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債券セールスを徹底解説!
こんにちは。外資就活ドットコム 金融チームです。
新卒での就職はIBD(投資銀行部門)より狭き門といわれる外資系投資銀行のマーケット部門は、ストラクチャリング、セールス、トレーダー、クオンツなどさまざまな部署に分かれています。
その中でも今回は債券セールスがどのような働き方をしているのか、そしてどんな人が求められるのかを説明していきたいと思います。また、末尾には過去の先輩たちが投資銀行の債券セールスインターンに参加した選考体験記がありますので、是非ご覧ください。
債券セールスのお仕事とは
「金融商品を活用した、投資運用の提案および執行をするお仕事です」 機関投資家とは銀行・地銀・アセット・マネジメント企業(以下AM)・信託・生損保・年金・お米屋(農林中央金庫の俗語)など、預かった資産(預金など)を金融商品で運用しているプロ投資家のことを指します。
債券セールス部門ではそんな機関投資家のために円債(日本国債(JGB)や社債)や外債、仕組債やスワップ、オプションなどを売買します。
こういった商品にはフロー商品とノンフローの商品があり、ノンフローはストラクチャリングが設計して作る仕組債(一部流動性の低い社債を含む場合も有)、フローはマーケットで常時流通している債券・株のことをいいます。
債券セールス部門は大手金融法人・地方銀行・事業法人と顧客ごとに更に部署が分かれていることが一般的です。地方銀行・事業法人はノンフロー商品の売買が中心、大手金融法人はフロー商品の売買が多くなっており、プロダクトでも外債・国内債と大まかに分かれています。
セールスは各々顧客を持っており(動物や食べ物の隠語で語られます)、バンク・生損保・AM・信託年金など大まかに1つのジャンルを1人が担当することが多いようです。
フローの商品はどこの投資銀行や証券会社でも共通して売買されていますし、ノンフローの仕組モノであったとしても、どこの投資銀行でもだいたい仕様は似ています。
よって売買してもらうためには、顧客との深いリレーションシップを築くことが最重要とされており、 投資銀行の中で最も個人としての人間力が試される部署 といえます。
※株式と比べると債券はポートフォリオの組み方が重要視されることから、より運用の観点が求められることも特徴です。
一日の流れ
債券セールスの朝は早く、前場開始前に出社します。
特に円債担当のスタートは早く、7:30-8:30の間に朝会があることが多いそうです。
そして、朝会ではセールス・トレーダー・リサーチアナリストが集まってそれぞれ持っている情報をシェアします。
把握する情報としては引けのニューヨークの概況・前日の市場から、お客さまの引き合い状況、イールドカーブまで共有することでマーケットの状況を把握します。
それに対し、外債はロンドン市場が開いたときからが本格スタートなので、朝会等を終えると午前は前日のレポートをお客さまに報告することに費やされます。
円債、外債共に共通する点は「トレーダー」との関係性です。
朝会で情報を把握するとトレーダーはどういったポジションを取りに行くかを考え、セールスは情報をお客さまに電話で伝えます。
このため、トレーダーとセールスの結びつきは非常に強く、「セールス&トレーディング」といった名目で採用を行う会社もあるほどです。
