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ジョブでの高評価に必要なもの
こんにちは、外資就活 コンサルチームです。
多くのコンサルティングファームのジョブでは、最後にチームで自作のスライドを用いたプレゼンを行います。内定者の話によると、このプレゼンのクオリティがジョブの評価に大きな影響を与えるそうです。
まず前提として、スライドの出来栄え自体はあまり重要視されていません。学生に十分なスライドの作成技術がないことはファーム側も理解していますし、そうした技術は入社後からでも研修で簡単に身に付けられるので、採用基準とはそこまで関係ありません。
しかし、それでも最低限のスライド技術は身に付けておくべきです。反対に、最低限のスライド技術を身に付けることができれば、プレゼンの印象は格段に良くなります。
今回はジョブで役立つスライド作成術について詳しく解説していきます。
本コラムのサマリー
本コラムの内容を一目でわかるようにまとめました。「読む前に全体像を確認する」「読み終わった後に忘れないように定期的に読む」といった目的でご活用ください。
スライドはストーリーを伝えるための手段
一番の評価ポイントは“ストーリー”
先述した通り、ジョブ選考で最も重視されるのは、 どのようなストーリー(なぜ、なにを、どうやってやるのか)を描いたのか です。なぜなら、ストーリーを描く力というのは、学生の論点設計や仮説構築の能力に直結したものであり、企業はこうした能力を有した学生を採用したいと考えているからです。
つまり、スライドは自分たちのストーリーを伝えるための手段に過ぎず、そのストーリーこそが最も重要なのです。
ストーリーを伝えるためにスライド技術を磨く
ジョブ選考で最も重視されているのはストーリーだとお伝えしました。しかし、 どんなに素晴らしいストーリーであっても伝わらなければ意味がありません 。相手にとっては「伝わったもの」が全てであり、それをベースに評価することになるからです。
これはジョブ選考だけに限りません。例えば、ESや面接を想像してみてください。凄い経験を持った学生がいたとしても、文章が稚拙で話が下手であれば、面接官はその学生の持つ経験を評価しようがありません。
良いものがあっても、しっかりと伝えなければ意味が無いのです。良いストーリーは、伝わってはじめて評価されるのです。
そして、学生の段階で実務レベルに到達するのはほぼ不可能ですが、 最低限のマナーを守るだけでもスライドは格段に良くなります。
詳しくは後述しますが、そのマナーを守っているとストーリーの抜け漏れにも気づきやすくなるので、是非実践してみてください。
スライドの作成手順
➀ストーリー構築とメッセージ分解を行う
先ほどお伝えした通り、スライドはあくまでストーリーを伝える手段です。逆に言えば、ストーリーをサポートしていないスライドに意味はありません。
結論へ向けてチームでストーリーを構築したら、それを1つ1つのメッセージに分解し、1スライド1メッセージ(次章で詳しく解説します)という基本的な構造を作りましょう。
ちなみに論理的に物事を伝えるための方法は、演繹法、帰納法の2つです。分解したメッセージが1つ上のメッセージを論理的にサポートできているかのチェックは行うようにしましょう。
このチェックをはさむことで、ストーリーの抜け漏れを防止できます。メッセージがきちんと繋がっているか否かは、メンターに最も指摘されやすいポイントの一つです。「メッセージだけを読み、主張と根拠が伝わるレベル」まで落とし込めるよう、このチェックは特に時間をかけて入念に行うべきでしょう。
➁それらを空スライドとして表現する
メッセージベースに分解出来たら、次はそれらをスライド上部に記入し、ボディ部分は白紙(もしくは「どのようなデータを持ってくるか」といったメモ書き)で 空スライド を作っていきます。
これをやらずにいきなりスライドを書き始めると、「意味のないスライド=死にスライド」が量産される危険性が高まります。
また一通りどのようなスライドを作成するかを決めておくことで、プレゼンの全体像をより鮮明にチーム全体で共有することができます。
③ボディを充実させていく
その後、「どのような分析、データがあれば、上部のメッセージを証明できるか」を基にリサーチを行い、スライドを埋めていきます。
必要に応じてグラフや表を活用しましょう(次々章で詳しく解説します)。
最低限守るべきスライドマナー
続いては、すぐに実践できるスライドマナーをお伝えしておきたいと思います。
そして、最後にスライドマナーを守っていないスライドと、守っている正しいスライドを比較してみましょう。
ここでお伝えするスライドマナーは以下の2点です。
①1スライド1メッセージ
②構成はメッセージ+ボディ
以下、詳しく説明していきます。
➀1スライド1メッセージ
スライドの基本は 1スライド1メッセージ です。情報を詰め込みすぎると分かりにくいですし、それを証明するためのデータも収まりきりません。
注意するべきは、空スライド作成の時点では1スライド1メッセージになっていても、調査するうちに複雑化してしまうことです。「上部のメッセージを証明するためのデータがスライドに収まりきらないな」と思ったら、メッセージが複数になってしまっていないか確認してみてください。
②構成はメッセージ+ボディ
メッセージを書いてもそれを立証してサポートするボディがなければ、そのメッセージはただの仮説に過ぎません。
加えて、どこかから資料を引っ張ってきたのであればその出所を書いたり、難しい単語や造語は注釈で説明したりする必要があります。
唯一の正解ではありませんが、以下に①、②を守ったスライド構成の例を示します。参考にしてみてください。
最低限のマナーを守るだけで、スライドは格段に良くなる
