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成長とワーク・ライフ・バランス、両立は欲張り? 「新卒コンサル信仰」の裏で語られない真実

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こんにちは、トイアンナです。

私は、外資系メーカーへ就職したころから就活生の支援をして、5年以上となります。中期的な目で見ると、今年の就活生には際立った特徴があります。

2021年卒の就活生は、ワーク・ライフ・バランスと、成長の両方を求めます。そして、2つのかけ離れた理想に引き裂かれている・・・・・・というのが、私の所見です。なぜなら、20代の成長は得てしてハードワークによって支えられているからです。

<筆者プロフィール>
トイアンナ
慶應義塾大卒。P&Gジャパン、LVMHグループで合わせて約4年間マーケティングを担当。その後は独立し、主にキャリアや恋愛に関するライターや、マーケターとして活動。著書に『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』や『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』などがある。
▶ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」
▶Twitter:@10anj10

 

 

誰もが口にする「成長」とは何か?

OfferBoxの調査では、学生が企業へ求める項目で「社内の雰囲気が良い」「成長できる環境がある」「将来性がある」の順で上位に並びました。私のヒアリング調査でも、「20代から成長するにはどうすればいいか」と質問する方が増えています。

しかし、彼ら・彼女らへ「あなたにとっての成長が何か教えてくれたら、そこへの最短距離を提案できると思います。成長の定義を教えてください」と質問すると、答えに窮する方が大半です。

「成長」とは、美しい響きの言葉です。しかし、その中身は実のところ、空っぽなのではないでしょうか。ではなぜ、2021卒の就活生はそこまで成長という空っぽの言葉に引き寄せられるのでしょうか。詳しく聞いていくと、そこに「未来への不安」が見て取れます。

 

崩れ去った終身雇用と「コンサル信仰」の誕生

2021卒は日本の終身雇用を全く信頼していません。リーマン・ショックで内定取り消しにあった就活生すら、「メーカーなら安心だ」「インフラならば」と、特定の業界へすがりました。しかし、2021卒が就活を始めるまでには、終身雇用の伝統が根底から覆されるニュースが続きました。

「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか(日経ビジネス)
経団連・中西会長「終身雇用は制度疲労」改めて持論展開(朝日新聞デジタル)
さらば正社員 タニタ流「個人契約」が雇用を変える(日経産業新聞)

ビジネス媒体ではこれまでも繰り返し「終身雇用は終わる」と言われ続けてきました。しかし、ここまで公に「もう無理です」と宣言されたのは、2021卒が初めてでしょう。その衝撃は大きかったものの、安定志向だった学生がいきなりリスクを取って、年俸契約でサバイブするキャリアを選べるはずもありません。

そこで安定したい優秀な学生が一斉にすがったのが「外資系コンサルティングファームに入れば、どの会社でもやっていけるスキルが身につくはずだ」という、“コンサル信仰”です。

本来、年単位でレイオフ(リストラ)のリスクがあるコンサルティングファームへ、「安定を求めて」入るのは実におかしな話です。しかし、ちょうどコンサルティングファームは新卒採用を爆増させた時期でもあり、殺到する学生を歓迎しました。

その結果、数年前から社風がフィットしない学生が、大量にコンサルティングファームへ入社しているとみています。

 

見捨てられる若手 叶わないWLBとやりがいの両立

もともと、外コンは激務と引き換えに成長を約束する現場でした。そして、「成長できない」と見なされた若手は容赦なく切られる場所でもありました。

しかし今は人手不足や時代の変化から、外コンであっても30代までは能力で切らないのが一般的。さらに働き方改革のメスが「非管理職のみ」に入り、かつてなら“奇跡”という扱いを受けたであろう「21時前退社」も実現しているといいます。

学生から見れば理想的な「成長とワーク・ライフ・バランスが実現する現場」に思えますが、その実態は厳しいものです。今の新卒について、30代のマネージャー社員がドライなコメントをくれました。

自分たちはマネージャー勢から椅子を蹴られたり、書類を破られたりしながら必死に育ってきました。けれどそれが良かったなんて思っていません。

暴力はいけない。けれど、暴力以外で育てる方法も、私たちは知りません。でも、パワハラで訴えられたくもない。そうなると、どうすると思います? 放置するんです。自分からしごいてください、と言う後輩以外は、育てることをやめるんです。

