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現役コンサルが語る、問題文に隠された面接官の意図【プロによる実践講座:その6】

本コラムの趣旨

本来のケース面接では、現状整理から打ち手の提案など、様々な考えるべきプロセスや論点があり、複数の重要なポイントがあります。しかし、これらの重要なポイントを、いきなりフルセットで学習するのは、難易度が高いと思われます。

そのため、本コラムでは、それらのプロセスや論点から、一部分を切り出した問題を出題し、それに対する解説に絞ることで、学習内容を明確にした解説を行います。

さて、本コラムは、【プロによる実践講座:その5】を閲覧済みであることを前提に作成されています。先に「その5」のコラムをご確認の上、本コラムを読んでみてください。

解答の指針

この総評は、「模範解答を示す」ことではなく、あくまで「考え方を身につける」ことを目的としているため、解答の指針については、簡単なコメントのみを述べておきます。

今回の問題は、2種類の解答を求めていましたので、それぞれ分けて解説します。

「どの理由が正解の可能性が高いか」の解答へのレビュー

競合要因の理由の妥当性

まず、競合要因については、問題文最後の3つの補足情報より、ほぼ除外されています。(EC、CVSについては、後ほど、別途解説します)

自社要因の理由の妥当性

自社の価格や質が下がっていないことから、自社要因“のみ”を基軸とした解答は、問題文最後の3つの補足情報と矛盾します。(もし自社要因を述べるのであれば、市場部分とセットで述べることになるでしょう。例えば、市場Needsと自社商品のアンマッチなどが考えられますが、その詳細は後ろの市場のパートで説明します。)

市場要因の理由の妥当性: 人口動態の変化

「人口動態」系の解答は、何も問題ない(矛盾はない)と思います。

市場要因の理由の妥当性: パン市場全体の減少

「パン市場規模自体が減少」という解答ですが、現実は「コメからパンへ」食事が変わっているため、「現実と反する」解答ではあります。しかし、ケース面接上は「間違った解答とは言えない」でしょう。少なくとも、問題文や解答の流れの中で矛盾が生じているわけではないからです。また、「自炊や弁当などが増えている」といった解答も、背景に「パン市場規模自体が減少」という前提を置いていることが明らかなので、同じく「間違いとは言えない」でしょう。

(※注:厳密には、「米」が減って「それ以外」が増えているというのが正しいです。パンそのものは、長年拡大傾向にありましたが、近年は「微増」or「横ばい」といった解釈になると思われます。少なくとも、米からパンへ移行している程度は、感覚的に気が付きたいところではあります。また、面接官によっては、「パン市場規模自体が減少」という解答に対して、「それ本当?」と突っ込みを入れてくる方や、解答を否定した上で「別の解答はないか」という質問をしてくる方もいるでしょう)。

市場要因の理由の妥当性: 自社商品がNeedsにマッチしていない

最後に、「自社が、パン市場のNeeds変化に合わせられていない」といった解答について述べておきたいと思います(「リピートが減っている」といった系統の解答もここに入ります)。

この部分の解説は、かなり細かい(深く考える)話になりますので、文面では表現しづらく、少々読みづらいですが、ご容赦ください。

結論から言うと、この解答を理由とするのは、少し厳しいと思われます。もしこの解答を理由とするのであれば、「パン市場規模が減少」という、現実とは異なる「前提」を置いていることを、しっかりと「明示」している(面接官に伝わっている)必要があるでしょう。

まず、「パンの市場全体が伸長・横ばい」の中で、自社の売上が下がっており、それがNeedsとのアンマッチだとすれば、例えば「パンの中にも様々な種類・カテゴリがあり、自社は需要がない商品ばかりを販売している」といった状況になります。

さらに、「競合の質の改善による、自社からの顧客流出がない」といった趣旨の補足情報が問題文に書かれているため、同じ商圏のパンを販売している主体すべてが、自社と同様に、そろって需要のない商品ばかりを販売している状況と想定されます。

市場全体(商圏の外側)が伸びている、つまり市場(商圏の外側)の各主体が需要のある商品を販売している中で、同じ商圏の主体がそろって需要へのマッチングができていないことになりますが、これがかなりおかしな状況(厳しい仮定)であり、「正解の可能性が高い」と判断することは難しいことが想像できると思います。

別の考え方を挙げると、もし「今回の商圏は、一般的な市場・商圏とはパンの需要動向が大きく異なる」といった状況であれば別ですが、この「状況」自体がそもそも東京近郊の住宅地として特殊であり、問題文にそれを示唆する内容がなければ、やはり厳しい仮定だといえます(仮にこの考えに沿ったとしても、「商圏内のすべての主体が、その商圏の特殊さに対応できていない」という不自然さが、完全になくなるわけではありません)。

一方、もし「パン全体の市場が減少している」という現実とは異なる仮定を置くのであれば、上記のような不自然さはなくなります。再度繰り返しますが、「パン市場規模の減少」という事実と異なる前提を明示しなければ、面接官は「パン市場は伸長・横ばい」という前提で、皆さんの解答を解釈することになります。そうなると、上記の解説の通り、厳しい仮定を置いた解答に聞こえてしまうでしょう。

