コンサル志望→セールス・人事・マーケターの道へ。早期の業務経験を糧にビジネス専門職を選んだ3人の経験談
2022/08/09
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最初は漠然とした興味を元に、おおまかに方向性を選択。その後、インターンで実務経験を経て、フィット感を確認し、軌道修正の末、“ジョブ”を選び取る……。上記が、今回話を聞いた、セールス・人事・マーケターへ就職見込みである3人の特徴だ。
特集「“ジョブ型”時代の就活とキャリア」第4回では、第2、3回に続いて、就職活動初期は人気のコンサルティングファームも選択肢に入れていた先輩の経験を紹介する。それぞれに迷いつつ、最終的には確信を持って、ビジネス系の専門職を選んだ3人の軌跡は、自分に合う職種はこれだ、と自信を持ち切れない後輩たちの参考になるはずだ。【橘菫】
◇ジョブ型とは何かについては、こちらの記事を参照ください
※内容や肩書は2022年8月の記事公開当時のものです
1. 【CASE5】ITの専門性追求×戦略提案が両立できる。技術を深く理解したい人文学系の女性が見いだした、“GAFAMセールス”という道
2. 【CASE6】「“ヒト”が重視される時代が来るはず」MBBを辞退し、“人事軸”を貫いた学生の確信
3. 【CASE7】「事業の主体者になりたい」データサイエンティストの卵は、インターン3社を経験し、マーケターを選んだ
【CASE5】ITの専門性追求×戦略提案が両立できる。技術を深く理解したい人文学系の女性が見いだした、“GAFAMセールス”という道
――文学部在籍にもかかわらず、ITに強い興味があったそうですが、なぜですか。
渡部:家族のうち2人が障害者手帳を持っており「マイノリティ−と言われる人でも能力を最大限発揮できるような社会にしたい」という思いがあったからです。
その手段を探す中で、選択肢の一つとしてIT、特にSaaSがあるのでは、と思うようになり、学部2年生の冬に、セキュリティ系SaaSを扱うベンチャーで長期インターンを始めました。
――なぜセキュリティ関連のベンチャーを選んだのですか。
渡部:最初は商材そのものより、IT未経験者でも、テレアポから契約クローズまで、裁量を持って担えるところに魅力を感じたからです。ただ、徐々に新型コロナウイルスの影響でテレワークが広がり、セキュリティーがその障壁になっていると気付いて。これも働き方改革の一つで、自分の思いと合致していると思いました。
――では就活開始時は、SaaS系の企業を目指していたのですか。
渡部:いえ。SaaSベンチャーで働く中で「ソリューションが(自社の守備範囲に)限られてしまう」というジレンマも抱えるようになったんです。そのため「ITを活用し、お客さまにベストな働き方改革を提案・推進できるパートナーになりたい」と思うようになりました。それで、自社でシステム導入までやっている総合コンサルティングファームや、シンクタンクのコンサル部門を志望していました。
――その後の就職活動の展開を教えてください。
渡部:夏にITコンサルやシンクタンクのインターンに参加しました。ただ、どの企業もITの専門性を高めている実感が薄く、「イメージしていた業務より上流すぎるかもしれない」と迷いが出てきたんです。
海外と比べ、日本にはITを理解した経営戦略を立てられるリーダーが少ないと聞きますが、私はそういう人材になりたいんです。だから、最終的には上流工程を担いたいですが、そのためにも、しっかりITの専門性を高めることから始めたいと思ったんですよね。
それで一時期、ソフトウエアエンジニアも考え、Webサイトをリリースできるくらいまで勉強したこともあるんです。ただ、これからは、一部の優秀なエンジニアだけが活躍し、それ以外はローコードで……という時代が来そうだなと思いまして。自分はそこまで尖れないので、それを活用する側の職種がいいかなと思いました。
そのようにいろいろ迷う中で見つけたのが、GAFAMの1社のセールス職だったのです。
――セールスというと、どうにも今までのお話とつながらなさそうですが。
渡部:GAFAMのセールス職は、一般的にイメージされる営業職よりも上流の仕事なんです。コンサルティングファームと協業し、自社の最先端の技術を戦略に組み込んでいく、技術と戦略の橋渡しのような仕事です。
自社の技術を専門的に理解する必要があり、その上で、戦略の中でそれをどう活用するか、コンサルの人たちと一緒に考えられる。将来、技術を理解して戦略立案ができる人材を目指す、と考えた時に、最適なファーストステップだと思いました。12月に内定をいただき、進んでいたその他の選考や内定は辞退して、就職活動を終えました。
