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現役コンサルが語る、ケース問題の現状分析でよくある見落とし 【プロによる実践講座:その5】

はじめに

学生や社会人に向けてケース面接の指導や執筆活動をしている戦略コンサルタントに、昨年、【プロによる実践講座】シリーズとしてフェルミ推定やケース問題のポイントについて解説していただきました。

今回はシリーズ5回目として、具体的な例題を基に、ケース面接を攻略するためのアプローチ方法を教えていただきます。

本コラムの趣旨

本来のケース面接では、現状整理から打ち手の提案など、様々な考えるべきプロセスや論点があり、複数の重要なポイントがあります。しかし、これらの重要なポイントを、いきなりフルセットで学習するのは、難易度が高いと思われます。

そのため、本コラムでは、それらのプロセスや論点から、一部分を切り出した問題を出題し、それに対する解説に絞ることで、学習内容を明確にした解説を行います。

さて、問題文を以下に示します。「よくあるミスを修正する」のが本コラムの趣旨ですので、皆さんも同じようなミスをしてしまうか否かを判断するため、ぜひ一度問題を20~30分程度で解いてみたうえで、解説をご覧ください。

今回の問題文

東京近郊の住宅地でパン屋を経営している親戚から、相談を受けました。

「近年、少しずつ売上もお客さんの数も下がってきている。客数が減った理由を特定してほしい」

ちなみに、上記の相談にあたって、以下の情報が得られています。
・値段は特に変えていない。また、近隣の飲食店やスーパーなども含め、特に物価が変動しているようには見受けられないため、自店が割高になっていることはないと思う。
・商品の質は落としていない(味見もして確かめている)。
・特段、近隣の競合に変化は見られず、競合にお客を取られていることもないと思う。例えば、「強力な飲食店やスーパーなどの出店」や「既存の飲食店やスーパーなどの質の改善」などの要因で、競合に客を取られているようには見受けられない。

さて、あなたは、客数が低下した原因をどのように分析するでしょうか?

理由の一覧と、どの理由が正解の可能性が高いかを、それぞれ考えてください。

考え方・流れの大枠

本コラムは、模範解答を示すことを意図していません。解答そのものよりも、「なぜそのように考えたのか」という、プロセス・背景・ロジックのようなものを理解して身につけないと、実際のケース問題に対応できないからです。

しかしながら、解説をスムーズに進めるために、最低限の大まかな考え方の流れを示しておきます。

まず、売上の減少は、「客数」の減少、「客単価」の減少に分けられます。しかし、問題文の前提から、「客数」側に原因があると考えるのが自然です。(この部分は、あまりにも自明なので、解答に明示する必要もないでしょう)

次に、「客数」の減少の原因は、商圏内の「全パン購買者数の減少」か「競合にパン購買の顧客(シェア)を奪われている」に分けられます。しかし、問題文の最後の3つの補足情報を総合すると、競合の影響はほとんどないと考えられるため、「競合に顧客を奪われている」可能性は“低い”です。(※CVSとECサイトについては、別途補足します。)

最後に、パン購買者の減少は、「パン以外の“食事”に客を奪われている」か、そうでなければ「そもそもの食事規模の減少」が考えられます。
※これ以降は、今回の解説に不要なため、省略します。

今回の問題・解説の特徴まとめ

それでは、解説に入ります。まず初めに本解説の結論として、今回の「問題」と「解答」の特徴や傾向について述べておきます。

問題の特徴

まず、「問題」の特徴ですが、「“一般的”な、とあるパン屋の売上」に関する議論を求められているわけではないというのがポイントです。特に重要なのは、以下の2つの条件・前提です。
・「東京近郊」の「住宅地」に立地している
・売上や客数は「少しずつ」減少している

解答の傾向

また、「解答」の傾向として、大きく以下の2つの視点があります。
・3C(市場、競合、自社)の視点のうち、いずれかが抜けてしまうことが多い: 今回の場合、市場の視点
・市場の視点の中でも、マクロ環境など、問題の対象に関係ない内容が抜けてしまうことが多い: 今回の場合、「問題の対象」は「パン」であり、抜けてしまう内容とは、「人口動態」に関する視点

さて、上記の詳細を、以下の解説で見ていきましょう。

ポイント1:まず、問題内容を理解したうえで解答する

基本的に、ケース問題の出題者は、「確認したい視点」や「想定解答」のようなものを持ったうえで出題していることが多いです(そうでなければ、仮説思考ができていない)。

問題文内の補足情報は、それらの方向性やヒントのようなものを示していると考えるのが自然です。

今回の問題は、「とあるパン屋の客数減少理由は」といった“一般論”ではありません。そのため、このパン屋さんの状況・前提条件を理解したうえで、客数減少の要因を洗い出すほうが、少ないケース面接時間で効率的に答えを導きだせます。以下の2つの前提について考えてみましょう。
・「東京近郊」の「住宅地」に立地している
・売上や客数は「少しずつ」減少している

「住宅地」という前提の意味

さて、まず「東京近郊の住宅地」というワードについて考えてみましょう。まず結論を述べれば、住宅地というのは、人口規模や世代が、時の流れによって変遷していくというのがポイントです。

