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「優秀だから」とプロファームに入り、そこそこ成長する人生はつまらない~「成長」の正体(3)


特集「『成長』の正体」の3回目は、元ボストン コンサルティング グループ(BCG)日本代表の内田和成さんに聞く。内田さんは、「『君は優秀だからコンサルに入れるよ』と言われ、そこでそこそこ成長しちゃうような人生はつまらない。それより自分のやりたいことにチャレンジして、失敗するほうが、死ぬときにいい人生だったと思えるだろう」と語る。【丸山紀一朗】

〈Profile〉
内田和成(うちだ・かずなり)
早稲田大学ビジネススクール 教授。
東京大学工学部卒業後、新卒で日本航空(JAL)に入社。慶應義塾大学大学院でMBA(経営学修士)を取得。1985年にBCG入社。2000年6月から04年12月まで同社日本代表、09年12月までシニア・アドバイザーを務める。06年4月より現職。

 

プロフェッショナルは「結果」が全て。「成長」したいか否かは無関係

――コンサルティングファームなどのプロフェッショナルファームでもよく語られる「成長」という言葉の正体を明らかしたい、という今回の企画ですが……。

内田:いきなり逆質問で申し訳ないのですが、最初に聞いてみたい。高いパフォーマンスを出しているものの成長意欲のないプロ野球選手がいたら、その選手を試合で起用しますか。

――パフォーマンスが出ているなら起用します。

内田:そうだよね。今度は逆にいいパフォーマンスが出せないけど成長意欲はすごく高い選手。この人は起用しますか。

――パフォーマンスが出ないのであれば起用しません。

内田:そうだよね。これは私の持論だけど、「プロフェッショナルは結果がすべて」。「成長」というのはそれとはまったく別の軸の話。プロフェッショナルファームにとって成長は目的でもなければ、それで個人が評価されるような判断軸でもありません。

一概に成長といっても、身長が伸びたり体重が増えたりすることも成長だし、教養が広がることも成長。仕事によっても何が成長なのか異なるし、プロフェッショナルファームの中でもコンサルと投資銀行とPE(プライベート・エクイティ)ファンドの間でも違う。企業経営者とサラリーマンでも違うよね。

それらをすべて「成長」という言葉でくくることに違和感がある。

――就職活動の選考の場面で、「成長したい」という学生がいる一方で、企業側も「うちには成長できる環境がある」と宣伝することがあると思います。このやり取りは無意味だと感じますか。

内田:意味がないというのではなく、自分がどの分野の何で成長したいのかが明確になっていることが大事だということ。ところが、一般的に企業が求める「成長」と、個人が目指したい「成長」とは、違うことがけっこうあるわけです。

もちろん、コンサルに入った人が「コンサルって自分のやりたいことだ」と思い、コンサルタントとして成長したいと考える場合もある。その場合は、組織としてもアサインするプロジェクトの種類を工夫したり、誰と一緒に働いてもらおうなどと考えたりして育成します。これは両者の思惑が一致した、いい事例ですよね。

――では、コンサルティングファームにおける成長とは、コンサルタントとしての成長のみを指すということでしょうか。

内田:ところが、そうではない場合もある。

例えば、プロ野球選手になって、レギュラーにはなれなかったものの、「野球の奥深さに目覚めた」とか「プロフェッショナルの何たるかを学べた」という場合も、「おれはプロ球団に入って成長できた」と言うじゃないですか。

そしてどちらかというと、一般的にはこの後者のほうを「成長」といっていますよね。私はコンサルタントの軸での成長と、後者の人間としての成長は分けて議論しないといけない気がする。

ここを、コンサルティングファーム側も明確には説明していないだろうし、入社する個人の側も区別して使ってはいないと思います。

若いうちはスキルを身につけるより、やりたいことを見つけるほうが重要

――会社としてはあくまで「コンサルタントとして成長」できる機会を用意している認識ということでしょうか。

内田:そうですね。ファームとしてはコンサルティング領域での「一流選手」を育成するためのカリキュラムを組んでいる。決して、一般教養的な意味で「幅の広い人間」を作ろうとしているわけではないと。

ただ繰り返しにはなりますが、結果的には、人間としての成長を求めている人も「成長できた」と感じられる場所ではある。そういう意味でも、コンサルはさまざまな経験を積むことで成長できる環境があるということはできますね。

何が言いたいかというと、プロフェッショナルファームで一流選手を目指して成長したら、結果的に身につくのは、とても偏った限定的なスキルだということ。コンサルならコンサル、投資銀行なら投資銀行の特性に合わせたスキルなわけで。だから一般的に人間が“skillful”になったとか、成長したという話とは違いますよね。

