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物理学者志望→BCG→“人材育成”で起業、上場 「エネルギーが湧いたら180度変える」大胆な生き方~戦コン出身起業家図鑑(5)

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特集「戦コン出身起業家図鑑」、第5回の今回の主役は、東京大学大学院理学系研究科を修了後、新卒でボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社した落合文四郎さん。BCGを約2年半で辞めた理由は「エネルギーが湧いてしまったから」だという。その「エネルギー先行型」の起業ストーリーに迫る。【丸山紀一朗】

〈Profile〉
落合文四郎(おちあい・ぶんしろう)
アルー株式会社 代表取締役社長。
1977年生まれ。2001年に東京大学大学院理学系研究科を修了後、BCG入社。国内大手通信会社の新規事業立ち上げ支援などのプロジェクトに従事。2003年10月にアルーを設立。2018年12月に東証マザーズ市場に上場。
同社の事業は、企業の社員育成支援サービスや英会話講座の提供。人材研修の結果を個人別に分析したり、英会話を瞬時に文字で表示する独自開発のソフトを使うといった特徴がある。

 

「BCGに入れるぞ! ワクワク」 起業は将来の選択肢に一切なかった

――BCGに入社した段階で、将来やりたいことは明確にありましたか?

落合:ほとんど明確なものはなかったです。

小さいころから物理学者になりたくて。中学生になるとけっこう明確に物理学者になりたいと考えていました。親が数学者だったという家庭環境も影響したのだと思います。

大学では学部でも物理学を専攻し、大学院でも素粒子物理学の研究室に入りました。ですので物理は今もすごく好きなのですが、大学院になると厳しい現実世界が見えてきました。

――厳しい現実というのは?

落合:素粒子物理は物理学の中でもかなりマニアックな部類に入るので、そもそも全国の国立大学くらいでしか扱っていません。東大は同期が100人くらいですが、大学のポストは年に3つくらいしか空きません。つまり97人が大学のポストには就けない。

しかも素粒子物理は「実用性」が比較的乏しいほうなので、民間の仕事はかなり少ない。すると毎年97人ずつ大学に溜まってくるので、ポストの空きを待っているのが計500~600人くらい。その中から年に3人の枠を目指すかどうか、と考えると「そこまでじゃないな」と思いました。

――そこで路線変更したのですね?

落合:はい、道を変えようと。それが修士1年の秋くらいでした。

学部時代のサークル仲間にはすでに就職している人もいたので、民間の情報は彼らから得ていました。外資系投資銀行や戦略コンサルティングファームが実力主義の世界であることや、日系大企業にはそれとは大きく異なるカルチャーがあることなどを聞いていました。

メーカーなどの大企業で働くのはどうもピンと来なかったので、BCGやベイン・アンド・カンパニーといった戦コンのほか、外資金融のトレーダー職を受けました。戦コンはビジネススキル全般が鍛えられそうだし、トレーダー職は物理学で学んだことが応用できる可能性があったからです。それでBCGだけ受かって、就活を終えました。

――入社時点で将来起業するというのは頭にありましたか?

落合:一切なかったです。起業だけではなく、ここで何年くらいやろうとかのイメージも持っていませんでした。「おー! BCGに入れたぞ。どんな世界だろうワクワク」みたいな感じでしたね(笑)。

ですので、起業についても、将来を真剣に考えた上で選択肢の中になかったというよりは、そもそも考えていない」という感じです。「ビジネスってどんな世界だろう」と、本当に無邪気でしたね。

 

「やりたいことを探しにコンサルへ」はOK 20歳代は変化に身を任せて視野を広げよ

――「やりたいことを探すためにコンサルに行く」という人がいますが、それについてどう思いますか?

