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インターン当日に評価が低い人って?
就活コーチの代表・廣瀬泰幸です。8月25日に、東洋経済オンラインで、「インターン当日『人事の評価が低い学生』3NG」を公開しました。既にお読みいただいた方もいるかと思いますが、そこでの趣旨は、インターン当日に評価が低い人の3つの特徴は、
(A)人に積極的にアプローチできない
(B)思考のレベルが浅く、狭い
(C)グループワークでプラスの価値を発揮できない
であるということです。
前回のコラムでは、(A)人に積極的にアプローチできないについて深めました(「『他人に話しかけるのが苦手』な就活生の皆さんへ~“小さなチャレンジ”から始めよう」)。そこで、今回のコラムでは、上記(B)思考のレベルが浅く、狭いについて一歩深めてみようと思います。
自分の思考力を振り返ってみよう!
インターンのプログラムでは、ほとんどの会社でグループワークやグループディスカッション(GD)を行います。その際には、議論すべき観点を話し合うことに始まり、テーマに即して問題点や課題点を洗い出し、解決策や効果を検討するといった流れになるケースや、新しい商品やサービスを提案するケースが多々あります。そして、こうしたグループワークのプロセスの中では、さまざまな観点から議論を深められるチームと、表面的・一面的な議論しかできないチームに分かれます。当然のことながら、さまざまな観点で深く議論できたチームには、そもそも議論の内容を自分なりに深く広く考え、そうした自分の思考をチームに提示した人が存在します。そうした人は、大学生活の様々な場面で、日頃から深く、広く思考してきた人です。
そこで、まず、自分の日ごろの思考経験を100点満点中、何点であるかを数値化してみましょう。5分程度で、以下の表に答えて点数を算出してください。
最終得点の合計と、合格可能水準は以下の通りです。
いかがでした? 現在の自分の思考力が腑に落ちたでしょうか。
サーベイの背景
上記サーベイについて3点に分けて補足します。
まず、質問の上から3つ目までは、日常の生活場面に関することです。「何でこんな質問が就活に関係するの?」と意外に思われた方も少なくないと思いますので、簡単にその背景をお伝えします。視点を入社した後に移してみましょう。入社後は、どの部署に配属されたとしても、その仕事をする上で必要な専門知識は、ゼロに近いです。そのため、身近な先輩から仕事を教えてもらうことになります。そして、その際に先輩が一番気にすることは、後輩が自分の言ったことをどこまで理解してくれたのだろうか? ということです。
仕事の場面では、意図を察し、分からなかった場合には、的確に質問することが求められます。先輩としては、自分が伝えたことを後輩が咀嚼できたかどうかは、質問してくれて初めて理解できるからです。一流企業で働く先輩は、当然自分の仕事を遂行する傍ら、後輩の面倒をみています。そのため、懇切丁寧に仕事を教えることは稀なものです。そのため、1を言えば10を理解できる後輩でなければならず、かつ、的確に質問してくれる後輩が好まれます。併せて、通常、仕事の優先順位は自分なりに考えて行うことが求められます。多くの選択肢の中から自分なりに効果や緊急度を考えて、優先順位をつけて行動することが仕事の現場では求められています。これらのことを日常の大学生活の場面における行動から評価してもらうため、上記3つの質問をご用意したのです。
実際に、私はリクルート時代には、数十人の後輩や部下を育て、その成長を見てきました。そうした経験の中で、数年すると大きく成長した人たちは、決まって、的確な質問をしてきたり、複数の選択肢の中から自分なりに優先順位をつけて仕事をしてきた人です。こうした力は、入社後のOJT教育やOFF-JT研修である程度は身につけられるものの、それまでに培った、思考して行動する力のベースの有り無しで大きな開きがあると思っています。
