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「何を目的に生きれば後悔しないか」中高生時代から考え続けた~「成長」の正体(6)

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特集「『成長』の正体」の最後は、史上最年少の38歳で今年A.T. カーニーの日本法人代表に就任した関灘茂さんに聞く。今回はその前編。さぞかし“成長志向”の持ち主だろうと思いきや、その想像は大きく覆された。関灘さんの「人生の目的」をひもといていく。【丸山紀一朗】

〈Profile〉
関灘茂(せきなだ・しげる)
A.T. カーニー 代表取締役 マネージングディレクタージャパン(日本代表)。
1981年生まれ、兵庫県神戸市出身。兵庫県立兵庫高校卒業。神戸大学経営学部卒業後、2003年、A.T. カーニーに新卒入社。14年、同社最年少でパートナー昇進。20年1月、同社最年少で日本代表に就任。新卒入社の日本代表は同社初。INSEAD(欧州経営大学院)MAP(Management Acceleration Programme)修了。グロービス経営大学院で教員を務めるほか、大学での講演多数。

 

生きる目的とは。震災の経験が“経営”に目を向けさせた

――関灘さんは就職活動前後の学生時代、「成長したい」という気持ちはありましたか。

関灘:おそらく、「成長したい」と感じていたわけではなかったと思います。それは、成長は手段であって、目的ではないと考えていたからです。

人生のある段階では、成長すること自体が目的になるときもあると思います。私自身は「成長のための成長」にあまり意欲を持てませんでした。意欲があったとしても、中学生くらいまでであったような気がします。

――「成長のための成長」とは、具体的にはどういうものですか。

関灘:私にとって「成長のための成長」は、「満点を取るため、合格するために勉強する」といったことです。このような目的では、中学生のときには頑張れなくなっていました。その先にある目的がはっきりしないと、「何のために頑張るのか」と考えてしまうタイプでした。

とはいえ、「昨日できなかったことが今日できる」といったことを楽しむ感覚は、今もゼロではありません。ただ、中学1年生くらいまではその感覚が心の大部分を占めていたものの、徐々にその割合が少なくなってきました。

――「目的」を意識するようになったきっかけが何かあるのですか。

関灘:中学生のときに阪神淡路大震災を経験しました。その日、本棚の前で寝ていて、もしもそれが倒れてきていたら命を落としていたのではと思います。「いつ死ぬかわからない」と実感しました。後悔しないように、目的意識をもって生きようと強烈に感じました。

ただ、中学生から高校生の前半くらいまでは、それによって悩んでいました。「そもそも何を目的に生きると後悔のない状態になるのか」といったことを考え続けていたと思います。

――その悩みはどうやって解消に向かったのですか。

関灘:高校生のときに出会った恩師が、目的意識を持つガイドをしてくれたのです。

その恩師から教わったのは、「大学や大学院は専門分野ごとに細分化されていくが、実はそれらを統合することに価値が眠っている。専門家の知見を束ねて、統合することが、『経営』に求められる」ということでした。

震災では多くの事業が被害を受けました。「経営」ができなくなる。仕事がなくなる、仕事がなくなるとやりがいもなくなる。そうした経験や恩師からの言葉がつながり、高校生の途中からは経営学が自分にとって大変価値があると感じるようになりました。

――そして神戸大学の経営学部に入るわけですね。

関灘:入学して20歳になるころまでに、経営コンサルタントという仕事が経営の領域で貢献できるものなのだと理解しました。大学の教授には「経営学者の魅力」を教わりましたが、私はより経営の現場の近くでお役に立てるようになることが自分の目的意識に沿うと考えていました。

変化や挑戦が多くないと楽しめない。その特性がコンサルに合うと気付いた

――経営というと、自分で起業する道などは考えなかったのですか。

関灘:起業したいとか、投資銀行家になりたいとか、大企業の経営者になりたいとは思いませんでした。経営コンサルタントの立場で役に立ちたいと明確に思っていました。

なぜなら、私は「こういうことを成し遂げたい」という人を応援するという立ち位置のときに自然に意欲が湧き出るからです。私自身が「これをやりたい」と言って、それを実行するために皆を率いるよりは、逆境に立ち向かうリーダーや大義ある取り組みを率いる指導者の役に立つことのほうが、頑張れるのです。

