会員登録すると
このコラムを保存して、いつでも見返せます
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で大荒れとなった2021卒の就活。そこで戦々恐々としているのは、大学3年生/院1年生の3月から就活をスタートする「遅めのスタート」を切った方々でしょう。
もとい、この時期に始めた方はご自身が遅いスタートを切ったことすら無自覚で、泡を食っているかもしれません。残念ですが、あなたはいわゆる「優秀層」よりもかなり遅くに就活を始めています。 易しくはありませんが、本稿では「すでに選考が終わっている業界も多数ある」という現実を直視してから、戦い方をお伝えします。
まずは現実を認めよう。戦い方を考えるのはその後だ
業界にもよりますが、すでに内定を出し終えてエントリーを締め切るなどしているところがあります。
たとえばジョイ、アリエールなどの商品で知られるP&Gジャパンは、2022卒の採用を始めています。21卒のエントリーも受け付けていますが、例年の傾向から考えると 一部の内定辞退者が出た部門だけ補欠枠を募集している状態 と思われます。
また、同様に採用数が少ない一部の外資系コンサルティングファームや、外資系投資銀行は夏休みごろに本選考を実施。3年生の3月から4年生の9月にかけては海外留学から帰国した学生や、内定辞退者の枠を埋めるための追加選考のみを実施しています。さらに、総合商社や一部の大手メーカーは非公開の内々定を3年生の2月ごろまでに出しています。
このほか日系投資銀行、重工、インフラ、大手保険会社などもリクルーター面談という名目で、高学歴の学生だけに絞った早期選考を実施するのが一般的です。
したがって、建前だけは選考を実施していても、すでに内定者の枠は大方埋まっており「戦う前から試合が終わっている」業界は少なくありません。
行きたい業界の選考が終わっていたら「ダブル就活」をしよう
もし、これらの業界に「あなたの第一志望」が入っていた場合……おそらく、あなたがこのまま本選考に応募しても通る確率は低いでしょう。
そこで私が例年おすすめするのは、 通常通り21卒の就活をしつつ、22卒の選考に「22卒予定」として応募する「ダブル就活」です。
たとえば本来21卒のあなたが、日系投資銀行に行きたいとしましょう。そのためには22卒向け夏インターンへの応募が必要となります。そこで今から筆記試験対策や通りやすいエピソード作り、エントリーシート(ES)対策を始めます。あなたのライバルとなるのは、今(2020年3月時点)の2年生。今から就活を始める22卒は多くないですから、あなたは「超早期」にスタートを切ることになります。そして、第一志望の日系投資銀行に内定する確率を上げられるのです。
まとめると、
2) 第一志望の業界へ22卒として内定したら、21卒として内定した業界は辞退して就職留年する。そして1年間は好きに過ごし、22年に就職する
3) 22卒で第一志望に内定できない可能性も考えて、21卒の本選考でも真剣に就活をして内定を得ておく。22卒で受けた第一志望の選考で惨敗したらそのまま21年に就職する
という流れになります。
これなら、第一志望の業界を諦めることなく就活を進められます。また、2022卒のトップ層に出会えるのでその就活仲間たちから刺激を受けることができ、21卒の就活でも内定できる確率が高まることでしょう。
この場合、21卒として内定した業界へは10月1日の内定式後に辞退する可能性が出てきます。内定式後も辞退は可能ですが、誠実な連絡は心がけておきましょう(参考記事:直筆の手紙で内定辞退はかえって危ない!?【押さえておきたい辞退のポイントと法律知識】)。
ダブル就活のリスクは採用減と内定取り消し
ただし、安易な就職留年はおすすめしません。 特に今年は新型コロナ、東京オリンピック後の不景気予測など就活にも暗雲の兆しがあります。
企業は不景気になるとまず新卒採用数を絞りますから、「22卒で総合商社に行くつもりが、商社の募集枠が21卒の10分の1になってしまった」「出版社に行きたくて22卒で応募しようと思っていたら、そもそも募集がゼロになった」など、思わぬリスクが待ち構えています。
さらに、「内定取り消し」のリスクもあります。今から10年余り前、就活生はリーマン・ブラザーズという会社の経営破綻から生まれた不景気で突然の採用減に襲われました。
採用減だけならまだしも、内定がすでに出ていた学生の内定取り消しまで発生しました。ある外資系企業では、一度採用してから不採算部門に配属させ、就職後1カ月しか経ていない5月に解雇したケースまであります。
