外資・日系トップ企業を目指す学生のための就職活動サイト「外資就活ドットコム」

現役コンサルが語る、具体的思考の重要性~「シェア2位」の意味(後編)【プロによる実践講座:その8】


本コラムは、【プロによる実践講座:その7】を閲覧済みであることを前提に作成されています。先に「その7」のコラムをご確認の上、本コラムを読んでみてください。

見落としを防ぐための工夫: 様々な視点から「具体的」に考える

野菜ジュースの売上・シェアを構成する要素として、「商品の売れ行き」については、ほとんど全ての方が言及されます。しかし、「棚に置いてあるか否か」という視点については、見逃す方が大半です。この棚に置いてあるという視点は、「消費者側」の視点のみを、「なんとなく」考えているだけでは、思い付くのが難しいです。

では、どのようにすれば、見落としを防ぐ可能性を上げられるのでしょうか。

消費者視点を、「プロセス」で「より具体的に、当事者になりきって」考える

例えば、消費者視点で考える場合であっても、「そもそもどのように野菜ジュースを買うだろうか?」といった視点で、購買の一連の流れ・プロセスを、実際の消費者になりきって、具体的に考えてみるのが有用でしょう。

「ランチの弁当をコンビニに買いに行ったとき、飲み物を買う必要性を感じると同時に、健康のことも気になって、野菜ジュースの棚の前に移動して、棚にある商品から〇〇の考えのもと商品を選択して…」、などとプロセスを細かく考えていけば、「棚に置いてある」という視点を思い付く可能性が高くなります。繰り返しますが、「プロセス」をとにかく「具体的」に「当事者になりきって」考えることが重要です。

企業視点で具体的に考えてみる

別の方法としては、企業視点で考えてみるのも有効です。当たり前ですが、メーカーは、マーケティング部や商品開発部だけではなく、営業部を所有しています。ここで、「営業担当者の視点で何か見落としがないか」を少し考え込んでみます。

営業担当者は、スーパーやコンビニに行って、何を営業するのでしょうか。営業担当者になったつもりで、具体的に想像(MECEのことは、いったん無視)しながら、思い付きを並べてみましょう。「弊社の商品を置いてください」「この価格で納品をお願いします」「販促・チラシの販促枠をください」といった営業内容であれば、営業の仕事を経験したことがなくても、比較的想像しやすいのではないでしょうか。

意識的に別の視点に変更して考えることで、見落としが少なくなる

このように、様々な視点から、「具体的」に「深く」考えることで、重要な要素を取りこぼす可能性を減らすことができます。一方、「1つの視点」のみをひたすら深く・細かく考えることは、思考力に自信のある方を除いて、あまりおすすめできない方法です。どのような視点であったとしても、「難点」や「見落としが発生しやすい要素」があるため、浅い思考結果に終わりがちです。

ケース面接は時間が短いため、ついつい焦ってしまい、いきなり特定の軸で深く考えてしまい、結果、狭い議論に終わってしまいがちですが、「別の視点がないか」といった広い視野・心の余裕を持つことも忘れないでください。

実際のケース問題に備えて

さて、今回のメインテーマである「要因特定」から離れて、実際のケース面接の場合を考えてみます。実際のケース面接であれば、要因特定だけでなく、当然「シェアを上げる」施策を求められるはずです。それについて、簡単に補足・言及しておきます。

良い商品を開発しても、そのまま売上UPにつながるわけではない

先ほどの話を、逆の順序で考えてみましょう。すでに棚には2位企業の商品は、少数の種類の商品しか置いていません。その状況下で、仮に顧客Needsにあった商品を開発・展開した場合どうなるのでしょうか。この時、2つの問題が発生します。

まず1つ目の問題は、「棚に置いてもらうのが難しい」ということです。単純に新しい商品が複数企業から発売されたとき、小売店からすると、2位企業の商品を採用するより、1位企業の新商品を採用する可能性が高いでしょう。たとえ消費者に支持されるポテンシャルのある商品を開発しても、それを消費者にトライアルしてもらわなければ、消費者に商品の良さが伝わりません。(サンプリング施策の実施などを除き、トライアルしてもらう上で、まず小売店の棚に置いてあることが必須です)

次に2つ目の問題は、消費者にトライアルしてもらえるか否かという点です。すでに2位企業の商品はあまり棚に置いておらず、ブランドの顧客認知も低いと思われます。仮に良い良品を2位企業が販売して棚に置いてもらったとしても、棚の前に立った消費者は、結局1位企業の商品(新商品)を選択してしまうかもしれません。(そして、売れ行きが悪いことを理由に、小売店はすぐに棚から2位企業の新商品を外してしまうでしょう)

付け加えるのであれば、仮に2位企業が良い商品を出したとしても、野菜ジュースの商品特性上、1位企業が簡単に模倣できる可能性が高いです(これは良い商品が、どのような意味で良い・革新的かによります)。そうなると、上記の2つの問題と相まって、2位企業がシェアを伸ばすのは難しいでしょう。

新商品施策を売上UPにつなげるために、複数の乗り越えるべき壁がある

以上のように、すでに業界2位である企業が、良い商品を出したとしても、シェアを伸ばすのは簡単ではありません。特に、今回のタイプのケース問題で打ち手を考えるとき、「消費者Needs」や「世の中のトレンド」に言及した“新商品”を提案される方が多いです。

