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ベンチャー新卒入社で本当にいいのか?~「何者」が語る、ベンチャー企業の影と光

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その美辞麗句は罠! ベンチャー新卒入社の実際

外資系やベンチャートップラインの19卒たちがついに内定が出始めたようだ。後輩たちから「先輩! 内定出ました!」「来年から先輩と同じビル勤務です!」等面倒を見ていた連中から喜びの声をいただく。非常に喜ばしいことだ。皆さん、内定出ましたか。まだ出ていないとしたらそれ、はっきり言って遅いっすよ。まあそんな話はともかく、筆者「何者」が最近すごく気になる(違和感を感じる)話を今日はさせて頂きたい。

昨今就活市場で「ベンチャー新卒入社」というワードがかなりホットらしい。東大・京大などのエリート層も次第にベンチャー新卒入社が浸透してきたようだ。ベンチャー企業は採用ページやインターン広告には、「若手から裁量権を握らせる!」だとか「新卒で年収600万!」だとか「外資系を蹴って入社する人も多数!」だとか、まあ思い浮かばん限りの就活生を焚き付けるような美辞麗句が雨あられだ。なんというか、聞くだけ聞くとそれってパラダイスなのでは・・・と無知蒙昧な新卒諸君は思ってしまうだろう。だがこれは罠だ。はっきり申し上げたい。

ところで、出だしからベンチャー企業を煽るような文だが、筆者「何者」は大手IT企業、いわゆるすでに巨大化しているベンチャーに入社予定だ。大学2年から様々なベンチャーを何社も渡り歩いて仕事もしていたので、ベンチャーの実際など手に取るようにわかる。故に、今回の記事はいわゆる「IT系ベンチャーを内側から見たときの実際」を誰よりも詳しくお話し、ベンチャー新卒入社を少しでも考えている19卒諸君に「本当にベンチャーで良いのか?」という警鐘を鳴らしたく筆を取ったのである。

ベンチャーが「エリートである」「給料が高い」というのは10割間違い

まずはじめに断っておきたいが、基本的にベンチャー入社するか否か迷っている諸勢には、今すぐベンチャーに来ないようにと言わせていただきたい。

人間、生きる目的は人それぞれだ。例えば「エリートコースを歩みたい」「高い年収で人より優雅な暮らしがしたい」・・・何者はこうした学生たちの願望は正直で大変よろしいと思っている。だが、こうした金銭的・見栄的な理由からベンチャーに新卒入社するのは大変な間違いだ。今すぐ外資コンサル・外銀・総合商社に絞って、ベンチャーなど切り捨てよう。

まず大前提としてベンチャー企業はエリート集団ではない。エリートとは本来どんな風に社会が推移しようと安定的に高収入を得続ける集団だ。我々ベンチャー企業は、とてもではないが安定しない。大企業の多くは、君が優秀であるなしにかかわらず、莫大な資本(資産・インフラ・物流・ブランド等)を握り投資を繰り返す体力を持っている。一方ベンチャー企業の多くはそうした資本はなく、アイデアやインターネット等で新たな金の流れを産もうとする博打集団である。博打集団は一時高い収入を獲得しても、それで優雅な生活が送れるというのは勘違いも甚だしい。

備考までに言っておくがベンチャーで高収入を提示している企業もあるが、結局いわゆる「エリート」企業の福利厚生は東京都心住みを実質タダにさせたり、その他もろもろの待遇の圧倒的良さで、多くのベンチャー企業よりも可処分所得が全然高い。外資系に至ってはそもそも大企業(日系)・ベンチャーの比ではない額をもらうので、同じく比較にはならない。

また、最近では「や、だってベンチャー企業カッコイイじゃん?」というわら半紙の如き薄さの意見もよく耳にするが、はっきり言ってカッコよくはない。カッコイイの定義にもよるが、大体これを言う人は「俺がサービスの市場戦略を練って、ぐいぐいみんなをリードする司令塔になるンだ・・・!」等と言うのを「カッコイイ」といっているわけだが、ベンチャー企業の社員が待ち受ける「何でも屋さん地獄」を知らないからそんなことが言えるのだ。大手企業や外資に入れば、君がやることは営業にせよ経理にせよマーケティングにせよ部署を振ってもらえてそこだけやっていればいいと受動的に約束される。一方我々ベンチャーはそもそも人手が足りないので、「気づいた人がやる」というのが常態だ。故にプライドの高い高学歴就活生なぞ「まさかこれも俺がやるのか・・・?」というくらい川下な作業に延々従事させられること請け合いだ。