――「結果がすべて」のプロフェッショナルファームに、「将来やりたいことがまだ見つからない」といった理由で入社する若手についてはどう感じていましたか。

内田:私の現役時代でもそういう若手はたくさんいました。ただ、それはファームからすれば極論すると「どうでもいいこと」。プロジェクトできちんと結果を出してくれさえすればいい。先ほどの成長の話と同じで「将来が見えていなくても仕事ができればいい」わけです。

でも、私もそうだったけど、大学を出たタイミングで自分には何ができるかも分からないし、何かをやりたいという思いもないですよね。そう考えると、若いうちはスキルを磨くより、自分のやりたいことを見つけることのほうがはるかに重要だと思います。

そして、その「自分のやりたいことを見つけるための場」としてコンサルティングファームがいい環境なのであれば、それはお互いにとってすごく幸せです。

――ファーム側にとってもいいことなのですか。

内田:なぜなら、ファームは新卒で採用した人に60歳とかまで働いてもらうようなビジネスモデルになっていないから。投資銀行も同じで、大多数の人にはどこかで辞めてもらう前提です。

学校みたいなもので、何年間かファームで過ごす間にパフォーマンスを発揮して会社に貢献してもらいつつ、本人もプロとしてのスキルや考え方を身につけながら結果的に自分のやりたいことを見つける。そうした“win-win”の関係だと、ファーム側は考えていると思います。

「もっと難しいチャレンジがしたい」と、安定の職場を捨てた

――新卒でJALに入社する前後、やりたいことは明確ではなかったのですか。

内田:私は東大工学部で電子工学、つまりコンピューターの勉強をしました。内容は理解できたのですが、「同級生と比べて得意なことではないな」「自分のやりたい分野ではないな」と感じていました。将来、この分野のまま進んで自分が幸せになれるとは全く思えませんでした。

そこで別の道を探そうと。ところが当時は情報が少ない。技術系ではない職種で探して、何とかたどり着いたのがJALの情報システム部門でした。

ところが入社前に、会社が「あなたは総合職のほうが向いている」と言い出して。私としては情報システム職で採られた認識だから、ごねた。結果、会社は元通り情報システム職として採用すると言ってくれたのですが、自分の主張を認めてくれたので「ならば総合職でいいです」と納得することにしました。

――会社の都合で振り回されるのが嫌だったのですね。

内田:そう。それでいわゆる事務職として入り、本社や大阪支店、海外でも勤務しました。

しかし、経験を積むほどに、自分の力をフルに発揮している気がしなくなりました。余力を残してもできてしまう仕事が多くなり、「このままだとなまってしまう。もっとチャレンジしたい」と思うようになったのです。

だけど、新卒のときと同様に情報がないから、どこに転職していいかも分からない。そこで、「そうだ! MBAを取ろう」と割と短絡的に考えました。30歳のとき、日本で当時1つしかなかったビジネススクール、慶應義塾大学ビジネススクールに入りました。

――「もっとチャレンジしたい」というのは「もっと成長したい」とは違ったのですか。

内田:成長したいとは違うんだよね。例えば、私がゲーム好きだとして、すぐに解けてしまうクロスワードパズルばかりだと「もっと難しいゲームに挑戦したい」って思うでしょう。そういう気持ちだったのです。

成長するという目的ではなく、自分の限界を試したいと。だから一般論でいう「もっと勉強ができるようになりたい」とか「仕事ができるようになりたい」とも違ったのです。

――結果として成長するだけであり、目的ではないということですね。

内田:そう、難しいことにチャレンジすれば、もちろん結果として成長するんだよ。だけど成長は二の次でいいじゃない。それよりもはるかに大事なのは、チャレンジしたいことを見つけること。挑戦してみたいことや、やりがいのある仕事を発見するほうが大切です。

それが見つかって初めて、その道を極めていくにはどういうスキルや経験が必要なのかが分かり、自分にとっての成長が何かというのが明らかになるからです。

「自分のやりたいことはコンサルではなかった」と気付いた人は長居無用

――33歳でBCGに入社するわけですが、どのタイミングでコンサルに入ろうと考えたのですか。

内田:明確には覚えていないけど、おそらくビジネススクール在学中のどこかでコンサルの仕事が面白そうだと思ったのでしょうね。

何が面白そうだったかというと、「大好きな調査や分析ばかり毎日やれそうだ」という低次元の興味でした。要は「ビジネススクールの授業でやっているようなことが毎日できて、それでお金をもらえるならこんなにいい仕事はない」と。実際には簡単ではなかったですが。

