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こんにちは、トイアンナです。
新型コロナウイルスの影響で、就職活動が全体的に早まっています。そのため、例年であれば秋冬インターンのころから動き出す皆さんも、この記事をご覧になっているのではないでしょうか。
実は、特にマーケティングの職種別採用は、学部3年生、もしくは修士1年生の夏ごろが採用のピーク となっています。広告代理店業界もこのころにインターン経由で内定に近づける人が出始めます。
そこで、広告代理店およびマーケティング職種へ興味を持った皆さんへ向け、前編では主に広告代理店業界についてお話しし、後編ではメーカーのマーケティング職について解説します。
いずれかの業界へ進みたい方にはぜひ前編・後編ともにご覧いただき、業界の違いや、それぞれの魅力を知っていただければと思います。
広告代理店の業界地図
まずはこの図をご覧ください。
こちらは、広告代理店の業界地図です。広告代理店業界は市場規模が大きく、そのためトップ企業を並べるだけで何十社にも及びます。
大手企業でこれだけあるのですから、「いずれかの広告代理店へ行きたい」という気持ちでエントリーするならば、どこかに内定できる可能性は高いわけです。
しかし、広告代理店業界を志望していると言いながら、 電通と博報堂だけを受ける学生が後を絶ちません。 まずは業界の全体像を見て、ぜひ複数の会社にエントリーしていきましょう。
(1)総合広告代理店:スケールの大きな案件を扱える/「労働時間」は長め
ここからはさらに詳しく、広告代理店業界を分類していきます。
まず、電通や博報堂を筆頭に知られているのが、「総合広告代理店」です。総合広告代理店は、ありとあらゆる広告出稿を担当します。
例えば私は以前、電通さんとお取引をしていました。その際はCM 制作・屋外広告制作・雑誌掲載・プレスリリースの製作・公式サイト制作・バナー広告出稿など、この世に露出するほとんどの制作物を依頼していました。
依頼主からすると、「とにかくうちの商品を売ってくれ」という大雑把な依頼でも、最適な広告を提案してくれるメリットがあります。 また、総合広告代理店ならばCM 制作で使った芸能人を公式サイトに入れ込みたいなど、広告のジャンルをまたいだ制作物も、一括でお願いできます。
総合広告代理店に就職するメリットは、 大きな予算でスケールの大きいキャンペーンを扱える点。 総額数十億~数百億円の巨大キャンペーンを世に出していくやりがいは、計り知れないことでしょう。
対して、総合広告代理店へ就職するデメリットは、「労働時間」の長さです。 総合広告代理店では、1社のクライアントから複数メディアへ出稿する大型企画にも携わることが少なくありません。また、「この人が全広告の担当者」と認識されやすく、クライアント企業との飲み会などにも誘われがち。その結果、1人あたりの「労働時間」はどうしても長くなりがちです。
また、「総合」の名の通り、社員はプロジェクト全体のマネジメント業務が増え、特定分野の専門性が比較的磨かれにくくなります。新卒の大半が配属される営業部門は、クライアント企業の依頼を聞いて自社で調整可能な範囲になるよう交渉し、それを専門性が高い他部署や他社へ流す業務が多くなります。
筆者はプロジェクトマネジメントも立派な専門性だと考えていますが、より「手に職」となる専門性を求めて、専門代理店へ転職する方もいらっしゃいます。
(2)専門広告代理店:ある分野の専門家になれる/自分で手を動かす仕事が多め
専門広告代理店はその名の通り、特定の分野に長けた広告代理店です。
最も有名なのは Web 広告に強みを持つサイバーエージェントでしょう。今年は、サイバーエージェントが電通の時価総額を超えたというニュースが話題になりました(参考記事:サイバーが電通を逆転 株式時価総額、ゲーム好調で/日本経済新聞)。 ある分野の専門家として、特化型のプランニングができるのは専門広告代理店へ就職する大きなメリット です。
一方、就職先が専門性の高い分野であるほど、 実際に手を動かす仕事が増える傾向にあり、プロジェクト納品前は激務となりがちです。 メリット・デメリットは総合広告代理店と表裏一体ですが、多方面へ露出する広告のマネジメントを経験したいなら、総合広告代理店へ就職したほうがいいでしょう。
ここからは筆者の意見ですが、専門広告代理店でも大規模なプロモーションを扱えば、全体のプロジェクト管理は否応なく経験することとなります。ですから、「総合か専門か」と分断するのではなく、自分が楽しく働けそうな社風の企業を、垣根を超えてエントリーするようお勧めしたいところです。
(3)ハウスエージェンシー系:労働時間短め/給料やや低め/コンサバになりがち
そして広告代理店第3の柱が、ハウスエージェンシーと呼ばれるグループです。ハウスエージェンシーとは特定企業の子会社として主に親会社の広告を制作していく代理店のこと。
