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知性とは何か?~「何者」とトップティア学生が夜な夜な語らう会:若手作家編

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東大4年生・若手作家インタビュー

どうも皆さん、「何者」である。外資就活ドットコムのコラムで言うのも変な話であるが、ちょっとここの記事、紋切り型の「ファーム上がりの~」とか「外銀でのキャリアの~」とかで始まる記事が多すぎないであろうか。こうした記事にとり上げられる人はすごいかも知れないが、こうも何度も読むと流石に飽き飽きしてくる。パターン認識というやつだ。編集部に何度か文句を言っているのだが、これは高学歴層が読むには少し妙味に欠ける。多様性に遊び多様性を貴ぶのがインテリジェンスというものである。

なので、今回はずっとやるやる言っていたインタビュー記事なのだが、趣向を変えて私の友人の一人、東京大学の4年生で若手作家として活動しているMくんにインタビューして、「キャリア」や「将来やりたいこと」について談義しようと思う。

私がインタビュアーだと皆しきりに名前を伏せてほしがる。なので今回もMくんについてもぼかしぼかし喋るが、彼は若くして著名な文壇の賞を受賞する傑物であり、その教養は我々東大生の中でもずば抜けて深い。ジャンルは違えど「何者」が尊敬して止まない人物である。

ということで今回の会談場所は古式ゆかしい本郷の純喫茶である。ジャケットとロングコートをビシッと決め、マフラーを丁寧に巻いて現れたMくんはまさに作家然としていて、いつもチンピラみたいな格好をしている「何者」とは雲泥の差である。Mくんと「何者」はブレンドを二つ注文するとジャズが静かに流れる喫茶店のソファにゆっくりと腰を落とした。

“世の中”は「システム」と「そこに居る人間」で構成されると考える

――では旧知の間柄ですが、自己紹介をお願いします。

「現在東京大学文学部の四年生で、作家もしているMです。来年からは別の大学で、作家を多く輩出する研究室のある院に進む予定です。将来は作家を続けていくつもりです」

――まずお聞きしたいのだけど、Mくんは元々法学部にいたよね? 何で文学部に進んで、作家という道を選ぼうと思ったの?

「自分のやりたいことを突き詰めた結果、それはいわゆる就職では無かったんだよね。作家という在り方しかなかった。だから就職活動もしてないし、東大から出て違う大学の院に進もうと最初から考えていました。東大から出なければ、と思ったのは、あくまで東大の文学系の研究室は『文学の歴史』を研究する場所であって『生きた文学』をやれる場所じゃなかった。したがって作家として精進する為にもっともっと勉強したいと思っていた僕にとっては一番の合理的な解でした」

――Mくんの話を聞いていると、「作家がやりたい」というよりは、何か成し遂げたいことがあって作家になるという感じがするよね。その「やりたいこと」とは何?

「世の中を少しでも善くしたい、という目標が僕にはあります。今の世の中(日本)が段々疲弊してきているのは、きっと誰もが言語化しないだけで薄々感じていると思います。このままでは日本の大切なものが失われてしまうという危機感の中で、どういった施策があり得るのかを法学部時代は真剣に考えていました」

「世の中を『システム』と『そこに居る人間』で構成されると考えると、『システム』をより善くしたりするのは官僚やビジネスマンです。一方でこれら二つは車の両輪であり、片方だけが大きくなってしまう不揃いな状況はいつか文化の発展に支障を来します。また、『システム』を改善していくのに長けた人材というのは、僕たちの大学に沢山いて、現に毎年多くの『システム』サイドの人材を輩出しています。こうした環境の中で『そこに居る人間』に対してアプローチする存在というのが、『システム』が急激に拡大していく中で決定的に足りていないのではないか。僕はこの考えに至った時点で作家になることを決意しました」

「ある意味、『システム』へのアプローチというのはトップダウンであり、『そこに居る人間』へのアプローチはボトムアップと言い換えることもできますが、大きな流れを作り出す『システム』同様に『そこに居る人間』へのアプローチは重要だと思うんですね。『そこに居る人間』に寄り添い、共感し、モチベーションを喚起し、時に啓蒙するーーそんなことをするにはイデオロギーを発信できる作家という道筋がベストでした」

「誰かが人生の中で苦悶や難関に到来した時、一冊の本とむき出しで対話するという行為の中にこそ発見や意思の力が宿るのではないでしょうか。本を読むというのはそういう行為だと思っていますし、だからこそ作家になろうと決意しました」

毎度毎度、彼と対談すると「何者」はその世の中への洞察・造詣の深さに舌を巻く。「システム」と「そこに居る人間」という区分けと、それぞれ両軸でより良くしていくという行為が重要というのは間違いない。そして「システム」が抽象的で大きな枠組みということになれば「そこに居る人間」というのは具体的で個別の存在である。そうした個別の存在の出来るだけ多くに1対1で向かい合う手段としては「本」や「作品」であるのは間違いないだろう。

本が読まれなくなっていくこの時代に

しかし実際、多くの人が本を読まなくなり、文壇を初めとしたクリエイティブな領域に優秀な人材が流れ込まなくなり、Mくんの期待する「そこに居る人間」と対話できるだけの作品が激減しているのだ。そしてそうした作品がリーチ出来なくなった「そこに居る人間」は「システム」が大きくなる一方で成長を停止し、大きくなり続ける「システム」の中で矮小化していく・・・確かにこれは中々どうしてディストピアである。

――でも実際どんどん多くの人が本を読まなくなっていくこの世の中で、どうやってその目標を実現させて行くつもりなの?