――そういう自身の性格に、学生時代から気付いていたということですね。

関灘:はい、学生のときに自分にはそういう特性があると思っていました。どういうときに意欲を覚えるかについて自分を見つめ直した際に、頭に浮かんでくるシーンは、ことごとく他の誰かがいて、その人の役に立とうとしている場面でした。

例えば、自分の目的が曖昧なままに勉強するのは耐えられないけど、受験に向けて真剣に勉強を頑張っている人の役に立つことにはとても意欲を持てました。実際、学習塾で講師として、自分の人生を変えたいと頑張っている人を支援するのは楽しかったです。

何かを「成し遂げたい」と設定する係の人が起業家や経営者だと思います。私は、そういう設定をした人を応援するポジションで頑張ることができるタイプで、それをすることができる仕事が経営コンサルタントだと考えていました。

――一方で、自身で何かやりたいことを設定して、それに向かって皆をまとめるような経験をしたときのやりがいは、支援するポジションでの充実感に全く及ばなかったのですか。

関灘:そうですね。そういうことには意欲をあまり感じていなかった気がします。なぜかと考えると、よくいえば知的好奇心が旺盛で、悪くいえば飽き性だからだと思います。かなりの変化や挑戦が毎日のようにないと、退屈になってしまう性格なのです。

例えば、学生時代にある外資系メーカーで、マーケティングを考えるインターンシップを経験しました。とても楽しかったのですが、1つのブランドのことを年中かつ長年にわたって考え続ける人生は、自分には向かないと感じました。

ですから、今くらい複数の仕事を同時並行的に進める働き方が、私にとって心地よく、楽しく働くための条件なのだと思います。

――「今くらい」というと、どの程度ですか。

関灘:代表取締役としての業務のほか、自らが責任を持っているコンサルティングのプロジェクトが複数あり、新たないくつかの提案も進めつつ、大学院で講義もする。計15くらいの業務が同時に動いていると、相互に影響してより良い仕事ができると感じます。

業務の変化や挑戦が乏しくなると、「何のために生きているのだろう。後悔のないように何に取り組むか」と考えてしまいます。ですから、ある1社の1つの職務で働き続けるというのは、私には耐えられないと感じています。

「まずは成長のため」に会社を選ぶのは自然。“人生の目的”はそう簡単に見つからない

――「成長」という言葉を定義するとしたら、どう表現しますか。

関灘:成長を一般に定義することに、あまり価値を感じていないのかもしれません。

繰り返しになりますが、成長は手段であって、目的ではないと考えています。自分が何のために生きるか、何のために働くかという目的が具体化されれば、その目的を実現するためにどのような成長をするか、成長の定義は具体化されてきます。

――成長の定義は人それぞれだということですか。

関灘:はい。例えば、高校や大学までは、いわゆる良い学校に入るのが良いという考え方があるとします。この考え方のもとでは、良い学校に入るために必要な問題を解けるように勉強して、解けなかった問題も解けるようになることは成長といってよいと思います。

しかし、社会に出ると、他の人に対して何らかの価値を提供することが、個々人の役割であると感じるようになりました。どのような価値を生み出すと世の中のためになるのか、どのようなことで貢献できるとやりがいを感じるのかなど、無限の広がりがあると思いました。

その広がりの中で、個々人の目的は人の数だけ異なり得るし、その目的が違えば目的を達成するための手段が変わります。成長の方向性や成長するためのトレーニングの仕方も変わってきます。

――就活の場などでは、成長すること自体を目的のように話す学生もいるように感じます。

関灘:弊社の採用プロセスを思い返すと、「成長したい」という言葉が出てくる学生の方が多数派だと思います。特に「外資就活ドットコム」で情報を得て、我々のようなプロフェッショナルファームにエントリーする方々に多いと思います。

そもそも自分の「人生の目的」をビシッと答えられる人は、通常は身の回りに1割もいないかもしれないと思います。「人生の目的」を若い時に見出して、30年単位でコミットできる人は、一部の企業経営者など限られた方々ではと感じます。目的の具体化をできない人のほうが多数派ではないでしょうか。

