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目次
投資銀行の就職活動には業務内容の理解が必須
こんにちは、外資就活 金融チームです。
【面接で合理的に説明できる?】26卒向け、投資銀行の仕事内容解説でもみたように、一口に投資銀行といってもその業務内容は部門によって大きく異なり、しかもいずれの業務も非常に高度な専門知識を要します。実務を経験したことのない私たちからすれば投資銀行の業務などなじみがあるはずもなく、いざ学ぼうと思ってもとてもとっつきにくさを感じると思います。
それでも業務内容について知るべきなのは、実務の中に就職活動に生かせるヒントが隠されているからです。単純に選考を通過するためにはもちろん、自分が本当に投資銀行に適性があるか・本当に投資銀行で働きたいかを見極めるためにも業務内容を知ることは必須です。
そこでこの【投資銀行部門別解説シリーズ2】では、投資銀行フロントオフィス(資本市場部・投資銀行部・債券部・株式部)のうち債券部と株式部(マーケッツ)の業務内容をより詳しく解説していきます。
※資本市場部と投資銀行部(IBD)について解説した以下のコラムも併せてお読みください。
【投資銀行部門別解説シリーズ1】資本市場部・投資銀行部がやっていること【26卒必見】
機関投資家の運用をサポートするマーケット部門
セールス・トレーダー・リサーチの協業関係
債券部と株式部はセカンダリー市場において機関投資家に運用のアドバイスを行っており、マーケット(債券部と株式部を合わせてマーケッツ)とも呼ばれます。
マーケット部門は銀行、保険会社、資産運用会社、ヘッジファンドなどをはじめとする機関投資家を顧客に持ち、彼ら債券・株式による資産運用のサポート(売買の執行や投資情報の提供など)をすることで収益を上げています。
マーケット部門には主にセールス・トレーダー・リサーチの3つの職種が存在し、それぞれの役割は以下のようになっています。
トレーダー…セールスが獲得した売買注文の執行をする
リサーチ…機関投資家やセールス、トレーダーに、商品や投資判断に対する意見を提供する
その他にも金融商品を開発するストラクチャリングなどがあり、各職種が相互に協力しながら機関投資家の資産運用をサポートしています。
債券部と株式部は似て非なるもの
同じマーケットでも、債券部と株式部ではその業務が大きく違います。これは債券と株式の性質の違いから生まれるものです。
例えば、債券セールスと株式セールスはほとんど関わらないこともあるというように、かなりの違いがあるようです。
以下では、扱う商品や取引手法の違いから生じる業務の特徴にフォーカスを当てて両部門の職種を解説していきます。同じセールスやトレーダーで、商品間でどのような違いがあるかに注意を払いながら読んでみて下さい。
債券部:債券のセールスやリサーチ・トレーディングを行う
債券部は主に日本国債や米国債を扱い、これらの商品の販売・仲介・開発などを担って手数料収入を得ています。
債券トレーダー:銀行や保険会社との取引で収益を得る
債券のトレーダーは、銀行や保険会社の間で行われる債券の売買を仲介する仕事をしています。
債券の取引は、株式と異なり不特定多数が参加する市場を介しません。従って、債券を売りたい人と債券を買いたい人が直接取引をする必要があり、この仲介を債券トレーダーが行います。
注文を受けた価格と実際に売買をした価格の差額が収益に
売買手数料を受け取っている株式トレーダーと異なり、債券トレーダーは注文を受けるだけでは収益につながりません。これは、債券のトレーダーは売った額と買った額の差で収益を上げているためです。従って、顧客から買い注文を受けた際にはなるべく高額で売り、逆に売り注文を受けた際にはなるべく低額で買い取る必要があります。
また、債券は株式と比べて1回の取引額が非常に大きく、わずかな価格差であっても大きな収益や損失につながります。そのため株式のトレーダーよりも大きな収益を生む傾向がある一方で、非常にプレッシャーの大きな仕事となります。
債券セールス:圧倒的な営業力で顧客と信頼関係を築く
債券セールスの仕事は、債券部が扱う商品の売買の注文を顧客から取り付けることです。債券には市場がないため、いつ・誰が・いくらで売り買いしているかが見えづらいという特徴があります。従って、債券セールスには債券の売り手と買い手の橋渡しをすることが求められます。
