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直筆の手紙で内定辞退はかえって危ない!?【押さえておきたい辞退のポイントと法律知識】

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すでに内定を獲得された皆さん、おめでとうございます。たとえ本命でないにせよ、1社内定があるだけでメンタルの安定感は増したかと思います。大量エントリー&大量落ちが前提となっている今の就活ですから、何社も落ちて歯がゆい思いをされた方も少なくないでしょう。まずはその努力を目いっぱい祝ってください。重ねまして、おめでとうございます!

そして、パーティの夜が明けたころに考えなくてはならないのが「内定辞退」です。そもそも内定辞退はできるのか、できるとしたら「どうすべき」か。辞退までのステップをご案内します。

<筆者プロフィール>
トイアンナ
慶應義塾大卒。P&Gジャパン、LVMHグループで合わせて約4年間マーケティングを担当。その後は独立し、主にキャリアや恋愛に関するライターや、マーケターとして活動。著書に『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』や『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』などがある。
▶ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」
▶Twitter:@10anj10

 

 

今さら聞けない「内定辞退はできるの? できないの?」

まず、内定辞退はできます。

ですから、まず私と約束してほしいのは「第一希望の企業から内定を得るまで、第二希望以下の内定を辞退しないこと」です。どうしても行きたい企業があるのは分かります。しかし、そこで内定を得るまでは、他企業の内定を辞退しないでください。

就活生の一部は「どうしても行きたいのはA社だから」と、A社の最終選考あたりで他社の内定を辞退してしまうことがあります。しかし、最終選考でも落ちるものは落ちるのです。必ず、行きたい会社の内定を得てから他社の辞退を始めてください。

 

内定が辞退できるのは「入社○週間前」まで

なぜ内定辞退ができるか。それは、「この会社で仕事を辞める・続ける」の判断は労働者が決められるからです。根拠を簡潔に説明していきます。

まず、企業側が内定通知書を発行し、これに対して学生が内定受諾書を出すことなどにより、両者間に一定の労働契約が成立すると考えるのが一般的です。

しかし、労働契約が成立しても、学生はいつでもその解約を申し入れることができ、申し入れから2週間の期間をおけば解約することができます。それ以降は労務を提供する義務はありません。これは民法第627条第1項が該当します。

民法
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条第1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合、契約は申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

つまり、「入社2週間前」までなら、あなたは内定を辞退できます。アルバイトだって、就業規則がある会社ならば2週間前の申し入れで退職できるよう決まっているはず。仮にそうでないところがあれば、法律の規定に反します。そしてアルバイト・正社員にかかわらず、2週間前の通知で退職&内定辞退はできます。

また、辞める・辞退する理由の制限もありません。B社に内定し、B社へ行きたいからでも、親が要介護になったでも、なんでも構いません。

「てきとーに内定辞退していいのか」 裁判例から考える

ただし内定辞退ができるからといって、「適当に内定辞退してもいい」わけではありません。民法にはほかに、こういう規定もあります。

民法
(基本原則)
第1条第2項 権利の行使は信義に従い誠実に行わなければならない。

つまり、いかに内定辞退が労働者の権利であっても「信義に従い誠実に」行うべきなのです。これは「信義誠実の原則(信義則)」といいます。

このことから、例えば信義則に反するような極めて悪質な形で内定を辞退し、不法行為や債務不履行などの事実が認められ、さらに企業側に損害が生じたような場合は、学生が損害賠償義務を負う可能性はあります。

では、「信義に従い誠実に」とはどのくらいの程度を指すのかを、裁判例から見てみましょう。

東京地裁平成24年12月28日(労働経済判例速報2175号3頁)の裁判例は、以下の経緯による内定辞退に対し、会社側が学生へ損害賠償請求をするなどした珍しい例です。経緯をざっくりとまとめてみましょう。

・学生には、内定後に内定者研修としてプレゼンが課された。
・プレゼンのレベルが著しく低かったため、部長が「辞めろというわけではないが、このままやる気がない態度なら、他の内定者に悪影響だ」「4月1日からはとりあえず一人で営業に出てもらいますけど、あなたは仕事を取ってこられないから」など、厳しいフィードバックをした。
・学生は内定取り消しだと思い込み、勝手に就職留年の手続きを取った。だが、入社しない(内定辞退した)ことは入社日まで黙っていた。

この事例ですら、内定辞退が「信義則上の義務に著しく違反する態様で行われたとまでいえない」と判断され、企業から学生への損害賠償請求が通りませんでした。

このケースでは、期限である「入社2週間前」を切っているうえに、就職留年の手続きを取ったことも企業へ速やかには伝えませんでした。こうした形の内定辞退をする学生はそういないと思いますし、無論推奨などしません。また、どんな裁判にも背景にはさまざまな事情があって、判決につながります。ですから「同じことをしても大丈夫」とは誤解しないよう、ご注意ください。

