学生らしさがあって良い質問だと思います。
結論を申し上げますと、「しっかり自己分析すること」「自分の価値観を把握すること」「その上で自分の価値観に適合するような会社を見つけること」この3点をすると良いと思います。
以下私がこのように考えた経緯について説明しておりますので、時間があればご覧ください。
また、私は決して高収入とは言えない官庁の内定者ですが、民間企業の就活も深く行っていました。その上で見ていただけたらと思います。
質問者さんのご指摘のように(ただ受験と違いその稼げる会社…)高収入の業界・職種に入るためには「能力」のみならず「適性」として当然入ってきます。
ここでは「適性」を自分が求めるもの(価値観)と企業が求めるもの(価値観)をお互いに満たしあえるかどうか、と定義しておきましょう。(他の回答者の方も面接で見られている要件として「能力」「適性」「志望度」の3つを挙げられていました。)
高収入の業界と言って過言ではないコンサル業界を例にとってみましょう。
コンサル業界は現在高学歴の学生に高い人気を誇っている業界のひとつであり、短期間で高い成果物を出すことを求められるので、学歴と相関があるとされている高い「能力」が求められることは間違いなさそうです。
「志望度」は何とかなるでしょう。
気持ちの問題です。では、「適性」についてはいかがでしょうか?
コンサルの新卒社員の離職率は非常に高いことをご存知でしょうか?
ファームによっては3年以内の退職率は50%近くにのぼるそうです。
彼らはなぜせっかく高収入のコンサルタントになれたのに辞めてしまうのか。
多くの理由が考えられますが、考えられるものとして「適性がなかったから」が挙げられるでしょう。
先ほども申し上げたように短期間での高い成果物を出すためには能力も必要ですが、職務への強い責任感、メンバーと上手く協働できるコミュニケーション、はたまた深夜残業をこなしていく体力…。
そのような適性が求められるのではないでしょうか。
他にも当事者としてビジネスをリードしたい、他のスキルを身に付けたいなど色々あると思いますが、それら含め適性が自分にないと判断したため高収入のコンサル業界を去っていくのでしょう。
しかし、それは敗北ではなくただ「適性」がなかったのみなのです。(ここでは触れませんが、外資金融業界は輪をかけてキツいと聞いています。)
逆に適性がある人たちはコンサル業界に残って活躍されているのだと思います。Twitterでもコンサル業界の方々のそのような高いプロフェッショナリズムを見て取れるツイートを見るたびに自分も見習わなければと思っています。
では、「適性」が重要なファクターであることにもかかわらず、なぜ質問者さんのように(「稼げるかがある程度変数として大きい」)人々はただ高収入であることに惹かれる傾向にあるのか?
それは高い生活水準を求めることも多分にありますが、それを可能にする「収入のみ」が数値で客観的に他者と比較できる「分かりやすい」尺度だからです。
小学校の頃は50m走のタイム、飛んで大学受験では偏差値、大学では学歴。そのようなものが今まで「わかりやすい」尺度であったわけですが、その尺度が社会に出れば年収に置き換わっただけなのです。
そのような「わかりやすい」尺度に依存してしまう人は自分の尺度が分かっていない(あるいは、ない)のでしょう。
自分の尺度が分からず「適性」でアウトをくらってしまう。内定をもらって入社したとしても中々活躍できず結局退職という選択をとる。
だから冒頭で「自己分析」をしてください、と申し上げたのです。
自己分析は面接のためだけにするものではありません。
自分の尺度を自分で明らかにして、その上で適性のある会社を見つけていくための作業なのです。
もしその自己分析の末、自分の尺度は「他者に明らかに優越すること」、「それのみが自分の幸福感につながる」のだと結論づけたなら、そのような高年収の業界・職種をターゲットとした就職活動をすれば良いと思います。
適性がなくても何か他の手段でカバーして内定をもらい、その業界にしがみついていく努力をすれば良いのです。
さっさと総合商社か総合コンサルのエントリーシートの作成にとりかかりましょう。
もう2月も見えてきているので、時間はそんなに残っていないはずです。
しかし、私の考えに共感するひとは多く無いかもしれません。
意外と自分の周囲の高学歴とされる知り合いもただ手取りなど近視眼的に考えている節があるように見受けられます。
それこそ、高学歴の大学生こそ学歴という「わかりやすい」尺度に頼ってきた人が多いでしょう。
質問者さんも「成績でいける範囲で…」とおっしゃっていたことから推察するようにそのような考え方をするタイプなのではないでしょうか。
内定者の時点でもそのような思考をするひとはたくさんいますし、そのような思考のままで「高収入」の業界から内定をもらっているのです。
ある意味心配する必要はないかもしれません。
ここまで抽象的な話をしてきて申し訳ないのでせっかくなので自分の体験談を話します。
私はトップティアとされる企業のエース級の社員に面談させてもらったときのことを話します。
そのとき私は「自分の視座をいかに高めることができるか?」というものさしで就活をしていた関係で、その方に「いままでの職業人生で大きな発見は何だったか」と問いました。
するとその答えは「人の幸せのあり方は多様だということ」。
これを聴いてどう思うかは質問者さんがこれまでどういう人生を送ってきたかによります。
僕は拍子抜けしてしまいました。
エース級の社員でもそのようなことを言ってしまうのか。
衝撃を受けた私はその企業の本選考を辞退しました。それから、自分の尺度を見つめ直し「社会的に意義があるか」や「日本にどれだけ貢献できるか」といった尺度が自分にとり重要だと気付き、私は最終的に霞が関を選んだのです。
またこれは心理学の領域で有名なことですが、「年収と幸福度は一般に相関があるものの一程度以上の年収を超えると幸福度の上昇は見られなくなる。
それ以上に相関があるのは自分が帰属している(と感じる)コミュニティの平均年収と比べどれだけ高年収であるか」だそうです。
なので、高年収の業界に就職できた場合でも、年収が閾値を超え、また自分が所属するコミュニティを高年収の業界とみなすと幸福度はそこまで高くならないでしょう。
最後に以下の統計データを付記し筆を置きたいと思います。就職活動うまくいくことを祈っております。(出典は忘れましたが真偽に興味あればご自身で調べてください。)
①健康レベルが「普通」から「ちょっと体調がいい」に改善したときの幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より6531%も大きい(年収が平均値から上位1%に上昇した場合との比較)
②仲が良いパートナーとの結婚から得られる幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より767%も大きい(年収が平均値から上位10%に上昇した場合との比較)