自社トレーダーに有利な売買をできるように顧客と信頼関係を築く
上で述べたとおり、トレーダーが収益を上げるためには、顧客から買い注文を受けた際にはなるべく高額で売る必要があります。
しかし顧客は当然より安い価格で債券を買いたいと考えるので、もし複数の証券会社から値段を提示されれば、顧客は最も安い価格を出した証券会社から債券を購入します。
「取引」のしくみを考えれば片方が得をすれば片方が損をするのは自然なことです。債券のトレーダーが高い価格での買いの注文を受けて収益を上げることは同時に銀行や保険会社にいる債券トレーダーが損をすることを意味します。
このためセールスには、顧客が損をしてでも高い価格で買いの注文を出してくれるような信頼関係を築く営業力が求められます。しかし、損をすることを顧客がそう簡単に納得するわけもありません。顧客が納得できるような、長期的な視点なども含めた説明ができることが重要になってきます。
また、顧客と最も密にコミュニケーションをとるのもセールスです。そのため、彼らの動向を聞き出してトレーダーに伝えて、自社の債券トレーダーが豊富な情報をもとにより有利にトレーディングを行えるように努める必要もあります。
クレジット・アナリスト:債券市場の分析を行う
クレジット・アナリストは日本国債や米国債、金融機関債など特定の銘柄の価格や信用性を分析します。これらの債券の価格は金利の動きに連動することが多いため、各国の金利の動きを予想することなどがクレジット・アナリストの仕事になります。
クレジット・アナリストとストラテジスト
クレジット・アナリストは個別の銘柄の専門家です。これに対し、為替や金利、株式指標などのマクロ経済指標を包括的に分析して、投資家に投資戦略のアドバイスをするストラテジストと呼ばれるリサーチャーもいます。
クレジット・アナリストは個別の銘柄について分析するため、投資家に包括的な投資戦略をアドバイスすることはできません。そのため、顧客はまずストラテジストと投資全体の戦略、つまり各資産(債券・株式・不動産など)にどのくらい投資するかについてディスカッションします。そのうえで、クレジット・アナリストや株式アナリストらの意見を聞いてどの債券や株式に投資するかを検討します。
このほか、世界全体の景気動向を分析するエコノミストなどもいますが、債券部や株式部とは独立して活動していることもあります。
株式部:株式のセールスやリサーチ・トレーディングを行う
株式部は、上場会社の株式から非上場株、「株式デリバティブ」まで株式に関連する幅広い金融商品の売買執行と開発を行って手数料を得ています。
株式トレーダー:複雑な手法を駆使し株式売買を執行する
株式部のトレーダーは、顧客から受けた株式の取引の注文を執行する仕事を担っています。ヘッジファンドなどからの株式の売買の注文を受け付けて、日々膨大な売買を処理する職業です。
株式トレーダーの収益源は売買手数料
債券のトレーダーは売買の差額から収益を得ていますが、株式のトレーダーは取引額や取引手法に応じたトレーディング・フィーを受け取ります。
このように書くと簡単に見えるかもしれませんが、資産運用会社などの大口注文をする投資家は、様々な注文方法を利用します(個人投資家が株式の売買の際に利用する方法は、成行・指値・逆指値の3種類です)。債券と異なり、株式においては複雑な注文手法の場合はトレーダーのスキルによって売買の金額が変わります(指値や逆指値の場合は変わりません)。当たり前のことですが、投資家が自分でトレーディングせずに証券会社のトレーダーに依頼するのは、自分たちよりも高いトレーディング技術を持っていると期待しているからです。
このため投資家からの注文はトレーディングスキルの高いトレーダーに集中し、安く買えたり高く売れたりしないと他の投資銀行のトレーダーに顧客を奪われることになります。
株式セールス:アナリストの情報をもとに株式売買を引き出す
株式部のセールスは、投資家とコミュニケーションをとって株式の売買を促す仕事です。
各業界のアナリストの情報を集約して投資家に伝える