――インターンを通して自己理解を深め、フィットする道を見つけ出したのですね。就職活動に満足していますか。
渡部:そうですね。結果は満足していますが、プロセスを見ると80点ぐらいです。最初、コンサルの情報ばかり集めていたので。もう少しIT系を広く検討していたら、(GAFAMの)他のファームとも比較できたかもしれません。
後輩には、少しでも興味のある領域は、早い時期から説明会やインターンにどんどん参加してほしいですね。焦らなくてもいい時期からそうした経験をすることで、選択肢が広がり、満足のいく就職活動につながるのではないかと思います。
【CASE6】「“ヒト”が重視される時代が来るはず」MBBを辞退し、“人事軸”を貫いた学生の確信
――MBBの戦略コンサルタント職の内定を辞退して、メーカーの人事職を選んだとのこと、迷いはなかったのですか。
近藤:本当に迷いましたね。将来的には人事領域のコンサルティングを経験したいという気持ちがあったので、コンサルティングも人事も、どちらも伸ばしたいスキルでした。特にMBBの方はネームバリュー、市場価値の高さも魅力的で、その点でも迷っていました。
ただ、最終的に新卒では、元から興味を持っていた人事を選ぼうと、軸を貫きました。
――人事に興味を持ったのはなぜなのでしょうか。
近藤:大学の授業で、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営に必要な要素を学んだんですが、その時、「日本では“ヒト”が一番軽く見られていそうだな」と思ったのが最初のきっかけです。CFO(最高財務責任者)やCIO(最高情報責任者)はよく聞きますが、CHRO(最高人事責任者)は少ないイメージですし……。
ただ、企業にとって人材は重要ですから、「きっと日本でも、もっと“ヒト”が重視される時代が来るだろう」と感じました。
それで、まずはやってみようと。サークルの先輩のインターン先のベンチャーが、新たにインターン生を募集していたので、そこで社長に、「人事をやりたい」と伝えてみたんです。“ダメもと”だったのですが、実務を任せていただけて、面白さを感じたという流れです。
――インターンでは具体的に、どのような業務をしていたのですか。
近藤:メインは中途採用で、一時期は候補者対応を一人で全て担っていたこともあります。加えて、例えば「自社に合う候補者を見つけるために、どういう採用広報をしたらいいか」といった上流部分も、社長と一緒に考えて、裁量を持ってやらせていただいたんですよね。
その結果、従来よりもフィットしそうな候補者の方が応募してくれたり、入社した人が活躍されていたりするのを見て、人事領域が会社にもたらす影響力の大きさを実感しました。
――それで“人事”という軸を持って就職活動を始めたのですね。
近藤:はい。最初は人事職というより、人事コンサルが第一志望でした。そのケース面接の対策のため、より早くから選考をしているMBBを受けました。
受かると思っていなかったのですが、運よく6月に1社から内定をいただいたんです。人事領域のプロジェクトの話などもしていただき、志望度が高まりました。そのため、その時点で、BIG4など、他の選考が進んでいたコンサルティングファームは全て辞退しています。
――その後、どうしたのですか。
近藤:夏の終わりごろから、メーカーの人事職の選考を兼ねた長期インターンシップと、人事コンサルティングファームの選考を並行して受け、どちらも内定をいただくことができました。
最終的に、メーカーの人事職を選んだのは、冒頭に述べた理由の他に、このインターンを通じて、自分が働く姿をイメージできるようになった、というのも大きいと思います。メンターなど周りの方も、一人の社員として接してくれていたように感じました。
――就活開始当初、志望度が高かった人事コンサルからも内定を得たとのことですが、なぜ選ばなかったのですか。
近藤:そうですね。戦略ファームに内定をいただいたり、人事職インターンで実務に近い経験を積んだりしたことで、人事コンサルは、自分の身の振り方が「バランス型」になると感じたんですよね。それよりは、コンサルか人事か、どちらかをまず究めようと思いました。
――最後に、経験を踏まえて後輩へアドバイスをお願いします。
近藤:2つあります。1つは、少しでも興味がある分野はインターンや授業で早くから触れておき、関心を深めておくといいと思います。たとえ「総合職」を選んだとしても、配属の希望を出すような意思決定は、どのみち必要になりますから。
