投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識 第4部:投資意思決定と資本政策

投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識 第4部:投資意思決定と資本政策

2026/02/09

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前3部で、企業の経営実績を分析し、その価値を評価する方法を学びました。しかし、投資銀行やFAS、商社の金融部門で日々問われるのは、「この企業にいくら投資すべきか」「現在の資本構成は最適か」「株主にいくら還元すべきか」という、より実践的な意思決定です。
第4部では、NPVやIRRといった投資判断の基本ツール、そして資本構成理論、配当・自社株買いなどの資本政策まで、 企業の経営判断を支える金融実務の核心に迫ります。 プロジェクトファイナンス、M&A評価、ポートフォリオ運用——これらの場面で実際に使われる手法を、段階的に解説していきます。

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第11章:投資意思決定の理論と実務

①NPV(正味現在価値)とは何か?どのように計算するのか?

NPV(Net Present Value:正味現在価値)は、投資プロジェクトの価値を評価する最も重要な指標の一つです。これは「投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値の総和から、初期投資額を差し引いた値」として定義されます。

NPVの基本的な考え方

NPVの背景にある考え方は非常にシンプルです。お金には「時間価値」があります。つまり、今日の100万円と1年後の100万円は同じ価値ではありません。今日の100万円を銀行に預ければ利息がつくため、1年後には100万円以上になっているからです。

投資プロジェクトを評価する際も同じ考え方を適用します。将来得られるキャッシュフローを現在の価値に換算し、それが初期投資額を上回るかどうかを判断するのです。

NPVの計算式

NPV = Σ[CFt ÷ (1+r)^t] - C0

ここで:

  • CFt = t年目のキャッシュフロー
  • r = 割引率(通常はWACCを使用)
  • t = 年数
  • C0 = 初期投資額

具体的な計算例

ある製造業企業が新しい生産設備の導入を検討しているとします。条件は以下の通りです:

  • 初期投資額:1,000万円
  • 1年目のキャッシュフロー:300万円
  • 2年目のキャッシュフロー:400万円
  • 3年目のキャッシュフロー:500万円
  • 割引率(WACC):10%

計算過程: 1年目の現在価値 = 300万円 ÷ (1.10)^1 = 273万円 2年目の現在価値 = 400万円 ÷ (1.10)^2 = 331万円 3年目の現在価値 = 500万円 ÷ (1.10)^3 = 376万円

NPV = (273 + 331 + 376) - 1,000 = 980 - 1,000 = -20万円

この場合、NPVがマイナスなので、この投資プロジェクトは企業価値を毀損する可能性が高く、実行すべきではないと判断されます。

NPVの判定基準

  • NPV > 0:投資実行により企業価値が向上するため、投資すべき
  • NPV = 0:投資してもしなくても企業価値は変わらない
  • NPV < 0:投資により企業価値が減少するため、投資すべきでない

NPVの実務的重要性

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