自社で製品を手掛けられるメーカーへ/ストレスを感じにくい日系でSEに。技術に加え環境にもこだわった就活
2022/08/08
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特集「ジョブ型時代の就活とキャリア」第3回では、前回に続き、就活初期に「コンサルティングファーム」を志望していた23卒学生に話を聞いた。
「コンサルへ行くとほぼ決めていたのですが、学内で行われた企業説明会を聞いて、こちらの方が自分のやりたいことができるかもしれないと思ったんです」と話すのは、日系メーカーのエンジニアに進路を決めた、理系大学院生の藤岡一成さん(仮名)。
また、日系SIerに就職を決めている政治学系学部の学生・足立英一さん(仮名)は「コンサルに内定をもらったのですが、仕事についていけるか不安でした」と語る。
技術を軸にした進路を検討しつつ、「本当にやりたいこと」「自身の資質」にも真摯(しんし)に向き合い、自分にとってのベストを追求した2人の結論を掘り下げた。【南部香織】
◇ジョブ型とは何かについては、こちらの記事を参照ください
※内容や肩書は2022年8月の記事公開当時のものです
1. 【CASE3】自由で多様性のあるカルチャーの中、自ら手掛けた製品と技術で人々の生活を豊かにできるメーカーへ
2. 【CASE4】競争や強いストレスがかかることが苦手。自分の資質を考え、日系SIerを選択
【CASE3】自由で多様性のあるカルチャーの中、自ら手掛けた製品と技術で人々の生活を豊かにできるメーカーへ
――修士1年生の年明けの段階で、ほとんどコンサルティングファームに行くと決めていたんですよね。
藤岡:はい。修士1年の秋ぐらいからコンサルティングファームがいいなと思い始めて、選考を受けました。年明けにはコンサルの内定が出そろって就活を終えようと思っていたところ、偶然大学主催の合同説明会に、最終的な進路として選んだ日系メーカーが来たんです。
話を聞いて、こちらの方が自分の求めている条件に合うんじゃないかと思って選考を受けたら内定をもらえました。技術を理解した上で、製品の用途と機能を決めるエンジニアの職種に就きます。
――その出会いがなければコンサルに行っていましたか。
藤岡:行っていたでしょうね。あれが就活の転換点だったと思います。
――就活はいつごろから始めたのですか。
藤岡:企業説明会などに参加し始めたのが修士1年の4月ですが、実質きちんと就職活動をするようになったのは、サマーインターンへの応募が始まる6月ぐらいです。サマーインターンは外資系・日系の消費財メーカーや化学メーカーに応募しましたが、中堅の化学メーカー1社だけ受かって、参加しました。
消費財・化学メーカーを受けたのは、単純に自分の専攻が化学で、研究を仕事にするのもいいなと思ったからです。その時、選考には落ちましたが、とある外資系の消費財メーカーに魅力を感じました。理由は3つあって、主体的に挑戦できる、多様性を尊重する自由な文化、スキルが付きキャリアの幅が広がること、でした。これが就活の軸にもなっています。
――コンサルを志望し始めたきっかけは、何だったのですか。
藤岡:同じような要素を持っている業界を探したところ、コンサルかなと。その時、大学院の副専攻で機械学習やデータ分析、AIを学んでいたのですが、それが楽しかったので、データ系やテクノロジー系のコンサルタントを見るようになりました。関連してデータサイエンティストも少し見ていましたね。
――しかし、最終進路の日系メーカーの方がいいと気持ちが変わったんですね。
藤岡:はい。先ほど申し上げた就活の軸が満たされることに加えて、自社で手掛けた技術と製品で世の中の人々の生活を豊かにできるという点が魅力でした。それはコンサルではかなわないので。さらに、待遇や勤務地の面でも遜色ないと感じたからです。最終進路のメーカーでは、勤務地が確約されており、海外で働くチャンスもあります。
――他のメーカーは当てはまらなかったのでしょうか。
藤岡:そうですね。特に最初にあげていた就活の軸が、最終進路のメーカーが最も合致していました。全てのメーカーを見たわけではないですが、いくつか他のメーカーの選考も受けて内定ももらった上で、最終的にそう判断しています。
