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こんにちは、トイアンナです。
「マーケターになりたい」と思った就活生が、新卒採用で受ける企業は似たり寄ったり。それもそのはず、ほとんどの企業は部門別採用を実施していないからです。
仮に「総合職」でまとめて採用するメーカーへ就職し、最初からマーケティング部門を希望しても、「まずは営業」「地方勤務を経てから」と、社内で何年も過ごしてからの部署移動が一般的。となれば最初からマーケティング部門で募集する企業を受けるのが最も手っ取り早いキャリアプランとなります。
そこで今回は日本で例年マーケティング部門の新卒採用を行っている7社の違いを、出身者からのヒアリングもたっぷり入れてお話させていただきます。(内容は、必ずしも最新の状況が反映できているわけではありません。また、これまでの経験に基づく個人的な見解が含まれることもお断りしておきます)
・プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)
・ユニリーバ・ジャパン
・日本ロレアル
・ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)グループ
・資生堂
・ソニー
・花王
外資系4社はガツガツ系消費財と、女性社会のコスメで二分
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)
P&Gのマーケティング部門はマーケターを志す上で花形とされています。筆者はここ出身なのであまり持ち上げるのも恥ずかしいのですが、マーケティング部門へ行きたい人なら「とりあえずエントリー」しておく企業であることは間違いないでしょう。
他社との大きな差は、「リーダーシップ」に重きを置くこと。 P&Gのマーケティング部門は高い目標を自ら掲げ、他の部門の意見を取りまとめ、プロジェクトを前へ進める能力が求められます。そのため 純粋なマーケティング能力だけではやっていけない のです。
選考でもリーダーシップを発揮した経験の有無が重視されます。したがって 「プロジェクトの進捗よりも、消費者のヒアリングをすることが幸せ」というタイプは、マーケティング部門ではなく同社のCMK(消費者・市場戦略本部)を目指したほうがよい でしょう。
内定者は全体的に外交的でエネルギッシュな戦略家、例えるなら「パリピの諸葛孔明」が多い印象です。
ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバへはP&Gから中途で入る社員も多く、 社風はP&Gにやや似ている印象です。しかしユニリーバのほうが温和な性格の方が集まる 傾向にあるといえそうです。
また、ユニリーバのほうがP&Gより少数精鋭型。マーケティング部門で入社しても他の部門の案件へもチャレンジできるのが特徴です。「マーケが第一志望だけれど、ファイナンスも興味がある」といった方なら、ユニリーバのキャリアパスが性に合うかと思います。
内定者の共通点は「人当たりのよい戦略家」であること。笑顔を絶やさず提案をするタイプが多いのですが、内容は的確で刺さりまくり・・・・・・といったスタイルの議論を好みます。P&Gとユニリーバは、ちょうど電通と博報堂のように異なるカラーを持っているイメージです。
日本ロレアル
日本ロレアルは採用時点で「右脳と左脳のバランスを持ち合わせた人材」を求めています。例えるなら、P&Gのマーケターが「マスカラを売るなら睫毛が最も長く見える角度で撮影をすべきだ。その角度は右斜め上45°※」といった数的根拠に頼りがちなのに対し、ロレアルは「長く見える角度で、それでいて気品ある美しさがあるのはこのショットだと思いますがいかがでしょうか?」といった観点を持っています。
※睫毛の撮影角度は筆者が適当に書いています。信用しないでください。
コスメブランドを多数保有するため他社に比べて女性比率が高いこともあり、内定者の共通点は「女性社会でうまくやっていけそうな人材」でもあります。えてして男性は癒し系の穏やかな話し手が多くなる傾向にあります。
また、 社員いわく、「キラキラした仕事がしたいから応募しました」といった志望動機を持ってくる学生が多い業界であるため、華やかな面の裏にある地道で厳しい仕事に耐えられるかはしっかりと見られています。
ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)グループ
