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【クオンツ就活最新事情】18卒新入社員が解説! 新卒で募集のある企業一覧

理系就活生の皆さんへ

私は都内のある理系大学院をこの2018年3月に卒業し、4月より金融機関で勤務し始めた者です。

データサイエンティスト、アクチュアリー、クオンツを志望業種として就職活動をしていました。この経験を他の皆さんにもシェアできたらと思い、今回筆を執りました。理系で、就職先に迷っている方、研究で培った能力を活かしたい方などのお役に立てば幸いです。

本コラムでは特に、クオンツに焦点を当てて、クオンツの働き方や種類などについて詳しく述べていきたいと思います。

クオンツとは?

クオンツの種類と業務

「クオンツ」(Quants)は英語の「Quantitative(定量的)」から派生した言葉だというのは有名な話です。

もともとNASAで宇宙開発に携わっていた研究者がプロジェクトをクビになり、ウォール街に進出し、物理学の手法を金融に持ち込んだことが発端だといわれています。今では、銀行、証券会社のみならず、資産運用会社や一部IT企業、コンサルティング企業でもクオンツのような職種で新卒募集が行われています。

まずはクオンツにも幾つか種類があることを説明していきましょう。主に、デリバティブのクオンツ、マーケットのクオンツ、リサーチのクオンツ、リスク管理のクオンツ、エンジニアのようなクオンツ、の5種類があるといわれています(もちろん、これ以外にもクオンツはいますが、代表的なものはこれくらいでしょう)。それぞれ業務内容が異なります(注:実際に募集要項などにデリバティブのクオンツなどと書かれてはいません。大抵、「クオンツ」とだけ書かれています)。

デリバティブのクオンツ

デリバティブのクオンツというのは、デリバティブと呼ばれる金融派生商品(代表的なものはヨーロピアンコールオプション)の価格を決める際に、確率過程や偏微分方程式など主に数学科で学ぶ内容をもとに、プログラミングをしてSDE(※)の解を分析する職種と考えていいです。また、論文や専門書を読むことは割とあるので、数学的な背景は理解出来る必要があります。数理ファイナンス、確率論を専攻していた学生が最も能力を活かしやすいのが、このデリバティブのクオンツだと思われます。また、微分幾何学や素粒子論、数理物理などを専攻し、研究遂行能力が高いと見なされる人たちなども能力を活かしやすいです。
※SDEとは「Stochastic Differential Equation」の頭文字で、日本語では「確率微分方程式」と訳されます。金融派生商品(デリバティブ)の価格を導出するのに用いられます。

マーケットのクオンツ

マーケットのクオンツというのは、ここでは資産運用会社に勤めているクオンツのことを指します。一般的な名称ではないのでご注意ください。デリバティブのプライシングのために、確率解析やSDEなど数学科大学院で扱うような内容を駆使するのとは打って変わって、資産運用会社で扱う数学はそれに比べると簡単です。数学については、大学1、2年程度で学習する微分積分、線形代数、確率統計、の知識があれば新卒採用の時には問題はないと思われます(言うまでもなく、数学以外の知識や素質も面接時には問われます)。

しかし、このクオンツはデリバティブクオンツとは別種の難しさがあります。Two Sigmaなど超大手外資系資産運用会社が運用収益を上げてきており、めちゃくちゃ競争が激しい業種ともいわれています。

実際、これらの資産運用会社はMITやハーバードなど世界大学ランキングで10位以内の大学で、純粋数学や理論物理学においてPh.Dを取得した学生や国際数学オリンピックで金メダルを取った学生など、日本ではほとんどいない優秀な人間を世界中から大量に集めており、このような人間たちと否応なく同じ土俵でマーケットのマーケットのクオンツは戦うことになります。日本の大学を出た方は、自分がどこまで戦えるのかを早急に判断する必要に迫られます。

私が新卒の面接で言われたこととして、「数学やコンピューターが得意な人たちは死ぬほどいるから、それしかできないのはすぐに負ける。もうあと2つ3つ戦える武器を用意した方が良い」でした。

