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現役コンサルが語る、方向性が広い・あいまいなケース問題に対するアプローチ(後編)【プロによる実践講座:その24】

本コラムの趣旨

前回のコラムでは、「団塊の世代の退職による魅力的なビジネス」をテーマに、適切な現状分析のアプローチについて解説しました。

一言で「団塊の世代が退職」といっても、変化の内容は様々であり、大きくは高齢者人口の増加を中心とした「高齢者消費の市場の変化」と、退職者の増加による「労働者人口の割合の減少」が想定できます。特に後者の「労働者人口」の視点を見落としやすく、広い視野から物事を把握する必要があること、また、前者も「高齢者消費の市場増加」と単純に解釈してしまい、「団塊の世代」という世代の特徴を深く検証できていない回答が多いことを解説しました。

今回のコラムは、以上のような現状分析も踏まえつつ、「どのようなことに気を付けながら回答を構築・伝えるべきか」という、議論の次のステップについて解説いたします。解説内容は、「問われている内容の明確化」と、「回答の粒度・詳細さを、どの程度とするか」の2点です。

問われている内容の明確化: 「魅力的」なビジネスの意味とは(問3)

さて、問題文には何となく「魅力的」なビジネスとありますが、この「魅力的」という単語はあいまいすぎないでしょうか。

「魅力的」なものが何かというのは、人によって異なります。卑近な例を挙げてしまえば、「魅力的な仕事」「魅力的な異性」といったものは、人によってバラバラです。しかし、このバラバラであることは、「他の人が、非合理的な思考をしているから」といった理由ではないはずです。バラバラである背景には、「趣向」「プライオリティ」といったものや、おかれた環境(前提条件)などがあり、それらに応じて「”合理的”に考えた魅力的なもの」は変化するでしょう。

つまり、「魅力的」とは何かについての議論、最低でも面接官との認識の確認程度は必要になると思われます。

視点: 「当事者の立場になって考える」&「極端な2例で比較検討する」

さて、ビジネスにおいて「魅力的」というと、ついつい「売上高」「利益額」「利益率」といったもので判断すればよいと、単純に考えがちです。しかし、本当にこれで正しい(単純で良い)のでしょうか。

ここでは、わかりやすく2つの極端な主体を提示し、彼ら(当事者)の立場になって考えてみます。

2つの主体の例として、以下の極端な2種類を考えます。

・主体X: 大企業の新規事業担当者
・主体Y: これから起業を考えるベンチャー企業の社長

一方、ビジネスの種類としては、こちらも極端な例として、以下の2種類を考えます。

・市場A: 新しく立ち上がった、小さくニッチな市場
・市場B: 既存の市場であるが、規模そのものや伸び幅が大きい市場

さて、市場Aのような、ニッチ市場を、各主体から見るとどうでしょうか。まず、主体Xのような大企業の場合、規模がある程度大きくないと(将来的に大きくなる見込みがないと)参入するうまみが小さいです。そんな小さな市場に人員を割くくらいであれば、既存の事業のテコ入れをした方が良い場合が多いでしょう。

一方、主体Yのようなベンチャーであれば、市場が小さいことは、そこまで大きな問題になりません。むしろ、資金力のある大企業が、競合として参入してこないのであれば、ビジネスとしてやりやすく、魅力的と言えるでしょう。

市場Bのような巨大市場であればどうでしょうか。まず、これらの市場については、世の中の多くの人が気付いているはずです。そのため、競合が多くなる可能性があります。また、大きな市場で安定した売上や利益を得るためには、コスト競争力や高い認知度をもとに高シェアを得る必要がある場合も多く、人的リソースや資金力も必要になってくるでしょう(生産、営業、広告などの規模)。

これらは、主体Xのような大企業であれば対応可能かもしれませんが、主体Yのような小さい企業では対応が難しいでしょう。

以上はあくまで一般論に過ぎないので、テーマの商材などに応じて状況が変化することに注意が必要ですが、内容を抽象的にまとめると、「そもそも、どのようにビジネスを展開したいと考えているのか」をはっきりさせる必要がありそうです。切り口や視点は人によって異なると思いますが、例えば以下のようなものがあるでしょう。