世界最大級のブランド企業、LVMHグループ。Christian Dior、Louis Vuitton、GIVENCHY、CELINE、Loewe、RIMOWA、Bvlgari、MOET & CHANDONなど誰もが知るこれらのブランドはすべてLVMHに属します。ただし、 もともとこれらのブランドが一体化していたわけではありません。グループが次々に買収を重ねた結果として巨大グループを形成しています。
したがって社風はブランドによってバラバラ、価格帯もコスメなら3,000円台~ですが、ハイジュエリーともなれば1億円もざら。どのブランドに配属されるかで、戦略も大きく異なるのが特徴です。
内定者の共通点は日本ロレアルと同様に「女性社会」であること。平社員からアジアのトップまで女性社員で占めるブランドもあり、女子会で上手にやっていくスキルを持つ内定者が多めです。
男性なら「女子会になぜか1人混ざっていた系男子」が多め。また、面接で ラグジュアリー業界への親和性が問われるため、ファッションに限らず例えば食事など何らかのラグジュアリーな趣味、教養を持っていることが要 となります。
日系3社は「成り立ち」で異なる社風に注目
資生堂
「一瞬も 一生も 美しく」のコーポレートメッセージそのままに、目先の売上よりも美意識や感性を大事にするマーケティングを学べると有名です。外資系企業のマーケターは「マーケティングという業務は好きだが、ブランドにそこまで思い入れはない」という社員が多数いるのに対し、資生堂マーケターの資生堂愛は半端ではない、という印象です。
また、資生堂の社員として上品であること気品あることを好む方が多いため、協調性重視の社風となっています。また、外資系企業に勤めるうえでどうしてもネックになるリストラの心配が少なく、のびのびと長期間かけてブランドを育むことができます。
一方、これからの社風は未知数です。というのも、2014年に社長が外資経験者(初の外部出身者)になったことで年功序列から徐々に能力主義へシフトしていると聞くからです。 協調性は求められつつも徐々に外資寄りに変わっていく姿を受け入れられる人材が未来の内定者となる ことでしょう。
ソニー
日本企業でマーケティングをするならば筆頭に挙がるであろうソニー。経験者によると自由奔放でこれまでの常識を打ち破るような施策を作ることができるため、やりがいを感じられるよう。一方、全体的な社風としてはおっとりしているとのこと。外資のようなガツガツ感に苦労しそうなら、ソニーを受けたほうがよいでしょう。
ただし、外資全般と比べて昇進の速度が遅くなることから、「20代でブランド1つを丸ごと管理する自分」といった将来像を描くと、ギャップに苦しむ可能性があります。
内定者に多いのは「勤勉な戦略家」タイプといった印象。 学生時代からオーディオ業界に関心があり独自に調べていたなど、学術面での経歴も評価されます。華やかなことを好む傾向にあるLVMHや資生堂の社員とは、かなり相反するキャラクターが多くそろいます。
花王
日系企業の中でも特に「ブランドごと」に部署が分かれており、ブランドの責任者として業務を経験できる花王。ブランド間の異動も経験できるため、幅広い価格帯・ジャンルのマーケティングを経験し成長できます。
また、基礎研究に力を入れていることから、「成分上からも真に良い製品」を次々と打ち出すことができ、マーケターとしても自信をもって企画を立案しやすい会社といえるでしょう。海外市場では苦戦が続いているため、海外へ打って出られる人材が歓迎される傾向にありそうです。
社風は本記事で紹介した全企業のどこよりも協調性重視のイメージです。リーダーシップを求めるP&Gやユニリーバとは対照的に、上司とうまくプロジェクトを進める力が求められます。社風のギャップが大きいことから、どんなに優秀でも新卒で花王とP&Gに同時内定する人材は存在しないと思われます。全体的に内定者も穏やか、マイルドな性格の方が多めです。
ここまで、主なマーケティング部門を募集している企業7社をご紹介いたしました。
マーケターが求められる共通スキルは「戦略性」ですが、その発揮方法は企業によって大きく異なります。 やみくもにマーケティング部門があるからと全企業へエントリーするのではなく、自分がより評価されそうな企業を選んでください。
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