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現役コンサルが語る、公共政策系ケース問題の注意点(後編)【プロによる実践講座:その12】

本コラムの趣旨

本来のケース面接では、現状整理から打ち手の提案などへの一連の流れの中で、様々な考えるべきプロセスや論点があり、複数の重要なポイントがあります。しかし、これらの重要なポイントを、いきなりフルセットで学習・対策するのは、難易度が高いと思われます。

そのため、本コラムでは、それらのプロセスや論点から、一部分を切り出した例題を出題し、それらの解答のコツの解説に絞ることで、学習内容を明確にした解説を行います。

さて、本コラムは、【プロによる実践講座:その11】を閲覧済みであることを前提に作成されています。先に「その11」のコラムにて、小問(1)の解説をご確認の上、本コラムを読んでみてください。本コラムでは、小問(2)の解説を行います。

優先順位付けが不十分であり、打ち手の考案が総花的

小問(2)では、「渋滞のパターン(発生理由)」の中から、解決策を考えるべきものの優先順位付けを求められています。その時、主に2段階で問題が発生します。

段階1:優先順位付けが全くない

まず、特に公共政策系のケース問題において顕著なのですが、すべての問題点や課題に対して、順番に打ち手を考えていく方が、少なからず見受けられます。

これは、ビジネスの話題と異なり、「売上」「利益」といった優先順位を付ける上でわかりやすい比較指標がないことが原因と想定されます。しかし、たとえ公共政策であったとしても、すべての問題点や課題の“重要度”が等しいとは考えにくいです。
もちろん、長期的・最終的には、すべてのタイプの渋滞を改善すべきかもしれませんが、まず、“重要”な箇所から順番に手を付けていくのが普通です。特に、ケース面接は30分程度と時間も短く、すべてのタイプの渋滞に対して打ち手を考えることが時間的に難しいため、“重要そうにみえる箇所”に集中するためにも優先順位を付けたいところです。

段階2:優先順位付けが不十分

さて、仮に優先順位付けを行っていたとしても、不十分な方も見受けられます。

まず、ここからの解説の前提として、優先順位付けのよくある流れを示したいと思います。まず、基本・原則的には、「インパクト × フィージビリティ」の考えに沿って優先順位付けを行うことになります。これをプロセス順に記載すると、下記のようになります。

・潜在的な「インパクト」を軸に問題点や課題の解決すべき優先順位を決定
・優先順位に沿って、それぞれの問題点や課題に対する打ち手を考えつつ、考えた各打ち手の「フィージビリティ」や想定される「インパクト」や効果を概算
・打ち手を「インパクト × フィージビリティ」の2軸で優先順位を決定

公共政策系のケース問題は、インパクトの基準が単純・明白ではない

まず、インパクトを基に優先順位を付けていくこと自体は正しいといえるでしょう。しかし、このときの「インパクト」となる指標の選定に気を付ける必要があります。一般のビジネスケースでは「売上」「市場規模」といったわかりやすい指標や単位がありますが、公共政策系では注意が必要です。

さて、最もよく見られるのが「渋滞発生の頻度や程度」を「インパクト」と置くものです。しかしこれは、とある前提が想定されていることにお気付きでしょうか。これは、「単位当たりの渋滞におけるコストが、どのような場合でも同じ」という前提が入っています(ここでいう単位とは、単位時間、単位人数・台数をイメージしてください)。

ビジネス系のケース問題のように、売上や利益であれば、「1円は1円」で1円に色や違いはないかもしれませんが、各種渋滞には性質による違いはないのでしょうか。
 
まず、このような交通系の政策を行うのは、国や都道府県であると想定されます。このときの判断材料として、「渋滞による待ち時間」を減らすことは、重要な指標ですが、その背景には何があるでしょうか。例えば、下記のように分けられます。
・精神的な不満を解消する(政治や公共政策に対する不満の解消、支持率UPなど)
・経済的な損失を回避する(仕事中、Private時間の両方の余計な時間を含む)(時給換算などの方法で、経済的指標に変換可能)

渋滞による損失時間は、その性質によって負担の程度や評価が異なる

さて、上記の2つの視点を踏まえつつ、具体例で考えてみます。「高速道路の上で、事故により2時間待たされた」ことと「日常的混雑している道路にて、車に乗る時間が1日当たり6分増加し、1ヶ月(20日間)で合計2時間待たされた」ことは、同じ意味を持つのでしょうか。
(※いったん、人やオケージョンによる時給の違いを除いて考えてみてください)

例えば、精神的な不満だといかがでしょうか。例えば通勤で利用している人を例に考えると、以下のような想定が可能です。
・事故は(よほど交通整理や道路の作りがイマイチな場合を除いて)事前対策が難しく、政府の責とは言いづらい。しかし、日常的に混雑している道は、事前に予測可能であり、混雑緩和の対策ができるはずであるため、政府の政策の不備である。
・日常的な混雑は、あらかじめ知っているため、少し早く出発することによって対策しているので問題ない。しかし、事故による渋滞は予測ができず、発生時に周りに迷惑をかけてしまうが、自身では事前の対策が難しく困っている。

また、経済的な負担である場合、例えば「仕事中のトラック」で考えると、以下のような想定が可能です。
・(長距離トラックの運転手の立場から):日常的な混雑は、あらかじめそれを織り込んだ配送スケジュールを立てているので問題ない。しかし、事故による配送の遅れはあらかじめ予測できず、高速道路利用時は、一度渋滞に巻き込まれると、回り道による緩和も困難であり、しかも1回当たりの遅延時間が長いため、関係者に多大な迷惑をかけてしまうため、避けたい。
・(小売店の都内店舗への配送トラックから):日常的な混雑により、トラック1台当たりの配送可能店舗数が制限されており、定常的に経済損失が発生している。一方、事故であれば、そもそもの事故の発生頻度の少なさと、一般道であることから回り道をすれば、長い目で見た合計遅延時間は小さいことから、問題は小さい。

