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大手広告代理店が生み出す2大価値と、いま求められる3つのスキル【現役社会人からのメッセージ】

はじめに

広告代理店といえば「体育会系」、「お酒を飲むことも仕事スキルのひとつ」などといったイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、近年社会状況の変遷とそれに伴ったビジネスモデルの変化により、広告代理店が社員に求めるスキルも変わってきているようです。
(広告代理店の代表例は、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ電通アサツーディ・ケイなどです)
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今回は大手広告代理店にお勤めの方から、広告代理店が生み出す価値といま就活生に求められるスキルについてお聞きしました。
広告代理店

筆者について

筆者は某大手広告代理店で働いています。今回の記事では、広告代理店業界、そしてビジネスの前線で起こっていることを読者の皆さまにレポートいたします。社歴や年齢は伏せさせていただきますが、『ポケモン』や『FF』、そして『スラムダンク』にはまり、ミクスチャーロックや(EDMならぬ)エレクトロニカの音楽的洗礼を経た世代であり、SNSで人間関係を築くことに対しても非常にポジティブである世代的バックグランドを持つことをお伝えしておきます。

広告代理店の内定を取れる学生の特徴とは

広告代理店の内定を取れるのは「意識の高い学生」だと感じています。といっても、ネットで揶揄されている、いわゆる「意識高い系」のことではありません。広告代理店が求めている意識の高さとは、すなわち「世の中の動きに敏感である」ということです。

生活者の価値観、時々の流行、新しいメディアテクノロジー、世の中を一変させるビジネスモデル――。これら世の中のトレンドを常にキャッチアップしながら、次の動きを予測し自分で先手を打って動ける人間であることが大切です。

筆者の場合は、大学院で情報メディア系の研究をしていたことを就職活動や面接の際にアピールしました。ただ研究の内容を話すのではなく、それを通じて世の中がこれからどう変わっていくのか、こんな風になっていくのではないかという仮説を話した点が、面接官に響いたのではないかと思います。

就活中、複数回のOB訪問などを通じて、広告代理店で働きたいなら「クライアントとは違う視点から、社会を見られること」が重要な資質だと感じました。言い換えればそれは、「自分は今の社会をこう捉えている」という自身の強いビジョンであり、個の視点に等しいと思います。

ES作成時や面接時には、自分が抱いた関心とそれに基づいて実施した学生時代の主催プロジェクトの紹介や、広告代理店そのものをクライアントととらえた上で「今後この業界はどうなっていくのか、自分はそこにどういった貢献ができるのか」といったことを述べました(ただし、それを述べるにあたっては業界への理解と共感が大切なので、上から目線にならないよう留意しました)。

広告代理店に求められる“2大価値”

ではここで、「広告代理店に求められる役割とはそもそも何なのか」を説明したいと思います。営業やクリエイティブなど、一口に広告代理店といっても複数の職種がありますが、共通かつ普遍的な役割は「クライアントの課題を解決すること」に尽きます。

生活者インサイトやメディアインサイトを熟知した広告代理店だからこそできる仮題の掘り起こしにより、クライアント自身が気付いていない課題を共に見つけ出し、解決する。そうして初めて、広告代理店は信頼の置けるマーケティングパートナーたることができるのです。

マーケティングパートナーとして、広告代理店が提供する「価値」は大まかに言うと、以下の2点です。

(1) クライアント単体では「普通の宣伝活動」に終わってしまうマーケティング施策を、より大きなインパクトをもって世の中に押し出すためのアイデアを提案する(2) クライアントの合意が得られたら、そのアイデアに基づいてマーケティング施策を実行する。マスメディア含む各種媒体を活用して、世の中に、コミュニケーションの波を起こす

広告代理店が「アイデアの会社」と呼ばれる所以はこのあたりにあると言えます。

「アイデアの会社」でバリューを発揮するための3つのスキル

では次に、広告代理店で価値を発揮するために必要な3つのスキルを紹介します。これは当然、選考時から重視されるものなので、就活生の方々も意識してアピールすると良いのではないでしょうか。

(1)発想の柔らかさ:ロジカルシンキングと、クリエイティブジャンプ(その人ならではの視点にもとづいた、あっと驚くような着想)。両者を両立できる発想の柔軟さが大切。

(2)察し力:相手が求めることを読み取り、その実現のために動けること。飲み会から具体的な施策の提案に至るまで(これは正直、入社後に磨かれる側面もかなりありますが……)。
また、個人的な考えですが、男性よりも女性の方が察し力が高い場合が多いので、男性がこれを身に付けるとモテ力が向上するという副作用もあります!

