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数十億レベルの案件も⁉知られざるITコンサルティングファームの実態

はじめに

一括りにコンサルティングファームといっても、戦略系・会計系からITまで、経営課題の領域ごとにファームが存在します。

なかなかイメージがつきにくい業界ではありますが、特にITコンサルの業務内容を正確に理解されている方は少ないのではないでしょうか。

今回は戦略コンサル・ITコンサル双方での勤務経験をもち、現在は政策秘書としてご活躍されている松井雅博氏に、コンサルティング業界の解説をしていただきました。特にITコンサルについて詳しく解説していただきましたので、ITコンサルを目指す方はぜひ一度ご覧ください

IT系と戦略系に大きく分かれる

筆者が経験してきた外資系コンサルティングファームの業態は2つある。

一つは、アクセンチュア日本IBMPwCコンサルティング/PwCアドバイザリーアビームコンサルティングといったIT・業務改革をサービスの範囲とするコンサルティングファーム。もう一つはマッキンゼー・アンド・カンパニーボストンコンサルティンググループベイン・アンド・カンパニーATカーニーといった戦略立案を行うコンサルティングファームである。

筆者はアクセンチュア、アビームコンサルティング、そしてマッキンゼーで働いたことがあり、戦略コンサルとITコンサルの両方の仕事を経験した。

そこで皆さんのキャリア選択の助けとなるべく、就活生にあまり理解されていないITコンサルの業務内容や戦略コンサルとの違いを、筆者の経験をもとになるべく具体的に説明したい。

ERPの導入サポートを実行するのがITコンサルタント

外資系IT・業務改革ファームの仕事は、ERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれる基幹システムを企業に導入することが主である。

たとえば皆さんがコンビニで買い物をした際、バーコードでピッと情報を読み取っているはずだ。

その情報は本社で集約されていて、

「この地域ではサンドウィッチよりおにぎりが売れる傾向があるぞ」
「意外とこの商品は若い男性に人気があるんだね」

といったマーケティングのためのツールとして使われていたり、店舗ごとの売上や工場ごとの原価計算といった経理・会計など、様々な場面で使われていたりする。

こういったことを可能にするための基幹システムがERPだ。

また、システム導入に伴って業務も改善しなくてはならないので、業務フローも変革の対象となる。

日本の大企業はほぼERPを導入していて、筆者がアクセンチュアに在籍していた2006年~2008年頃は、国内を一巡して海外展開を進めていた時代だった。筆者も韓国に半年間駐在しており、日本企業のクライアントの現地法人にシステムを導入し業務変革をサポートしていた。

現在では海外展開も落ち着き、導入済みのシステムの保守・運用も含めた業務そのものをアウトソースしたり、システムのアップグレードなどが当時よりも大きなシェアを占めるようになっている。

プランニングからプログラミングまで一括受注

「上流から下流まで」という言葉があるのだが、アクセンチュアやアビームなどは上流から下流までのサポートを強みにしている面がある。

上流というのは、「いかにITをビジネスに活用するか?」というプランニングのことであり、導入するシステムの根幹に直結する。中流と呼ばれる部分は、実際にシステムの開発・設計・テストを行う仕事で、下流がプログラミングをしたり、保守・運用・メンテナンスを行う仕事を言う。

他のITベンダーであれば、それぞれの機能に特化した部分を請け負うのが一般的だ。一方、アクセンチュアなどではこれを一貫して請け負うため、設計・開発や保守・運用段階でもプランニングを見直したりと柔軟な対応ができ、よりクライアントのニーズに合致するシステムを提供できるということだ。

僕もクライアントのITシステムの診断をしたりIT戦略を考えたこともあるし、要件定義書(システムが満たすべき機能を明確に定義したもの)をもとに基本・詳細設計書を作成し、大連の中国人プログラマーと協力して機能開発・テストまでやったこともある。

自分がプランニングを理解して要件定義書も書いているため、途中で「ん?これってどうするんだろ?」と細かなところで悩んだときも、「これは要件定義が甘いな」「そもそも、何のためにこの機能つくってるんだっけ?」という問いを発し、問題解決することができる。

顧客は大企業中心で数十億レベルの案件も

クライアントは大企業が多く、一つのプロジェクトは割と長い。システム導入であれば1年続くものもざらである。システム導入後は、システムの改修、保守・運用、業務改革、アウトソース、と継続受注を続けていくケースが多い。

大企業のクライアントが多いためフィーも高く、中には数十億円の受注というケースもある。また、一つのプロジェクトチームの人数も多いことも特徴だ。筆者が関わった仕事でも、クライアントのチームメンバーも含めプロジェクト全体で50人以上はいた。

ITコンサルタントの基本的な働き方としてはクライアント先に常駐し、お客さんのメンバーと一緒に仕事を進める。人数が多いために全体像をたびたび見失いがちになるので、「ステアリングコミッティ」と呼ばれる会議体が設置され、毎週1回は定期的に状況報告が行われる。

システム導入や業務改善の仕事の評価は極めて明確で、要は「システムが動くか?」「業務がちゃんと回るか?」というところで評価される。もし、システム導入に失敗したり、業務がより煩雑になってしまった場合、追加料金なしでプロジェクトが延長してしまうことになる。

その状況を「炎上」と呼んだりするが、炎上しないように常にプロジェクトはピリピリした雰囲気に包まれている。

アクセンチュアは教育投資が凄かった

アクセンチュアは、教育にものすごくお金をかけることで有名だ。

トム・ピーターズの「経営破壊」という本の中で、「従業員の技能開発と経営戦略上の必要性との関係をよく理解している会社」の例として、アクセンチュアの前身であるアーサー・アンダーセン会計事務所が挙げられていたが、アクセンチュアの研修は本当に充実していた。