・「短期で安定した利益を上げたい」 or 「時間がかかっても良いので、中長期的に大きなビジネスにしたい」
・「ベンチャー企業の事業」 or 「大企業の新規事業」
・「今後の成長余地の大きい市場を攻略したい」 or 「規模の大きな市場に攻勢をかけたい」

問われ方そのものが曖昧なテーマを整理することは、実際のコンサルティングでも多い

上記のように、「各実施主体のおかれた状況・環境」や「そもそものビジネス展開上の目的・目標」などによって、「魅力的」という単語の意味は変化するでしょう。どれが「魅力的」の意味として適切かについて、「一般論としての正解」や「論理的な正解」はないと思われますので、面接官と確認・議論しておきたいところです。

特に今回の場合、面接官がこのような議論を望んで、あえて「魅力的」というあいまいな単語を問題文に記載している可能性も高いです。もし、このような議論が不要であれば、初めから「規模が大きくなりそうな市場」「伸びが大きい市場」などと、問題文を具体的に書くこともできるはずです。実際のコンサルの仕事でも、クライアントのあいまいな意向を、具体的に整理するプロセスはよく必要になるので、しっかり押さえておきたいところです。

回答の粒度・詳細さ: 最終的な回答の提示方法・粒度も考慮したい

今回の問題は、あくまで「魅力的なビジネスは何か」です。さて、最終的な回答の着地点はどのあたりになるのでしょうか。少し考えてみましょう。

まず、今回のケース問題は、問われている内容があまりにも“ざっくり”しすぎており、回答の方向性として非常に多くのものが考えられるため、どう手を付けて良いかわからないと感じた方もいるのではないでしょうか。

広い視点から、議論の内容を段々と狭くしていくことが有効

このようなざっくりした問題に限ったことではありませんが、基本的に「広い視点から詳細へ」と「議論の範囲を段々と狭く」しながら、進めていくのがポイントです。先ほどの段落の解説でも解説した通り、コンサルタント的に回答するためには、ある程度広い視点から物事を整理しつつ、より良い方向性へ細かい議論を進めていくことになります。(今回の例題だと、まず「高齢者そのものの需要」と「労働人口減少による変化」という大枠を提示し、次にどちらか選択した方についてより詳細に検証を進めていくイメージです。)

想定される回答の“粒度”には幅がある

さて、ここで問題になるのは、「どこまで詳細な議論・回答が求められているのか」という部分です。

ある程度大雑把な方向性であれば、例えば「特に肉体労働系の仕事かつ日本語能力が必要となる仕事は、労働者を見つけることが困難になると予想されるため、これらの仕事の機械化・ロボット化の産業が魅力的である」といったレベル感の、定性的な議論が大半となる回答になるでしょう。この場合、細かい話は具体例・一例のレベル(「例えば、介護事業などは一つの大きな選択肢でしょう」)で終わると思われます。

一方、もし詳細な回答を求めるのであれば、極端な例だと「介護産業の入浴における機械・ロボット化が魅力的であり、…。現状の市場規模がXXであり、そのYY%と取れるとすると…」といった、ビジネスプランさながらの、詳細まで踏み込んだ、具体的かつ定量的な回答になると思われます。

どのような場合でも、広い視点から方向性の議論をしておけば、リスクが少ない

正直なところ、どのレベル感の詳細な回答を求められているかは、面接官によると思われるため、明確な答えはないと思います。全く同じ問題文であったとしても、面接官によって、重要視する内容(面接官が実務上で重要と考える思考力や、実際に面接で確認したい思考力)が異なるからです。そのため、抽象的な方針としては、「面接官の反応を見ながら、うまく面接を進めていく必要がある」ということになります。

しかし、これでは助言としてあまりに曖昧・抽象的すぎるので、もう少し詳細に考えてみましょう。この時、面接官が求める回答のレベル感がどの程度であったとしても、「広い視点から、より詳細へ」という議論の流れが有用であることがポイントです。