※広告代理店の社員がいかに気配りと察しに長けているか(また、そうなるよう教育されるか)についてはいくつかの書籍などで紹介されています。例えば『電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり』(著:ホイチョイ・プロダクションズ/講談社+α文庫)などを読まれると「察する」というコミュニケーション能力の奥深さを垣間見られるのではないでしょうか。また、筆者は文庫化される前の『戦略おべっか どんな人でも、必ず成功する』(著:ホイチョイ・プロダクションズ/講談社)なども一読しています。

(3)体力的&知的タフネス:昔ほどではないにせよ、日々の仕事で体力がモノをいう場面もあります。また、クライアントからのフィードバックや各所との調整で頭を働かせなければいけない場面や、アイデアを生むために延々と考え続けなければならない場面もあり、知的なタフネスも同様に必須要件です。

また、従来必要とされてきたスキルに加えて、近年では「デジタルコミュニケーション」と「ビジネスクリエーション」という2つの課題にも対応できる人材が求められています。

トリプルメディア隆盛で重視される「デジタルコミュニケーション」

広告代理店業界で注目されている2つの課題のうち、まず「デジタルコミュニケーション」の背景から説明します。

かつて企業から消費者へのコミュニケーションは、テレビや新聞の広告枠を買って行うものでした。しかし、今ではクライアント企業も自らウェブサイトを構え、それを活用することで自らコミュニケーションの基盤を持つことができるようになっています。

また、FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアで生活者自身が情報を発信し、ユーザー間でブランドやプロダクトについての感想や知見をシェアし合います。

広告業界では、こうしたさまざまなメディアを3分類して「トリプルメディア」と呼んでいます。

(1)ペイドメディア(マスコミを中心とした広告枠)
(2)オウンドメディア(企業の自社サイト)
(3)アーンドメディア(ブログやSNSなどのソーシャルメディア)

かつての広告代理店は、(1)ペイドメディアを中心にマーケティング施策を立案していました。しかし現在では、(2)オウンドメディアや、(3)アーンドメディアもあらかじめコミュニケーションプランに組み込んでいく必要があります。(1)、(2)、(3)のトリプルメディアをひっくるめて、初めてクライアントと消費者との「デジタルコミュニケーション」が成立していると言えるからです。

ここで重要となるのが、データです。

クライアントもオウンドメディアを持つことで生活者の実態や、それにまつわるインサイトを把握できるようになりました。これまではこうした点にまつわる知見を広告代理店が有しており、情報の非対称性が成立していましたが、今ではそれも薄れつつあると言えます。どちらも手持ちのデータでインサイトを出し合う関係になっており、そのとき「データ」こそが共通言語となっていると表現しても過言ではないでしょう。

広告代理店の人々は、オウンドメディアなどクライアント側に蓄えられたデータをインサイトに変換するための読み取り力が必要です。実際の動きとして、そうした分析のための資格試験を社員に課している広告代理店も存在します。

では読み取る力、それが求められる場面とはどんなものでしょうか? 例を挙げてみます。

ユーザーインサイトの把握:
今どんなサービスやアプリが流行っているかご存知でしょうか? また、まとめ記事を読んだり、使ってみた人から話を聞いてみたりすることだけにとどまらず、実際に使ってみているでしょうか?「伝聞」の情報にとどまっていては独自性のあるインサイトにたどり着けないことも多いでしょう。
2016年現在であれば、あなたはSnapchatやSnowを使いこなしていますか? なぜ10~20代が夢中になっているのか、自分の実感を持って説得的に語れるでしょうか?

