資格勉強→遅れて就活開始した学生と、大学院で学歴アップを検討する学生。コンサルを辞退し独自の選択をしたそれぞれの理由
2022/08/10
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就職活動に正解はなく、行われる選択は千差万別だ。この特集では、第2~4回と、就職活動初期にコンサル業界就職を視野に入れていた先輩の就活体験を紹介してきたが、今回はその中で、“王道”からやや外れた理由でコンサルを辞退した、2人の話を紹介したい。
1人は、資格試験の勉強がうまくいかず、一時フリーターを覚悟しつつも就活で巻き返し、最終的にはニッチな会社を選んだ先輩。もう1人は、コンサル2社から“ある指摘”を受け、大学院進学を考え勉学に励む先輩だ。特集「“ジョブ型”時代の就活とキャリア」第5回では、二人の経験を基に、キャリア選択において、自分で納得がいくまで考え抜く重要性を伝えたい。【橘菫】
◇ジョブ型とは何かについては、こちらの記事を参照ください
※内容や肩書は2022年8月の記事公開当時のものです
1. 【CASE8】一時フリーターを覚悟も“120点“の就活。BIG4の内定辞退→ニッチな事業会社を選んだ決め手は「勘定科目」?
2. 【CASE9】コンサルティングファーム人事から、学歴不足を指摘され……。将来を見据えて院進学を視野に勉強に励む学生
【CASE8】一時フリーターを覚悟も“120点“の就活。BIG4の内定辞退→ニッチな事業会社を選んだ決め手は「勘定科目」?
――就職活動を始めたのは学部3年の3月なのですね。
本間:はい。長年、公認会計士を目指して勉強をしていたのですが、うまくいかなくて。3月1日の就活解禁日を迎え、自分も就活をやってみようと、始めました。
ただ、他の人より遅れているという自覚はあり、人と違う戦略をとらないと内定は取れないだろうと考えていました。“ジョブ型雇用”を意識し、会計士の勉強をしていたという強みが生かせるようなところを受けようと思いました。
――具体的にどのようなところを受けたのですか。
本間:3月の就活開始当初は、メーカーの経理職を狙っていました。大企業の監査をする会計士を目指していたことから、大きな企業で働きたいという前提があり、その中でメーカーは選考開始時期が遅い印象があったからです。
しかし、実際に受けてみると、メーカーで経理職の“ジョブ型雇用”をしているところはごく一部でした。総合職として他の方と戦うには“ガクチカ”が“弱く”、厳しいなと感じて……。
――“ガクチカ”が“弱い”とは、どういうことでしょうか。
本間:そもそも結果が出ていない(公認会計士試験に合格していない)のもありますし、一人で資格試験の勉強をしていたことが、“ガクチカ”として評価されにくいのです。
例えば、実際にある事業会社の選考過程で勉強の話をした時には、「君みたいな人を評価してあげたいんだけど、“ガクチカ”はチームプレーで困難を乗り越える話が欲しいよね」と言われました。
そのような苦労をしつつ、4月終わりごろからコンサルや金融に応募し始めました。このころは正直、どこでもいいから内定をいただきたいという焦りの気持ちが強かったです。
――コンサルを受けてみてどうでしたか。
本間:“ガクチカ”より地頭が評価されるような選考が、僕にとってはやりやすかったですね。また、監査法人を擁しているBIG4では、会計の勉強も評価していただき、順調に進みました。
最終的に5月末には、BIG4のコンサルティングファームと、研究内容に近しい領域の事業会社の事務系総合職、独立行政法人から内定をいただきました。コンサルと事業会社で迷ったのですが、結局後者を選び、就活を終えました。
――どのような点で迷い、どうして事業会社を選んだのでしょうか。
本間:そうですね……。まず、迷った点ですが、コンサルティングファームは、業務自体にも興味がありましたし、選考過程で出会った人がかっこよくて魅力的でした。また、会計士を目指していた身として、BIG4で働くことにも強い憧れがありました。
しかし最終的に、コンサルを選ばなかった、というより事業会社を選んだ理由としては複数あります。
まず大きかったのは、この会社の事業と自分の研究がマッチしていたこと。自分は、ゼミで、ある勘定科目について研究をしています。これは特定の事業を持っていないと使わない珍しい科目なのですが、内定先はまさにそれを主事業としていて、当該勘定科目も決算数値に大きな影響を与えるような状態だったのです。
さらに、とても“偉そう“な言い方になってしまうのですが、近年大量に採用されているコンサルタントより経理職の方が、相対的に専門性を高めやすいと感じたからです。内定先は事務系総合職ではありますが、OBの方などと話していて経理職に配属となるだろうということでした。
また、一般的にはあまり知られていないですが、ニッチな領域でプレゼンスを発揮している会社であること、少人数採用で一人一人メンターが付いてしっかり育ててくれること、海外転勤の割合も多く、経理職のようなバックオフィスも含め、8割以上の社員が海外転勤をするような文化がある、といったところも魅力的でした。外資系企業でも、なかなかそこまでの割合はないですよね。
――スロースターターで焦りもあったとのことですが、最終的に満足のいく結果になったのですね。
本間:はい。もう100点満点で120点の結果だと思っています。会計士になれず、もしかしたらフリーターになるかも、と覚悟したこともありましたから……。運が良かったです。