当然のことですが、投資家は「自動車業界に投資する投資家」というように業種ごとに分かれておらず、各業界の動向を包括に把握したうえで投資判断をします。一方で、後述するように、株式部のアナリストは各セクターごとに専門特化しています。
このため株式部のセールスには、自社のアナリストたちと密にコミュニケーションをとり各セクターの情報を総合的に判断したうえで、どの業界のどういった企業に投資するのが良いのかを投資家に伝えることが求められます。
セールス・トレーダー:セールスとトレーダーのハイブリッド
セールスの中には、セールスとトレーダーの中間的な職業であるセールス・トレーダーという職業があります。
セールス・トレーダーは、アナリストから獲得した情報をもとに資産運用会社などに電話をかけて株式の売買を促しますが、もし発注があれば自ら売買を執行します。簡単に言えばセールスとトレーダーを兼ねている職業です。
しかしながら、先に述べたようにトレーディングにはさまざまな手法があります。そのため、難しい方法での注文を受けた場合はトレーダーに引き継ぐこともあります。
アナリスト:緻密な分析に基づいて投資のアイディアを提供する
株式部のアナリストは、株式アナリストまたはファンダメンタル・アナリストと呼ばれます。株式アナリストは、クライアントである投資家に対して投資のアイディアを提供して、トレーディングを促す役割を担っています。
アナリストの収益源は自分が書いたレポートです。具体的には、担当企業を取材して投資判断のためのレポートを書き、それを投資家に買ってもらうことで収益を上げます。
1人のアナリストが担当するのは同一業界に属する5~10社程度ですが、その分緻密な分析を行います。例えば自動車業界のアナリストであれば、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業株式会社、SUBARU、デンソー、アイシンなど10社程度をカバーし、IR(Investor Relations・企業の株主対応部門)へのヒアリングやインターネット・リサーチ、財務分析、業績予想・株価予想を行います。
また、これらの企業の業績や株価の変化についての意見を投資家に提供したうえで、顧客が投資判断を行う際のディスカッション相手にもなります。
マーケッツ部門全体の特徴
就活生の皆さんは、マーケッツ部門に関してどのようなイメージを持っていますでしょうか?上記で述べたように、個々のパフォーマンスがそれぞれ評価され、シビアな世界だと考えていると思います。実際間違いではなく、セールス、トレードともに毎日自分がどれだけ取引をして、収益を生み出したのか目で見えるため、評価がわかりやすいです。
しかし、それだけではありません。マーケッツは基本デスクという区切りで分かれており、債券・株式の中でも複数のデスクに分かれていることがあり、そのデスク全体の収益目標が設定されている場合があります。実際、リーマンショックがあった時には、個人ごとの優秀さなどに関わらず成績の良くないデスク丸ごとレイオフということも起こっています。
したがって、個人プレイだけでなく、団体戦の要素も含んでいるのです。時には、各個人でカバーし合うことも重要になってきます。
また、アナリストに関しても毎年各社の評価がランキングとして発表されることもあります。より有益な情報を提供したと判断された企業は、翌年も情報を得る企業として選ばれやすくなり、顧客との関係も良くなります。逆に、評価が下がってしまった場合は挽回するためさらなる努力で情報を提供する必要があります。
職種から生じる違いと商品から生じる違いの両方にフォーカスを当てよう
いかがでしたでしょうか。
投資銀行を知り始めた学生は、「セールス」や「トレーダー」など職種の違いに気を払う一方で、商品の違いをあまり意識していないと思います。
例えば同じトレーダーでも収益構造は全然違います。トレーダーに対し「一度の取引で大きな収益をあげたり、逆に多大な損失を出したりする」といったイメージを抱いているならば、それは株式トレーダーではなく債券トレーダーのイメージでしょう。
このように、債券と株式の商品や取引方法の違いを意識しながらそれぞれの職種について知っていくことで、間違ったイメージを抱くことなく就職活動ができると思います。
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