場が始まったら、お客さまの売買注文をトレーダーに伝え、クオート(bid/offer=売値・買値のこと)を貰い、セールスクレジット(セールスの取り分)を乗っけてお客さまに話すといったプロセスになります。(フロー商品の場合はお客様も何社かにクオートしていたり競争が厳しいので、セールスクレジットを乗せたコートをするのはごく稀)
フローの場合は、 この売買執行を迅速かつ正確無比に実行する ことが求められます。
成立した取引はブッキング(どういう注文が成立したかを各社独自で持っているシステムに入力)して、あとはバックオフィスの仕事になります。
場が終了するまではちょっとした戦場です。会社によってはトレーダーとセールスの業務場所が近いため、トレーダーとセールス間でも怒鳴り合いの声も聞こえますし、新人がダッシュでフロアを駆け巡る風景も日常茶飯事です。
特に新人のうちは雑用を積極的に引き受ける ことが求められます。
外銀は懇切丁寧に教える文化はありません。そのため、上司や先輩の方法を聞いたりやり方を横でマネしながら、入社3ヶ月~6ヶ月くらいで顧客を持たされるまでひたすら修行します。
外債の場合はニューヨーク時間が開くまで席にいることが多くなります。雇用統計など重要な情報の際は、0:00近くまで残って市場動向レポートを作成・送付することもあります。
新人のうちはどうしてもお客さまの方が知識・経験共に豊富なので、 マーケットの動きについて私見を述べるよりは、要望に対してリサーチレポートを紹介したり、誰よりも早く情報を提供する ことが付加価値になります。
接待
お客さまに本日の市場概況を説明し、ブックキープが終わりましたら、その後はざっくばらんに運用ニーズをお客さまから聞く「接待」となります。
「接待」といっても一般的な日本企業のものとは異なります。具体的にはセールスの接待は「顧客の投資ニーズを探る」ことに重きを置いているため、華やかな会というよりは顧客のニーズを時間の制限なく聞ける場として活用されます。
債券セールスに配属されても最初は運用に対する知識もないことでしょう。しかし、それでも顧客は自分の資産がかかっていることもあって手加減はしてくれません。
そのため、入社当時は任される顧客の会社に対するプレゼンスが小さいか、メンターのような社員について活動することとなります。
ある程度はポートフォリオの組み方やプロダクトの知識がないと提案が成功しないのが債券セールスです。
どういう人が求められるのか
自律心
時々刻々と様相が変わるマーケットの世界に放り込まれるわけですから、日々自己改善できる自律心の強さは求められます。
冷静さ
常に動くマーケットでは、冷静さが重要になってきます。
日々成果が数字として出るマーケットのセールスとして、結果が良くない時もあるでしょう。そんな時に焦ってさらに悪い方向にいくのではなく、冷静に自分やマーケットを客観視できる力もかなり重要になってきます。
他を気遣う心
コミュニケーション一つ一つにおいて、細やかな気遣いができることが重要です。
自動車メーカーのように具体的なモノがあるわけではなく、商品での差別化が難しい以上、 評価されるのはセールスの才能も含めた人間性 です。
人間性と一口に言ってもガンガン売り込むだけがセールス向きの人間性ではありません。
時には冷静に、時には感情的に顧客を説得できる人が好まれるのではないでしょうか。
探究心
セールスに限らず、金融業界では、 昨日知らなかった知識でも今日には語れるくらい 情報をキャッチアップする能力が必要です。
また、直接業務とは関係のない関係づくりのための「接待」もあることにはあります。
そのため、お客さまの趣味について情報収集をする探究心も、可愛がられるためには必要かもしれません。
英語力は必要か?