上記では、あえて2つの視点から、別の結論に達する想定をしました。なぜならば、ここで重要なのは、「どちらがより問題か」といった「判断や決定」ではなく、まず「どのような視点で見るかによって、同じ渋滞による待ち時間でも重要度が異なる」という「視点を提示」することにあるからです。

実際の面接における対応: “正確”な結論の提示は難しい

どちらの想定が重要かを判定するには、定量的な議論が必要ですが、ケース面接中にこれを行うのは厳しいでしょう。仮にたっぷり時間と労力をかけて計算したとしても、あいまいなテーマであることから、計算方法が様々考えられるため、そもそもの前提・想定の設定とその計算が困難ですし、また計算した主体によって答えが異なると思われます。短いケース面接において、求められているとは思い難いです。

また、そもそもどちらが重要かは、すでにテーマの前提として決まっているパターンも、現実社会では多いでしょう。その場合、「定量的な議論」というよりは、依頼主や最終決定者の「価値観やプライオリティを確認」するというプロセスが重要であるという結論になると思われます。

そのような背景から、世の中一般的に通用する判断基準はないと思われるため、面接官によって期待されている結論が大きく異なることも想定されます。このような場合だからこそ、「どちらが重要か」といった結論を求める考え方だけではなく、重要性を判断する視点(抽象的な見方)を多く持っておき、それらを面接官に提示しながら解答を探るという考え方でのぞめると、面接官が持っている“答え”に近づきやすくなるでしょう。
(※念のため、これは面接官に解答を尋ねるという意味ではありません。自分の意見・仮説を多めに持っておき、それらから、ある程度の数が外れであることを覚悟の上、積極的に提示していくことが重要です。)

優先順位の基準は、様々な視点によって変化する

今回のケース問題の場合、特に「定常的に発生するもの」「突発的に発生するもの」は、「事前予測」「損失の事前折込み」の可否から、同じ量の時間損失であったとしても、対策の必要性や重要性に大きく違いが出てくると想定されます。

この話は、若干発展的なものであるため、面接官から具体的に深く質問されない限りは、解答に入れ込む必要ないと思います。

しかし、ここは思考力を見る上で有効なポイントであり、質問するのに有効なポイントでしょう。特に、公共政策の話題は、様々な価値観・プライオリティがあるため、この解説で言及した以外にも、様々な視点・判断軸が存在しています。

そのため、そもそもインパクトを考える上で、
・どの指標・数値を改善すべきか(※今回の場合、単純な「渋滞による損失時間」ではない)
・そもそも、何のために問題解決が必要とされているのか(※今回の場合、「経済的損失」か「精神的不満」か。また経済的損失の場合、「定常的なもの」と「突発的なもの」のどちらがより問題か)
といった内容を、いろいろなケース問題(特に公共政策系)で整理する練習をしてみてください。

小問(1)の復習: 公共政策ケースにおける、現状分析の難しさ

さて、前回のコラムの小問(1)の解説で、「公共政策系の問題は、問題の範囲や論点の設定が単純でない」ため、大きな見落としを防ぐため、より念入りな現状把握が必要であるという話をしたと思います。

これは、まさしく上記の「依頼主や最終決定者の価値観やプライオリティを確認」という部分が実例の1つです。解説の通り、「経済的な損失」「精神的な不満」のどちらの解消を目的とするかで議論の流れは大きく異なりますし、また「論理的にどちらを解決すべきか決定できる」とも思えません。このような「どこを論点とすべきか(何のために問題解決が必要とされているのか)」という上段の議論が抜けてしまうと、公共政策のテーマによっては、的外れな議論になりかねません。

今回の交通渋滞の場合は、仮に「どこを論点とすべきか」の議論がなくとも、大きく的外れにはなりにくいケース問題でしたが、機会があれば、論点設定が難しい公共政策のケースの解説を別途実施したいと思います。
(※念のため補足すると、ビジネスケースであれば、「売上Up」「シェアUp」などのわかりやすい目的がある場合が多いため、公共政策系のケース問題と異なり、このような問題は起こりにくくなります。)

本コラムのまとめ

今回は、2つの小問を通じて、2つの重点ポイントを解説しました。

まず、小問(1)では、「渋滞発生のパターン」を明示的に解答いただくことで、現状分析の重要性を解説しました。また、「現状分析が重要だとわかっていても、思考を広げるのが難しい」といった方のために、「具体的にイメージしながら考える」「いったん考えた内容を抽象化し、その抽象化した内容について並列や反対の項目を考える」という2つの考え方を提示しました。また補足として、公共政策ケース問題では、論点設定などが難しく、念入りな現状把握がより重要であることを示しました。

次に、小問(2)では、優先順位付けの重要性を提示しました。まず、面接時間は限られていることから、思考の途中であっても、ある程度“重要そうにみえる”箇所から考えていく必要があります。

その上で、特に公共政策系のケース問題に顕著ですが、「インパクト」を図る指標の選定の難しさについて、言及しました。若干発展的な内容ですが、面接官サイドからすると、質問を通して考える力を見るのに良いポイントですので、一度、様々な公共政策にて、「どの指標・数値を改善すべきか」「何のために問題解決が必要とされているのか」などの視点で、考える練習をしてみてください。


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