代理店ごとに親会社との関係性、すなわち独立性は異なりますが、子会社が広告制作を請け負うことで、依頼主となる親会社は莫大な仲介手数料を削減できます。つまり、 広告制作そのものにかけられるお金の比率も高まるのです。 これは、広告代理店側にとってもメリットといえるでしょう。
一方、 外部の企業だからこそ提案できる、大胆なアイデアは通りづらい傾向にあるとされ、全体的にコンサバな広告を作ることになりがち と、関係者から聞いています。
ハウスエージェンシーは、年収が親会社の規定に依存するため、独立している広告代理店に比べてやや低い傾向にあります。他方、 労働時間も鉄道やメーカーといった親会社の文化を受け継ぐため、広告代理店でありながらワークライフバランスが取りやすいともっぱらの評判です。
(4)PR会社:さまざまな人脈を形成できる/無茶ぶりへの対応が特に多め
最後に、広告代理店の近接業界であるPR 会社を紹介します。 PR と広告は似て非なるもの。 お金を払って自社の宣伝を露出する広告と違い、 PR はお金を払うことなくメディアに取り上げてもらう施策を考えるお仕事です。
企業によっては自社内に大掛かりな PR 部門を持ち、全PR事業を完結させることもあります。
しかし、新作発表会など大規模イベントになると、自社だけでは運営管理できないもの。そこで、イベントのプログラム策定、プレスリリースの製作から招待するメディア・芸能人の選定/管理、イベント運営までを、外部のPR会社へ一括で依頼することも少なくありません。
PR会社へ就職するためには、メディア、芸能人、クライアントと、多くの人脈を形成できる人当たりの良さや、信頼される人間力が求められます。 利害関係者も多いため、 多方の無茶ぶりを聞き、針の穴に糸を通すような調整力も必要 です。
就職は簡単な道ではありませんが、クライアントと自社の間のコミュニケーションだけでなく、多方につながりを持ちたい人にとっては絶好の業界となるでしょう。
広告代理店へ就職するメリット:「信頼獲得のプロ」になれる
最後に、広告代理店へ就職するメリットを、クライアントであるメーカーのマーケティング職と比較しながら解説します。
広告代理店へ就職する最大のメリットは、多数のクライアントを相手にすることで、幅広い経験を積めることです。
依頼主であるメーカーのマーケターは社内調整が主な仕事となり、社外の方との接点は限られがち。対して 広告代理店の人間が持つ、利害関係者の無茶ぶりを調整するタフな精神力と交渉力は、どの業界に転職しても役立つ、プロジェクトマネジメント・スキルとなることでしょう。
広告代理店出身者は、コンサルティングファームやマーケター出身者に比べ、泥臭い根回しも得意です。この世には、正論や実力で通る企画ばかりがあるわけではありません。長い付き合いがある方や信頼できる人、つらい時寄り添ってくれた担当者を選ぶクライアントも少なくない中、 広告代理店出身者は「信頼を獲得するプロフェッショナル」になれるはず。
AIやデジタル化によって業務が効率化されるからと、たまに「広告代理店・斜陽論」が出ますが、筆者はそう思いません。多数の利害関係者を抱える案件で、大きなプロモーションを実現する。そのプロセスには必ず、全関係者の信頼を得る代理店パーソンが必要となるでしょう。
広告代理店への最速内定ルートは夏インターン
広告代理店への最速内定ルートは、夏インターン経由です。毎年、名だたる広告代理店が夏インターンを開催しています。
内定直結、あるいは選考優遇ルートが開けることも多く、さらに広告業界への理解、知見が深まるため 「その会社を志望していなくても、広告代理店業界へ行きたいなら必ず参加しておきたい」インターンです。
この他の会社は上記の総合代理店トップ3社の発表するスケジュールに続く形で、インターンを開催する傾向にあります。
何が何でも広告代理店に入りたいのでしたら、業界地図にある企業の採用ページをすべてブックマークし、週に1度は更新がないかチェックして回るくらいの気合いを入れましょう。
広告代理店は志望度が高い学生が集まります。インターンといえど気を抜かず、外資就活ドットコムやOpenWorkの会員ページで会社ごとの強み・弱み・社風の違いを事前に調べ、志望動機を語れるようにしてください。最低でも各社が作った作品(広告)を見比べて、特徴をつかんでおきましょう。
また、 「好奇心の強さ」が代理店全般では重視されます。 代理店は他業界と同じ根性や外向性だけでは内定し得ないことから、周りが「なにそれ、すごいね。なんでそんな活動やってんの?」と言うような、斬新な経験を積んでおきましょう。
ここまでは広告代理店を中心に扱いましたが、後編では、メーカーのマーケティング職を解説していきます。
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