落合:いいと思いますね。会社側からしても、少なくともBCGは当時、そういう学生も「ありだよね」と受け入れていましたし。いろいろやりながら探せばよくて、もしかするとコンサルタントも天職かもよ、というスタンス。

僕個人としても、やりたいことが見つかる時期というのは人それぞれあると思うし、20歳代は周囲の環境の変化に身を任せることで視野を広げるのにいい時期なので、入社時点でやりたいことがなくてもいいでしょう。もちろんやりたいことが決まっている人は、それはそれでいいですし。

――「やりたいことを探す」ために行くといいのは、事業会社などではなくコンサルなのでしょうか?

落合:それは人によりますね。例えば僕みたいに理系出身で、理系の枠組みの中でやりたいことを探すなら大手メーカーに行くのは理にかなっていると思います。でももう少し幅広い領域の中から探そうと考えているなら、コンサルもありですね。

ただ、やりたいことを見つけられるかどうかは、所属する企業など周囲の環境ではなく、自身の意識によると思います。メーカーでもコンサルでも、やりたいことを見つける人は見つけるし、見つからない人は見つからない。だから、エネルギーを持って意欲的に探しているか否か、なのだと考えています。

 

過去と未来の道につながりがなくても「割り切れる」

――物理学者の道からビジネスの世界へ転向するのに、かなり思い切りが必要ではなかったですか?

落合:きれいに割り切れましたね。そういう性格なんですよね僕。180度変えようと思いました。コンサルに行っても、物理学のバックグラウンドが生きるようなプロジェクトを求めたわけでもないですし。

起業するときも、前職の延長という考えは全然なかった。今やっていることは人材育成のコンサルティングなので近い面もありますが、起業当初は特にいわゆるコンサル業をやるという構想はなかったですから。

何かしらやるとなったら、それまでのことと未来のことのつながりがなくても、エネルギーがあれば躊躇なく進めますね。

でも後から振り返ってみると、全部つながっていたりする。今の仕事には物理もBCGでの仕事も関連していますし。まあ、後講釈なんですけどね(笑)。

――入社から約2年半で起業していますが、起業につながるきっかけは何だったのでしょうか?

落合:直接的なつながりはないのですが、入社から1年半くらい経ったときに担当したプロジェクトが印象に残っています。BCGにしては珍しく中堅企業がクライアントで、その創業社長と直接やり取りする中で、社長の代替わりがあったのです。

そこで新たに社長になったのが、当時の僕と同い年くらいの26~27歳の人でした。その人がメキメキ成長していく姿を本当に間近で見て、刺激的でした。「自分も起業するという選択肢はありかも」というアンテナが1本立ったのはそのときかもしれません。

 

「起業のタネなし」 “エネルギー先行型”でスタート

――実際に起業の準備を始めたのはいつごろでしたか?

落合:起業の半年くらい前、2003年の初めくらいです。後に創業メンバーになる計3人で話をするうちに、自分たちで何かを作り上げたいというようなエネルギーが湧き起こってきたのです。

――どういうところで起業のタネに気づいたのですか?

落合:実は、「ここにチャンスがありそうだ」といった意味での“タネ”があっての起業ではなかったです。「若い人を元気にしたい」という大きな方向性はありましたが、とにかくエネルギーはあって、それを何に振り向けようかと考え、まずはやってみるかというスタートでした。

具体的な事業のアイデアは5~6個くらいあって、それらを試行的にやってみようということになりました。その中でうまくいったものを伸ばしてきたイメージです。本当にエネルギーが先立っていたので、僕は「エネルギー先行型」の起業ですね。

――「どれもうまくいかなかったらどうしよう」という怖さはなかったですか?

落合:なかったですね。

失敗したときに失うものは何かと考えると、自分たちで出し合った1,000万円くらいのお金はたぶんなくなります。でも借金を多く抱えたりしなければ、それ以外には特にない。例えば3年くらいやってうまくいかなかったら、もう一度コンサルで頑張ることもできるかなと。

――とはいえBCGに残る選択もできる中で、そのタイミングで起業した一番の理由は何ですか?

