考える楽しさを知り、コンサルへ/インターンで投資銀行向きの資質を知る。職務への適性を見て決断した2人
2022/08/05
会員登録すると
このコラムを保存して、いつでも見返せます
近年、就活生の間で人気が高い職種の一つ、コンサルタント。外資就活ドットコムの2023年卒ユーザーの間でも、志望企業人気トップ10の実に半分はコンサルティングファームだ。
職種としての人気に加え、選考時期が早いこともあり、特に就職活動開始時にコンサルティングファームを視野に入れる学生は多い。定番の“ジョブ型′”就活ともいえる。しかし、全員がコンサルティングファームに就職するわけではないだろう。就活を通し、自身の資質や将来のビジョンと向き合った結果、最終的に彼らはどういう道を選ぶのだろうか。
特集「“ジョブ型”時代の就活とキャリア」第2~5回では、就活初期に「コンサルティングファーム」を志望していた23卒学生に話を聞いた。
今回はその中で、外資就活ユーザーに人気の「コンサル」と「投資銀行」を最終的に選んだ2人のエピソードを紹介する。投資銀行を選んだ学生によると、同じアドバイザリー職種でも重要視される資質が違うと感じたという。就活への意欲はあれど、なかなかキャリアの選び方が分からない、という読者の参考になれば幸いだ。【南部香織】
◇ジョブ型とは何かについては、こちらの記事を参照ください
※内容や肩書は2022年8月の記事公開当時のものです
1. 最終的にコンサルタントを選んだ学生は約36%、約64%は別の職種へ
2. 【CASE1】ケース面接に挫折も、秋から本格的に対策→考える面白さを知りコンサルへ
3. 【CASE2】コンサル→投資銀行へ志望をチェンジ。自分にあるのは論理的思考力よりもコミュニケーション力。明確な専門性も決め手
最終的にコンサルタントを選んだ学生は約36%、約64%は別の職種へ
今回、編集部では、外資就活ユーザーのうち「就職活動初期に、コンサルティングファームを就職志望先に入れたことがある23卒の学生」を対象に、コンサルティングファームへの志望理由や最終的に選んだ職種などについて聞くアンケートを実施。680人から回答を得ることができた。
コンサル志望者といえば、他業界志望の学生よりも就職活動開始が早いイメージがあるが、実際にはどうなのだろうか。今回、最も多かったのが「学部3年/修士1年の4~7月」という回答で、全体の約57%。次に「学部3年/修士1年になる前」という回答が続き、全体の約19%を占めた。つまり、卒業年度の前年、夏前には8割近くが就活を開始していたことになる。
サマーインターンをきっかけに就活を始めたと推察されるが、今回インタビューに応じてくれた学生のエピソードを聞くと、最終進路は秋以降の選考で決めた人も多い。今から就活を始めたとしても、決して遅くないといえる。
次に、就活開始時期にコンサルティングファームを志望した理由はどんなものがあったのか(複数回答可)。最も多かった理由は、「いろいろな業界に関わりたかったから」。
次いで「コンサルティングやアドバイザリーの職務に強い関心があったから」、「キャリア選択の幅が広がるから」「やりたいことを一つに絞るのが難しかったから」と続く。ここから、就活初期にはなるべく将来に幅広い可能性を残したい、という就活生の気持ちが垣間見える。
けれども結局、彼らは最後にどんな道を選んだのだろうか。最終進路に選んだ職種・ポジションの1位は「コンサルタント」で全体の約36%、次点は「総合職・ビジネス職」で約26%、次いで「エンジニア(ソフトウエア・ハードウエア問わず)」約13%、「金融専門職」約8%と続く。
「就職先」がコンサルティングファームかどうかは定かではないものの、「職種」としてはコンサルタントを選んだ学生が最も多い。しかし一方で、6割以上はコンサルタント以外の道を選んでいる。また、はっきりとした職務が決まっていない、総合職・ビジネス職の道を選ぶ学生も少なくない。