――では入社の時点では「一流のコンサルタントになりたい」などとは考えていなかったと。

内田:はい。「10年後には一流のコンサルタントになっていたい」とかそんなことは全く考えていなかった。単純に面白そうだからやってみたいと思い、実際やってみたら面白かった。自分の性にも合っていたので、結果として20年以上やることになりましたが。

――コンサルのどういうところが、「性に合っていた」のでしょうか。

内田:元々コンピューターが好きだから、それをいじくりまわして分析できるのがいいなと思いました。ただ、マネジャーになると分析しているだけでは“not enough”なわけ。クライアントのニーズを的確にとらえて、チームメンバーのマネジメントもできなければならない。

さらにパートナーになると、クライアントを獲得するとか、経営者と対話する必要が出てくる。チームをマネージするだけではやはり“not enough”となる。

このようにコンサルティングファームではポジションが上がると求められる要件が格段に難しくなる。面白みが変わってくる。そしてどんどん新しいことを学びながら、お金までもらえる。これが私が長く在籍した理由ですね。

私にはコンサルの魅力がうまくハマったけど、一方でそうじゃない人もいる。「コンサルタントとしてはたしかに成長できる環境かもしれないけど、自分がやりたいことはコンサルではなかった」と気付いた人は、長居は無用ですよね。

――BCGでは初めから活躍できたのですか。

内田:33歳で入ったこともあってか、コンサルタントとしての成長スピードは遅かった気がします。分析は好きだから時間も忘れて没頭するけど、結果をマネージャーに見せたら“So what?”と言われて。そんな問いを次々投げかけられて、初めは悪戦苦闘しましたね。

上の立場になってからも、たくさん失敗しました。クライアント向けのプレゼンの1~2週間前に、チームメンバーから「もう内田さんの下ではやれません」と言われて。皆からボイコットされたのです。そういう痛い目に遭いながら、少しずつ学んでいきました。

「どの会社に入るか」ではなく「自分が何をやりたいか」で行動しよう

――最近はコンサルティングファームも採用人数が増え、型にはまったソリューションを繰り返し提供するようなビジネスモデルになりつつあるとの指摘もあります。

内田:仮にそういう事実があるのだとして、そうした環境で働くのが嫌だとしましょう。その人には、私が当時JALからBCGに行ったように、世間からは「お前バカじゃないの」といわれるような会社を探して、そこに入ったほうがいいとアドバイスします。繰り返しですが、「どこに行くか」ではなく「自分が何をやりたいか」が極めて大事。

バスケットボール界のスーパースターだったマイケル・ジョーダン。彼はキャリアの全盛期にバスケを捨てて、子どものころからの夢だった野球選手になった。メジャーリーグの球団に入ったのです。たまたま花開いたからバスケを続けてきたけれど、どうしても、うまくいかなくてもいいから野球をやりたいと。

でも活躍できなかった。だけど、彼は自分の人生にすごく納得したと思います。私はやっぱり、人はそういうふうに生きるべきじゃないかと感じます。

例えば他人から「君はコンサルに向いている」とか「優秀だから投資銀行に入れるよ」と言われて実際に入り、そこそこ成長しちゃうような人生はつまらないでしょう。それよりも、本当は向いていないかもしれないけど自分のやりたいことにチャレンジして、失敗するほうが、死ぬときに「いい人生だったな」と感じると思うのです。

――内田さんにとっての「当時のBCG」は、今の時代だとどのような企業や業界に近いのでしょうか。

内田:直感でいうと、たぶんそれは「企業」ではないと思うんだよ。“independent contractor”(個人事業主)や、あるいはYouTuberみたいな。そういう人たちも生計が成り立つようになってきたということは、これまでの企業中心の社会とは違う社会になると思います。

10年後、20年後には「昔は大学出たら組織に勤めるのが当たり前だったらしいね」といわれる状態になっていてもおかしくない。だから、そういう時代を先取りするのが面白いんじゃないですかね。

――改めて、「成長」について意見を聞かせてください。

内田:大事なのは、どの分野で成長したいかということ。それを定めるには自分が何をしたいかを考えることが必要です。別の言い方をすれば、どの穴を掘りたいのかということ。自分が好きな穴を掘らず、別の穴を深く掘り続けてそちらで成長しても幸せになれないでしょう。

その中で、自分がしたいことと社会や組織が求めていることが運よくマッチしたら、それはうらやましい状態だよね。さっきのマイケル・ジョーダンみたいに、組織が求めていることと個人のやりたいことが違うというのはよくある話で。

歳を重ねた上でその状況になればどこかで折り合いをつけるしかないですが、若ければまずは自分が本当にやりたいことを探してみてください。


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