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前回のコラムでは、「ディズニーランドの来場客数」は、因数分解のアプローチの中に、十分に精度が高いといえるものが見当たらず、因数分解式の選択が難しいということについて、説明しました。

では、どうすればよいのでしょうか。今回は、対応策から、説明していきます。

◆「フェルミ推定の教科書」バックナンバー◆

【原則編】:他の学生と差がつくポイントとは?
 ➢Step1 目的数値を因数分解【原則編 1/7】
 ➢Step2 振れ幅の大きい項目を細かく分解【原則編 2/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認【原則編 3/7】
 ➢Step3 全体像に過不足がないか確認(続き)【原則編 4/7】
 ➢Step4 各項目の具体的な数値を設定 & Step5 数値の設定理由を説明【原則編 5/7】
 ➢Step6 数値の計算を実施【原則編 6/7】
 ➢Step7 計算結果を総括【原則編 7/7】

【テクニック編】:数式分解の適切なアプローチとは?
 ➢例題1 カフェ市場の売上【テクニック編 1/6】
 ➢例題2 とあるカフェ1店舗の売上【テクニック編 2/6】
 ➢例題3 カフェへの来客数 & 例題4 存在するカフェの店舗数【テクニック編 3/6】
 ➢例題5 都のカフェ市場の売上 & 例題6 スタバ全店の売上 & 例題7 デカフェコーヒーの売上【テクニック編 4/6】
 ➢例題8 訪日外国人によるカフェ市場の売上【テクニック編 5/6】
 ➢例題9 ニューヨーク州におけるカフェ市場の売上【テクニック編 6/6】

【一歩差がつく回答編】
 ➢缶ビールの市場規模は?(1/2)【一歩差がつく回答編1】
 ➢缶ビールの市場規模は?(2/2)【一歩差がつく回答編2】
 ➢ディズニーランドの客数は?(1/3)【一歩差がつく回答編3】
 ➢ディズニーランドの客数は?(2/3)【一歩差がつく回答編4】
 ➢ディズニーランドの客数は?(3/3)【一歩差がつく回答編5】

 

対応策: 因数分解の方法自体を、比較検討する

では、対応方法について考えてみます。

以下2つのパターンを提示しますが、このパターンのどちらを選択するのかを分ける違いは
➢ 他に、「これでOK」と呼べそうな、因数分解の方法が存在するか
という、直前の「ポイント」(前回コラム)で述べた視点になります。

パターン1: 他に良い因数分解式がある場合

この場合の対応は簡単です。その「より良い因数分解式」にて、計算式を提示すればよいだけです。

イマイチな因数分解でアプローチしてしまったことを、「面接官に指摘されてしまった場合」「自分自身で気が付いた場合」など、さまざまあると思いますが、いずれにしても、他の因数分解式を考えて、最も良いものを提案しましょう。

◆補足: 面接の途中で、因数分解式を変更すべきか?

「自分自身で気が付いた場合」について、少し補足しておきます。

解いている途中に、「この因数分解はイマイチだ」と感じることもあります。例えば、「カフェ一店舗の売上は」というテーマに対して、「需要ベース」で商圏を基に解いたような場合です。このような場合、問題は、「このままの方法でやり切る」のか「別の因数分解式に変えてやり直す」のか、迷うことになると思います。

私の個人的な意見としては、程度の問題はあるものの、別の因数分解式にて、やり直したほうが良い場合が多いと思います。

まず、1つ目のポイントは、「面接官は気が付いている」ということです。当たり前ですが、面接官は出題者なので、さまざまなパターンを、事前に比較検討しているでしょう。適当にごまかそうとしても、面接官にはバレバレであると想定されます。

そのうえで、2つ目のポイントは、「加点方式」と考えることです。「イマイチなアプローチで、このまま続ける」のと「より良いアプローチに変えるが、時間は少ない」場合と、どちらが多くの加点が取れそうか、判断しましょう。

特に、最初のアプローチがダメな場合、20分の面接でも、10分経過くらいまでなら、これまで考えた内容をすべて破棄して、よりよいやり方に直したほうが、加点を多く稼ぐことができる場合も多いと思われます。

また、最悪、面接のラストに気が付いた場合も、「今回は、商圏で考えましたが、改めて考えると、日本人口の総需要から考えたほうが良かったかと思います」と“正直”に述べるなどして、少しでも加点を稼ぎましょう。

パターン2: どの因数分解も、イマイチである場合

さて、問題は、このパターン2の時です。

次回のコラムにて、因数分解式のパターンを見ていく中で分かると思いますが、今回の場合、どのような因数分解式でも、「これでOK」と呼べそうなものはありません。このような場合の、「論理的な回答」とは何でしょうか。

