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こんにちは。私は理系の情報系学部でAIの研究をしている大学院生です。25卒として就職活動を行い、幸いにも複数の業界からAIエンジニアとして内定をいただきました。近年「AI」という言葉がバズワードのように広まっており、AIが全く関わらない業界を探す方が困難なほどかと思います。
そこで本記事では、私自身の就職活動や研究活動の経験をもとに、業界ごとのAI活用事例を紹介し、読者の皆さんが就職活動中にAIについて質問された際に、具体的な活用イメージを持てるよう、AIに関する知識を深めていただくことを目的としています。文系・理系を問わず、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
AIが得意なことと苦手なこと
ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)が登場する前は、AIはクリエイティブな仕事や人の気持ちを汲み取ることが苦手とされていました。しかし、LLMや大規模生成AIの登場以降、絵、音声、テキスト、動画など、さまざまなものを世の中の多くの人間よりも正確に出力できるようになり、もはや平均値としては、AIの方がクリエイティブで人の気持ちも読み取れる可能性さえ出てきています。そこでAIを普段から開発している私の視点から、個人的に 「2025年現在」できることと、まだ難しいことをご紹介します 。
(ただし、ここで挙げたことでさえ、数年後には状況が変わっている可能性が十分にあることをご了承ください。)
AIが得意なこと
現在のAIが得意なのは、「それっぽい80点の回答を出すこと」だと考えます。アメリカや中国では、自動運転技術が日々進化しており、一般道でも特殊なケースを除けば、ほぼ安全な運転をすることができます。また、ChatGPTに質問をすると、非常にもっともらしい回答が得られます。このように、100点満点ではなく、80点を求める場合、近年のAIは非常に広い分野においてそれを達成することができます。
AIが苦手なこと
現在のAI(特にLLM)の弱点は、「コスト」と「100点を求める作業」だと考えられます。まずコストですが、LLMの開発には、数億 - 数百億円のコストがかかります。電力や巨大設備も必要なため、LLMを所持できる企業は世界中を見渡しても非常に限られています。また、一般企業が利用する際も利用料がかかるので、ランニングコストも無視できません。例えば、LLMを使って、社員の単純作業を全て代替できたとしても、そのランニングコストが人件費の数倍に膨らむ場合、必ずしも作業の代替が発生するとは限りません。
「100点を求める作業」ですが、これはAIの仕組みに起因します。ほとんどのAIは、何らかの問題に対する答えを出す際に、「正解確率が最も高そうであると判断した答えを選ぶ」という方法で予測を行います。つまり、どこまでいっても答えは確率的に決まるため、一つの間違いも許されない作業には不向きです。
これらの点を踏まえて、各業界でのAIの利用事例を紹介していきます。
業界ごとの応用事例
保険
保険業界では、リスク予測にAIが活用されることがあります。保険業界全体の傾向として、保険の支払いが発生するリスクが高い場合は、日々の支払額を高くし、リスクが低い場合は、低くするという料金体系があります。顧客の属性からリスクをAIによって算出することで、これらの料金設定や審査などを最適化することが可能になります。
ドライブレコーダーの映像をAIが解析し、事故状況を自動的に図解や文章で生成するシステムも登場しています。これにより、被保険者は事故状況を説明する負担が軽減され、保険会社は事故状況を正確に把握することができるようになります。
銀行
AIを活用することで、融資審査の効率化と精度向上が期待できます。例えば、AIによるスコアリングシステムを導入することで、融資の可否判断を迅速に行うことができます。この根本的な技術は、保険業界のリスク予測と共通しています。
不正検知にもAIが使用されています。クレジットカードや口座の情報から、明らかに不自然な使用や資金移動の履歴が見られる場合、AIで異常を検知し、自動で通知することができます。
製造業
製造業では、大規模な会社ほど商品を作る工場を所有しているケースが多く見られます。生産ラインでは、不良品が混入してしまうことが避けられず、それらを除去するために、センサーの値から不良品を検知するAI技術が使われることがあります。また、不良品検知だけでなく、製品の除去や組み立てといった作業そのものもAI技術によって自動化されているケースも**あります。
AI技術そのものが製品になることもあります。例えば、自動車業界では自動運転のAI技術が商品の競争力になったり、エアコンや冷蔵庫などの家電にもAI技術が使用されている例もあります。
広告
AIを活用することで、広告クリエイティブの制作を効率化することができます。例えば、広告バナーを生成AIによって生成したり、近年ではCMを作る際に生成AIが使用されるケースも増えています。
また、広告ターゲットの選定にもAIは頻繁に使用されます。誰に 、どのような広告を、いつ出せば 、広告クリック率が最大になるかをAIを使って予測します。代表的な例としてはSNS広告です。SNSの動画広告には、位置情報、ユーザー情報など、さまざまな情報を使用して、視聴者が興味を持つ可能性の高い属性の広告をレコメンドする仕組み**があります。実際私も、就活期間中は、就職活動に関連する広告が頻繁に出てきていました。
分野に問わず使われる傾向の技術
近年LLMの高い汎用性により、どの分野でもAIの応用が進んできました。例えば、LLMによる問い合わせ自動化が挙げられます。従来の電話やLLMを使用しないチャットボットと異なり、LLMは、非常に幅広い範囲の質問に対して柔軟に答えることができるため、分野を問わず問い合わせ自動化が広がっています。ただし、LLMには「100%の精度が求められるタスクは苦手」という性質があるため、間違ってはならない質問に対する回答は慎重になる傾向があります。
分野を問わず、事務作業の効率化やアイディア出しにLLMが多く使用されています。近年ではDeepResearchという、多数のウェブサイトを参照して、信頼性の高い回答を出力するという技術も普及しており、調査タスクにおいてもLLMを使用することができるようになっています。
面接でAIについて聞かれた際の対策
もし、面接やグループディスカッションでAIについての議題になった際は、以下の2点に気をつけて話すのが望ましいと思います。
2. AIができることとできないことを認識しておく
1については、あらかじめインターネットで調べれば分かりやすく解説している情報をすぐに見つけることができるでしょう。一方2については、AI分野以外の方にとっては難しい可能性があるので、以下の点を把握しておくのが良いでしょう。
- 学習・運用コストが高いため、人件費が低い作業や小規模な作業には、現状では応用されにくい。
上記の2点を理解しておくことで、AIを使った事業案を提案する必要のあるグループディスカッションなどでも的を射た議論ができるはずです。
まとめ
本記事では、面接で生成AIについて聞かれた際の業界ごとの応用事例についてまとめてきました。AIの得意なことと不得意なことを把握し、選考事例を把握しておくことで、的を射た意見を述べることができるでしょう。しかし、一番の対策は普段からAIを使い倒しておくことだと考えます。
特にLLMは、就活や研究、アルバイトなど、さまざまなタスクの時間を短縮してくれるので、普段使いすることで、効率的にタスクをこなし、さらにAIの使い方も上達すると思います。
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