目的の具体化ができていない状態であれば、「成長したい」という言葉が出てくるのは、自然なことだと思います。

――実際、そのようなA.T. カーニーの若手には何と声をかけるのですか。

関灘:深く考えたからといって、すぐに「人生の目的」が見つかるわけでもありません。また、一緒に少々話し合ったところで、「人生の目的が見つかりました!」となる人もいないものです。

私の場合は、震災が大きな転機であったように、被災や大病などの衝撃的な体験は転機につながりやすいのかもしれません。逆に、そういった強烈な経験や刺激がないと、「人生の目的」を持つこと、長期にわたってコミットできる何かを見出すことは難しいのかもしれません。

「休職すればいいよ」。若手の“人生”と本気で向き合い助言する

――プロフェッショナルファーム側も「圧倒的なスピードで成長できる」「若いうちから成長可能」などのうたい文句で学生にアプローチする姿が見受けられます。プロフェッショナルファームならではの「成長」とは何を指すのでしょうか。

関灘:自分の「人生の目的」が何かを確信する手前にある、「自分を知る」ということができる環境があるのではないでしょうか。

つい先日、入社3~4年目のコンサルタントが話していました。「自分に人生の目的がないのは、自分の見ている世界が狭いからではないかと思って、このファームに入った。ここで色々な人と出会い、様々な業界の仕事をしてみたけど、まだ目的は見つかっていない。最近は、このこと自体が何を意味しているのだろうと考えるようになった」と。

「人生の目的」にはたどり着いていないものの、自分がどういう状態にあるかは知ることができていると感じます。このコンサルタントの学生時代を知る私としては、明らかに「自分を知る」という観点で一段進んでいると思いました。もちろん、目的がまだ定まっていないので、それを実現する手段である成長の具体化はできていないわけですが。

――話しただけでは人生の目的は見つからないとはいえ、そうした若手に対して関灘さんはどういう問いをするのですか。

関灘:例えば、1on1のミーティングで、「何ができると生きていて良かったと感じるタイプなのか」「何にパッションを感じるタイプなのか」といったことを聞いています。相手の意外な側面に気づく機会になることもありますし、何か力になれるかもしれないと感じることもあります。提案をしてみることもあります。

例えば、「今すぐ休職してみたら」と言ったこともありました。その際は、相手は驚いていました。本人が目的を明確に持ち、本気でそれを達成しようとしていたので、休職が良い選択肢と思ったからです。休職に限らず、出向、留学、兼業する人が増えるのも良い。何の勉強をしようが、どこの国に行こうが構いません。

自分の「人生の目的」に合った手段を選ぶこと、KEARNEY Familyの一員として社会や仲間に貢献することが大前提です。例えば、MBA(経営学修士)を取得するなら何となくハーバードで、といった気持ちでいたら、目的も手段も具体化されないまま、「成長のための成長」が続くだけではないか。このような会話も、「自分を知る」というきっかけになるかもしれません。

――そうした機会は外資系戦略コンサルのほうが、他の業界と比べて多いのでしょうか。

関灘:外資系戦略コンサルだからといって、どのファームでも機会が多いというわけではないと思います。KEARNEYは少数精鋭の集団だからこそ、私自身が全コンサルタントと1on1で1時間かけて、大真面目に人生について話し合うこともできるという面もあると思います。

大規模化したプロフェッショナルファームでは、どう役割分担して、個々人がどう成長すると、クライアントが増えるか、事業規模が維持・拡大できるかという視点に向いてしまいがちです。「自分を知る」ための機会を作ることで、コンサルティングサービスを提供するための成長に留まらない、自分の「人生の目的」に即した手段としての成長を後押しできればと思っています。

――しかし、コンサル以外のことに関心を持つ人が多くなると、経営者としてはかじ取りが難しくなりますよね。

関灘:やれと言われたことをやる人がたくさんいたほうが、会社経営はしやすいのかもしれません。自然に意欲が湧き出る対象を見出し、組織の外にまでエネルギーがあふれる人がいれば、組織の中に注ぎ込まれるエネルギーが100%ではなくなるという見方もあるでしょう。

しかし、結果的にそのような人が増えたほうが世の中に与えるインパクトはより良いものになると信じています。そういうエネルギーを持つ“尖った個”が集まることで、大きな価値が生まれると思うのです。


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