リサーチのクオンツ

リサーチのクオンツというのは、証券会社などにいるクオンツアナリストと捉えてください。クオンツアナリストの主な仕事は、一般向けもしくは顧客企業向けにレポート書くことですが、資産運用会社のアナリストとの違いは、外部向けに資料を作るか、ファンドマネジャーの意思決定のためのレポートを書くかの違いでしょう。分析結果を世に発信し、金融商品の流動性を高めることが大きな目標になります。数学のレベルは、マーケットのクオンツと同程度でしょうか。

リスク管理のクオンツ

リスク管理のクオンツとは、証券会社や銀行が持ってるリスクを何らかの手法で定量的に分析し、取引できる量を決めるクオンツのことです。証拠金の計算やVaRの計算をやっている方などが該当します。

エンジニアのようなクオンツ

エンジニアのようなクオンツとは、文字通り、システム開発の際に金融工学の知識が必要になったタイプのクオンツです。主に、システムの運用や保守などで現場に駆り出されることが多く、企業によってはIT企画などと深くかかわることがあります。

以上がクオンツの大雑把な分類です。しかし、業界の技術革新のスピードが速いため、業務内容が変化し、上記に当てはまらない、広い意味で金融情報のデータ分析を担う専門家も存在します。そのような方たちは「クオンツ」とはあまり呼ばれていない可能性もあります。もし、そういった従来のクオンツ以外にも興味がある方がいれば、ぜひ調べてみてください。

クオンツ職を募集している企業

今までは、クオンツという職業の多様さについてお伝えしてきましたが、ここからは実際にクオンツ採用を行っている、あるいはクオンツ業務を社内で行っている企業についてあげていきたいと思います。ここで挙げる企業は、「広い意味で金融情報のデータ分析を行う専門家」を考えています。

まず、「クオンツ」や「金融工学」について新卒で職種別募集をしているのは、18卒の場合、以下の企業でした。

金融(セルサイド):
野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ銀行、りそな銀行、みずほ銀行、かんぽ銀行

金融(バイサイド):
野村アセットマネジメント、大和投資信託、東京海上日動(資産運用部門)、第一生命、かんぽ生命、三井住友海上(自然災害リスク)

IT企業:
シンプレクス、NTTデータフィナンシャルソリューションズ、クオンツリサーチ

コンサルティング企業:
PwCあらた(金融リスクコンサルタントという職種での募集)

研究所:
三菱トラスト投資工学研究所、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー(博士課程のみの募集)

一方、職種別ではなく総合職として入社し、のちにクオンツ業務(デリバティブではないものも含む)を行う部署に配属される場合もあります。この場合は配属リスクがあるということです。

その場合の企業は以下のようになります。上記の企業は除いています。

金融機関:
日本銀行、日本取引所グループ、農林中央金庫、三井住友アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメント、アセットマネジメントONE、大和住銀投信投資顧問、三井住友銀行、信託銀行

シンクタンク:
みずほ情報総合研究所

中央省庁:
金融庁

上記企業での採用に関して注意しておきたいことを、少し詳しくお伝えしていきます。

金融(セルサイド)のクオンツの注意点

まず、セルサイドについては、デリバティブのクオンツやクオンツアナリスト、リサーチがメインのクオンツ、顧客向けにデータ分析を行いコンサルティングをするクオンツなど、多岐にわたります。大体、どのクオンツも採用人数は1-2人程度です。会社によって、クオンツの種類も呼び名も異なるため、面接や説明会の際には自分がなりたいクオンツがどう呼称されているのかはっきりさせておきたいところです。注意したいのは、りそな銀行については、クオンツ職で内定をもらっても、最初の数年は支店勤務で営業をやることになります。初期配属で営業をやるのが嫌な人は厳しいかもしれません。

