総合商社であなたは何になるか~事業領域でみる総合商社のザックリ人物像~

2025/10/17

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総合商社のビジネスを知ろう

こんにちは、外資就活 商社チームです。

毎年多くの就活生が門を叩く総合商社。「総合」という言葉が示唆するように、様々な領域に関わる特殊なビジネスモデルを持っています。そのため具体的に「総合商社で働く自分」をイメージするのは容易ではないでしょう。

総合商社内定者からも 「志望動機が難しかった」「内定したが、これから何を担当するのか不安」 という話を耳にします。

では、実際に商社はどんなビジネスを行っているのでしょうか。本コラムでは資源/非資源/新領域の3つにセグメントを分け、総合商社の各事業領域の業務イメージ、求められる人物像について概観します。

総合商社に対して 「総合商社で働く自分」をイメージし、志望動機として「商社で将来何がしたいのか」を伝える 一助となれば幸いです。

資源分野ビジネスと、成長イメージ

資源に乏しい日本で発展した総合商社だからこそ、資源ビジネスの歴史は長く、現在の三井物産の前身となった旧三井物産は創業期から石炭の売買を行っています。

現代においても資源ビジネスは「会社の利益のため」を超えた 関わる全ての企業、国々の利益の責任も背負うビジネス です。

資源ビジネスは三菱商事と三井物産の中核事業として知られています。近年の資源価格下落を経験した後でも、両社は資源ビジネスの重要性を訴えています。今後も総合商社と資源ビジネスの関係は続き、新規開発案件や新規バリューチェーン案件を行っていくことが予想されます。

一方で重厚長大であるが故に 「資源の若手の仕事は、先輩のサポートが中心」 ということもあるでしょう。実際に内定者も、配属に関する案内の際に企業側からそのような説明を聞いている方もいるようです。

若手社員の具体的な業務としては開発案件における資料作成、国内外の会議の場のアレンジ、そして獲得している資源の売買(貿易管理や価格交渉、販路調整)などが考えられます。

そのため入社時点から高いアウトプットを求められる投資銀行やコンサルでのキャリアのスタートとは大きく異なります。

しかし、このような環境で総合商社が若手に期待しているのは 10年後、20年後を支える資源分野を扱い、大臣クラスのキーマンと交渉出来る人材へと成長すること です。

グローバルに働くことは一般的になりつつあります。その中で、ただグローバルに働くだけに留まらず、国家レベルのクライアントや予算を相手にする総合商社の資源ビジネスを、自身の挑戦の場として捉えてみてはいかがでしょうか。

非資源分野のビジネス環境と、成長イメージ

近年の資源価格下落により、ハイリスク・ハイリターンな資源分野よりも安定的な収益を見込める非資源分野への注目が高まっています。

非資源分野の特徴は、その幅広さにあります。各社の事業内容を見ても、食料や機械・自動車、化学品などの営業本部は多岐に渡ります。さらにその中に属する 商材の多さ故に、若手にも担当商材へのプロフェッショナリズムが求められる でしょう。

そのため若手時代には商材知識や、業界のキーマンとの人脈、様々な企業との膝を突き合わせた交渉術が求められるといえます。中には クライアントとの会食を一日一社ずつ行っても、一年では足りない という話を聞いた内定者もいます。

では、そのプロフェッショナリズムを得た後にはどのような仕事が出来るのでしょうか。

中には「その商材に詳しくはなれるが、そこで頭打ち」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし改めて「総合商社での仕事」という視点に立ち返ると、 プロフェッショナリズムの先に期待されているのは、異なる得意分野を持った人の集まりによる新規事業の創出 です。

例えば以下のプレスリリースからも、総合商社が単純なモノの売買や、バリューチェーンを投資で獲得するだけではなく、既存事業を掛け合わせた新規事業の創出にこだわっていることがわかります。

総合商社は、そのビジネスモデル上、単独で成長し続けることはできません。 すなわち関わる業界全体を成長させる仕事をしなれば総合商社は生きていけず、そのプレッシャーや広い視点に対応出来る人材が求められています。