つまり、初期にコンサルティングファームに興味があっても、最終的に違う職種を選ぶ可能性は大いにあるということだ。インタビュイーの学生からは「自分の資質と合うか」という言葉をよく聞いた。なりたいかどうかだけではなく、自分と向き合って就活に取り組むという姿勢が大事なのかもしれない。
ここからはアンケート回答者の中で、さらにインタビューに応じてくれた学生のエピソードを紹介していく。
【CASE1】ケース面接に挫折も、秋から本格的に対策→考える面白さを知りコンサルへ
――コンサル志望だったそうですが、サマーインターンには参加できなかったんですね。
阿部:はい。サマーインターンでコンサルを受けるには就活のスタートが少し遅くて、そもそも1社しかエントリーできなかったんです。それも選考に落ちてしまって。
――コンサル就活に出遅れた理由は何かあったのですか。
阿部:司法試験の勉強をしていたからです。ただ、もともと必ず法曹の仕事に就こうと思っていたわけではなく、選択肢の一つとして考えていました。就活時期が近づいてきたので再度検討した結果、さまざまな業界を見ることができる新卒で就活する道を選ぶことにしました。
コンサルには一つ上の友人が内定していて話を聞いており、さまざまな業界に携われることや、高いスキルが身に付くということで興味は持っていたんです。
――コンサルのインターンに不合格になった後は、どう就活を進めたんですか。
阿部:金融のインターンには受かっていたのでそちらに行きました。そして、コンサルはいったん諦めました。ケース面接を受けた時に、まったく分からなかったからです。実際にコンサルタントになる人は、最初からこういう問題が解けるのだろうと考え、自分には難しいと判断しました。
――インターンだけではなくて、就活そのものが金融業界中心になったんですね。
阿部:そうです。もともと金融業界にも興味がありました。規模が大きい仕事をしたかったからです。でも、実際にインターンに行ってみて、業務は面白かったのですが、お堅い雰囲気や全国転勤があることをネガティブに感じていました。
そんな中、先ほどのコンサルに内定していた友人に、それまでの経緯を話したんです。そうしたら、コンサルの選考対策は時間をかければできる、今からでも間に合うと言われたんです。才能がないとだめだと思い込んでいたので、だったらやってみようと思い、必死で対策を始めました。それが学部3年の秋ぐらいでした。
――実際にどんな対策をしたのでしょうか。
阿部:フェルミ推定とケース面接について本で勉強しました。さらに、コンサル内定者の友人にお願いして、模擬のケース面接を何度もやってもらい、抜けているところや私の思考の癖を指摘してもらいました。
対策は非常に楽しかったですね。本でフレームワークなどの新しい知識を吸収し、それらを組み合わせて限られた時間の中で施策を考えていく、という作業が自分には向いていました。コンサルの業務は正解のない問いに対して、クライアントの最善を考えながら向き合い、答えを出すというものなので、自分に合っているのではと思いましたね。
年明けには、もうコンサルに絞ろうと思っていました。戦略コンサル数社、総合コンサルも数社受け、2社内定をもらい、最終的にBIG4系のファームに行く予定です。
――最後に、後輩たちへアドバイスをお願いします。
阿部:コンサルを受けるためには早く動かないといけないイメージがあると思いますが、サマーインターン参加を逃してもチャンスはあります。また、志望度が分からなくてもコンサルから就活を始めるのは、私は悪くないと思います。コンサルの選考対策をすると、グループディスカッションで議論を引っ張れるなど、他の業界の選考にも生かせますから。
【CASE2】 コンサル→投資銀行へ志望をチェンジ。自分にあるのは論理的思考力よりもコミュニケーション力。明確な専門性も決め手
――当初はコンサルタントが第一志望だったのですね。
神谷:はい。もともとコンサルタントになりたくて、サマーインターンから就活を始めていました。
――コンサルにはどうして興味を持ったのですか。