――先に内定をもらっていたコンサルとは悩まなかったですか。
藤岡:やりたかったデータ分析系のコンサルができ、かつカルチャーの面でも拮抗(きっこう)していた、あるファームとは、最後までかなり悩みました。最終的にはほとんど感覚的なものですが、コンサルの上昇志向が若干強すぎる気がして、働きやすさの面でメーカーを選びました。
――最後に、後輩たちにアドバイスをお願いします。
藤岡:私は、実際に企業の中で働いている人の声を聞くことを大事にしていました。さらにそれをうのみにしないで、自分はどう感じるかを考えていましたね。情報を自ら取りに行って、これでいいのかと自問自答しつづければ、最終的に良い就活になると思います。
【CASE4】競争や強いストレスがかかることが苦手。自分の資質を考え、日系SIerを選択
――就活活動を始めた時期はかなり早いですね。
足立:就職活動は大学2年生の2月から始めました。一般的にはかなり早いですが、所属しているサークルの仲間たちが比較的意識が高いといわれる層だったので、影響されたところが大きいです。
その仲間たちから「頭がいいから向いているんじゃない」と言われたのが、コンサルに興味を持ったきっかけです。
――本格的に志望しようと思った理由を教えてください。
足立:社会人になってやりたいことがまだ分からなかったので、一度コンサルタントになって幅広い業界を見た後で転職するという流れを考えていました。やりたいことを見つける猶予期間にするためにコンサルタントを目指したという形ですね。
――他には日系SIerも志望していたんですね。
足立:自分の強みを生かしたいという思いもあったからです。大学で統計学のゼミに所属していてデータが扱え、コーディングも少しできるので、日系Slerも志望に入れていました。
――コンサルに内定をもらったものの、かなり悩んだそうですね。
足立:内定をもらった当初はすごくうれしくて、コンサルタントとして頑張っていこうと思ったのですが、サマーインターン参加時に感じた不安感を拭えなかったのです。
――例えばどんなことでしょうか。
足立:インターンで話をした現場のコンサルタントの方が、非常に頭が切れる印象で、自分が一緒に仕事をした時に、ついていけない気がしたんです。不安というよりも恐怖に近かったかもしれません。
また、ゼミの先輩に実際にこの企業で働いている方がいて、話を聞いてみたんです。そうしたら、もちろんやりがいもあるし年収も高いけど、その分激務だよと言われて……。
年明けには、そのコンサルや日系SIerも含め内定が出そろっていました。そこで、自分の気持ちや資質を考え、どこを選ぶのかを再検討することにしたんです。
――悩んだポイントは、コンサルに就職してついていけるかどうかという点だったのでしょうか。
足立:そうなります。実際に内定後に社員さんから、入社後3年間で新卒社員の半分ぐらいが退職してしまうというのを聞き、ますます不安になりました。
ただ、競争は苦手だけれども、コンサルで生き残れたら成長できて一皮むけそうだという気持ちもありました。そこで、本当に耐えられるかどうかを自問自答したんです。
――具体的にどんなふうに取り組んだのでしょうか。
足立:自己分析を再度行いました。その際、自分の人生を振り返ったのですが、プレッシャーが強くかかるとコンディションが悪くなるということが分かったんです。また、複数の選択肢から決断する時も、強いストレスがかかることは選んできていません。
悩みましたが、インターンを通して内定をもらった日系SIerを選ぶことに決めました。日系大手の“和”を重んじる社風に引かれたこともありますし、ストレスを感じにくい環境で、じっくり自分の適性を見極めたいと思ったからです。挑戦の機会が豊富な上に、仮に成果が出せなかった時も、居づらくなりにくいだろうとも考えました。
総合職採用ですが、内定後の面談でデータサイエンティストよりのSEになる予定と言われています。
――最後に後輩たちにアドバイスをお願いします。
足立:人気の高い業界や職種に就きたいというのは私もよく分かります。よく考えた上で、行くと決めたらそこで頑張るしかないと思います。
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