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前3部で、企業の経営実績を分析し、その価値を評価する方法を学びました。しかし、投資銀行やFAS、商社の金融部門で日々問われるのは、「この企業にいくら投資すべきか」「現在の資本構成は最適か」「株主にいくら還元すべきか」という、より実践的な意思決定です。
第4部では、NPVやIRRといった投資判断の基本ツール、そして資本構成理論、配当・自社株買いなどの資本政策まで、 企業の経営判断を支える金融実務の核心に迫ります。 プロジェクトファイナンス、M&A評価、ポートフォリオ運用——これらの場面で実際に使われる手法を、段階的に解説していきます。
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第1部:財務分析の基礎
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第2部:企業価値評価の実務
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第3部:高度な財務分析概念advance編
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識 第4部:投資意思決定と資本政策
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識 第5部:デリバティブと金融工学
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第6部:リスク管理と国際金融
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第7部:証券化とストラクチャードファイナンス
投資銀行&FAS&総合商社 最低限押さえておきたいファイナンスの知識第8部:市場効率性と行動ファイナンス
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第11章:投資意思決定の理論と実務
①NPV(正味現在価値)とは何か?どのように計算するのか?
NPV(Net Present Value:正味現在価値)は、投資プロジェクトの価値を評価する最も重要な指標の一つです。これは「投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値の総和から、初期投資額を差し引いた値」として定義されます。
NPVの基本的な考え方
NPVの背景にある考え方は非常にシンプルです。お金には「時間価値」があります。つまり、今日の100万円と1年後の100万円は同じ価値ではありません。今日の100万円を銀行に預ければ利息がつくため、1年後には100万円以上になっているからです。
投資プロジェクトを評価する際も同じ考え方を適用します。将来得られるキャッシュフローを現在の価値に換算し、それが初期投資額を上回るかどうかを判断するのです。
NPVの計算式
NPV = Σ[CFt ÷ (1+r)^t] - C0
ここで:
- CFt = t年目のキャッシュフロー
- r = 割引率(通常はWACCを使用)
- t = 年数
- C0 = 初期投資額
具体的な計算例
ある製造業企業が新しい生産設備の導入を検討しているとします。条件は以下の通りです:
- 初期投資額:1,000万円
- 1年目のキャッシュフロー:300万円
- 2年目のキャッシュフロー:400万円
- 3年目のキャッシュフロー:500万円
- 割引率(WACC):10%
計算過程: 1年目の現在価値 = 300万円 ÷ (1.10)^1 = 273万円 2年目の現在価値 = 400万円 ÷ (1.10)^2 = 331万円 3年目の現在価値 = 500万円 ÷ (1.10)^3 = 376万円
NPV = (273 + 331 + 376) - 1,000 = 980 - 1,000 = -20万円
この場合、NPVがマイナスなので、この投資プロジェクトは企業価値を毀損する可能性が高く、実行すべきではないと判断されます。
NPVの判定基準
- NPV > 0:投資実行により企業価値が向上するため、投資すべき
- NPV = 0:投資してもしなくても企業価値は変わらない
- NPV < 0:投資により企業価値が減少するため、投資すべきでない
NPVの実務的重要性
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