【メガベンに複数社内定】私が考えるAIエンジニアの将来性と魅力

【メガベンに複数社内定】私が考えるAIエンジニアの将来性と魅力

2025/04/02

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こんにちは.私は情報系の大学院生で25卒の就活をしていました.就活中は,メーカー,広告,通信など様々な業界のAIエンジニア職に絞って選考を受けていました.

今回は,AIエンジニアとしての就活や,AIエンジニアの魅力,私が思うAIエンジニアの将来性などについてまとめさせていただきます.

AIエンジニアを目指すようになったきっかけ

私が大学2年生の頃、新型コロナウイルスの大流行により、大学の授業がリモートになりました。外出することが悪いこととされていた当時、ふとしたきっかけで現在のAI技術の核である「ディープラーニング」に関する本を読んでみました。その本の中で私は以下の2点について感銘を受けました。

- ディープラーニングは人間の脳の構造をモデルにしたものであること
- ディープラーニングは幅広いシステムの部品(関数)も作れること

人間の脳を模倣した手法が幅広いシステムを作ることができることに私は知的好奇心を感じました。この数年後には、ChatGPTという、世の中に衝撃を与えるAIが登場し、非常に幅広く、高度な知的作業を行えることが示されました。

「AIの汎用性の高さ」はつまり、どの業界でも活かすことを意味しています。例えば各業界では、AIは以下のように活用されています。

- 広告業界:広告の自動生成、広告の精度検証
- メーカー:チャットボット、自動運転
- 保険:防災上リスクの高い地域の検出

つまり、近年AIはあらゆる分野で使用され、非常に高い汎用性を持っています。これは、ディープラーニングの特性によるものです。その一方、AIを扱うのには以下の知識が必要となります。

- 線形代数学、微分積分学、統計学などの大学レベルの数学
- 論文や最新情報を収集するための英語力
- プログラミング能力

上記の中でも特に数学は、小学校から大学までの積み重ねであり、一度脱落すると取り返すのが難しい分野です。高い汎用性、需要の割に、上記のスキルを身につけるのには時間がかかり、参入障壁が高いことにより、需要と供給の関係から賃金が高くなる傾向があります。

この、「知的好奇心を満たすこと」と「参入障壁の高さに由来する需要の高さ」が私がAIエンジニアを目指すようになったきっかけです。

AIエンジニアになるためにやったこと

AIエンジニアには、数学力、英語力、プログラミング能力が求められる傾向にあります。そこで、自分なりにこれらの能力を身につけられるためにやったことを列挙してみます。

1. 小学校から高校までの地道な数学、英語の勉強
2. C言語、Pythonなどによるプログラミングの学習
3. 線形代数、微分積分などの大学数学の学習
4. AIに関する勉強
5. 実際にAIを使ったシステムを自作してみる
6. 研究室でAIに関する研究を行う
7. AIを開発するアルバイト、インターンに行く

この中で一番ハードルが高いのは、1だと思います。逆に、高校までの勉強を地道にしっかりやっている方であれば、その後の学習も問題はないと思います。

2 - 5 に関しては、自学自習の側面が強かったと思います。大学は、高校までと異なり、勉強を教わるための場所ではないため、自分自身で勉強する必要があります。幸運なことに現代では、MIT、東京大学、Googleなど様々な機関がAIに関する教材を無料公開しています。その完成度は非常に高く、やる気があれば誰でも勉強する環境は整えられています。

6,7は、環境が必要な段階だと思います。私の場合は、5で自分で作ったAIシステムをポートフォリオとして、様々な研究機関や会社に入り込み、経験を積みました。人によっては、「6. 研究室でAIに関する研究を行う」が難しいと感じる方がいるかもしれません。しかし、AI(特にディープラーニング)は高い汎用性をもった技術ですので、どの分野でも使おうとさえ思えばかなり高い確率で使うことができます。

分野ごとにAIをどう使えば良いかは、AIについて学習していないと判断できないので、研究室やゼミに所属する前にAIに関する基礎の学習を終えているとスムーズだと思います。

AIエンジニアになるための就職活動

就職活動の際は、AIエンジニアの募集をかけている企業を業界を問わずに応募していました。就職活動における自分の軸は以下の通りです。

1. AIを使って課題を解決することが好きなのでAIエンジニアになりたい
2. 解決できる課題のジャンルは問わないが、なるべく社会的に大きいことがやりたい
3. 組織内にAIに詳しい人がいるかどうか

私の場合は、AIを使ってなんらかの課題を解決することが好きだったので、業界を絞らず、むしろ「いろんなジャンルの課題が舞い込んできた方が楽しい」くらいの気持ちで選考を受けていました。ただし、どうせやるなら、ChatGPTなどのLLMや自動運転など、社会的インパクトの大きいAIを作りたいと考えていました。

また、組織内にAIに詳しい人がいそうかどうかなども見ていました。AI技術はここ数年で急激に進化したので、「長くその業界にいること ≠ AIに詳しい」ということではなく、ここ数年で良い人材をどのくらい獲得できているか、もしくは、社内で育てられているかが重要になっています。私は、企業ごとにAI系のトップカンファレンスの論文の執筆数や、技術コラムなどをみて、内部にどのくらい詳しい人がいそうなのかを予想していました。