結論としては、少なくとも、「他の選択肢と比較する」ということです。

 

◆比較検討という“プロセス自体”を示すことが、聞き手に対して論理的

ここで、聞き手の立場に立った場合、受験者からどのように説明された場合に、最も論理的と感じられるか、考えてみましょう。

仮に、提示された「アトラクションの利用人数」による計算方法が、精緻に見えていれば、特に何も気にならないでしょう。「そのまま続けて」となることも多いはずです。

しかし、イマイチな精度に感じられた場合、聞き手はどう感じるでしょうか。おそらく、「そもそも、他にもっと良い計算方法はないのか」ということが気になるでしょう。

パターン1のように、他にもっと良い計算方法があれば、当然ですが、そちらを選択すべきという結論になるでしょう。

一方、今回のパターン2のように、他のさまざまな分解方法と比較して、「どのアプローチもイマイチ」「相対的に見て、このアトラクションの因数分解が、マシな方法の1つ」である場合は、「アトラクション」による因数分解で問題ないという結論になるでしょう。

ここで、「他にもっと良い方法が、存在するのか、存在しないのか」といった、「結果」は特に関係ないということに注意してください。「結果」がどうなるかはさておいて、いずれにしても、「比較検討」という「プロセス」を見せてもらわないと、聞き手にとって、「論理的な選択」に見えないというのがポイントであるからです。

以上のように、聞き手にとって、「このイマイチな因数分解」が、「相対的に見て最適な選択肢なのか」といったことは、比較検討を見せてもらうまで、よく分からないことになります。そのため、「因数分解式のパターン自体を、比較検討・議論する」という“プロセス”を経るということが重要です。

どのような因数分解のアプローチがあるのか

さて、対応策の2パターンを示したところで、今回の「ディズニーランドの客数」のフェルミ推定に戻ります。

原則編を思い出していただきたいのですが、「因数分解式」を決めるには、「需要」と「供給」の両面を考えるのが、手っ取り早いです。

では、今回の「ディズニーランドの来場客数」における、需要と供給のアプローチとは何でしょうか。

因数分解式: 供給をベースとしたアプローチ

前回の「よくあるイマイチな回答例」で提示した「アトラクション」を基準とした因数分解は、供給ベースの計算といえるでしょう。

◆供給のボトルネックはどこか

原則編でも述べた通り、供給ベースで計算式を立てる場合、供給の「ボトルネック」をベースとするのが基本です。

今回の「アトラクションの客数」と似た概念だと「パークの敷地面積&人口密度」をするのもありでしょう。

それ以外だと
➢ 駅の乗降客数
➢ ゲートの数と通過速度
といったあたりを起点とするのもありかもしれません。

また、「アトラクションの客数」を基準とした方法を、「ボトルネック」をベースとして、少しだけ修正しておくと、単に適当なタイミングの客数を計算するのではなく、「最も混んでいる時間帯」をベースとすべきでしょう。その方が、ボトルネック感が強くなります。

◆ポイント: 一人のユーザーとして、“具体的”な利用の流れをイメージする

上記の様々な供給のボトルネックは、「ディズニーランドを利用する」という、一回のオケージョンの流れを具体的にイメージすることで、大半は洗い出せると思います。ディズニーランドに行った経験があればそれで良いですし、なければ、別のテーマパークで類推してもよいでしょう。

これまでにも述べましたが、しっかり「具体的」にイメージし、机上の空論にならないように注意しましょう。

因数分解式: 需要をベースとしたアプローチ

さて、今のところ、需要ベースの洗い出し方は、何も言及がありませんでした。今回のケースにおける、需要ベースとは何でしょうか。

◆日本人口全体から見た、利用率や利用頻度

「日本人口のうち、どれくらいがディズニーランドに行くのか」という視点で決めるのが、一番シンプルでしょう。

簡単に書けば、「人口」×「利用率」×「来場頻度」といった計算式です。

※利用率は、そもそもディズニーランドに、「まったく興味がない」「一生に一度も来場しない」人を省くために入れていると考えてください。

 