実際、3か月もの新人研修、マレーシアで2週間の海外研修など、2年間アクセンチュアで働いた期間の中で、おそらく約半年くらいは研修だったと思う(当時)。

海外研修ではアクセンチュア・デリバリー・メソッドと呼ばれるITプラニングからデリバリーまでのIT開発の方法論を、色々な国から集まった仲間とともに、ケーススタディを通じてチームに分かれてやってみるという形式がとられる。

1時間くらいメソッドの講義をしたら、チームごとに演習を行う。絆を深めるためのゲームやイベントもあり、終始楽しい雰囲気で進められる。毎晩飲み明かしながら国際感覚を身に着ける感じである。

研修が手厚く企業の現場感も感じることができたという点で、僕は自分のファーストキャリアとしてアクセンチュアを選んでよかったと感じている。

一方、アビームコンサルティングは働いてる人がとても穏やかだ。毎月のように新入社員が入社してくるのだが、そのたびに新入生歓迎コンパを企画していた(笑)。

社内SNSが整備されており、いつも仲間同士でコミュニケーションをとったり、情報交換をしながら仕事を進めていた。社内の研修はそこまで充実しているわけではないが、サービスとしての研修開発に力を入れており、新入社員研修の講師をやらせてもらったり、外部へ販売する研修サービスを設計したりもしていた。

戦略ファームの評価は少し漠然?

一方戦略コンサルタントは、クライアントの経営陣が抱える課題をともに考えて解決策を示すのが仕事となる。

実に多様な業界の企業がクライアントになることが大きな特徴だ。筆者も、銀行、ファンド、メーカー、製薬、食品、自動車、通信など、様々な業界のクライアントと仕事をさせていただいた。

戦略系の仕事の場合、プロジェクトの人数は3~5人程度で、3か月程度の長さが標準だ。人数が少ないので会議体などは作らず、常に集まって話し合いながら仕事を進める。

ピュアな戦略系だとクライアント先には会議のときだけ出向くのだが、オペレーション改善系の仕事だと常駐することもある。

マネジャーがチームを率い、それぞれ重たい責任を負わされる。そして、メンバー全員が厳しい評価にさらされる。当然クライアントからも評価されるが、システムのように動く・動かないと明確に結果が出る仕事というわけでもないので、どちらかと言えばプロジェクト全体を通じて「次も一緒に働きたいか?」という漠然とした評価基準になることが多いと思う。

マッキンゼーで最も強く印象に残っている仕事は、チリに3週間滞在しての鉱山の仕事である。資源メーカーのグローバル戦略立案支援プロジェクトで、いかにしてグローバル競争に勝つか、という戦略立案の部分だけでなく、チリの鉱山を獲得するため、現地のビジネスパートナー選定まで支援させていただいた。

スーツを着てPCを開いて資料を作成するだけではなく、作業着を着てライトを頭に付けて地下数百メートルの場所にもぐるという仕事までやることもあるのだ。

「誰かの問題解決」を仕事にすれば、それは「コンサル」

ここまでコンサルティングの仕事について整理をしてみた。はっきり言って正確に分類することなど不可能だし、筆者の知らないような「コンサル」が世の中にはまだまだあるだろう。

いずれにせよクライアントの問題解決をすべく、頭を捻って考え続ける知的ビジネスがコンサルティング業務だ。

昨今の複雑化した時代の中で、たくさんの企業が難解な課題に直面している。そんな中で何を解決するかは別にして、コンサルティングそのものの需要はまだまだあり続けるに違いない。

おそらくこの記事を読んでいるみなさんは、自分のキャリアについていろいろと悩んでいる方なんだろうと思う。それは実は僕も同じことだし、いくつになってもキャリアというものを常に考えねばならない時代が訪れている。

僕は今「フリーランサー」を名乗っている。通常、政治家の秘書は当然ながら政治家をクライアントとするため、秘書はフリーランスであるわけではない。しかし、僕が「フリーランス政策担当秘書」をあえて名乗っているのは、あくまでも自分自身もクライアントを主権者の皆さんに見立て、自分が正しいと思うことをやっていこう、という意志を示すためだ。

大事なことは業種ではなく問題解決の思考法やリーダーシップを身に着けることだし、僕たち一人一人が充実した人生を歩むことだと思う。安易に「外資系」や「コンサル」という言葉に興味を持つのではなく、自分がどんな働き方をしたいのか、何をしたいのか、ということを純粋に追い求めてみてほしい。

さて、僕は皆さんの悩みを少しでも解決できたろうか?できていれば、僕はコンサルできたということなのかもしれない。

おわりに

あまり語られる機会が少ないITコンサルと戦略コンサルの違いについてご説明いただきました。

松井氏の記事の中にあったように、「戦略コンサル」、「ITコンサル」といった肩書だけに目を奪われるのでなく、自分のやりたいことは何なのかを考えたうえで職業選択をするのがよいと思います。

松井雅博

1979年6月14日生まれ 慶應義塾大学理工学部卒 工学・教育学修士号取得
アクセンチュア、アビームコンサルティング、マッキンゼー勤務を経て、フリーの国会議員政策担当秘書として独立。

松井雅博OFFICIAL BLOG:未来志向のススメ 日々更新中!

【松井氏執筆のコラムはこちら】
外資就活ドットコム:キャリア選択の正しい悩み方 前編
外資就活ドットコム:キャリア選択の正しい悩み方 後編

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