「理由の一覧」の解答へのレビュー

まず、上記の「正解の可能性が高い」理由を中心に、全体を洗い出せていればGoodです。特に「人口そのものの減少」「世代構成の変化(パン消費が多い世代が減った)」について言及できていた方は、思考を広く持てており、自信をもってよいと思います。(特に、「人口そのものの減少」を述べられる方が少ないです。)

補足: CVSとECという競合をどう考えるべきか

実際のケース面接において、CVSやECについて思いついたのであれば、意見として述べておくべきかと思いますが、おそらく面接官が求めている・想定している解答ではない可能性が高いと思われます。

問題文最後の3つの補足事項は、基本的に「競争環境に要因はない」という趣旨で書かれています。出題者の立場になって考えてみてほしいのですが、「他のパン屋にも、スーパーにも、CVSにも、飲食店にも、百官店にも、ECにも、客を取られて…」などとは、“くどい”のでわざわざ言わないでしょう。問題出題者は、何かしらの意図や想定解答を持ったうえで問題を出題していることが多いので、特に補足事項がついている場合は、「問題文全体のニュアンス」を感じ取ったうえで、重要な部分を深く考えながら解答を作成しないと、30分程度の短いケース面接を突破することは難しいです(このような考え方も、コミュニケーション能力、特にヒアリング能力の1つです)。

最後に念押しになりますが、思いついたのであれば、CVSとECについて、一応指摘(理由の1つとして記載)しておきましょう。もしかしたら、注意力を見るために、わざとCVSやECを抜いて出題している可能性もないわけではありません。

本来のケース問題では、現状分析をどう考えるべきか

ここからが、本コラムのメインテーマになります。
さて、今回の問題は、ケース問題を構成する様々な要素から、1パートを抽出して問題をしました。具体的には「現状分析」部分を抽出し、その中でも特に「客数減少」に集中しています。

そのため、完全なケース問題であった場合について考えてみます。まず、「完全な形式のケース問題」の場合の問題文を下記に記載します。

とある、東京近郊の住宅地でパン屋を経営している親戚がいます。この親戚から相談を受けました。

「ここ数年、少しずつ売上もお客さんの数も下がってきている。売上を増加させるためにどうすればよいか考えてほしい」

さて、売上を増加させるために、どのようなアドバイスが有効か、提案してください。

問題文が変化したことによる解答の変化

最初に出題した問題文との変化点は2つです。
・「売上や客数減少の理由の特定」から、「売上増加のための施策提案」へ変更
・「競合要因ではない」といった趣旨の3つの補足情報の削除

まず、「売上増加」の施策を提案する内容に変化しましたが、「売上や客数が下がっている原因」を特定する必要がなくなったわけではないことは、ご理解いただけると思います。

売上増加の施策を考える前段階(1パート)として、「客数減少の原因特定」を行うことになりますが、このとき、ついつい打ち手を考えることに意識が行くためか、この原因特定が弱くなりがちです。

すでにお話した通り、今回のパン屋の問題の場合、「パン屋の競合」や「パンの市場Needsと自店舗の提供商品」といった軸は、皆さん考えることができますが、パンと関係が薄く見える市場動向の中の「人口動態」部分の視点が抜けやすくなります。

現状分析の内容に応じて、打ち手の内容に変化・制限が加わる

さて、本コラムの最も重要な部分について、この最後の段落で解説します。現状把握・分析の広さ・深さ、問題文の前提の有無が、どのように打ち手を変化させるのでしょうか。

もし「人口動態」のうち「パンをよく消費する世代が減っている」という前提に立つのであれば、「市場の需要の満たし方」も「競合に対する対応・施策の打ち方」も変化します。

例えば、自社の商圏で増加している「パンをあまり食べない世代」に対して、「どのようなNeeds」を持っているか整理し、その中から「どのNeedsを満たすべきか」を特定し、それにあたって「どの競合を意識してポジションを取るべきか」などを考えるでしょう。(元々パンの消費が多く、人数が減っている世代をターゲットに、施策を考える可能性は低いです。)

このように、現状の分析・把握の深さや広さは、その後の打ち手の方向性を定義してしまいます。今回の場合、「“少しずつ”客数が下がっている」という前提(構造的変化による売上減少)が提示されていることは、現状把握の内容に対して大きな制限をかけますので、当然その「現状を打破する打ち手」も、方向性が制限されるでしょう。(また、制限がかかることによって、打ち手がよりターゲットを絞った、具体的・洗練されたものになるとも解釈できます。減っている世代をメインターゲットとした打ち手が、良い解答である可能性は低いです。)

ケース面接に何かしらの「前提」や「補足情報」が加わっている場合、その「前提」「補足情報」に合わせた解答(最低でも矛盾しない解答)を述べることが必須です。今回のように、特に何かしらの前提や補足情報が加えられている場合は、そこに何かしらの面接官の意図があることを想定し、たとえ「売上増加」のケース問題であったとしても、それらの前提や補足情報の「現状分析」をおろそかにしないよう、気を付けましょう。


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