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Microsoft(マイクロソフト)米国本社で、ソフトウェアエンジニアとして働くYukiさん。異なる文化や環境を経験しながら、ファーストキャリアで“BigTech”に就職した彼女は、どのような道を歩んできたのか。
「朝まで課題に取り組んだ」という大学時代の苦労、エンジニアとしての成長、そして日々の仕事の話——。インタビューで明かされる様々なエピソードから、グローバルな挑戦を続けるYukiさんのリアルな姿に迫る。【北川直樹】
※内容や肩書は2024年7月のインタビュー実施時のものです。1. 所属するAzureチームは若いメンバーが多く、助け合う雰囲気がある
2. コミュニケーションが取りやすくなると思い、プログラミングに興味を持った
3. トレーニングプログラム参加を経て、BigTechのジョブインターンへ
4. 技術以外の部分で代替不可能な人材になることが大切
5. まずは恐れずに挑戦することが大事
所属するAzureチームは若いメンバーが多く、助け合う雰囲気がある
——Microsoftでの現在の職務内容を教えてください。
Yuki:Azureチームで働いています。Azureには様々なサービスがありますが、私のチームはAzureの前サービスに共通する根幹部分を見ています。具体的には、データトラフィックの管理や、データの送受信がスムーズに行われるようにするためのオートメーションなどを担当しています。イメージとしては、バックエンドに近いです。
——チームの規模や、働き方はどのような形でしょうか。
Yuki:私のチームは7人で、リモートで勤務している人もいます。米国外のインドや東アジア、ヨーロッパで働いている人がいるチームもあるようです。
業務はTeamsを使ったコミュニケーションを中心に行っていて、週3回のスタンドアップミーティングで進捗を報告しています。私は仕事と自分時間のオンオフをつけるため、金曜日を除いて出社することが多いですが、これも人によってまちまちで、全体的に自由で働きやすい環境だと思います。
——業務ではどんな技術やツールを使っていますか。
Yuki:主にC++でコーディングをしていて、GitHubのようなMicrosoftのツールでコードやプロジェクトの管理をしています。社内では自社製品か内部のオリジナルツールを使用しています。
——仕事の進め方について教えてください。
Yuki:何か大きなプロジェクトがあるというよりも、常に何かしらタスクがあるという状況で、これまで出てきた提案や、生じた問題などをバックログ上で優先付してどんどん進めていくというイメージです。
サービスの特性上、セキュリティや安全面が確実である必要があるので、コーディング後にプッシュしたものは、さまざまなテストを踏む必要があります。
——チームの雰囲気はいかがですか。
Yuki:とてもフレンドリーで、協力的です。私のチームは比較的若いメンバーが多く、マネージャー以外は全員ジュニアレベルのエンジニアです。私の一つ上の年次の人が1人と、他のメンバーも5〜6年目の人で、チーム内外を通じて、お互いを助け合う雰囲気があると感じています。
コミュニケーションが取りやすくなると思い、プログラミングに興味を持った
——早稲田大からミネルヴァ大留学に移った背景を聞かせてください。
Yuki:高校のときから海外留学は考えていて、日米の大学を受けていました。日本と米国では入学時期が違うため、まずは早稲田に通ってから米国の大学に入学するつもりだったんですが、早稲田に通っているときに大きな大学が自分に合っていないと気づきました。
そこで、当時受かっていた米国の大学への進学をやめ、少人数形式での授業が多い大学(いわゆるリベラルアーツカレッジ)を中心に再受験し、コロナ渦ということもありオンライン授業に長けているミネルヴァ大学に入学することにしました。
——エンジニアに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか
Yuki:もともとはコンサルタントや投資銀行でのキャリアを考えていました。経済学を専攻していたので、その分野でキャリアを積むつもりでしたが、IT企業でエンジニア出身の取締役のもとでインターンをしている中で、エンジニアリングに興味を持ったんです。
エンジニアの方々と仕事をする中で、技術的な知識があればもっと効果的にコミュニケーションが取れるのではと思ったのが、プログラミングに興味を持ったきっかけです。
——プログラミングはいつから学びましたか。