次に、上から4つ目から7つ目までの質問は、組織やチームの中でのことです。今回も入社後に視点を移してみます。入社後には、配属部署での仕事をすることになりますが、仕事とは一言で言えば「一定の期限内に目標を達成すること」です。そして、その目標達成プロセスで大切なことは、現状をInputした後に、その状況における課題や原因を探り、複数の選択肢を自ら考え、達成するための具体的なActionをとることです。こうした思考や行動は、全ての職種で共通です。併せて、自分がそうした思考や行動ができているか否かは、先輩をはじめとした周りの人が一番分かっているものです。そのため、大学生活のチーム行動の場面でどのような思考と行動をしてきていたかという観点で、上記4項目の質問をご用意しました。
実際に、私は、これまで、400人を超える学生さんとマンツーマンかグループワークで、1人に対して30回ほど就活コーチングの場で時間を共有してきました。そうした中で、最終的に入社倍率が数十倍~100倍を超える難関企業に内定できた人の共通点は、学生時代の部活・サークル、バイト等の活動の中で、深く考え、多数の選択肢を挙げた中で、優先順位に基づき実際に行動してきた人です。
最後の3つの質問は、これまでの就活場面に関する質問です。今年は、昨年までの就活環境とは、全く違うことはご存知だろうと思います。インターンを含め、何かの就活イベントに参加することは、単に知識をInputするに留まらず、深く考えたり、自分の思考の幅を拡大する絶好のチャンスです。そうした機会に、単にその業界や会社を知ることを目標に掲げるのではなく、そうした場で何を得、どんな影響力を発揮するかというシナリオを持って参加する人と、そうでない人とは、大きく得るものが変わってきます。また、参加後にその効果を振り返る人とそうでない人とでは、得られるものも変わってきます。併せて、1つの就活イベントへの参加は、次の就活イベントはどんなものに参加すべきかを考える絶好の機会でもあります。そのためこれらの質問をご用意しました。
就活と並行して思考力Upに取り組もう!
採用の合否を決定するPointは、人との面談や面接を通して、お会いいたただいた人に「一緒に働きたい」と思ってもらうことです。そして、ここまでお話してきた“思考力”は、面接官が「一緒に働きたい」と思うかどうかのKey Factorです。そのため、これからは、どうしたら思考力をUpできるかについてお話しします。
思考力Upのためには、(1)プライベートな生活場面(2)チームの中(3)就活場面という3つの場面に分けて、それぞれ強化することが大切です。しかし、前出の東洋経済オンラインの記事ではこれらについて詳細にお伝えできいませんので、ここでは詳しくお話しします。
(1)プライベートな生活場面では・・・「パワー シフト」を口癖に
言葉は思考を表すため、日頃どんな言葉を使うかは、とても大切だと思います。有名なマザー・テレサの言葉にも、「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから・・・」というものがあります。また、ポジティブな人はポジティブワードを、ネガティブな人はネガティブワードを日頃から使っている傾向があると思っています。
そこで、皆さんにオススメしたい口癖ワードがあります。名付けて、「パワー シフト」。
P=Purpose?(目的は?)
W=Why?(なぜ? どうして?)
S=So What?(だから何? その理由は?)
I=In addition?(他には? 追加すると?)
F=Further?(更に?)
T=True?(本当に?)