需要ベースの計算の「利用頻度」は、どのような要因で変化するか

さて、供給ベースの因数分解における数値の設定は、前回議論したので、需要ベースの因数分解の数値設定も、ここで議論しておきます。

「人口」は、日本人口の1.2億人で、大きな問題はないでしょう。

しかし、「利用率」や「来場頻度」をどう計算するかは、人によって大きく異なり、議論になりそうです。

それを踏まえて、どのように場合分けすべきでしょうか。以下、主要だと思われるもの2種類を、簡単に説明しておきましょう。

来場頻度の変動要因1: テーマパークへの嗜好度

まず、そもそも、「テーマパーク」が好きか否かで大きく変わるはずです。

「ディズニーランド」や「ユニバーサルスタジオ」のような、「テーマパーク」が好きな人の場合、年に何度も来場することも少なくありません。

一方、それほど興味のない人の場合、「一生に一度行けば十分」 と考え、文字通り一生に一度か、せいぜい「若い時にカップルや夫婦で1回」「子供と一緒に1回」といった形で、一生に数える程度しか来場しないでしょう。

このように、そもそもの「テーマパークへの嗜好度」のようなものは、ある程度分けて考えた方がよさそうです

◆補足: 商材の特徴を、しっかり理解すること

余談ですが、「テーマパークに、あまり興味がない人」でも、今回の場合、計算不要とするのではなく、しっかりと計算に入れるべきでしょう。

一人当たりの来場客数への寄与度は、もちろん「テーマパーク好き」のほうが高いですが、人数規模は、「テーマパーク好きでない」人のほうが多いでしょう。

ディズニーランドレベルの、テーマパーク業界随一の施設の場合、東京や千葉から遠い、地方の人でも、一生に一回くらいは行った経験がある人も多いと考えられます。そうなると、人数規模が無視できません。いきなり、利用頻度が低いからといって、「数値が小さい」として、無視してしまうのは危険です。

このあたりは、地方のテーマパーク・遊園地とは大きく異なるところです。「ディズニーランド」という商材の特徴をしっかり理解しておきたいところです。

※余談ですが、ディズニーランドは、「テーマパーク業態の一つ」というよりも、「ディズニーランドという一つの業態」として解釈したほうが良いかもしれません。

来場頻度の変動要因2: 居住エリア

もう一つの重要な軸に、「居住エリア」があります。やはり、「東京や千葉近辺に住んでいる」「西日本などに住んでいる」かによって、大きく来店頻度が異なるはずです。

仮に、ヘビーユーザーの場合を考えてみましょう。東京に住んでいれば、土日に日帰りで気軽にディズニーランドへ行けます。1年に何回も来場することも難しくありません。金銭的にも、最低限必要なのは、入場チケットと、往復の電車代金くらいであり、1万円を切るでしょう。

しかし、例えば九州に住んでいれば、1年に何回も来場するのはかなり難しいです。まず、来場のために、飛行機を使うことになるでしょう。また、夜のパレードを見ようと思うと、夜遅くなるため、日帰りは難しくなるでしょう。宿泊が必要になると、時間もかかります。

さらに、費用として、交通費、宿泊費など、さまざまなものが追加されるため、万単位の費用が掛かります。時間的・金銭的に、1年に何回も来るのは厳しいと思われます。

以上のように、居住エリアによって、来場頻度は大きく異なると思われます。

 

◆チェック: 「居住エリア」の切り口に気が付くことができたか

さて、この「居住エリア」の切り口は、一歩差がつく回答編の【1】【2】の缶ビールでも出てきました。缶ビールの場合、車が必要な「郊外」か「都市部」かなので、細かい分類は異なりますが、かなり似た概念ともいえるでしょう。

すでに、これまでのコラムを読んでいる人は、今回、この「居住エリア」の切り口に気が付くことができたでしょうか。

見落としてしまった人は、学習した内容の一般化ができていない可能性が高いです。学習した内容を復習し、「覚える」のではなく、しっかりと「理解する」ように気を付けてください。

結論: 来場客数は、「居住エリア」×「テーマパークへの嗜好度」が2軸目の候補

以上のことを踏まえると、「利用率」や「来場頻度」に対して、どのように考えるべきでしょうか。

やはり、居住エリアの切り口は、必要そうです。また、テーマパークやディズニーランドそのものへの嗜好度も、何かしらの方法で、考慮する必要があるでしょう。

この2つの切り口を基に、2軸目を設定して、因数分解式とのマトリックスを解くのが良いと思われます。


さて、今回のコラムでは、「ディズニーランドの客数」を計算するときの、「因数分解」の方法について、「需要」「供給」などの様々なパターンを解説しました。

また、「因数分解の方法が、どれもイマイチに感じられる場合、どう対応すべきか」について、一般論としてのルールについても、解説しました。

次回(近日公開予定)は、今回の解説を踏まえつつ、「ディズニーランドの客数」のフェルミ推定において、因数分解式の選択を中心に、どのように面接中に対応すべきと思われるかについて、解説します。


◆関連記事◆

【まず初めに読んでおきたい】
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