もう1つは、最終的な就職先は就活偏差値的な価値観から一歩身を引き、自分がそこで働くのだ、という視点で冷静に考えてほしいということ。ネームバリューや初任給だけで選ぶのではなく、キャリアや就職後の生活をイメージして選択することが大事だと思います。
【CASE7】「事業の主体者になりたい」データサイエンティストの卵は、インターン3社を経験し、マーケターを選んだ
――データサイエンティスト職を志望するようになったのはなぜですか。
岡崎:前提として、自分は修士課程に在籍しており、学部の時も就職活動をしていて、今回が2回目の就活になるんです。
1回目の就活は“なあなあ”でした。情報系の学部にいたので、ある程度技術に興味があれば明確な志望理由がなくてもいいだろうと考えて、SIerを受けていましたが、「やりたいことが見つからない」と面接官に伝えたことすらありました。
それで、やりたいことを見つけたいし、大学に入ったのに何の専門性も身に付けていないことに不安感があったので、大学院に進み統計を究めることにしたんです。
――どうして統計を研究対象にしたのですか。
岡崎:体育会系の部活動に熱中しており、勝率を上げる手段として、相手の行動パターンを予測することを考えていたんです。そんな中、スポーツ統計の分野でそれに近いことができると分かり、興味を持ったのがきっかけです。
統計を学ぶなら、それを生かした仕事に就こうとデータサイエンティストを志望することにしました。
――志望先が決まり、何から始めたのですか。
岡崎:医療統計の研究室に所属していたこともあり、まずは製薬会社で統計解析の長期インターンを始めました。しかし、やってみて、製薬分野でのデータ分析は面白くないと感じたんです。薬の有効性や安全性を示すことが目的なので、すでに型があり、“奇天烈”なことができないんですよね。
それで、コンサルティングファームや他の事業会社のデータサイエンティスト職を考えました。
ただ、調べていくうちに、コンサルティングファームは自社でサービスを作っているわけではないので、ある程度定まった方向性の中で解析をしていくのではないか、と考えました。それだと、結局製薬会社と一緒ですよね。
そうやっていろいろ迷いながら、メガベンチャー2社の長期インターンに参加しました。結果的に、この2社から内定をいただくことになりました。
――インターンはいかがでしたか。
岡崎:1社目で、データ分析はビジネスメンバーの意思決定のサポートであると感じました。ビジネス側のメンバーから、これを定量的に示したい、と言われ、データサイエンティストがデータを見てそこから言えることを提示することで、意思決定にかかるプロセスを短縮するイメージです。
そこで、自分も意思決定したいなと思ったんですよね。当時担当していた新規事業の案件ではビジネス系の会議にも出ていたのですが、そこで話されていた「競合はどこで、サービスの方針をどうするのか…」といったマーケティング戦略の議論の方が面白いと感じていました。
その後に参加した2社目は衝撃的でした。データサイエンティストがクライアントに提案までしていて、これがまさにやりたいことだと考えたんです。
特に幸運だったのは、とても優れたデータサイエンティストに直接指導いただいたことです。著作も読んでいて、有名な方なんですが…。ただ、それで逆に、自分は10年かかってもこの人にはたどり着けないなと思いました。
そうした経験を経て、データサイエンスの延長線上にマーケティングがある。データを分析できて、戦略も立てられるマーケターになろう、そのためにまずはマーケティングの方からやっていこうと思うようになりました。
――それが進路の選択につながるのですね。
岡崎:はい。最終的に1社目のマーケターの職種を選びました。やりたいことの軸に気付いたきっかけは2社目でしたが、特に自分が関わりたかったのはサービスのグロース、集客の仕方を考える戦略立案段階。それができるのが1社目だったのです。
――学部生の時「やりたいことがない」と面接官に話していた人とは思えない成長ですね。
岡崎:そうですね。学部で就活をしている時の自分には、「まず人生の価値観を言語化しろ」と言いたいですね。
僕の人生の価値観は、「新しい景色が見たい」で、最終的にそれを実現できる道を選んだとも言えます。昔から漠然とそうした気持ちがありましたが、振り返ると学部の時はそれが言語化できていなくて、だからさまよっていたんですよね。
美化したエピソードを盛り込んだ“ガクチカ”を作るよりも、まず、自分の人生で重要なことが何なのか、自分のために、きちんと言葉にすることが大切なのかなと思います。
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