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はじめに
2020年のオリンピック開催地・東京。招致成功を導いたのは大手広告代理店の最大手・電通と言われています。
近年インターネット広告の伸長の反面でテレビ・新聞・雑誌・ラジオ広告費の中長期的減少傾向で業界全体として厳しい状況が続いた広告業界ですが、オリンピックを前にした国民的熱狂を背景に再び学生の人気を取り戻してきています。
しかしながら、華やか、チャラそう、夜の飲みが激しそう、モテそう・・・などなど広告代理店については浮足立ったイメージばかりが先行し、その内情については意外なほど知られていません。
部署にしても、クリエイティブと営業と・・・・あと何だろう?と頭をかしげる就活生も少なくないのではないでしょうか?
今回は広告代理店の中でも花形であるクリエイティブ局に勤務する現役広告マンの方にその仕事の実態をインタビューしました。
繁忙度は部署次第
−激務だというイメージが強いですが、実際どうですか?
部署にもよりますが、忙しいところは相当な激務となります。
入社すると研修を経ていずれかの部署に配属されます。私の会社では、おおよそクリエイティブに約30人、TVや新聞を扱う媒体と呼ばれる部署に約30人、システム開発などに関わるデジタルプラットフォームに約15人、プロモーションに約15人、残りがストプラ(ストラテジック・プランニング)や人事という感じです。
私の所属するクリエイティブでは一年目から残業続きということはなく、また一般的に激務として知られる営業に一年目で配属されることはありません。営業に近い仕事をするの媒体部門に配属になった友人は一年目から 4日連続会社に泊まった という信じられないような話も聞きました。
媒体関連の仕事は、例えばテレビ担当であれば、スポンサー企業との交渉のための資料作りをひたすらやらされたり、膨大な事務作業に忙殺されることになります。
人と関わるのが好き、あるいはコミュニケーション能力に自信があるなどの理由でこの業界を目指す人も多いですが、クライアントとの交渉を担当するのは早くても2年目以降です。
提案資料作成は骨の折れ、頭も使う作業である一方で、創造性を要求される仕事ではないため、元々クリエイティブ志望の人がそうした仕事に回されてしまうと、結構早い時期に仕事に幻滅してしまう場合もあるようです。
「自分には合わない」 という理由で、私の同期でも半年経たないうちに3人が退職したと聞いています。
−代理店の仕事の中でも特にクリエイティブがやりたい!と思う就活生は多いと思うのですが、そうした部署に配属されるコツなどはありますか?
その点については何もアドバイスできないですね(笑)私自身、自分がなぜクリエイティブに回されたのか教えてほしいくらいです。
そもそも私は別にクリエイティブ志望というわけではありませんでした。特に自分自身が人より斬新なアイデアが出せる、センスが優れていると感じたことはないので、なぜ自分がクリエイティブに配属されたのか本当によく分かりません。
何かしらの基準はあると思いますが、よく分かりません。元々の才能を重視するというよりは訓練によって育てていくという印象が強いです。
実際、そういう中から日本を代表するようなクリエイターが生まれているので、世間で思われているほど才能ありきの世界ではないと思います。
−クリエイティブ局では毎日どんな仕事をしているのですか?
私はクリエイティブの中でもコピーライターの部署にいるのですが、一年目は一日中ひたすらコピーを書き続けたり、CMのプランを作ったりしていました。最初から仕事を任せてもらえる訳ではないので、とにかくアイデアを出して先輩にダメ出しされてという勉強の日々が続きます。
ちなみに、私の会社の場合は二年目の終わりにテストのようなものがあって、そこで本当に使い物になるかどうかが判断されるようです。そこで適性がないと見なされると、クリエイティブからいきなり営業などに回されてしまってそれまで楽した分苦労することが多いと聞きます。
逆に一年目に媒体関連の忙しい部署で揉まれた人たちはどこに回されてもそれなりにやっていけるようなので、その意味では有利ともいえますね。
お酒は?給料は?モテるの?
−仕事でも遊びでも飲みが激しいというイメージが強いですが、実際どうなのでしょう?
実際のところ、あまりそういう話はないですね。少なくともクリエイティブでは仕事上の飲みというのはほとんどないです。
私の会社の場合は一年目から営業に配属されることはないのですが、営業に近い部門のたちも仕事上での接待のようなものはほとんどないと言っていました。3年、4年と勤めてクライアントと直接交渉する立場になってくると、多少は違うのかもしれませんが、世間で思われているほど激しいわけではないと思います。
ちなみに、入社直後の研修中は毎日2時とか3時まで飲んでましたね。各チームに先輩社員がリーダー、サブリーダーという形でついてくれるので、その日の仕事が終わると彼らが自分の仕事仲間を連れてきて一緒に飲みに行くことになるわけです。そういう場でも強制的に飲まされるなんてことはほとんどありませんよ。
全く飲めない人も同期に何人かいたのですが、そういう人たちは 「飲めなくても問題ないけど、それ以外の何らかの部分で補えるようにね」 とアドバイスされていました。
上司にはとても面倒見のいい、人間的に優れた人が多いと感じています。代理店は人が命だとよく言われますが、先輩たちを見ていると本当にそうだと実感することも少なくありません。
−一般的に高給取りのイメージがありますが。
高給取りというイメージは、あくまで残業ありきでの話です。
私の場合、クリエイティブでの一年目は残業の必要もあまりなく、給料は本当にたいしたことありませんでした。忙しい部署の友人は私の倍くらい貰っている人もいましたが、それでも働いた分には見合わないと言っていましたね。
−広告マンって、モテるのでしょうか?
当たり前ですが、広告だからといってそれだけでモテるなんてことはなく、モテる人はモテるし、モテない人はモテません(笑)
一年目や二年目だと仕事にも余裕がないので、モテるモテない以前に積極的に飲み会や合コンに参加するというのは現実的に難しいと思います。ただ、5年目、6年目の先輩達の中には若手に「あまり早く結婚しない方がいいよ」と言う人も多いので、それくらいになると引く手あまたなのかもしれません。
終わりに
−これから広告代理店を目指す学生に一言お願いします。
自分に本当に合うのかどうかを冷静に見極めた上で、覚悟を固めてほしいと思います。
現在入社を考えている人たちにはそれぞれ「こういう仕事がしたい」とか「この部署」に入りたいとか、入社後のイメージが何かしらあると思います。しかし、広告代理店は部署が細かく分かれていることからもわかるように、業務は極めて多岐に渡っており、内部の人間でも業務の全体像をつかむことは難しいほどです。
そういう中で自分の希望するほんの一握りの仕事内容が自分に巡ってくるかどうかは全くわかりません。
私の言う覚悟というのは、どの部門に回され、どんな仕事に関わることになっても、その会社の文化の中でしっかり自分を持って仕事をしてくんだという決意のことです。仕事をする上で、その会社の文化に自分が合っていると心底感じられることが何より大事だと私は思います。
就職活動を通じてたくさんの人に会い、話を聞く中で、イメージだけに振り回されることなく、「本当にこの会社に自分が合うかどうか」を冷静に見極めてほしいと思います。
最後に私の好きなドラマのセリフをひとつ紹介させてください。
「自分のやりたいことをやるのが、自分らしく生きるってことだと思ってるんだ?」
「違うんですか?」
「違うわね、全然違う。気の進まない仕事でも、押し付けられたことでも、自分のやり方でやり通す。それが、自分らしく生きるってこと。」
ドラマ「セクシーボイスアンドロボ」より
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