訴訟を起こせば企業都合による一方的な内定取り消しを拒否できる可能性もありますが、いざその立場になったとき、手間と初期コストなどを理由に泣き寝入りしてしまうかもしれません。これらのリスクを踏まえたうえで、就職留年は慎重に選択してください。
とはいえ、いきなり就職留年を選択せず「21卒と22卒の就活を同時並行する」ことで、リスクを最小限にできるのがダブル就活のメリットです。今から焦る方こそ、ぜひ22卒向けのキックオフイベントなどへ参加してみましょう。
ハンディを乗り越えるためにすべきこと4つ
さて、 21卒の就活も同時に進めるうえで必要なのが、「すでに選考を経験した早期就活生に負けない」こと です。就活は経験を積めば積むほど面接やESの通過率も上がり、内定を取りやすくなります。逆にいえば、未経験のあなたは経験者と比べてやや不利だと認めざるをえません。
1. エントリー数を増やす
まず、エントリー社数を増やしましょう。特に、 志望度が低くてもすぐ選考が始まる企業を先に受けます。そうすることで、場数を一気に増やしてハンディを減らす ことが可能です。
早期選考組は、受ける会社を厳選する傾向にあります。周囲の一般的な就活生のエントリー数 +10社程度受ければ、同じ立ち位置へ追いつくこともできるのです。 ディスコの調査によると、19卒の平均エントリー数は26.2社。これに10社追加して、36社以上のエントリーを想定しましょう。
2. 早期内定した同級生のメソッドを聞く
3年生/院1年生で内定した同級生は、文系なら単位も取り終えて悠々自適な1年を過ごすはず。そこでぜひ話を聞いて、選考対策を教えてもらいましょう。自分の成果を褒めてくれる同級生になら、人にもよりますが就活のアドバイスを喜んでしてくれるでしょう。
3. 外資就活のメソッドを吸収する
外資就活を経験した人は、得てして日系の選考でも有利となります。その秘密は彼らがロジカル・シンキングの力を鍛えているから。私がオススメするのは冊子が薄くて網羅性も高い、東大ケーススタディ研究会の『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』です。
東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」
東大ケーススタディ研究会
東洋経済新報社
(Amazonで詳細を見る)
ケース問題とは、ロジカル・シンキングの力を測る面接手法のこと。ケース問題を特訓するだけでも、面接で相手に伝わりやすく話すロジカル・シンキングを身につけられます。
4. 志望度の高さを見せつける
早期に就活をする学生でもあなたに勝てないのは「志望度の見せ方」です。
たとえばこんな話があります。電通のグループワークには、当日までに各自が事前準備できるものがあります。そのワークのお題として「ルーミート(カンガルー肉)を日本で普及させる方法」が出されました。そこで内定した学生は、事前準備として唯一ルーミートを実際に食べてきた方でした。
「机上の空論」を当日披露することは、ロジカル・シンキングを鍛えている早期就活生なら可能です。しかし、「実際に食べる」「志望業界の商品がある店舗を回り競合との差をリストアップして売り上げ向上につながる提案を出す」など、足で稼ぐやり方は本当に志望度が高くないとできません。志望度の差を見せつけてください。
6月に泣きながらキャリアセンターに駆け込むことにならないように
冒頭で述べた通り、あなたにはハンディがあります。しかしそのハンディは、乗り越えることができるものです。 本当に行きたい企業がある方は特に、ハンディを密度の高い・正しい方向へ向かう努力で乗り越えてください。
そして、 一番危ないのはここまでご覧になってから「行きたい会社、特に決まってないんだけどな」「そもそも、自分は何がしたいんだろう」と考えた方です。 あなたは、6月に泣きながらキャリアセンターに駆け込む可能性が最も高いタイプです。
今すぐ自己分析、企業分析の講座へ参加したり先輩に相談したりして、自分が就活でどうふるまいたいかを決めましょう。今、やりたいことが決まっていなくても構いません。しかし、最低でも“就活の上ではどうやりたいことを見せるか”を決める必要はあるのです。あなたの就活、応援しています。
会員登録すると
このコラムを保存して
いつでも見返せます
マッキンゼー ゴールドマン 三菱商事
P&G アクセンチュア
内定攻略 会員限定公開
トップ企業内定者が利用する外資就活ドットコム
この記事を友達に教える