Yuki:本格的にやりはじめたのは、ミネルヴァ大学のPythonを使ったデータ分析の授業を受けるようになってからです。最初は簡単なデータ分析やグラフを作るところから始まり、その後、アルゴリズムやデータ構造の授業を通じて、本格的なプログラミングを学んでいきました。
——コンピューターサイエンス(CS)は、専攻する予定だったんでしょうか。
Yuki:最初は考えていませんでした。1年目は専攻を決める必要がなくCSが必修だったので、まずは授業を受けてみました。そのときに面白いと感じたので、2年次から経済学とCSの2つを専攻することにしました。
——プログラミングやCSを学ぶモチベーションはどのように高めていきましたか。
Yuki:最初は、ビジネスにおけるツールとしてプログラミングを理解しておくべきだと思って始めましたが、学び始めてからは自分で何かを作り上げるプロセス自体が面白いと感じるようになりました。特に、問題を解決するためにコードを設計し、それが実際に動く瞬間は達成感がありました。これがモチベーションになったのだと思います。
——学習に際して、大変だったことは何でしょうか。
Yuki:2年生の時に受けたデータ構造の授業は本当に大変でした。それまではあまり深くプログラミングを学んでいなかったので、forループやWhileループといった基本的な文法ですら苦労しました。
課題に時間がかかり朝になってしまって、ほとんど寝ないで授業に出ることもありましたが、今振り返るとその経験が実践的なスキルに繋がったのだと思います。
トレーニングプログラム参加を経て、BigTechのジョブインターンへ
——どのようにBigTechへの道を進んだんでしょうか。
Yuki:米国企業はレジュメと連絡先があれば応募できるため、規模や業界にとらわれずエンジニアポジションに応募しました。でも最初は全然通らなかったので、途中からトレーニングプログラムにも応募し始めました。こういったプログラムは締め切りが早く、知った時には応募できる企業が応募できる企業は限られていましたが、日本のメガベンチャーとMicrosoftのプログラムに参加することができました。
プログラム後の選考を経て、その先のジョブインターンに進みました。米国の企業ではジョブから面接なしで直接採用することが一般的で、ジョブの評価と予算で採用が決まります。実際に働きながらお互いにマッチしているかを判断できるため、就職後のイメージはしやすいです。
——職種についてはどのように考えていましたか。最初からエンジニア志望だったんでしょうか。
Yuki:ソフトウェアエンジニア(SWE)かプロダクトマネージャー(PM)のどちらかで考えていました。
——最終的にSWEを選んだ理由を聞かせてください。
Yuki:インターン中にメンターの社員に相談したところ、最初のキャリアがSWEの方がその後の選択肢が広くなるとアドバイスをもらいました。技術的なキャッチアップの面でPMからエンジニアに転向するのは難しく事例も少なく、コーディングを楽しんでいたためSWEから始めようと思いました。
また、PMの仕事はコンサルタントと似ている部分もあるので、以前インターン経験したことのある道を突き進むよりは、まずは新しいことにチャレンジするほうが良いのではないかと考えました。設計から実装、テストまで一貫して行うことができるエンジニアの仕事自体に、やりがいと魅力を感じたのも大きな理由です。
そもそもPMの募集はエンジニアよりも少なく、PMを選ぶだけで門が狭くなってしまうというのもありました。
——インターンから得た収穫は、他にもありましたか。
Yuki:職種の理解に加えて、それぞれの企業の魅力を知ることができました。
——具体的にはどんなことですか。
Yuki:メガベンチャーでは国際色豊かな環境でプロジェクトを進める経験を積めましたし、Microsoftでは大規模なシステム開発の経験をすることができました。どちらも実践的な内容で成長につながるものでしたが、熟慮の末ファーストキャリアはアメリカで積むことにしました。
——それで就職先をMicrosoftに決めたと。
Yuki:そうですね。また、メガベンチャーでオファーを貰っていた職種が機械学習エンジニアだったことも理由の1つです。他の内定者は修士を出ている人ばかりで、学部卒のまま就職するより、大学院で専門知識を学んでからにしたいと思いました。
また、ミネルヴァ大はプログラムで海外を転々とするので、米国に長期で住んでいた経験はなく、ファーストキャリアを米国で試してみたかったという面もありました。
——学生時代の経験を通し、エンジニアになるために重要だと感じたスキルや経験は何でしょうか。