学生の皆さんは外資系投資銀行のマーケッツチームでは、英語力が必須と考えている人も多いかもしれません。
しかし、 学生の時点で求められる英語力は必ずしも高いわけではありません。 扱う資産(円債や外債)にもよりますし、担当顧客にもよります。日本チームであれば、顧客は基本的に日本人であることが多いため、英語を常に使い続けているというわけではありません。
だからといって、英語力はゼロでも良いというわけではありません。外債などは基本的に情報収集を英語で行いますし、トレーダーが海外の方という場合も少なくありません。そのような場面では、英語を使う必要があります。
ですから、 今完璧である必要はないですが英語への耐性や努力しようという姿勢 があれば十分に戦えます。
給与はどの程度もらえるのか
ボーナス込みの年収(万円)ですと、
1年目で750-900
2年目で800-1000
3年目で1200-3000
くらいが標準ではないでしょうか。
(もちろんファームや景気によっても違います) (参考 キャリアトレック)
他の部門と比べても個人の成績によるボーナスによって大きく年収が変わるのも魅力の一つと言えます。
早めに資産を築き、アーリーリタイアメントということで、30代で退職→自由に生きるといった方も見受けられます。
新卒採用について
ここでは、債券セールはどのような過程をへてどれくらいの人数採用されるのか説明していきます。
外資日系関わらず、マーケッツの場合は採用の時点で株式か債券か決まった状態で採用される場合が多いです。 所謂デスク採用というものです。
さらに、外資系の場合はインターンからの採用がほとんどです。最近は日系のマーケッツでも、インターンからの優遇で枠がかなり埋まってしまうことが多いようです。
インターンについては、初めから債券チームのインターンorマーケッツ全体のインターンから株式・債券それぞれで適性のありそうな学生を選ぶという形式があります。
インターン以降は、ランチ面談などを通して選考に入りスーパーデイなどの難関を突破して内定にいたります。
人数に関しては基本的に各社多くとも数名で、24卒に関しては1人もしくは2人の企業が多く、 相当の狭き門であることがわかります。 能力だけでなく、企業とのマッチ度や運のような要素も出てくるかもしれません。
面接で気をつけなければいけないこと
面接は他の部署に比べセールスが一番厳しいと思います。
身なりに気を配ることもさることながら、 人事からの電話の受け答えであっても、常に気を抜かないこと をおすすめします。
インターン中などは服装や休憩時間の言動でさえ、すべてチェックされているといっても過言ではありません。謙虚に礼儀正しくいきましょう。
また、多少の誇張はあってもウソはいけません。自分の経験から志望動機へ違和感なくつなげることが重要です。
債券入門書
債券取引については以下の本が秀逸です。イメージを膨らませておくためにも、1冊程度読んでおくことをおすすめします。
債券取引の知識 第2版
堀之内 朗 (編集), 武内 浩二 (編集)
日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
(Amazonで詳細を見る)
新・債券運用と投資戦略
太田 智之 (編集)
金融財政事情研究会
(Amazonで詳細を見る)
グロ-バル債券投資の理論と実務
債券市場研究会 (編集)
金融財政事情研究会
(Amazonで詳細を見る)
現代社債投資の実務 第3版: 社債市場の現在を考える
マネタリー アフェアーズ現代社債投資研究 (編集)
財経詳報社
(Amazonで詳細を見る)
だれも書かなかった一般債取引入門: キャリア15年の現役トレーダーが一般債のすべてを教える (パンローリング相場読本シリーズ 20)
安田 秩敏 (著)
パンローリング
(Amazonで詳細を見る)
巨大投資銀行(上)
黒木 亮 (著)
サウンズグッド カンパニー
(Amazonで詳細を見る)
I-bakerが主人公の黒木氏の名作ですが、トレーダーやセールスも出てくるので投資銀行全体を把握する上でオススメの小説。
外資系投資銀行の現場 改訂版
西村 信勝 (著)
日経BP
(Amazonで詳細を見る)
ご存知、投資銀行の全貌解説書。業界研究にぜひ。
狭き門なので事前に入念な対策をしよう
以上、債券セールスのお仕事をざっと見てみました。 大事な資産を投資し、金融商品を「あなた」から買うというのは、お客さまから全幅の信頼をおかれているという証左 です。
地頭のみならず人間力も大きく問われる仕事ですし、募集人数もプロダクトごと1名ずつくらいの狭き門ですが、十分な報酬とやりがいを得ることができます。
ただこの仕事を始めると、 いい暮らしができる代わりに様々な副作用 が生じます。
落とし穴にはまらないよう、十分にご注意ください。
ゴールドマン・サックス 21卒 本選考レポート
バンク・オブ・アメリカ 24卒 夏インターンレポート
モルガン・スタンレー 23卒 夏インターンレポート
シティグループ 21卒 本選考レポート
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