データ読解力や統計についての知識:
データセットから、あなたなりの視点や考察をクライアントやチームメイトから求められたとき、「あれ、そもそもセッション数が意味するところってなんだっけ?」などといったつまづきからは無縁でしょうか?
また、見込み客を絞り込んでいくときに使ったそのデータは有意であると検定できるでますか? 今後の売上予測を立てるうえで、複数の要因を組み合わせて回帰分析することはできるでしょうか?

ž アルゴリズムへの理解:
広告代理店の人間は「メディア」についての理解は深く、そうした枠・媒体発想には強いですが、デジタルコミュニケーションを差配する「アルゴリズム」への理解はまだそのレベルに達していません。しかし、例えばGoogleやFacebookで情報が選別され流れる、「ルール」の仕組みが分からなければ、効果的なコミュニケーション設計はできない時代であるため、リテラシーの向上とキャッチアップは必須です。

新規事業進出で求められる「ビジネスクリエーション」

デジタルコミュニケーションに並ぶもうひとつのキーワードが「ビジネスクリエーション」。これはクライアント企業・広告代理店双方にとって重要で、今までにないビジネス領域の開拓が広告代理店に求められる時代が到来しています。現に海外エージェンシーの中では、自らブランドビジネスを始めたり、クライアントと半々で新規事業に出資し、儲けをレベニューシェアしたりといった取り組みもなされ始めています。

クライアント側の新規事業への取り組みに広告代理店がコミットする形態も増えてきており、最近では広告代理店の競合として、BCGやアクセンチュア、NRIといったコンサルティングファームが挙がる機会も増えています。

得意とする分野、抱えているタレントの質といった点での差異はあるものの、実際にオーバーラップする領域があることも確かで、この記事を読んでいる方々の志向性にも重なるところがあるように思われます。

こうした新しい稼ぎ方へのチャレンジが本格化する中で、事業を企てアイデアを現実化していく企業家精神が強く求められるようになっていきています。換言すれば、学生時代の起業経験やビジネス(課題解決)経験が、就職活動時の選考課程でも高く評価されるということでもあります。

ただし、高い評価を得るためにはビジネスへの関心・意識が高いだけでは不十分で、それに見合うアクションや挑戦をしてきたことが重要なのは言うまでもありません。

「デジタルコミュニケーション」と「ビジネスクリエーション」。この2つの課題に自分なりの解決策を提示できれば、広告代理店の中でもよりバリューを発揮できる人材となれるでしょう。

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若手こそが、広告代理店でチャンスを掴める

広告代理店は年功序列と思われがちですが、実際はそうでもありません。
ここまで述べてきたように、今、広告代理店は大きなシフトに直面しています。

筆者が所属している広告代理店でも、実際にこの十数年ほどで、新しい部署や新会社の設立などの動きがあわただしく起こっています。それは同時に、今までにない職能やスキルが求められているということを示唆しており、ここに若手が活躍するチャンスが潜んでいます。特にデジタル領域や新規事業領域などは、若手がイニシアチブをとって成果を出していくのに格好の領域です。

筆者の知るケースでは、新規事業の責任者を任されたり、経験を積んだ社員が携わることの多い投資事業チームにデジタルの知見を買われてジョインしたり、デジタルのキャンペーンでクリエイティブ・ディレクターを任されたり(通例ではクリエイティブ・ディレクターは30代後半以降の実績を上げた社員が務めることが多い)といったことが起こっています。

旧来、広告代理店の社員と言えば「お酒に強い」「体力に自信がある」といった一種体育会系的な側面がクローズアップされてきました。しかしデジタルシフト、ビジネスシフトが加速している昨今では、体力だけでなく次の時代を見通す知性とそれを実行するための勇気を持った若手が熱望されているのです。

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おわりに

どんな業界であれ、時代の変遷によりビジネスモデルや求める人物像は変わっていくものです。ステレオタイプなイメージにとらわれず、常に情報をアップデートしていくことの必要性がご理解いただけたのではないでしょうか。

今後も社会人の方へのインタビューを行っていく予定です。「こんな社会人に、こんなことを聞きたい!」という例があれば、以下のアドレスまでご意見をお寄せください。
editor@howtelevision.jp

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