておいていただけると良いかと思います。(フェルミ推定で考えた内容が、ケース問題の解答に利用できない場合、フェルミ推定かケース問題のどちらかのアプローチが良くない可能性が高いです。)

結局のところ、とあるテーマ(ビジネス、公共政策 など)に対して、「フェルミ推定」「ケース問題」のどちらとして出題されようと、「対象のテーマにとって重要な視点や軸を考え、それらを踏まえた解答を導出する」という意味では変わりがないため、見られているポイントはあまり違いがない場合も多いと思われます。

本コラムのまとめ

今回のコラムでは、「業界やビジネスの特徴を把握する」ことが、どのような意味を持つのか、具体例を通して解説しました。

今回のカラオケBOX業界のように、「売上を生み出す仕組み」「コストの構造」「提供する商品・サービス」などは、それらの特徴に応じて、強みであったり構造的な問題を生じさせたりします。一連のビジネス上の仕組みを整理することで、より深い現状分析が可能になります。

また、業界やビジネスの特徴をつかむための、より汎用的な考え方・アプローチも提示しました。業界やビジネスの特徴は、ある程度パターンもあるため、暗記することも不可能ではないかもしれませんが、応用が限定的ですし、そのような対策は思考力を鍛えたことにならず、本質的ではありません。

1つ目の方法としては、以前のコラムでも解説した通り、「比較」を利用するのが有効です。今回であれば、対象のカラオケBOX業界と、近すぎず遠すぎない別の業界(例:コンビニ)と比較してみると、様々な特徴を洗い出せます。

2つ目の方法としては、現実に実施されている打ち手・施策から、その背景にある課題や問題点を逆算・推測するというものです。現実に行われている施策は、何かしらの課題や問題意識から発生しているはずですので、その課題や問題意識を一覧化すると、現状を整理できます。そのうえで、「別の現状分析や課題を組み合わせること」や「同じ課題に対して別のアプローチを加えること」で、既存とは異なる打ち手を提案できるでしょう。

また、参考として、ケース問題(売上や市場規模の向上)の中にフェルミ推定を含めて出題する理由も解説しました。「ケース問題」「フェルミ推定」のどちらも、本質的に必要な思考に大きな違いはなく、「定性的な視点や軸の全体感」を洗い出しつつ、「よりインパクトの大きい要素」に集中するということが重要です。そのため、フェルミ推定における議論内容は、ケース問題に対する一種のヒントであると考えるとよいかと思います。カラオケBOXのケース問題に取り組んだのちに確認すると、より深く理解できると思いますので、併せてご確認ください。


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