「まず、作家としての活動の中で『本』だけに活動領域を限定するつもりはありません。多くの人と接触点を持たなければ何かを伝えていくことは出来ませんから。映像作品や様々な媒体を模索していくつもりです。ただ、何事かを極める事が、創作活動を横断的に行っていく中でまず重要なことと考えているので、ひとまず文壇の中で確固たるものを築くまでは「本」に打ち込もうと思います」

「あと、仮に多くの人が本を読まなくなっているからといって、私が本という形で発信したイデオロギーに誰かが感化され、共感し、その人がまた多くの人に届くような形で発信してくれる可能性は、ことクリエイティブ領域では捨象できない大きな可能性ですーー。こんなので答えになっているかな?」

もう何者は感動しっぱなしである。こんな頭の回転が早い人が実業界、ことベンチャー業界に来てくれないのは痛恨の極みであるが、“実業”界というのも我々が所属するが故のエゴ的な表現だし、「優秀な人だから勿体ない」という表現も、先ほどの「システム」と「そこに居る人」両軸の話を踏まえると浅学に思えてくる。

就活生が「自分は何がしたいのか」を見つけるためには

ここで少し話を変えて、最近の就活生、学生について話を振ってみた。先日も、とある東大生(無論Mくんではない)の人生相談を「何者」は受けていたのであるが、その人から東大生あるある「ここまでレールを敷かれてきたから、いざ独り立ちして学生でなくなる今日この頃、いったい自分が何者で、何がしたいかわからない」という相談を受けた。

そこでその人の背後にチラチラしたのはやはり「田舎で待つ束縛気味な両親」だったり、「自分への自信の無さと一方で高いプライドの同居」であったりした。なのでここらで一丁、Mくんのようなしっかりとした目標設計と熱い想いを持ち合わせた人物に、彼らがどうしたらいいのか聞いてみようと思ったのだ。

――最近の就活生とか学生とか、みんな「将来何を成したらいいか」とか、そもそも「将来何かしなきゃいけないのか」っていう観点で思い悩んでるんだよね。実際就活の面接でもそこを深掘りされて困るみたい。どうしたら彼らが「自分が何がしたいか」を見つけたり、「何かやらないと」っていう気になると思う?

「僕が本を好きな理由は、本を読むとき人は皆独りになる、っていう点なんだよね。何かについて真剣に考えないといけない時、どうしても僕らは一人で考えないといけない。独りでいるとどうしようもない不安感に襲われたりするだろうけど、だからといって誰も助けてはくれない。結局自分で答えを出さないといけないんだから」

「誰かに依存するのは楽ちんだけど、結局その他者に、そういう重要な意思決定を依存しているとずっと癒えない乾きみたいな物がこびり付いてしまう。だけど独りで考えるとどういう風に指標を据えたらいいのかとかがあやふやになっていくから、そういうときにこそ僕は本を手にとってみるべきだと思う」

「本はある種の道しるべであると同時に、映画とか音楽とかみたいに流行に振り回されたり、すぐ誰かに感想を共有してもらったりすることはできないでしょ? 本を読むとき、本が発信する意見と自分自身しかいないんだよね。僕はこういう、独りの時間を大切にすることが一番大切な事だと思う」

「一方でこういう『独りで考える時間』っていうのが世の中で減少傾向にあるのも分かる。SNSとかを筆頭にすぐに誰とでも繋がれてしまう今の社会じゃ、独りで考える前に何でもすぐ人に聞いてしまう。勿論人に聞くことは悪いことじゃないけど、人に答えを聞くのと議論をするのは全く違うからね。そうして受動的な状態に晒され続けて、いつの間にか何者でもなくなってしまうんだろうね」

――仰る通り。でも今やそうした「すぐに繋がれる」っていう状況はあまりにも普遍的になっているからどうしようもないんじゃない?

「それは違うと思う。自動車って交通事故の主要な原因で年に何千人もの人が自動車関係の事故で亡くなっているわけだけど、別に自動車自体が人を殺すわけではないよね。むしろそれらは結局ヒューマンエラーで引き起こされるわけで、それを自動車のせいにする人は居ない。SNSとかについても同じ事だと思う。今の人に意見や思想が無いのはSNSのせいだ、っていうのは少し恣意的だよね。人間が道具をどう使うかが問題であって、すぐ人と繋がれる状況って言うのは多くの余暇時間を生み出したわけだから、むしろ『独りで考えることに充てられる時間』は増えていると思う。だから、小説でもなんでもいいから、是非本を手にとって欲しい。そして自分の頭で考えて欲しい。僕はそう思います」

「独りで考える力」こそが知性

どうだったであろうか。最後の方はいつも二人で呑んでいるときの口調に戻って真剣に議論してしまったが、彼の言う言葉が諸君らの心に響いてくれると嬉しい。

今回敢えてトップティア学生と銘打って作家の彼にインタビューしたのは、「就活」という独りで考えないといけない時期だからこそ、本当の自分を見つけて欲しいと思ったからである。

もしかすると自分の居場所は「ビジネス」でないかも知れない。もしかするとアーティストかもしれないし、建築家かもしれないし、起業家なのかもしれない。ただ、自分で居場所を見つけた人は、どんな道にいても美しいのである。

そして、「独りで考える力」こそが、知性であると「何者」は想うのだ。そのことを諸君に伝えたかった。

今回はこんなところであろうか。次回は18卒の官僚組の内定者にインタビューしようと考えている(今回はちゃんと予定も押さえた。偉い)。では、今日はこんなところでお別れだ。ではでは。


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何者(なにもの)2018年に東京大学を卒業する、しがない4年生。就活を終え卒業見込みも立ったものの、複数企業で馬車馬の様に働いている為、その1日は忙殺を極める。が、悩める就活生達の為に少しでも力にならんと睡眠時間を削って記事を書いていく事を決意。後輩達への優しく真摯な就活指導に定評がある。ちなみに、ペンネームの由来となった小説は読んだことも手に取ったこともない。

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