また、就職活動で問われていたのは、以下の部分が大きかったと感じました。

- 主体性があるか
- 社会性があるか
- 研究自分なりに考え、真摯に取り組んでいたか

面接では、技術的に詳しい質問に答えられるかというよりかは、研究を通して、タスク解決に対して主体的に論理的に考え、実験を行い、検証ができているかという部分を見られていたと思います。特に進化が早いこの分野においては、常に学習の姿勢を忘れない「主体性」は非常に重要視される傾向があるように感じました。また、AIは一人で開発できるものではないので、一緒にやっていけそうかという「社会性」も問われているように感じました。

AI開発の辛い点

これまでAIエンジニアの良いところばかりを述べましたが、もちろん辛い点もいくつかあります。

その1:技術の進化がとにかく早い

数年前ChatGPTが発表されたことで世界中が盛り上がりましたが、僅か10年ほど前は「犬や猫を正しく分類できること」にAIエンジニアたちは大喜びしていました。つまり、たった10年で「犬と猫の分類」から「数学オリンピックの問題を解く」というところまで進化していることを示しています。このスピード感に追いつくのは、非常に大変で、工夫が必要なところだと思います。

私の場合は、なるべく「AIの根っこ」を抑えるように意識しています。数学の観点で見れば「犬と猫の分類」と「数学オリンピックの問題を解く」というタスクはそんなに大きな差はありません。つまり、「AIの根っこ」である数学の理論を勉強しておくことで、新しい技術が出てもある程度は順応できると考えています。(ただし、この根っこがさらに変わる可能性も否定はできないのが辛いところ...)

その2:AI開発がうまく行くか100%事前にわかるケースは少ない

AI開発と他のシステムと異なることは、「所望のものが確実に開発できるかどうか」が一番大きいと思います。通常のシステム開発では、正しい設計書さえできていて、正しい実装ができれば、動かないということはまずありません。その一方、AIはその中身を理解することが非常に難しく(ブラックボックス問題と言います)AIを学習した結果、想定したよりも精度が低いなんてことはよくあります。そのような場合に、あきらめずに精度向上の方法を模索する必要があり、それが苦しい場合もあります。ただ乗り越えた際の達成感も醍醐味の一つでもあります。

その3:意外と泥臭い作業が多い

AIエンジニアと聞くとスマートなイメージを持つ方もいるかもしれませんが(少なくとも自分はそうだった)、その作業の80%は泥臭いデータマネジメントであることが多いです。簡単に例えると、「AIがよく学習してくれる環境づくり」に多くの力を割きます。この部分にギャップを感じる方もいるかもしれません。

AIエンジニアの魅力

ここまで苦しい部分を書いてきましたが、それを上回る魅力的な点が多くあると私は感じています。

これまでの歴史上になかったものを作れる可能性がある

これまでの人類の歴史の中で、ここまでいろんなことができるシステムは登場してこなかったと思います。だからこそ、目の付け所によっては、これまでにこの世になかったものを作れる可能性が非常に高いのがAI分野だと思います。

様々な業界に携われる

AIの汎用性の高さから様々な業界に行ける可能性が生まれます。AI技術を理解していれば、異なる分野の問題を同じ問題として見ることができると思います。例えば、メーカーでAIのエンジニアをしていた人が、コンサルにいってデータサイエンティストになるというキャリアパスもあるそうです。もちろん、全ての能力が共通することはありませんが、「分析」という作業を数学的にみると同じようなことをやっているケースがかなり多いかと思います。

給与が高い

需要と供給のバランス的にかなり給与が高くなる傾向があります。メガベンチャーや外資系企業などでは、すでにAI分野での実績がある人に対してはべらぼうに高い金額を提示してくれる場合もあるようです。私がオファーをいただいた企業でも、大学院の同期と比べても初任給の時点で1.5倍くらい多い傾向があります。

自分が考えるAIエンジニアの将来性

最後に今後のAIエンジニアの動向ですが、AIは進化が早くそれを予測することは専門家でさえも困難なので、あくまで私自身の意見として記述いたします。

私は、今後AIエンジニアは、「AIに使われるAIエンジニア」と「AIを使い倒すAIエンジニア」に二極化すると考えています。

AIに使われるAIエンジニアとは、数学やコンピュータサイエンスの基礎がわからない状態で、AIをなんとなく作る人のことを指します。数学やコンピューターサイエンスなどの「AIの根っこ」を掴むことを怠るAIエンジニアは進化速度についていけず、「AIに使われる」という事態が発生すると思います。

一方、AIを使い倒すAIエンジニアとは、「AIの根っこ」を理解した上で、新しい技術も時間を割けば理解できる状態を常に作り出し、その学習時間をAIにより短縮する人を指します。こちらの人材は、今後も市場価値が上がり続けていくと考えており、自分もそのようなAIエンジニアを目指しております。

とはいえ、まだAIを開発したことがない人が、最初から数学やらコンピュータサイエンスやらばかりを勉強しても楽しくないと思うので、まず最初に、自分の得意な分野の問題をAIで解決してみることをお勧めします。最初は、中身を理解していなくても、作り続けてさえいれば、中身を知りたくなってくる日がくるかもしれません。先ほど述べた通りディープラーニングは高い汎用性をもつ技術なので、大体どの分野においても何か役立つAIを作れる可能性は非常に高いです。

最後に、ここまで読んでいただいてありがとうございました。偉そうに語っておりましたが、私もこれからAIエンジニアとして、さらにステップアップしていけるように頑張っていこうと思います。この記事をみて少しでもAIエンジニアに興味を持っていただけると嬉しいです。

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