しかし、飲料において「世の中のトレンドにあった商品を取り扱う」「トライアル消費を誘う」うえで、コンビニは最も有力・効率的なチャネルと思われますが、このコンビニこそが、棚の広さ・取扱商品種類数の制限が大きいチェーンであることに注意が必要です。野菜ジュースという、指向性が小さい商品であることなども考慮して、「商品力以外の施策」も考慮に入れて、セットで打ち手を提案しないと、「実際に売れる商品・施策」とはならないでしょう。
(※「商品力以外の施策」とは、営業活動、パッケージ・訴求方法、注力チャネル、広告など様々考えられます。どのような商品を提案するかによって、セットで言及すべき施策は変化するでしょう。本解説の趣旨からは外れるので、詳細は省略します。)

現状把握の上で、その要因や意味を理解しないと、良い打ち手は出ない

このように、すでに市場シェア2位であり、1位とのシェア差が大きいという現状を踏まえると、打ち手の方向性は限られます。1位企業であれば、良い商品を開発するだけで、市場規模UP・売上UP・シェアUPを達成できるかもしれませんが、2位以下の企業だと、そう簡単にはいきません。(2位企業であるというだけで、いろいろと制約が大きく・難易度が高くなります。)現状を把握したうえで、その要因や、現状が制限・導く意味を理解することが、打ち手を考えるうえで必須であることを忘れないでください。

補足: 「売れ行きが良い商品」の部分を細かく分解してみる

補足ですが、「売れ行きが良い」という部分について、若干大くくりすぎるので、もう少し細かく分解してみましょう。

仮に、棚に置いてもらったとしても、あまり売れなければ、売上は低いままです(しばらく経ったのち、棚から外されて売上が0になるでしょう)。その意味で、棚に置いたとき、商品の売れ行きが良いか否かは、当然ですが重要です。

この場合の詳細な要素は様々考えられます。そもそも、商品やブランドが、お店に来る前に、あらかじめ消費者に認知されていれば、選択される可能性が高くなります。これは、そもそも1位ブランドが優位であるという側面がありますが、2位企業であってもTVCMを多めに打つなどの方法で認知を上げることが可能でしょう。また、商品の特徴や訴求ポイントが、顧客Needsをとらえていれば、TVCMも心に残りやすくなりますし、仮に店頭で初めて見た商品であったとしても、目を引くため、やはり選択される可能性が高まるでしょう。また、当たり前ですが、意味もなく価格が高ければ、敬遠されるでしょうし、高い価格でも同数量売れれば、売上金額ベースのシェアは高くなります。

また、購入頻度やリピートについて言及される方もいました(これは、「商品の売れ行きが良い」と同系統の要素と考えても差し支えないと思われます)。しかし、野菜ジュース(カゴメの野菜生活)が、季節限定の味を頻繁に発売することで、置いてある商品の味を頻繁に交換している件について、一度背景を考えていただくといいかと思います(これも、現実の話を具体的に考えることの一例です)。
(本解説の趣旨と外れるので、いったんここで止めます。これ以上は、皆さん考えてみてください)

今回の解説のまとめ

今回の問題は「シェアの差の決定的要因の特定」でした。

まず、問題文をよく読んだうえで、「野菜ジュースという商品の特徴」、「問われているのはシェアである(売上ではない)」、「クライアントは、市場シェア2位である」ということを認識し、その意味を考えることが重要です。

そのうえで、「具体的に考える」ことの重要性を、複数個所で言及しました。
・現実の野菜ジュース市場(カゴメ、伊藤園)を考えてみる
・コンビニをイメージしながら、小売店側の考え方・アクションを考えてみる
・「消費者の購買プロセスの視点」や「企業の視点」に切り替えて考えてみる

上記のような思考を持つことで、様々なことを具体的に考えやすくなります。そうすると、深く考えることができるだけでなく、結果としてより広く考えることにもつながり、「商品の売れ行き」だけでなく、「商品が棚に置いてある」という見逃しがちな要素を想起しやすくなります。「商品が棚に置いてある」という側面は、業界2位企業にとって難しいポイントであり、売上・シェアUP施策の立案において、しっかり対策を考慮しなければなりません。
 
物事をしっかりと広く・深く考える上で、必要なことは様々ありますが、具体的に考えるというのは、1つの重要な方法です。若干不自然な感じに聞こえますが、物事を具体的に(細かく)考えることは、結果として大きな論点を落とさない(広く考える)という、一見逆側にあるように見える概念をしっかり補強することにつながります。

抽象的かつ“ふわっと”した「机上の空論」とならないよう、具体的な部分もしっかりと考え、必要な要素を落とさないよう、注意しましょう。


【バックナンバー】

マッキンゼー ゴールドマン

三菱商事 P&G アクセンチュア

グローバルプロフェッショナルをめざすなら外資就活


このページを閲覧した人が見ているページ

募集情報

{{r.GsRecruitingItemType.name}} {{r.GsRecruitingItem.target_year | targetYearLabel}} {{label.short_name}}

{{r.GsRecruitingItem.name}}

{{r.GsRecruitingItem.description}}

{{s.entry_end_date}} ({{s.entry_end_day_of_week}}) {{s.entry_end_time}} {{s.apply_method_label}}

{{s.name}}

日程: {{s.event_date}}

場所: {{' ' + s.place}}


外資就活ドットコムに会員登録すると、様々な就職支援サービスをご利用いただけます。現在、会員の約7割が東大・京大・慶応・早稲田・東工大・一橋大などの上位校の学生です

ログインする 新規会員登録
このページを閲覧した人が見ているコラム
コミュニティの新着質問