のそれぞれの頭文字をとったものです。
ロジカルに思考する為には、まずは「目的」を常に意識することがファーストステップになります。そして、何らかの結論に至ったとしても、そこで思考を止めないで、問い続けることが大切です。「なぜ?」「どうして?」「だから何?」「その理由は?」という質問は、縦に深く考えを掘り下げる上で、不可欠な質問です。加えて、「他には?」「追加すると?」や「更に?」は選択肢を多角的に考える上で、つまり、考えを横に拡大するために、不可欠な質問です。そして、「本当に?」という質問は、それまでの考えの有効性や実現可能性を考える上での質問になります。
そのため日頃から、この「P W S I F T」(パワー シフト)を口癖にし、自問自答したり、友人らとの会話で意識的に使ってみることは、自分の思考を縦に深めたり、横に広げたりする上でとても有効な方法となります。
(2)チームの中では・・・ツリーとピラミッド
次に、部活やサークル、ゼミやアルバイト等のように、組織やチームに所属して、その中で問題を発見し、その原因を探り、対策や解決策を立案する際のことに関してです。
結論としては、その際に「ロジックツリー」をチームの仲間と作り上げることをお勧めします。ロジックツリーとは、マッキンゼーのみならず、多くのConsulting会社や、日本のトップ企業の実際の職場でかなり頻繁に長期間に渡り活用されている手法です。具体的には、テーマを決めた後に、WhyとSo What、In additionとFurtherを繰り返しながら、現状や原因を深めたり横に思考を広げながら、最終的には原因に対応する有効な対策を立案する際に有効な思考ツールです。私がお勧めしているのは、こうした思考を自分1人で行うのではなく、チームや組織のメンバーで行うことです。大切なことはその後に生じる具体的なActionを、ロジックツリーを作り上げる過程に携わると、自らの問題としてモチベーション高く実行できるからです。
併せて、組織やチームの問題を分析し、原因を探り、解決策を立案する際には、「ピラミッド構造」を意識して行うことも有効です。ロジックツリーは左から右に思考を深めていくことですが、ピラミッド構造は上から下に思考を深めていくことです。ピラミッド構造は、メインメッセージやキーメッセージを意識して構築するため、第三者にそのプロセスを話す時にロジックツリーよりも話しやすくなるというメリットがあります。
戦略コンサルや外銀(外証)の面接はそうでもありませんが、日本のトップ企業での面接は、総じて「コンピテンシー」面接です。その際には、学生時代に力を入れた1つのエピソードについて深く掘り下げて聞かれます。ピラミッド構造で思考し、所属組織やチームの課題解決や目標達成に取り組むことをお勧めするゆえんです。
(3)就活場面では・・・・3C
すでに様々な就活イベントに参加されていることと思います。具体的には合同説明会やインターン面接、実際のインターン等です。そうした機会は、1つの企業を深く理解するチャンスに溢れています。そこで、こうした就活イベントやこれから参加できるイベントにおいて、自分の考えを深め、広げる秘訣についてお話しします。
結論としては、2点あります。1点目は、企業を3C(Customer、Competitor、Company)の枠組みで捉えることです。企業活動とは、顧客に対して商品やサービスを提供する活動です。そのため、市場のニーズや変化を含めてCustomerを理解することがまず大切です。併せて、ほとんどの会社では、競争相手(Competitor)が存在します。たとえ現在はある市場に対して独占的に商品やサービスを提供している会社でも、潜在的な競争相手は存在しています。そのためCompetitorの理解も欠かせません。そして、自社(Company)の理解が必要なことはいうまでもありません。
こうした3Cを理解して就活イベントに参加すると、企業の人に対する質問内容が変わります。また、参加後には企業を捉える深みが変わってきますし、次にとるべき行動が変わります。そのため、是非とも企業を3Cの枠組みで捉えることを習慣化させてください。
2点目は、3CのうちCompanyを“自分株式会社”と捉え直してみることです。この考え方は、リンクアンドモチベーションが様々な会社のキヤリア研修を実施している時に使っている枠組みですので、簡単に紹介します。Companyとは、自分のことです。Competitorとは、応募企業の選考を受ける学生です。Customerとは、応募企業そのものです。
自分を“自分株式会社”(Company)と捉えた時、果たして自分は成長しているのだろうか。自分のウリは何だろうか。競争相手(Competitor)に対する優位性とは何なのだろうか。応募会社(Customer)に提供できる価値とはなんだろうか等々に関して、是非自分自身を自分株式会社に置き換え、思考を深め、また広げて、就活を進めてください。インターンの場面をはじめとして様々な企業と接触する中で、今までと全く違った世界が見えてくるかもしりません。
思考を深め、広げるために、自分自身に投資を
今回のコラムでは、思考を深め、広げることの大切さを理解し、ちょっとした日常のくせづけや、思考の道具を活用すれば、誰もが明日から実行できることを紹介しました。また“自分株式会社”の考え方は、日本を代表する会社のキャリア研修において、既に数万人が受講して実践している考え方です。併せて、自分の考えを深めたり、広げることは、仕事をする上で必要となるだけでなく、プライベートでの生活を充実させる上で欠くべからざることです。
本コラムをお読みいただいた方で、“自分株式会社”を成長トレンドに乗せたいとお考えの人は、様々な機会を通して自分に「投資」していただくことがいいかもしれません。
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