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総合商社の業界研究におすすめの本を紹介!
「グローバルに活躍できる。給与条件が良い。投資案件も手がけられる。」
といったように総合商社にはさまざまな魅力があり、外資就活ドットコムの読者からも多くの志望者を集めています。
その一方で、事業が多角的であるがゆえに業界研究がしづらく、総合商社に入ったらどんな仕事をして、どんな自分になるのか、具体的にイメージを掴みづらい学生も多いと思います。
そんな時に役立つのが、商社を描いた経済小説や、各商社にまつわるノンフィクション伝記、社員インタビュー集などです。とりわけ 『不毛地帯』や『現代総合商社論』 といったあたりは例年商社志望者の間ではスタンダードになっています。
そこで、商社に関わる関連書籍を以下にまとめてみました。大学の図書館などを有効活用して、できるだけ多く文献に触れてみてください。
ストーリーで学ぼう!商社小説5選
山崎豊子 『不毛地帯』(全5巻)
不朽の名作とされている経済小説。これを読んでいないとさすがにモグリ扱いされるかもしれません。繊維商社から出発した伊藤忠商事が総合商社へと歩を進めてゆくリアルなドラマが描かれています。まさに日本の商社史を描いた本書は、必読書といえるでしょう。
主人公のモデルは伊藤忠商事の元会長瀬島龍三氏。主人公のライバルのモデルは日商岩井元副社長の海部八郎氏。ともに戦後の総合商社の発展の礎を築いた財界人です。
不毛地帯 第一巻(新潮文庫)
著者:山崎 豊子
新潮社
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松本清張 『空の城』
かつて最大売上高2兆6千億円を誇った総合商社・安宅産業の、石油暴落をきっかけとした破綻事件を描いた小説。主人公のモデルは元安宅アメリカ社長高木重雄氏。創業家として院制を布いていた相談役社賓・安宅英一氏をモデルとした人物も登場します。企業再建を目指し合併を模索した当時の住友銀行、安宅産業を最終的に吸収合併する伊藤忠商事をモデルとした動きもリアルに描かれます。商社ビジネスの持つリスクや関わる業界が学べます。
空の城 (文春文庫 (106‐62))
著者:松本 清張
文藝春秋
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高任和夫 『商社審査部25時』
三井物産の国内審査管理室長だった高任和夫氏の処女作にして出世作。商社の与信管理について、法務雑誌に連載したものを書籍化し、話題を呼びました。与信管理部門に所属する主人公が、倒産リスク分析、債権回収、債権者調整、取引先が倒産すれば取引先企業の債務軽減や再生への働きかけ―と幅広く奔走します。商社のリアルな内面を知るのにもってこいの一冊です。
商社審査部25時: 知られざる戦士たち (講談社文庫 た 61-7)
著者:高任 和夫
講談社
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黒木亮 『エネルギー』(上 / 下)
三菱商事のロンドン現地法人でプロジェクト金融部長まで務めた黒木亮氏が、実話ベースで国際資源戦争を描いた話題作で、日経ビジネスに連載されていました。商社でのエネルギービジネスとファイナンスの動きについて非常に参考になる一冊です。海外でプロジェクトファイナンス実現のために、手段を選ばず執拗に動く総合商社の主人公の姿は真に迫るものがあります。
エネルギー(上
著者:黒木 亮
サウンズグッド カンパニー
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エネルギー(下)
著者:黒木 亮
サウンズグッド カンパニー
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城山三郎 『毎日が日曜日』
綿密な取材に基づき、左遷された商社社員の日常を描いた小説です。ビジネスパーソンである前に、一人の人間である商社社員が人生をどう捉えていくかという面で非常に参考になります。商社でのリーダーシップについて触れた「ワタシハ、アリニナレル。ワタシハ、トンボニナレル。シカモ、ワタシハ、人間デアル」という一節が有名。これは伊藤忠商事の役員面接での質問を元に生まれたそうです。丹羽宇一郎(伊藤忠元会長)氏も本書への書評(にっぽん経営サミット)を寄せています。
毎日が日曜日(新潮文庫
著者:城山三郎
新潮社
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会社ごとの特徴をつかむ!業界研究6選