上記2つのマナーを守るだけで、スライドは各段に良くなります。以下に、上記マナーを守っていないスライドと守っているスライドを並べてみました。
まず悪い例では。
・2010年前後で成長が鈍化したものの2012年に復活した
・2013年から一時的な落ち込みがあったが、ここ3年では盛り返している
・全体として増加傾向にある
とメッセージが複数含まれています。そのため、スライドから何を言いたいのかがはっきりと伝わらなくなってしまっています。
また、グラフと示唆の位置関係が悪いことで、メッセージとボディのつながりが分かりづらくなっています。
逆に改善例では、メッセージを
と一点にまとめているため、何を言いたいのかが一目で分かります。またメッセージを読んでからグラフが目に入ってくるため、グラフを読み取る際も「本当に増加傾向にあるのか」という一点のみに集中することができます。
このように、簡単なマナーを守るだけでも十分効果があるので、是非実践してみてください。
ジョブで役立つスライドTips
①スライドを印刷してストーリーが通っているかチェックする
色々とスライドを作っているうちに、そもそものストーリーがぶれることがあります。リサーチで集めたデータを全部盛り込もうとする、細かい部分にこだわってしまう、など原因は様々です。
そんな時は、 全てのスライドを印刷し、並べてみましょう。 そうすれば「あれ、これストーリー通ってなくね?」という風に気づくことができます。
これは パソコン上でやらないことがキモ です。紙媒体で確認を行うと違和感を発見しやすくなり、またチームメンバー全員が一堂に会して議論できます。
違和感を感じた場合は「スライドの順番を変える」「要らないスライドを抜く」「足りないスライドは白紙の紙にメッセージを書いて挿入してみる」などを行い、しっくりくるように改善していきましょう。
印刷が難しい場合でも、チーム全体でスライドを前から順番に一通り確認するといった時間を設けることで、修正すべき点を見つけることができるでしょう。
②エグゼクティブサマリを作る
上記のようなエグゼクティブサマリを最初と最後にはさみましょう。これにより相手が「これから話すことの全体像」を理解した上で、ストーリーを聞くことができます。
何が話されるのか分からない状態でプレゼンを聞くと、そのスライドの内容を理解するだけでなく、前後のスライドの関係性や全体としての構成の理解も同時にする必要があり、頭のリソースをかなり使ってしまいます。
プレゼンの最初と最後にエグゼクティブサマリをはさみ、前もって相手に全体像を理解してもらうことが、スムーズな内容の理解につながるでしょう。
③目的に即したグラフを用いる
スライドの中では様々な用途でグラフを用いる場面があると思います。
グラフを用いる際には、「そのグラフを用いて何を示したいのか」という目的に応じて、グラフを選択する必要があります。例えば円グラフは構成比や構成要素を示すのには適したグラフですが、時間的な変化を示すのには不適当なグラフです。
以下に代表的なグラフとその用途についてまとめましたので、覚えておくと良いでしょう。
・折れ線グラフ:変数の変化を示す
・円グラフ:構成比や構成要素を示す
・ヒストグラム:データの分布、ばらつきを示す
・散布図:2次元データの分布、ばらつきを示す・相関を調べる
また、棒グラフや折れ線グラフのような2軸のグラフでは、横軸に事象の「原因」、縦軸にその「結果」に該当する変数を当てはめると分かりやすくなります。
グラフに限らず、図表においてはこのようなちょっとした工夫をするだけで、ストーリーの伝わりやすさが格段に変わります。こうした図表の扱い方について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
④相手に伝わるメッセージを心がける
一般的にジョブの最後で行われるプレゼンの相手は、仮想のクライアントであるパターンが多いです。旅行代理店や通信会社など、設定されるクライアントの業界は様々ですが、注意していただきたいのは クライアントはコンサルタントではない ということです。
コンサル志望の就活生は日ごろから業界研究やケース面接対策などで横文字に触れる機会が多いため、メッセージでもそれらを多用する傾向があります。しかし、「クリティカルイシューは~」などと聞いて、すべてのクライアントが意味を即座に理解できるでしょうか。プレゼンを行う目的は「ストーリーを伝え、理解してもらう」ことです。「この言葉どういう意味だろう?」と思われてしまっては、プレゼンとして失敗しているといっても過言ではありません。
自分のコミュニティ内の専門用語を使うのではなく、すべての業界の方に伝わる言葉選びを行い、単純明快なメッセージの作成を心がけましょう。
スライドはストーリーを伝える手段
いかがだったでしょうか。今回はジョブで実践できるスライド技術をお伝えしました。
「○○を守るべき!」などとは述べてきましたが、「スライド作成に絶対の正解はない」ということは覚えておいてください。極論、「相手にしっかりとストーリーを伝える」という目的さえ果たせるのなら、どのような形式でもいいのです。
今回は特に汎用性が高く、再現性も高いマナーやTipsを紹介しました。しかし、もしあなたがクリエイティブな才能に溢れており、動画やインフォグラフィックスを自由自在に作れるのであれば、わざわざスライドを作る必要さえないかもしれません。
これは全ての作業に言えることですが、 作業そのものを目的化せず、常に作業の目的を意識する よう心がけてください。
日頃使わない知識はすぐ忘れます。ジョブ参加中「スライドを作るぞ!」となったときに、「あ、そういえばコラムあったな」と立ち止まり、またこのコラムを読んでもらえると嬉しいです。
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