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現役コンサルが語る、“現実的”な思考プロセスで論点を特定する方法(後編)【プロによる実践講座:その16】

本コラムの趣旨

前回のコラムでは、町の文房具店の主要顧客である「法人顧客」に、「気が付くための方法」「気が付くタイミング」のパターンについて、複数解説しました。

気が付くタイミングや方法は、複数ありますが、特に、「競合」の分析時にその競合の主要顧客を分析する方法が、具体的なイメージで想起できる(抽象的な思考の必要度が低い)ので、難易度が低いと思います。しかし、違う議論(競合分析)の時に思いついた内容を、別の議論(自社分析)に紐づけるという、広い・客観的な視野が必要になります。

本コラムでは、このように柔軟な考え方を行うための心構えやアプローチに関し解説したいと思います。【プロによる実践講座:その15】を閲覧済みであることを前提に作成されていますので、先に「その15」のコラムをご確認の上、本コラムを読んでみてください。

解決策: 他の分析や議論の内容を、別の分析や議論にて、連想・活用させるには

シンプルに述べれば、「自社の主要顧客」が「法人顧客」であるということは、方法1で行った「自社分析」の中で気が付くのが“自然”でしょう。しかし、前述のとおり、文房具店になじみがない場合、自社分析の中だと、方法1のように、「要素を抽象化する」ことで無理やり思考の幅を広げる「自然ではない考え方」で法人顧客という要素を思いつくことが必要になるため、少し難易度が高いです。

しかし、方法2や方法3にある通り、「市場(文房具利用者)」や「競合(競合の主要顧客)」を分析することでも、自社の主要顧客と同じ要素である「法人顧客」を洗い出せます。「文房具店」になじみがない方でも、「会社や学校で購買した文房具を利用している」「アスクル(カウネット)という企業を知っている」可能性は十分にあります。こちらであれば、なじみがあるため、イメージで考えられることから、「法人顧客」という要素を想起できる確率が高いでしょう。また、自社分析の後に、まだチャンスが2回あるという、単純な回数・タイミング増加という意味でも、想起の可能性が高まります。

以上の様に、重要な要素・項目に気が付けるポイントが、思考・議論のプロセス上、この「自社分析」の1か所しかないのは、運悪く想起できずに終わるリスクが高いです。また、以上の様に、重要な要素(法人顧客)を想起しやすいタイミングが、必ずしも必要なタイミング(自社分析)とは限らないことも注意が必要です。

さて、ここで問題になるのは、方法2や3で行った「市場分析」や「競合分析」で出てきた「法人顧客」という視点を、どのように「自社分析」時の自社の主要顧客の部分でも活用・連想するかにあると思います。

洗い出した視点・要素を紙に書き出しておくことで、別の分析ステップで活用しやすくなる

さて、すでに他の分析(競合分析)を実行している中で、以前の分析(自社分析)のブラッシュアップの余地に気が付くのは、頭の切り替えが必要なため、簡単ではないでしょう。

このようなとき、必要に応じて頭を切り替えるためには、「頭の中だけで考えない」ことが重要です。ケース面接中、時間が短いため、ついつい口頭による議論に集中してしまいがちです。このようなとき、思い付いた視点や要素を、いったん紙に書き出しておけば、その議論の時に利用したか否かに関わらず、あとから出てきた視点や要素と紐づけられる可能性が高まります。

一方、「頭で考えただけ」「一度だけ思考の中に出てきた」にすぎない視点や要素を、後ほど必要なタイミングで再度思いつくことは、難易度が高いです。

ケース面接時は、面接官にプレゼンする内容・解答だけでなく、それに至る現状分析や視点(結果的に面接官に伝えない内容)までを、紙にメモしながら考える余裕を持ちたいところです。普段から紙に書いて頭を整理する癖をつけておくと、面接中であっても、スムーズかつ効率的に紙にまとめやすくなります。

思考や議論がきれいな順序で進むことは少ないため、「議論を巻き戻す」ことを厭わないことも重要

そもそも、上記のように、思考や議論の流れは、「きれいな順序」で進むものではなく、多少の巻き戻しが起こってしまうのが現実的だと割り切ることも重要です。

やはり、人の思考力には限りがあるため、見落としは発生してしまいます。必要なタイミングに、重要な項目・要素をもれなく全て想起することは、現実的には困難です。また、マトリックス状の内容を議論するときは、内容が2次元であるため、「きれいな順序」なる議論がそもそも不可能に近いと言えるでしょう。

ケース面接を、プレゼンテーションのように扱うと、どうしても「一本のストーリーとして、きれいな流れにしないといけない」と感じてしまいます。そうではなく、ディスカッションと考えれば、多少議論の流れが行ったり来たりするのは自然ですし、より柔軟に考えやすくなります。