Yuki:プロジェクトをやりきる力はとても大事だと思います。私も、実際にタスク完遂してデリバリーできた点が高く評価されました。
あとはチームのメンバーと協力してものごとを進める能力ですね。コーディングスキルはもちろん大事ですが、それ以上にコミュニケーションを取りながら多くの人と連携していく能力が重要だと思います。
技術以外の部分で代替不可能な人材になることが大切
——働く中で感じているMicrosoftの魅力を教えてください。
Yuki:時間や場所を選ばずに自由に働ける環境も魅力的ですが、カルチャーや人が良い部分でしょうか。年次や役職レベルを気にせずフィードバックできるフラットな環境で、いわゆるGAFAMの中でもMicrosoftは自由なカラーがとても強いそうです。
あと、数10年単位でずっと在籍している社員が多いです。日本企業の定年制だと長く勤める人が多いのは納得いくんですが、米国では転職が当たり前で、その中でもMicrosoftに長く居るということは居心地が良いのかなと。実際にそういう話もよく聞きます。
——Azureチームの環境についてはいかがでしょうか。
Yuki:Microsoftはさまざまなプロダクトでチームがわかれていますが、成長環境の面では、Azureのチームはとても恵まれているなと感じます。Office365に比べて若いプロダクトで、拡大フェーズにあるため新しいチャレンジが多く、それが自分の成長にもつながるからです。
——業務の中で難しいと感じることは、どんなことでしょうか。
Yuki:技術のスキル面はそこまで難しいことはないと思っていて、既存のコードを見れば誰でも同じようなものは作れると思います。例えば今はメインでC++を使っていますが、同等のスキルを持った人はたくさんいますし、AIもあるので、他の人でも代替は可能だと思います。
ただ、実際にチームで動いていることを解像度高い状態で理解し、他人に説明することはとても難度が高いです。そのため、複雑なシステムを動かす上で代替不可能な人材になっていくことが大切だと感じています。
まずは恐れずに挑戦することが大事
——Yukiさんは大学時代からから米国での生活を経験していますが、BigTechへの心理的な障壁はあったんでしょうか。
Yuki:最初はありました。ただ、少しずつ自分がその世界に入っていく中でいろんな人に出会い、一緒に働けている実感などを積み重ねることで、少しずつ慣れていきました。
多くの人もチャレンジする前に、米国だから、BigTechだからすごい人しかいないと思い込んでいるかもしれませんが、まずはこのイメージを消し去ることが大事だと思います。
——米国と日本で働くことについて、それぞれのメリットやデメリットはどのように感じていますか。
Yuki:米国で働くメリットは、やはり技術的なキャリアの成長速度が速いことですね。BigTechでは挑戦的なプロジェクトが多く、世界トップレベルのグローバルプロダクトで自分のスキルを試す機会が豊富にあります。一方で、物価が高いことや、ビザの問題などもあるので、その点はデメリットかもしれません。
日本で働くのも良い部分があり、特に生活のしやすさや文化的な安心感は魅力だと思います。
実際、日米の企業のオファー内容は額面上倍くらいの差があったものの、物価を考慮すると生活水準はほぼ同じになるため、即決はできませんでした。
——BigTechを目指す日本の学生にアドバイスを聞かせてください。
Yuki:一番大事なのは、「挑戦することを恐れないこと」です。先ほどの話のように、多くの人が「自分には難しい」と思い込んでしまうかもしれませんが、実際にはチャンスはたくさんあると思います。まずは応募してみて、少しずつ経験を積んでいくことが大切です。特に技術的なスキルは日本の学生も十分に持っているので、自信を持ってチャレンジしてほしいです。
——日本の学生が米国で働くことを目指す際、特に気をつけるべき点はありますか。
Yuki:米国で働く場合、就労ビザの取得が難しいことがあり、そもそも留学生が応募できる企業も少ないです。米国の市民権や永住権を持っていない外国人が応募する場合はハードルが高いので、機会があれば確実につかんでいけるよう準備していくのが重要だと思います。
——今後のキャリアについて、展望を聞かせてください。
Yuki:今後は、Microsoftでの経験をさらに深め、次のステップとしては社会問題に対してテクノロジーを使ったアプローチをしていきたいと考えています。エンジニアとして技術力を磨くと同時に、それだけにはとらわれず、社会に貢献する方法を模索していきたいです。
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