落合:エネルギーが湧いちゃったのでしょうがなかった、ということですね。エネルギーが湧くタイミングがもう少し遅かったら起業はそのときになっていたでしょうし、たまたま2年半だったというだけだと思っています。

ただ、最初の1年間くらいは仕事に慣れるので手一杯で、起業を考えるような余裕はなかったですね。今のBCGは違うと思いますが、当時は朝から晩まで、土日もどちらかは必ず仕事という働き方でしたから。

――そのエネルギーは突然湧き起こってきたものなのでしょうか?

落合:これも後講釈ですが、元々心に抱いていた「社会のインフラになるものを作りたい」という想いが源泉だったのかもしれません。

実は物理の世界もそうで、100年前の物理学が今の世を作るといったところがあります。物理をやっていて一番楽しかったのはそこで、仕事でも社会の基盤になるようなものを生み出したいという気持ちがありました。

もちろんコンサルティングの仕事も非常に楽しい。クライアントも名だたる大企業ばかりですし、メディアでも話題になるようなインパクトの大きいプロジェクトに携われます。

ただ、コンサルが得意なのは個々の企業ごとの個別最適解を提供すること。そのため、より社会全体に価値を提供できるような取り組みに身を投じたいという欲望が、しだいに沸々と湧き出てきたイメージですね。

 

「噛めば噛むほど味の出る」コンサルの世界 飽きはなかった

――退職したのは、「アソシエイト」から「コンサルタント」に昇進した後と聞いていますが、例えばさらに昇進した後に起業していたら何か変わっていたと思いますか?

落合:あまり変わらないと思います。起業はものすごくたくさんのエネルギーを使うので、エネルギーが湧いたタイミングがいいでしょう。起業って、頭で考えてするものではない気がします。学生でもエネルギーがあるなら起業してしまえばいいのです。

――退職時には「コンサルに飽きていた」ということはないですか?

落合:それはないですね。起業したのは別のエネルギーが湧いてしまったからというだけ。コンサルは非常に奥が深い、噛めば噛むほど味の出る世界だと思います。

コンサルは、最低でも10年くらいやってようやく「熟達者」と呼べるものだと考えています。最初の2~3年である程度多くのパターンを身につけると、一通りのオーダーには応えられるようになる。これを「一人前」とは呼ぶかもしれませんが、「熟達者」ではありません。

なぜなら、そもそも「オーダーがある」という前提だからです。オーダーを作るのはシニアのコンサルタント。彼らがやっていることは、クライアントの悩みの言語化です。これができるようになるには、クライアントの言葉や表情を読み取る力のほか、業界全体の深い知識が不可欠です。奥の深い世界だと思います。

――仮に、学生からそのまま起業せずに一度就職することのメリットを挙げるとすると何があるでしょうか?

落合:コンサルに限らず一度就職するメリットは、視野が広がることですね。学生のうちは、自分の可能性を狭い範囲内に限定してしまっている可能性がある。一度社会に出ると、多様な情報に自然と触れることになるので視野が広がります。

もちろん学生でありながら十分に広い視野を持っている人もいるので、その上でエネルギーもあるなら、やはり起業すればいいと思います。

――落合さんが自分の子どもにアドバイスをするとしたら、コンサルへの就職を勧めますか? それとも別業界や、あるいは起業を勧めますか?

落合:繰り返しになってしまいますが、エネルギーの向くほうに従って自分で選べば何でもいいと考えています。ただここで強調したいのは、エネルギーの有無にかかわらず「自分で決めること」が大切だということですね。

「自分で決めていない典型例」は、例えばいわゆる就活ランキングの上位の企業に、周囲の人が就職しているから自分も行くとかです。これだけはやめたほうがいいですね。

「自己決定感」がないと、何かうまくいかなかったときに環境のせいにしてしまいがちだし、その状況から自分で踏ん張ろうという考えになりにくい。ですので、仮に息子が何かしらの道を選ぶとして、その選択理由が「彼らしいな」と感じることができればいいのだと思います。


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