三菱商事 『現代総合商社論』『新・現代総合商社論』
早稲田大学商学部の看板講義を書籍化したものです。三菱商事の役員・各本部長クラスがズラリと顔を揃え、最新の商社ビジネスについて解説しています。各ビジネスの現状が把握できるほか、人材開発や財務、リスクマネジメントまで言及しています。
三菱商事については本書を押さえておけば十分ですが、過去のインタビュー集として『挑戦者、開拓者、改革者―三菱商事グループの最前線』(田中憲造、2004年)、『総合商社プロフェッショナル。』(一志治夫、1999年)があります。商社ビジネスがどう変化しているか、商社社員の実像に迫るにはこの2冊も非常に参考になります。
現代総合商社論
著者:三菱商事株式会社
早稲田大学出版部
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新・現代総合商社論: 三菱商事・ビジネスの創造と革新[2]
著者:三菱商事株式会社
早稲田大学出版部
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三井物産 『撃って出なきゃ 商社だもの』
三井物産の常務執行役員だった守山淳氏による、大学での熱血講義と、三井物産社内に発信していた所感録をまとめたものです。時代のニーズを汲み取り事業を生み出す商社としての三井物産のあり方、社員のワークスタイルがリアルに伝わる一冊です。
三井物産については他にも同社副社長まで上り詰めた天才的な相場師を描いた『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』(城山三郎、1992年)や、日本の近代史として三井物産を捉えた『近代日本と三井物産―総合商社の起源』(木山実、2009年)・『三野村利左衛門と益田孝』(森田貴子、2011年)、同社メディア事業部次長の著者による商社ビジネスの手法を描いた『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸、2013年)などが参考になります。
撃って出なきゃ 商社だもの
著者:守山 淳
毎日新聞社
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伊藤忠商事 『負けてたまるか! 若者のための仕事論』
伊藤忠商事と言えば元同社社長・会長の丹羽宇一郎氏です。1998年に社長に就任すると、約4000億円の不良資産の一括処理に成功、翌年度の決算では同社史上最高益を計上しています。丹羽氏自身が著した本書は、「苦労×時間=底力」「人は仕事で磨かれ、読書で磨かれ、人で磨かれる」といった氏の仕事哲学がまとめられています。氏のマインドは今を持ってなお伊藤忠商事を代表するものでもあります。
新書229 若者のための仕事論 (朝日新書 229)
著者:丹羽 宇一郎
朝日新聞出版
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丸紅 『丸紅』
03年の就任以降、毎年過去最高の純利益を出し続けた勝俣宣夫元社長の他、丸紅のキーパーソンのインタビューを掲載しています。事業そのものについては発行された08年当時のものとなっており少々古いですが、丸紅のスタンスについてよくまとまっています。
丸紅 (出版文化社新書 リーディング・カンパニーシリーズ)
著者:野崎稚恵
出版文化社
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双日 『会社は毎日つぶれている』
バブル崩壊後約六千億円の不良債権を負った日商岩井の社長に就任、ニチメンとの経営統合を果たし双日の初代社長に就任、経営再建を果たした西村英俊氏の著作です。
全般に経営者の指南書としてまとまっていますが、双日が作り上げられた歴史を知る上ではもってこいの一冊です。
会社は毎日つぶれている
著者:西村 英俊
日本経済新聞出版社
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双日の企業情報
必携の業界地図
こちらは、最新のものを1冊購入して、ある程度事業構造が飲み込めるまで眺めておくと、商社ビジネスへの理解が早まります。
下記に参考書籍を掲げます。その他にもありますが、業界研究書は玉石混交ですので、ご注意を。
図解入門業界研究 最新総合商社の動向とカラクリがよーくわかる本[第3版]
著者:丸紅経済研究所
秀和システム
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総合商社図鑑