金融(バイサイド)のクオンツの注意点

バイサイドクオンツは、代表的なものはアセットマネジメント会社のクオンツでしょう。彼らはマーケットで勝てる数理モデルを構築したり、資産価格の評価が大きな目標です。そのため、デリバティブのクオンツのように難解な数学を用いるというより、とにかく簡単でも良いから収益につながるモデルを作ることが重要です。ただし、第一生命とかんぽ生命については、デリバティブのプライシングを行う場合があります。これは、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーと提携しているため、セルサイド業務にも携われる機会が生まれるからです。

また、第一生命については医療用ビッグデータの分析を行うクオンツもいるので、データサイエンティストのような業務を行う場合もあるようです。ただ、この2企業については注意したい点があります。第一生命は、4月の頭に模擬試験と称し、金融工学の試験がありますが、これは6月に開催される本試験と同内容、同難易度の試験なので、是非受けておいてください。必要な知識は、確率論の初歩、金融工学の知識(リスクファクターモデルなど)、統計学の知識などです。大問が5つほどあり、その中から2つほど選択して記述する方式でした。得意なものを選びましょう。

また、試験後に面接に電話で呼ばれることがあります。かんぽ生命については、りそな同様、初期配属が営業であり、数年勤務したのちクオンツ業務に就きます。損保系はアクチュアリー業務と似通っている部分もありますが、リスク管理という意味ではクオンツの仕事とも言えます。

IT企業のクオンツの注意点

IT企業でもクオンツの募集を行っているところがあります。このクオンツは主にシステム開発のために金融工学を熟知している必要性が迫られることから生まれたクオンツと言えます。なので、論文や最新の数理知識を仕入れるというよりは、システムの実装や保守など、エンジニアとしての要素が強くなってきます。

コンサルティング企業のクオンツの注意点

意外ですが、監査法人にもクオンツは存在します。これは、セルサイドのデリバティブの収益を財務会計上どのように扱うべきを議論する際、数理知識に秀でた人間がいる方が会計状況を正確に把握しやすいためです。新卒採用では、PwCあらた監査法人が金融リスクコンサルタントという名称で募集をしています。採用人数は2人程度と思われます。この会社は中途採用が多く、証券会社や銀行において、デリバティブの組成やリスク管理に携わっていた人と一緒に働けますし、様々な金融機関にコンサルタントとして関われるので、クオンツ業界全体を見渡しやすい企業なのではと思います。

研究所のクオンツの注意点

研究所については、もう半分研究者のようなものです。自分で好きな研究テーマについて研究し、学会発表を行ったり、企業へは最新の金融技術のレクチャーをするなど、大学のような雰囲気があります。実際、ここに勤めていて大学の常勤教員になる人も何人かいらっしゃいます。
  

新卒段階で持っておくといいスキルやつながり

研究や勉強ができることと他人に解りやすく専門知識を説明するスキルです。この分野は大学での研究能力の高さがそのまま業務遂行能力に直結してくるので、勉強や研究のアピールができなければ当然ダメです。また、クオンツはトレーダーと仕事をすることがありますが、トレーダーの中には文系で数学が苦手な方もいらっしゃるので、そういった方に対しても自分の手法を解りやすく説明する必要が出てくると思います。

また、昨今ではどこの企業も機械学習を連呼しており、GithubやQiitaなどで技術力や論文実装力などをアピールするのも効果的だと言えるでしょう。採用面接の段階で研究内容の具体的内容を聞いてきたり、学生の専攻分野の論文をArxivで呼んでくる面接員も普通にいるので、やっていないこともバレやすいです。

スキルだけでなく、業界の人とのつながりがあると就活では有利かもしれません。Twitterにはクオンツの人が何人もいらっしゃいますし、金融工学や確率論の学術的なtweetをすると割とフォローを返してくれることが多いです。そういった人たちと交流していくと、インターンのお誘いや業務の説明をされることもあるので、意外と人脈があると楽になるかもしれません。

おわりに

少し長くなってしまいましたが、クオンツの働き方と種類や募集企業について重点を置いて記述しました。皆さんのお役に立つことができれば幸いです。

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