ときには、「すでに議論した内容を修正する」ことや、「議論を大きくひっくり返してやり直す覚悟も持つ」といった勇気を持つ必要があります。その判断をするためには、客観的な視点で、その時の議論を俯瞰する必要がありますが、面接中にこれを実施することは、現実的には難しいでしょう。そのため、面接官の反応や顔色(議論の流れに納得しているか否か)を見ながら、間接的に議論の良し悪しを推測しつつ、議論の修正や巻き戻しの必要性を判断することも有効です。

補足: この後の議論のイメージ

さて、この後の議論は、どのように進めていくべきでしょうか。結論を示してしまうと、理解の弊害になる恐れもありますので、視点だけ共有してみようと思います。(問2・問3の解答をイメージしてください)

さて、主要顧客が「法人顧客」であると考えると、この客層に集中するのか、それとも別の客層を開拓するのか、まず大まかな方針を決めて検討を進めたいところです。そこで、まずは、法人顧客に限定して、少し分析してみましょう。

まず、競合の視点を考えてみると、文房具店の主要顧客が「法人顧客」であるのであれば、同じく法人顧客を主要とする「アスクル(+カウネット)」が現時点の強力なライバルであると言えそうです。

まず、「アスクル」と「町の文房具店」を比較してみましょう。まず、品ぞろえの多さでみると、アスクルはWebベースのビジネスがあるため、優っているでしょう。また、価格においても、アスクルのほうが安いと想定されます(注:町の文房具店も宅配している前提です)。配達の迅速さについては、一概に言えないと想定されるので、いったん「同等」としておきます。

このように、客観的な判断軸からみていくと、町の文房具店が優っているポイントがない気がしてきますが、本当に他に何もないのでしょうか。ここで、客観的な視点ではなく、あえて「主観的に、町の文房具店の目線で強みを整理」してみると、「既存の学校・役所などへのコネクション」「融通の利きやすさ」や、「中小法人の信用情報のようなものを多少持っている」ことなどがあるでしょう。

これ以外にも、分析すべき様々な視点があると思います。たとえば、同じ法人顧客をターゲットとしているとは言うものの、「町の文房具店」と「アスクル」が本当に競合しているのかは、顧客ニーズや顧客セグメントを考えて、考察したいところです。他にも、ここまでの議論では、「客数」ベースの話ばかりであり、「客単価(購入頻度、購買点数 など)」は、まだほとんど議論されていません。一言に「文房具を扱う店(競合)」といっても、競合の業態に応じて、取り扱う商品カテゴリの範囲が異なります。

以上の様に、様々な視点で整理することで、「既存の重要顧客(法人顧客)の強化」と「別の顧客層の強化・開拓」のどちらが良いか、少しずつ見えてくるでしょう。

本コラムのまとめ

さて、今回は、「現状認識の広げ方」「論点の特定」について、実際の思考・面接プロセスに沿った現実的な方法を解説しました。

今回の「町の文房具店」のような、なじみのないテーマの場合、念入りかつ意識的な現状分析が必要となります。もちろん、以前のコラム(「現役コンサルが語る、公共政策系ケース問題の注意点(前編)【プロによる実践講座:その11】」「現役コンサルが語る、具体的思考の重要性~「シェア2位」の意味(後編)【プロによる実践講座:その8】」)で解説したような考え方で、意識的に思考を広げたいところですが、現実的には限界もあるでしょう。

そのような場合、面接中の「他の分析や議論」で出てきた要素を、うまく別の分析や議論に結び付けることができれば、要素や論点をすくい取れる可能性が高まります。分析や議論に応じて、視点・要素の重要性は異なりますが、「必ずしも該当の分析・議論のステップにて重要な要素ほど想起しやすいわけではない」ことに注意が必要です。

面接プロセス上の各分析で想起した視点・要素は、該当の分析における有用性に関わらず、雑多でもよいので紙に書き留めておくのが有効です。そのためには、普段から、頭だけでなく紙に書きながら整理する癖をつけると良いでしょう。そうすることで、各分析や議論で出てきた視点・要素を、別の分析や議論で活用できる可能性が高まります。

思考や議論の流れは、「きれいな順序」で進むものではなく、多少の巻き戻しが起こってしまうのが現実的です。ケース面接を、プレゼンテーションのように扱わず、ディスカッションと考えれば、より柔軟に考えやすくなります。面接官の反応(議論の流れに納得しているか)を見ながら、ときには「すでに議論した内容を修正する」ことや、「議論を大きくひっくり返してやり直す覚悟も持つ」ことも必要ですので、かたくならず柔軟に考えて取り組むよう意識してください。


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