だって、下手なことを言ったらパワハラになるんですもん。若手のキャリアに責任は取れないけれど、もともと自分のキャリアは自分でマネージするもの。自ら21時に帰ることを選んで、成長したつもりになって、後から上司が育ててくれなかったせいにするような人材は、どこにいても成長しません。それが30歳になるまで分からないような人材は、この業界に向いていないと思います。他のファームまで一概にそうとは言い切りませんが。

また、他のコンサルティングファームに勤めるマネージャーはこう語ります。

HR(人事部)にも責任は大なり小なりあると思っています。だって、ワーク・ライフ・バランスがあって成長できると、学生に説明してしまっているのですから。HRもコンプライアンスとのジレンマがあるのでしょう。

しかし、それで割を食うのは現場のマネージャーです。あるとき、部下が「子どもが風邪を引いたので、家に帰ります」と言い出したので絶句しました。子どもの風邪ごときでプロジェクト放り投げるな、と。家族を大事にするつもりで、コンサルティングファームに来るなんて底抜けのアホかと。

口に出したら訴えられるのは私ですから、沈黙という答えだけ出しておきました。あとは私が巻き取りましたが、彼のプロモーションには反対するつもりです。彼にはオーナーシップ(責任感)がない。

私は、いずれの肩を持つこともできません。ただ、コンサルティングファームに集まる人材は全体的に優秀であり、なおかつハードワークを期待されていることは事実。どこのファームにも「優秀な人間が限界まで働いて成長する」文化が底流にあります。

その文化と、2021卒がすがる「コンサル」の姿は大きく異なります。もちろん、就活生の責任だけではありません。いまどき、どの会社でも人事は「激務です」とは言いません。ただでさえ人口減で希少な学生が、それだけで離れてしまうと知っているためです。

その結果、会社説明会では「(1年に数回は)20時に帰れます」「(数年でどこへでも転職できるようなスキルを身につけるほどの成長を諦めるなら)家族を大事にできます」といった、語られない前提が増えていきます。

しかし、どこでも活躍できるスキルを身につけられるメリットがないなら、コンサルティングファームへ行く理由は限られるでしょう。今回は外コンの社員を中心にヒアリングしましたが、どの業界も似たり寄ったりでした。

数年での成長を与えられる会社は、あなたに優しくなれません。実際には「成長 or ワーク・ライフ・バランス」のいずれかを選ぶ“キャリアの取引”が行われているにもかかわらず、2021卒の学生にはそれが見えにくくなっています。

 

成長がそこまで必要か? 再考すべき

外資系コンサルティングファームや、外資系投資銀行でがむしゃらに働けば、27歳ごろには各業界への転職はおろか、独立すら可能な人材に成長するでしょう。私はもっと労働環境がゆるい外資系メーカーのマーケティング職に就きましたが、それでもこの通り独立できています。

しかしそれは、「優秀な人間が最初の数年は、寝る間を惜しんで働く」契約を結んだから成長できるキャリアの取引でした。いかに業務を効率化しても、ヘッドカウント(業務当たりの社員数)が少なく、裁量権の大きい会社は激務になります。

500社以上は説明会やインタビューに伺ったことのある身ですが、定時帰りで済む程度の裁量権で圧倒的に成長できる会社を、いまだかつて見たことがありません。

就活生に伺いたいのは「成長とワーク・ライフ・バランス、いずれか捨てる取引ならどちらを選ぶか」です。新卒から5年間だけに限定してもかまいません。激務で成長をするか、成長せずとも定時に帰れる会社を探すか。その優先順位をつけないのでしたら、どちらも身につかないまま30歳でコンサルティングファームを放逐され、途方に暮れるかもしれません。

そして、たとえ成長を捨てても、死ぬことはありません。大半の会社員は成長より家庭を大事にしています。

試しに、17~18時の時間帯で電車に乗ってみてください。退勤ラッシュの多さから、いかに激務×成長を選ぶ人がマイノリティかわかるはずです。早く帰れる会社で、アフターファイブに自己研鑽する道もあります。

終身雇用でなくなった世界を生き抜く方法は「保身のための成長」以外にも数多あります。この記事を通じて語ってきた「“伝統的な”成長」はカッコいいものですが、定時帰りとの両立を望んでいる人が選ぶものではないでしょう。


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