とはいえ、過去にこういった例があったという参考になります。

ですから入社日からかなり前の段階で、丁寧なメールや電話をして内定を辞退していたにもかかわらず企業から、
「内定辞退したら、二度とお前の大学からは採らない」
「内定辞退は認められない、訴える」
と脅されたとしても、屈する必要はありません。

 

トラブル回避のためには原則メールで、明確に辞退の意思表明を

とはいえ、わざわざ事を荒立てたい人はいないでしょう。裁判は、勝つにしてもお金がかかります。弁護士の先生に依頼すれば、それだけで数十万円の出費は覚悟しなければなりません。さらに時間も労力もかかるので、とにかく丁寧な内定辞退を心がけましょう。

まず、原則はメールで「内定辞退します」と連絡します。内定辞退を申し出た事実を証拠化しておくのが重要であるため、ここで「内定を辞退させていただけないでしょうか」といったあいまいな態度は取らないよう注意してください。相手に内定辞退の許可を申請する文面だと、内定辞退の意思表明と認められず、法的に不利となりえます。

また、もしも電話で内定辞退を伝えた場合、後に「言った、言わない」の争いになる可能性があるため注意が必要です。

メールで辞退する場合の文例

ここでメールの文例を用意しましたので、ご覧ください。

☆学生で「メール本文で改行をしない」「メールにタイトル(件名)をつけない」「文末に署名をつけない」など基礎的なマナーを失する例が後を絶ちません。メールはLINEとは大きく異なるルールで書かれることを認識し、丁寧な文面を心がけてください。

件名:内定辞退のご連絡 ●●大学 山田太郎
 
〇〇株式会社
〇〇様
 
お世話になっております。
2022年入社予定者として内定をいただきました、
●●大学 山田太郎と申します。
 
このようなありがたいお知らせをいただきましたところ
大変申し訳ございませんが、貴社内定を辞退させていただく運びとなりました。
エントリーシートをお目通しいただき、
また面接でも優しくご対応いただきましたにもかかわらず
このようなご連絡となりますこと、重ねておわび申し上げます。
 
本来であれば貴社へ伺い、直接おわび申し上げるべきところではございますが、
メールでのご連絡を、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
貴社ますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
 
●●大学
〇〇学部 〇〇学専攻
山田 太郎
(メールアドレス)

また、メールアドレスがどうしても分からず、お電話にて連絡する際はこのようにお電話してください。

電話で辞退する場合の会話例

(電話をかける)
 
受付: はい、〇〇株式会社です。
 
学生: お世話になっております。御社に内定しております、●●大学の山田太郎と申します。恐れ入りますが、〇〇さまはいらっしゃいますでしょうか。
 
受付: はい、少々お待ちください。(※不在ならお戻りの時間を聞いてかけなおす)
 
社員: はい、〇〇です。
 
学生: お世話になっております。●●大学の山田太郎です。先日は選考にて大変お世話になり、ありがとうございました。非常に心苦しくは存じますが、熟慮の結果、御社の内定を辞退させていただきたくご連絡差し上げました。いま、お時間をいただいてもよろしいでしょうか。
 
社員: ええ、どうぞ。(※ダメなら指定された時間にかけなおす)
 
学生: ありがとうございます。就職に際し、自分が今後どのように社会でお役に立てるか考え、別の会社とのご縁をいただきまして、そちらへ進むこととなりました。そのため、内定を辞退させていただければと思います。
 
社員: そうですか、その決意は変わらないんですか。(など、引き留めの言葉が続く)
 
学生: はい、申し訳ございません。
 
社員: では、仕方がないですね。今後とも機会があれば、どうぞよろしく。
 
学生: はい、ありがとうございます。それでは失礼いたします。(電話を切る)


 

もし呼び出されても会社に出向く必要はない

内定辞退に際し、引き留めを目的に呼び出されたら行く必要はありません。辞退した理由を伝えれば、企業は反論を用意してきます。そうすると、辞退が難しくなってしまいます。

電話で辞退すると、前述の通り後日「言った、言わない」の争いになるリスクのほか、対面で呼び出される可能性も上がるため、原則はメールでの辞退を心がけましょう。

断る際は「申し訳ございませんが、内定は辞退させていただきますのでお伺いはできかねます。ご容赦くださいますようお願い申し上げます」など、きっぱりと、かつ丁寧に対応しましょう。

ただ、「今後ゼミの後輩が採用されないかも」といった不安を抱くならば、赴くのも手です。その場合は、平謝りで通すしかありませんが頑張ってきてください。また、辞退する意思が弱そうに見えると、説得されることになります。どうしても行きたい会社があるならば、決意は固くしてから辞退に挑みましょう。

なお、万が一、怒鳴られたり暴力を振るわれたり(といったケースはほぼありませんが・・・)という事態に備え、スマートフォンやICレコーダーによる録音をお勧めします。録音した音声は裁判以外で使うと名誉毀損罪で訴えられるかもしれないので、くれぐれもSNSへアップしないよう注意してくださいね。

それでは、スムーズな内定辞退に、いってらっしゃい!


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