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こんにちは、トイアンナです。
美大ではない方が就職先へクリエイティブな仕事を求めたとき 、筆頭に挙がる3大職種が 「メーカーのマーケティング部門」「広告代理店」「メディア」 でしょう。
しかし実際に業務を経験せず、これら3職種の違いを理解するのは難しいかと思います。そこで 全職種と密接にかかわってきた筆者 が、違いと強みを解説します。
仕事は「上流から下流」への流れで理解しよう
まず、3職種の仕事を「流れ」で見てみましょう。
メーカーのマーケティング部門は、最初に仕事を依頼する立場です。このように仕事を発注する大本を「上流」と呼び、受注する側を「下流」と呼びます。メーカーが広告代理店へお金を払い、代理店がメディアへさらにお金を払うことでテレビのCMを始めとする広告が世に出ます。
どの職種であれ業務の違いを学ぶには、上流から下流へ仕事の流れを追っていくととても分かりやすくなります。 今回も上流から違いを見ていきましょう。
メーカーのマーケティング部門は、戦略の根幹を作る
メーカーのマーケティング部門は、 ある商品を売るときに戦略の根幹を作ります。 たとえば「弊社の新製品で緑茶ブランドを作ろう」と決めるのはメーカー側です。「綾鷹」、「生茶」などのブランド名や、価格設定、他社とどういう違いを作るかなどはすべてメーカーが定めます。
といっても、当てずっぽうにアイディアを作り「これはイケる!」と決めているのではありません。多くのメーカーでは綿密な消費者リサーチをもとに差別化戦略を立ててゆきます。
P&Gやユニリーバなど 外資系消費財メーカーではマーケティング部門がこれらを主導して決めます。
一方、 伝統的な日系メーカーではマーケティングよりも研究開発部門がリーダーシップを取ることも多く 、「うちでA成分が作れるから、次の香りはA成分を含むもので売ってくれ」とマーケティング部門に上がってくることがあります。さらに 営業が強い企業では、「小売がこれを求めているから」と販売店の要望に従って開発が進むことも。
マーケティング部門の権限は企業によって異なるため、「マーケだから戦略を決められる」と早合点せず、OBOG訪問や説明会を通じて「社内の流れ」も把握しておくとよい でしょう。そして 「マーケティング部門」を目指すのではなく、その会社で呼称が何であれ「マーケティング業務」ができる部門を見極めて ください。
マーケティング業務を経験する強みは、数年で独立できるスキルが身につくこと。たとえ会社が明日なくなっても、語学の壁さえ乗り越えれば世界のどこでも働けます。 マーケターは人口が少なく希少性が高い職種 のため、食いっぱぐれることのない専門職として活躍できます。
また、外資系コンサルティングファームなどと比べてワークライフバランスに優れていることから、「バリバリ働きたいが、家庭も持ちたい」といった希望をかなえやすいのが特徴です。
広告代理店はメーカーの戦略を形にする
メーカーから「こういう消費者へ弊社製品を売りたいので、刺さる広告を作ってほしい」と依頼を受けて広告代理店は動きます。 メーカーが準備してくれるのは消費者データと、ブランドの差別化要素まで。それを実際に消費者の心を動かすメッセージに変えるのは、広告代理店 の仕事です。
広告代理店の中でも、 まずは営業がメーカーから話を詳しく聞き取ります。 それをもとに社内で 戦略を練るストラテジープランナー と、 作品を考えるコピーライター が手を取り合い働きます。「これで行こう」とメーカーが承諾するものが出来上がってから、それを 配信するメディアの広告枠を購入するのも、広告代理店 の仕事です。
近年、広告代理店への風当たりが強くなり、「代理店を経由せず直接メーカーがメディアへ発注する」業務も増えています。しかし発注するメーカーの視点で見れば、広告代理店の請け負う業務は 「大量かつ責任感が重くミスが許されない」ものが多く、代理店パーソンが高収入を得られるのも納得 できます。
広告代理店の強みは、高収入、モテ、やりがいの両立 です。この世に「やりがいを感じながらお金が大量にもらえる」仕事はそうありません。広告代理店はその稀有な例といえるでしょう。
ただし、すべての職種に当てはまることですが「その仕事を楽しい」と思えるかどうかは、相性がものをいいます。必ずOBOG訪問でネガティブな面も聞き取り、自分がその業界で長期的に生き残れるかを考えてください。
最後にクリエイティブな仕事を見せるメディア
最後に、代理店が広告枠を購入するメディアの仕事をご紹介します。メディアとは、出版社、テレビ局、ラジオ局、ネット媒体などを指します。彼らは漫然と広告枠を販売しても購入者が現れないので、常に視聴者へ刺さるコンテンツを提供せねばなりません。
そこで メディアの社員は面白いコンテンツの企画を作り、映像制作会社やライター、デザイナー、芸能人など方々に依頼して「広告以外」の全コンテンツを作ります。 私たちが普段見ているテレビ、雑誌、ネット記事などはメーカーの広告料がメディアに落ちてくることで実現しているのです。
昨今はテレビが斜陽といわれることが増えましたが、テレビをよく見るシニア世代が定年退職したことにより視聴者数はむしろ安定しています。「でもそれって、20年後はわからないでしょう」と言われるかもしれませんが、20年後が安泰と分かっている業界などこの世にありません。安定を求めればこそ、企業に依存せず生き残るスキルを育てるべきです。
そういった意味で、たとえテレビが滅びようとも、雑誌がなくなろうとも、企画者や編集者は消えません。 長年生き残るうえで、メディアでの経験はきっと花開く ことでしょう。
メディアの強みは、メーカーのマーケティング部門のような企画者の立場と、それをクリエイティブに広げる広告代理店の仕事を一気に体験できること。その分、激務になりがちですが、やりがいを強烈に感じられるため業界の人気はとどまるところを知りません。
漫然と「クリエイティブだから」で志望しない
最後に、これらの業界を志望する就活生へのアドバイスを付記します。
まず、 志望動機に「クリエイティブだから」と書くのは絶対にやめましょう。 採用する側を経験した身として申し上げますが、そういうESが腐るほど届くので採用担当者は辟易しています。「クリエイティブになりたい? だったら画家かYouTuberやれ!」と言いたくなるのです。
メーカー、広告代理店、メディア、これらそれぞれの強みと弱みを把握したうえで、「なぜこの業界でないとダメなのか」「さらになぜこの会社なのか」を突き詰めた志望動機にしてください。
ぶっちゃけた話、業界1位だから、知られていてモテそうだから・・・なんて動機でエントリーしている方が大多数なのは採用側も知っています。しかし、 クリエイティブな仕事はその分、過酷でもあります。「それだけ」の動機では働き続けられない のです。
戦略を立てたいならメーカーのマーケティング部門、戦略とクリエイターを繋いで大きな作品を作りたいなら広告代理店、信頼される媒体として企画から現場まで全部見たいならメディア ・・・。と、本稿がさらに踏み込んだ志望動機を書く一助となれば幸いです。
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