日経BPコンサルティング
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商社ビジネスの現実に触れる!小説6選
黒木亮 『シルクロードの滑走路』
中央アジアでの航空機ファイナンスを描いた異色作です。ビジネス常識の通用しない国で、商社内の各部署と連携をとりながら契約にこぎつけることがどれほど大変かを間接的ながら追体験することができます。
シルクロードの滑走路
著者:黒木 亮
サウンズグッド カンパニー
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高杉良 『会社蘇生』
1980年代に一度倒産した大沢商会の経営再建をモデルに総合商社の経営再建の模様をつぶさに記しています。社長以下の社員や保全管理人の奮闘が実にリアルです。
新装版 会社蘇生
著者:高杉 良
講談社
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玉岡かおる 『お家さん』(上 / 下)
大正から昭和初期にかけて日本最大の総合商社だった鈴木商店に君臨した一人の女性を描いています。鈴木商店の子会社だった日本商業会社は双日のルーツの一つ。本書でもまた、商社の歴史に深く触れることができます。
お家さん(上)(新潮文庫)
著者:玉岡 かおる
新潮社
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お家さん(下)(新潮文庫)
著者:玉岡 かおる
新潮社
(Amazonで詳細を見る)
安土敏 『企業家サラリーマン』
海外飲食店グループを率いる商社マンの主人公を題材に、会社人として組織に従う部分と、組織を革新し事業を創造することの矛盾を浮き彫りにしています。こうした悩みも商社あるあるです。著者はサミット元社長で「社畜」という言葉を生み出した大物経済人です。
企業家サラリーマン (講談社文庫 あ 24-3)
著者:安土 敏
講談社
(Amazonで詳細を見る)
有吉佐和子『夕陽カ丘三号館』
国内の社宅における商社社員の妻の日常に迫った小説です。1970年代の作品ですが、奥様同士の見栄の張り合い、教育問題などは今に通じる部分があります。ライフプランを考える際に参考になります。
新装版 夕陽ヵ丘三号館 (文春文庫) (文春文庫 あ 3-6)
著者:有吉 佐和子
文藝春秋
(Amazonで詳細を見る)
松村美香『アフリカッ!』
現役の国際開発コンサルタントが、総合商社社員のアフリカ事業開発を描いた小説。2013年と最近の著作です。地元で疫病にかかったり、ビジネスの種を探すことも困難というアフリカビジネスの現実、その中で事業を生み出すマインドを知ることができます。
アフリカッ!
著者:松村 美香
中央公論新社
(Amazonで詳細を見る)
なぜ、業界研究としての読書が有用なのか
商社の就職活動の過程で、インターンへの参加、OB・OG訪問、実際の面接と、現役社員と触れ合うことが多くなると思います。
現役社員との交流は、企業をよく知り、自分を良く評価してもらう絶好の機会ですが、学生側の準備や素養が不十分であれば、失格の烙印を押されてしまうリスキーな場でもあります。例えば「何か質問はありますか?」と聞かれた際に、ただ何か言おうとして的外れの発言をしてしまっては、「あれ、この学生はさほど我が社に興味がないのだな」とネガティブな印象を与えてしまいます。
勿論、調べてもわからないこと、湧いた疑問は積極的に、「聞くは一時の恥」の精神で聞くべきです。(どちらかというと、このことは入社以降重要になりますが)
しかし、事前に業界・企業について調べ、研究していない限り、社員側が「なるほど、それは分からないよね」あるいは「鋭いな。よく会社を見ている学生だな」と思うような質問はなかなか出てこないでしょう。
インターネット上で企業情報を調べるのは勿論のこと、より深く理解を進めるために、本稿で挙げたような書籍を通じ、 商社ビジネスの感覚や常識をつかんでおくことは、今後の活動の場で他の学生と差をつける(あるいは事前準備の時点で差をつけられない)ためにも有効な作業となるわけです 。
また、書籍を通して商社ビジネスのイメージを掴むことで、学生自身が自分が興味を持てる、あるいは自分を活かせる業界かどうかも見えてきます。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
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