仮に、面接官がとても細かいビジネスプランレベルの回答を求めていたとしても、「なぜその回答が良いのか」ということを議論・説明するためには、大枠からの議論が必要になります。

もし、面接官があなたの詳細な回答について、「そもそもの回答の筋が悪い」と感じた場合、その後の議論の展開が絶望的になります。この時、簡略で良いので、広い視点から「方向性」について提示して議論をしておけば、「それは違うんじゃない?」「今回はこちらを考えてみて」といった形で、面接官も修正ができるため、大きなリスクを回避できます。

また、仮に面接官があなたの詳細な回答と、おおむね同じ内容を考えていたとしても、結局どこかで「なぜその打ち手が良いと思う?」という質問をされる可能性が高いです。ここで、体系立てて理由を説明できないと、「単なる思い付きの回答」と判断されてしまい、評価が低くなってしまうでしょう。

※打ち手の内容をいきなり提示し、それが優れている理由を述べた場合、現実的には「理由の後付け」感が出てしまい、聞き手からすると、客観的な評価・理由付けに聞こえない場合が多いです。ある程度、上段の方向性から説明することで、これらの問題を回避できる場合が多いです。

重要なのは、回答プロセスであり、踏むべき手順は大きく変わらない

以上のように、いきなり細かい打ち手を上げるのではなく、まず広い視点から、どの方向性が重要かについて、しっかり提示・議論することが必要です。この時、面接官が「方向性」「定性的な議論」をより重視していれば、「この広い視点」の部分について、長い時間をかけて議論することになるでしょう。一方、もし、面接官が「細かいビジネスプランレベルの回答」「緻密さ」を求めているのであれば、方向性の議論は、軽く提示しながら「認識確認」レベル・短時間で済ませ、詳細を詰める議論に多くの時間を使うことになるでしょう。

「最終的な回答」だけではなく、それまでの「議論・思考のプロセス」が、いずれにしても大切になるので、しっかりとしたプロセスを踏んだ回答の提示ができるよう、注意してください。その上で、面接官の反応を見つつ、どの部分に議論や思考の時間を多く配分すべきかを判断しましょう。

本コラムのまとめ

本コラムでは、社会変化に合わせた魅力的なビジネスについて解説しました。

まず、社会変化には、様々な側面があります。今回のように、高齢者の増加は、高齢者市場に関するビジネスの魅力が向上するだけではありません。社会全体で見れば、労働者人口の割合が減ることになるため、ここにもビジネス機会があるでしょう。ある程度、視点を高めにもっておき、事象を抽象的に解釈するクセがないと、想起するのが難しい部分です。

また、「団塊の世代」と書いてあっても、この団塊の世代の特徴に言及できる方が少ない傾向にあります。普段から、比較しながら考える(今回の場合、それ以前の世代の方と比較して考える)クセを付けておけば、自然と特徴を考えられるはずです。

さらに、「魅力的」という単語が、立場によって異なることも提示しました。今回の例題では、「魅力的」というあいまいな単語を、面接官が意図的に問題文へ採用している可能性が高いので、面接官としっかり確認・議論しておきたい部分です。

最後に、この問題の回答として、どこまで詳細なものが求められているかは、面接官によるため、問題文を読むだけでは予測不可能であることも提示しました。しかし、「方向性」レベルの議論が求められている場合でも、「具体的なビジネスプラン」レベルの詳細な回答が求められている場合でも、今回の解説通り、広い視点から方向性の議論をしつつ、段々と詳細な議論に入っていくことが有効です。このような「広い視点から詳細へ」というプロセスを踏まえつつ、最後は面接官の反応を見ながら、どの部分により多くの時間を使うべきか、判断すると良いと思われます。決して、プロセスを丸々飛ばすことがないよう、注意してください。

今回のケース問題は、「とあるビジネスが良い」ことを示すことそのものではなく、それを「良いと特定したプロセス」やその理由こそが重要であり、そこが面接官から見られていると考えるべきでしょう。アイデア勝負をしてしまわないよう、注意してください。


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