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ジョブ型とメンバーシップ型の違いは?コンサル、商社など、あなたの志望先は何型?


「ジョブ型」雇用と「メンバーシップ型」雇用―。雇用の類型を示すこれらの用語、報道などで取り上げられることも増えたため、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。ある種バズワードになり誤解も多いだけに、面接などで話題に上がる時事ネタの一つとして、正しい意味を知っておきたいところです。

そしてこれらは、皆さんの就職先選びや中長期のキャリア形成と、深く関わるワードでもあります。日本企業の雇用がメンバーシップ型からジョブ型へ移るといわれる中、どう現状を見定め、変化に応じればいいか……。

この記事ではそのヒントになるよう、外資就活ドットコムで人気なコンサルティングファームや総合商社がどちらの雇用形態なのかにも触れつつ、ジョブ型とメンバーシップ型の違いを紹介します。【藤崎竜介】

外資系企業の根底にあるジョブ型の思想

まず認識しておいたほうがいいのが、ジョブ型・メンバーシップ型は日本にしかない言葉ということです。

労働研究者の濱口桂一郎さんが2009年発行の著書「新しい労働社会――雇用システムの再構築へ」(岩波書店)で、日本企業の雇用の特異性を指摘する意図から、これらの表現を先駆けて用いました。

彼いわく日本企業はメンバーシップ型で、他国の企業はジョブ型。どちらが良い悪い、新しい古いではなく、単に日本と海外の違いを明確にする目的から、2つの呼び名を用いたといいます。

そして、皆さんが就職先の選択肢に入れているであろう外資系企業は、後で述べるように日本法人の運営実態が各社で異なるものの、総じてジョブ型の思想がベースにあります。このことは、頭に入れておいたほうがいいでしょう。

続いて、ジョブ型とメンバーシップ型の具体的な違いについてです。濱口桂一郎さんは同書で、ジョブ型についてこう記しています。

例えば旋盤を操作するとか、会計帳簿をつけるとか、自動車を販売するといったことについては、雇用契約でその内容を明確に定めて、その範囲内の労働についてのみ労働者は義務を負うし、使用者は権利を持つというのが、世界的に通常の考え方です。

◆「新しい労働社会――雇用システムの再構築へ」序章より

そして以下が、日系大企業の大半が採るメンバーシップ型についてです。

日本型雇用システムでは、その企業の中の労働を職務ごとに切り出さずに、一括して雇用契約の目的にするのです。労働者は企業の中のすべての労働に従事する義務がありますし、使用者はそれを要求する権利を持ちます。

◆「新しい労働社会――雇用システムの再構築へ」序章より

同書ではさまざまな角度から日本と他国の雇用のあり方を論じており、上の引用だけを読んでジョブ型とメンバーシップ型の違いを完全に把握するのは、難しいかもしれません。

よって以下ではまず、皆さんの関心事である採用、特に新卒採用の話に絞って両者の違いを解説します。

日系大手への就職は、「就」「職」ではない!?

ジョブ型は、求職者が企業における特定の職務内容、つまり職種(=ジョブ)に応募し、入社した場合は原則その職種で働き続ける形態です。雇用契約にも職務を明確化した記述(ジョブ・ディスクリプション)があり、給与は初めからその職務に基づいて規定された額が支給されます。就職活動のゴールは、「志望する企業の志望する職種に就く」こと。文字通り「職」に「就く」わけです。

一方、メンバーシップ型は、それとは異なる日本独自の仕組みです。新卒の応募段階だと職種の分類は総合職・一般職といった大まかなものにとどまり、しかもその職務内容は必ずしも明確ではありません。また、初任給は担当業務を越えてほぼ一律になりがちなのも特徴です。

就職活動のゴールは職に就くというよりも、「志望する企業に入る(=メンバーになる)」こと。本質論からは外れますが、厳密には「就職」ではないのかもしれません。

既に日系大手と外資系の両方に応募したことがある人なら、違いが分かるかもしれません。一部の外資系企業は、細分化された職種の中から応募先を選び、その職種に特化した選考を受ける形になっているからです。

ここでは、そうした応募の経験がなくても理解が進むよう、具体例として外資就活ドットコムで人気の企業を取り上げ、ジョブ型orメンバーシップ型の観点から各社を比較します。

アクセンチュアとマッキンゼー、同じ外資コンサルでも微妙に違う?

今回取り上げるのは、アクセンチュア、マッキンゼー・アンド・カンパニー、伊藤忠商事、三菱商事、野村総合研究所(NRI)の5社。2023年卒業予定の外資就活ドットコム会員が志望先として挙げる件数が多い、人気企業(2022年3月11日時点)です。

では、人気1位のアクセンチュアから見てみましょう。参照するのは、同社の新卒採用ページです。

同ページを訪れると、2023年卒の募集ポジションとして、ビジネスコンサルタント、ソリューション・エンジニア、データサイエンティストなどさまざまな職種名が目に飛び込んできます(同日時点)。同社への応募経験者によると、志望者はエントリー段階で望む職種を申し出て、その職種用の選考を受けるようです。

ここではあくまで新卒採用に限った話ですが、総合職・一般職といった大きな枠で一括採用する多くの日系大手とは異なり、ジョブ型に近い形態といえます。外資系企業の同社にとっては、自然なことでしょう。