一方で、プロセスには反省点があります。就活開始して最初の1カ月ぐらいは、エントリーシートの書き方も分からず、足踏みしていたんですよね。その間に締め切りが過ぎたところもたくさんあったので、もったいなかったと思います。
また、“ガクチカ”も、勉強していたことだけを話していたのですが、先に述べたようにそれでは“弱い”と分かってから、アルバイトを通じてチームでやりがいを感じたエピソードを話すようになりました。僕は会社の一メンバーとして目標のために努力していく方がやりがいを感じるタイプで、仮に会計士に受かっていても監査業務は選ばなかっただろうと思っていますので、最初からその志向性を説明できていたらよかったとも思います。
――最後に、経験を踏まえて後輩に伝えたいことはありますか。
本間:視野を広げて、幅広い業種・業界を検討してほしいですね。どうしても、名前が知られている企業ばかりにエントリーしがちですが、例えば繊維や鉄鋼などの領域で、BtoBの知られざる優良企業はたくさんあります。
自分自身、「そういえばゼミで研究していたな」というくらいの気持ちで関連する事業会社に応募してみたことが、素晴らしいご縁となり、そこに進むことになりました。まずはそのように、自分の人生に接点がありそうな会社を調べてみるのがいいのではないでしょうか。
【CASE9】コンサルティングファーム人事から、学歴不足を指摘され……。将来を見据えて院進学を視野に勉強に励む学生
――コンサルティングファームをはじめ、複数社内定を得ているのに、大学院進学を考えているのですね。
金子:はい。きっかけとしては、ある戦略コンサルティングファームの選考が進んだ段階で、「ケース面接の結果とあなたの今の学歴が見合っていない」と説明いただいたことです。
私の学歴では、ファームの代表としてクライアントの前に出すと、信頼関係を築くのにおそらく時間がかかるだろうと。例えば海外大学に進学するなどして、現地のファームに就職するといいことなどを助言いただきました。
私としては、理由が分からない“お祈りメール”が来るだけより、直接説明いただいたことがありがたく、真摯(しんし)に受け止めました。
――そんなことがあるんですね……。
金子:はい。実は、別のコンサルでも、選考が進んだ段階で同じような指摘をいただいたのです。そこでも、「入ってからMBAを取るなどの選択肢もあるが、いろいろなボトルネックがあるので、今のうちに大学院に行っておくといい」といった説明をいただきました。
一応自分でも、信頼するOBやOGに話を聞いてみて、話の裏付けをしつつ相談したのですが、「もうそれなら学歴を変えちゃえば」と言われることもあって。自分自身も研究で賞を取るなど結果を出していたので、より高い学歴を目指し、進学するのもいいかも、と思い始めました。
――それまでの就職活動の流れを簡単に教えてください。
金子:夏のインターンでざっくりと業界を絞り、秋冬で職能を絞っていきました。
夏のインターンでは興味のあるところ、保険会社や証券会社、ベンチャーなど、15社ぐらい参加しました。そこで、例えば金融業界は自分の価値観と合わないなとか、ベンチャーは自分の得意分野と、その会社のフェーズがフィットしていないといけないな、といったことを学んでいきました。
また、いわゆる日系らしい気風の会社は合わないと感じるようにもなりましたね。大手メディアの記者職2社に最終面接まで進み、自分としても記者職は向いているし、魅力的だと感じたのですが、性格が年功序列型のカルチャーにどうしても合いませんでした。
――職能としては、どのあたりが得意分野だと感じたのですか。
金子:職能という観点では、自分は情報の収集・分析などが得意そうで、具体的な職務でいうとマーケティングや営業企画に近いところが向いているのでは、と感じるようになりました。夏に一度志望業界を絞りましたが、職能を明確にしたことで逆に志望業界が広がりもしました。
最終的にベンチャー2社と総合系のコンサルティングファームに内定をいただいたのですが、全て辞退して、今に至ります。
――その中でコンサルティングファームを受けたのはなぜですか。
金子:コンサルティングファーム、特に戦略系を狙っていた理由の一つは待遇の良さです。両親の介護をしていて、両親のためにできるベストの選択をするために、一定の収入が必要と考えました。自分は激務にも耐えていける性格でもあるので、それで頑張っていけるといいなと。いつか大学院に行きたいという気持ちもあったので、そうした意味で資金が確保できるのもいいなと思っていました。また、ビジネスの世界を大局的に知ることができるという点も魅力的でしたね。
――最終的には、大学院に行くことを決定したのですか。
金子:勉強はしていますが、試験はまだですし、今まさに悩んでいるところです。
内定をいただいていた総合系コンサルティングファームは辞退してしまったのですが、「学歴が見られるのは最初の1年くらいだ」と言ってくださった別の人材系のファームにも内定をいただき、そこは可能性として残しています。
これからは研究活動に励みつつ、どのような研究で、どの大学院に行くのか、そしてこのタイミングで院に進学するか就職するかをしっかりと考え、最終決定をしたいと思います。
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