神谷:人間科学・医療系の専攻ではあったのですが、自分の性格から考えて、医学や薬学の分野に限定するのではなく、さまざまな業界に携われる仕事をしたいと考えたからです。また、同級生たちの熱意を見て、自分は研究に対してそこまで力を注げないと思ったんです。その上で、アドバイザリーの立場からなら、彼らがもっと活躍できるような会社づくりに貢献できるかもしれないと考えたのもあります。
――コンサルより投資銀行の方が志望度が高くなったのは何かきっかけがあったのですか。
神谷:実は、当初志望度が高かったファーム2社のインターンに行ったのですが、どちらもその段階で落ちてしまい、後の選考に進めませんでした。そこで当初から興味を持っており、同じアドバイザリーでもある投資銀行のIBD部門も受けてみたのが、志望度が変わったきっかけです。
――選考に落ちてしまったコンサルティングファームのインターンは、ご自身としてはどういった感触だったのですか。
神谷:自分としてはどちらも全力を尽くしましたし、手応えもあったので、ショックでしたね。でも、コンサルに内定した友人たちに聞くと、みんな口をそろえて「楽しかった」と言うんです。自分は楽しさを感じつつも、大変だと感じた印象が強かったため、もしかしたら適性がないのかなと思いました。
また、片方のインターンではフィードバックがあり、社員の方から「神谷さんは、物事をすごく早く進められるけど、強い個性がないね」と言われたんです。ファームにもよるとは思いますが、私は選考に「慣れていた」だけで、コンサルタントとしての資質については評価されていないのを感じましたね。
――一方、投資銀行ではいかがでしたか。
神谷:まず、インターンがとても楽しかったです。「ぜひうちに来てほしい」と言われるなど評価もされているなと感じました。
――コンサルと何が違ったのでしょう。
神谷:私見ですが、投資銀行はコンサルに比べると、論理的思考力よりもコミュニケーション力が問われる度合いが高いと思います。
M&Aや資金調達には多くのステークホルダーがおり、いろんな人の利害関係をくみ取る必要があるんです。その人間関係のダイナミックさが面白いところですし、自分はそこに適応する資質があると判断されたのではないかと考えています。あくまでもコンサルとの比較であって、投資銀行でも論理的思考力はもちろん問われますし、コンサルでもコミュニケーション力は非常に大切ですが。
また、コンサルは思考力を大きな軸として勝負する世界だとも感じました。自分はコンサルに内定した友人たちと比べると、そこまで考えることが好きではないと感じもしました。
それから、個人的には投資銀行の方が将来のビジョンも描きやすかったです。金融という明確な専門性が確立できますし、自ら主導するというよりは、誰かのサポートをしたいという自分の性格にも合っていると感じました。
――最終的に投資銀行に行こうと決めたのはいつごろですか。
神谷:冬は投資銀行を中心に受けていたのですが、一番行きたいところに内定をもらった時でしょうか。コンサルの内定も持っていましたが、第一志望の投資銀行に内定をもらった時点で心は決まりました。
――もう一度就活をするとしたらどのようにすると思いますか。
神谷:冒頭で志望度が高かったと申し上げていたファームは、そもそも受けないと思います。今、投資銀行での業務やそこに対する自分の興味・適性を知ったので、当初ほど魅力的に感じないからです。
――最後に、後輩たちへアドバイスをお願いします。
神谷:もしあの時、志望度が高かったコンサルに受かっていたら、そこで就活はやめていたと思います。落ちたからこそ、志望業界や企業が自分の資質と合うかどうかをフラットに判断できました。
コンサルの選考を通過したとしても、総合的に自分の資質に合っているかどうかは冷静に見極めた方がいいと思います。選考通過を目指すのはもちろん、インターンや社員との交流を通じ、「本当にコンサルタントになりたいのか?」など、自分の将来像についてもよく考えてほしいです。
会員登録すると
このコラムを保存して
いつでも見返せます
マッキンゼー ゴールドマン 三菱商事
P&G アクセンチュア
内定攻略 会員限定公開
トップ企業内定者が利用する外資就活ドットコム
この記事を友達に教える