担当商材について 自分で工夫しながらビジネスを行う中で得た人脈、知識や交渉術といったスキルを活用し、いかに付加価値が高く、収益性がある事業を創っていく のか。そこには無限の可能性があり、とても魅力的ではないでしょうか。

自らがプロフェッショナリズムを持つことができるのに加えて、同じ会社であるにもかかわらず全く異なる世界で成長した仲間と、共にビジネスを作り出したいと考える人には最適な場所です。

新領域分野ビジネスと、成長イメージ

総合商社が持続的に成長するためには、常に新しい分野への挑戦が不可欠です。近年、各社は今まで 関わっていなかった業界や技術分野への進出 を加速させ、デジタル技術やAIを活用した革新的なビジネスモデルの構築から、社会課題解決に向けたヘルスケア事業まで幅広い新領域開拓に取り組んでいます。

住友商事では、2025年4月にベトナムの大手IT企業FPTおよびSBIホールディングスとAIソリューションを提供する合弁会社を設立し、AI活用に不可欠なGPU計算リソースのクラウドベースでの貸し出しを開始しました。同社はこの事業を通じて、単なるリソース提供にとどまらず、産業特化型のバーティカルなAIソリューションの開発や、日本のデジタル競争力強化への貢献を目指しています。

また伊藤忠商事では、2025年3月にマーケティング課題の可視化・改善支援ソリューションの開発を発表し、データ分析とAI技術を活用した新たなビジネス領域の開拓を進めています。同社が強みとする消費者接点を活かし、ファミリーマートでの実証実験から得られた知見を他業界にも展開する戦略です。

丸紅では、2023年4月にフィリピンにおける体外受精(IVF)関連事業に参画することを発表しました。日本の加藤レディスクリニックと連携し、不妊に悩む夫婦・カップルを対象に、一般的な不妊治療から生殖補助医療、妊娠後のフォローアップまで総合的なサービスを提供します。働き方や生活習慣の変化により世界各国でIVFニーズが拡大する中、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透とともに医療インフラの拡充を通じた社会課題解決に取り組む事例です。

このように 総合商社は「何もしなければ衰退する」といったプレッシャーの中で、新たなビジネスチャンスを常に模索している のです。

新領域分野では、急速に変化する社会やテクノロジーの潮流をいち早くキャッチし、それをビジネス機会に転換する能力が求められます。AI、デジタル技術、データ分析といった先端技術から、少子高齢化や働き方の変化といった社会課題まで、幅広い視点で新たな価値創造の可能性を見出す。そしてそれを既存の事業基盤と組み合わせて、持続可能なビジネスモデルに昇華させる。総合商社が持つ膨大なアセットと顧客基盤を活用しながら、未来の社会課題解決に向けたイノベーションを生み出すのは、非常にやりがいのある仕事です。

学習意欲が高く、チャレンジ精神にあふれ、変化を恐れずに新しい技術やビジネスモデルに積極的に取り組める人材が、この分野で活躍できるでしょう。

最後に、商社チームに在籍する総合商社内定者がOB訪問をした際、次のような印象的な話を聞いたそうなのでご紹介します。

「総合商社はトレーディングや事業投資の会社と思ってるかもしれないが、それは違う。全体として見ればもちろんその通りだが、一社員としてやるべきはとにかく事業を作ること。事業創造や事業参画という超主体的な方法でクライアントの要望に応えるのが総合商社の仕事。昔はそれがトレーディングだったから商社って名前だけど、実際は事業っていうサービスを提供する会社だよ」

このOBは3年目の若手の社員でしたが、日本にはまだほとんど入っていない商材の販路開拓(買い先、売り先との交渉)や貿易ルートの開拓(海外の港や日本の貿易会社との交渉)をすでに1人で行っているそうです。

「総合商社の中での成長」を志望動機につなげよう

いかがでしたか。

総合商社は長期的に成長してくれることを社員に期待していると考えられます。

そのため改めて「商社の中で成長していくイメージ」を志望動機に付け加えてみてはいかがでしょうか。

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