では、2位のマッキンゼー・アンド・カンパニーはどうでしょうか。

中途向けを含む募集ポジションのページには、ビジネスアナリスト、アクセラレートコンサルタントなど職種や部門の名がいくつか載っています(同)。他方、新卒に特化したページを見ると、候補者は原則ビジネスアナリストとして採用するといった意の記載があるのに気づくのではないでしょうか。つまり新卒については、基本的に1つの枠で採用しているようです。

同じ外資系コンサルティングファームでも、新卒採用から職種をはっきり分けて進めるアクセンチュアとは、一線を画す方針にみえます。

既に述べたように外資系企業の日本法人は総じて、ジョブ型の思想が根底にあります。ただ各社なりに、日本事業の実情、日本の採用市場や就労慣習などに合わせて雇用制度を最適化(≒日本化)しており、その度合いの差が2社の違いのような形で表れているのではないでしょうか。

日系大手らしさ際立つ商社2強。NRIはジョブ型に近い面も

先に記した人気の順で上のコンサル2社に続くのが、伊藤忠商事と三菱商事です。

応募対象をみると、三菱商事は総合職、一般職、海外採用の3コース(同)。一方、伊藤忠商事は総合職と事務職の2コースがあります(同)。海外採用は例外的なルートで、また伊藤忠の事務職は世にいう一般職にあたるため、両社への“入り口”は似ているといえます。

そして応募経験者の話によると、2社とも内定までの過程で総合職・一般職より細かい職種分類がなされることはなく、職種(≒配属先)が決まるのは内定後になるようです。

少なくとも新卒採用については、典型的な日系大手のメンバーシップ型だといえそうです。

人気5位のNRIもみてみましょう。

総合職志望者の応募対象として、経営コンサルタント、アプリケーションエンジニア、テクニカルエンジニアなど5職種が記されており(同)、選考はそれらの職種ごとに進むようです。上の商社2社と比べると、具体的な職務内容を重視したジョブ型に近い新卒採用といえます。

他方、初任給は職種を越えて一律的に示す(*1)など、メンバーシップ型らしい側面も垣間見えます。
*1 博士了、修士了、大学卒の違いはあり

ジョブ型=解雇が簡単ってホント!? 入社後のメンバーシップ型との違い

ジョブ型orメンバーシップ型の観点から、人気企業の新卒採用を比較しました。その上で、入社後は2つの形態でどう違うかも、簡単に記します(*2)。
*2 あくまで一般的な分類・定義によるもので、実在企業の内情を正確に記すものではありません

ジョブ型は既に述べたように、応募時から職務内容が明確で、入社後は原則採用された職種で働き続ける形態です。雇用契約に職務内容が明記されているので、その内容から外れた仕事を担うことは、厳密には契約違反になります。

日本の大企業だと人事異動で職務が変わることがしばしばありますが、少なくとも従来のジョブ型の世界では、そうしたことはあまり起きないようです。

それゆえ、概してジョブ型は特定職務に長けたスペシャリスト、メンバーシップ型はその企業のさまざまな業務に通じたジェネラリストを育みやすい仕組みとされています。

ところで、メンバーシップ型からジョブ型に転換すると企業は従業員を簡単に解雇できるようになると報じられることもありますが、それは必ずしも正確ではありません。日本を含む多くの国で解雇の規制があり、一方的に雇用契約を解除することは制限されているからです。

ほぼ唯一の例外が、法制度面で比較的解雇に寛容な米国です(参考記事→Liiga連載「解雇からのV字回復」)。

進む日系大手のジョブ型化。ジョブ型orメンバーシップ型の選択がより重要に

ジョブ型とメンバーシップ型の違いを簡単に述べてきました。冒頭記したように、両者は就職先選びやキャリア形成の面で、重要なキーワードになりつつあります。

理由は、日系大手の一部がメンバーシップ型からジョブ型へ切り替え始めているからです。日立製作所やKDDIといった名門企業がジョブ型への転換を打ち出していることを、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
◆各社のプレスリリースより(リンクは以下の通り)
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/03/0330c.html(日立製作所)
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/07/6.html(富士通)
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/07/31/4580.html(KDDI)
https://jpn.nec.com/press/202104/20210406_01.html(NEC)

各社がジョブ型へシフトする主因の一つが、事業の国際化です。雇用制度をグローバル標準に近づけ、優秀な海外人材らの獲得につなげようというわけです。

そして経済のグローバル化が加速する中、こうした日本企業による方針転換は、さらに進むと予想されています。

繰り返しになりますが、ジョブ型だからといって雇用システムとして優れていたり新しかったりするわけではありません。上に述べた変化を踏まえて、メンバーシップ型を採り続ける日本企業を「遅れている」と安直に切り捨てるのは、誤りでしょう。

とはいえ今後、例えば「特定領域の専門性を突き詰める」「特定の企業でさまざまな立場を経験しながらジェネラリストとして成長する」などといったキャリア構想を描く上で、ジョブ型企業orメンバーシップ型企業の選択が、より重要になることは確かです。

また外資系企業の日本法人については、日本の雇用文化の変化に応じ“ジョブ型度”を変えてくる可能性もあります。

就職活動で情報収集する際、時にはこうした観点から企業・業界を見つめるのもいいかもしれません。


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