分かりやすい例として、東京の豊洲を考えてみましょう。豊洲は開発が進んでおり、マンションの供給が増えているため、人口が増加しています。そして、豊洲に新たに住み始める方は若い方が多いため、世代は若者に偏っています。さらに、住み始めた後も、しばらくの間は、子どもができることによって、人口は増加し、より若い世代に偏っていきます。

では30~40年後はどうでしょうか。子どもたちは、成人していき、家を離れていくでしょう。また、マンションを賃貸ではなく購入している人は、簡単に豊洲から引っ越さないと想定されます。つまり、比較的年配の世代が多く残ることになります。

以上のように、現在は人口が増えており若い人の割合が多いですが、長い目で見れば、人口は減っていき高齢者の割合が増加すると想定されます。つまり、人口構成に大きな変化が発生すると想定されます。

客数の減少が、「少しずつ」である場合の特徴

次に、客数が「少しずつ」減少しているという条件について考えてみましょう。これは、客数減少が「断続的・急激な変化ではない」と読み替えたほうが分かりやすいかもしれません。

例えば、近くに「駅が新設(廃止)された」「大企業のオフィスが移転してきた(撤退した)」などの理由であれば、売上はとあるタイミングで急激に変化している可能性が高いです。また、「風評被害」や、「流行・ブーム」なども、比較的急激な変化を及ぼすでしょう。よって今回の客数減少の理由である可能性は“低い”と想定されます。

今回の問題は、とあるタイミングのイベントによるものではなく、「構造的」な変化によるものであることを問題文から読み取る必要があります。「構造的」な変化の要因として、例えば「少しずつ米の消費が減っており、その分パンの消費が増えている」などがあります。(※注:これは、あくまで客数を増加させる要因です)

ポイント1のまとめ

さて、第1のポイントをまとめておきます。ケース問題に何かしらの前提や補足情報がつけられている場合、それは出題者の意図が含まれていると考えるのが自然です(今回の場合、「東京近郊の住宅地」「客数の減少は少しずつ発生」)。その意味を考え、解答に反映させましょう。(今回の場合、「どの理由が正解の可能性が高いか」の部分を大きく制限すると想定されます。そうなると、「理由の一覧」を考えるとき、どの部分を集中的に考えるべきかにも影響を与えることになるでしょう)

ポイント2: 問題によって、思考のバイアスがかかることを認識する

さて、皆さん3C(市場、競合、自社)というフレームワークについて、聞いたことがあるのではないでしょうか。

私は、よくコンサルティング業界志望者のケース面接の練習に付き合っていますが、その中で、様々な「間違いの傾向」が見えてきます。例えば、「3Cの中の、いずれかの項目の検証が抜ける」というのは、幅広い種類のケース問題で、頻繁に見受けられる解答です。

3Cのうち、どの検証がなくなるかは、ケース問題の種類によって異なります。具体的に、今回のパン屋のお題を考えると、「市場」の検証が弱くなる傾向が見られます。

まず、競争環境(競合vs自社)については、ほぼ全員の方が考えます(そのため、今回の問題では、あえて“競合ではない”旨の補足情報を、問題文の最後に3つ補足として加えました)。また、「パン(+食事全体)の市場Needs把握とNeedsへのマッチング」(市場と自社の両方の概念を含むと思われます)についても、かなりの方が考えることができます。

一方、“純粋”な市場動向については、検討を忘れる方が多い印象です。その理由は、今回の問題の対象である「パン」との直接が薄いからだと思われます。

特に、「単純に人口が減っている」という視点は、「パン」という商品とは何の関係もありません。また、「商圏の世代構成の変化(例: 高齢化)」なども、「パンを食べる世代が減れば、パンの市場が減るはずという」という意味で、まったく無関係ではありませんが、パンを軸に考えていると、思いつくのが難しいと思われます(ほとんどの消費財で、世代構成の変化は、売上に影響を与えるでしょう)。

ポイント2のまとめ

第2のポイントをまとめておきましょう。

まず、フレームワーク(3Cなど)は、それを起点に議論を展開することは、かえって思考の幅を狭めるため危険な場合が多いです。しかし、「見落としがないか、念のためチェックする」といった使い方であれば、思考の幅を広げることができ、有用な場合が多いです。今回の場合、3C的視点で、漏れがないかチェックすれば、市場の部分を深く考えられる可能性が高まります。

また、思考には、問題特性に応じてバイアスがかかり、多くの方が同じような見落としをする傾向にあります。今回の場合、特に商材(パン)と直接関係のない部分(純粋な「市場」の人口動態)の検討を忘れる方が多いです。上記のように、3C(フレームワーク)なども利用しつつ、一歩引いた、客観的な視点を持つよう心がけてください。

本コラムのまとめと「その6」のコラムの予告

さて、今回は現状認識の重要性について、「パン屋」のケース問題を題材に考えてみました。次回は、まず前半で、このケース問題の「解答の指針」を簡単に解説します。後半は、「実際のケース問題(打ち手まで含めた提案)」の場合の注意点がテーマであり、本解説で最も重要な部分になりますので、ぜひ「その6」も合わせてご確認ください。



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