ベンチャーが「裁量権がある」というのは9割間違い

さて、若手の時から年収が高い、なんかエリートっぽいという理由と同じくらいよくベンチャー企業のメリットとして言われるのは、「裁量権がある」という言葉である。

この手の謳い文句を聞いたとき何者は思う。「言うほど裁量権が与えられるのは極一握りなんだけどもな・・・」「別に大手にも裁量権はあると思うんだけど・・・」と。

「裁量権がある」という意見は絶対的な評価で言っているのか相対的に言っているのか知らないが、まず一つ目に思った「言うほど裁量権が与えられるのは極一握りなんだけどもな・・・」は現状実感の極みのあるところである。まず、ベンチャーには大手(いわゆるメガベンチャー)でなければカネがない。そんな少ないリソースを誰に任せるかといえば当然「一番デキる人」である。一番デキる人、というのは何も新卒1~2年目の中での一番ではない。会社の中にいる人全員、すなわち新卒だが中堅格だったり、外資系を経て中途入社してくる方も含めてである。

はっきり申し上げると、この中で裁量権を勝ち取れるのは大手の中で裁量権を取りに行くのよりも全然難しい。実際上場したベンチャー企業の役員紹介の面々を見てみれば、その殆どが創業者以外中途入社で、外資系や総合商社上がりであることなどはすぐわかる。また、上場していないようなほとんどサークルと変わらない売上規模の会社ならもう少し容易に裁量権とやらをつかめるのかもしれないが、そうした会社が裁量権として渡してくれる額は数百万規模にすぎない。果たしてそれはまだ裁量権と言って差し支えないのだろうか。

二つ目の「別に大手にも裁量権はあると思うんだけど・・・」について言及したい。大手の仕事は確かに自分の関わる事業の全体像が見えにくい等と言われるが、まず外資系大手であれば一番川上にいきなり据えられるのでそんなことは全然ない。さらに、全体像が見えないとよく言われる日系大手企業も、そうは言っても数億円規模のプロジェクトの重要な一翼を担わせられるし、それは筆者から言わせれば数百万をどうこうする権利よりもよほど裁量権らしいと思っている。

したがってベンチャーで「裁量権がある」という状態は、「数億以上が絡むが極少数で運営され、その司令塔(先述したとおり司令塔も雑用をするのがベンチャーだが)として、社内すべての社員と裁量権の奪い合いに勝利し任命される」という超極端な状況下のみを指すので、それが無いわけでは無いのは身をもって知っているが、限りなく極少数のキャッシュに余裕のあるベンチャー企業下の、更に極少数の人員にしか開かれていないということを明言しておきたい。

現状のベンチャー新卒状況は、「ベンチャー企業と就活生の間の妥協し合い」に過ぎない

さて、就活生たちも実はバカではないので、こうした事実には読者の多くも薄々気づいているだろう。したがってここまでの文章は「君たちの不安は、中から見たらやはり事実ですよ」という確認にすぎない。ではどうしてこんなにまでベンチャー企業への就活が盛り上がっているのかというと、これは君たち就活生とベンチャー企業群の馴れ合いの結果なのである。

諸君ら「意識高い系学生」にとっては、ベンチャーや外資、総合商社や大手広告代理店に入れないことはアイデンティティを揺るがす大きな痛手だ。諸君らはそのなかでも兎にも角にも「外資」、これに準じて「総合商社や大手広告代理店」に入社したがる。が、残念ながら諸君が志向するこうした企業群は一握りしか枠が空いていない。したがってここに入れない「意識高い系」が「選考に落ちた結果として流れ着く先」がベンチャー企業となっているのが現状だ。

一方ベンチャー企業側も、常に一定以上の高学歴を採用することを社格とし、目処とする矛盾をはらまざる得ない(これは日本人の権威主義が産んだ日本固有の歪だ)。ベンチャー企業側も学生のこうした流れを把握していて、変わり者の「外資を蹴ってベンチャーに来た新卒」が一人入社してくると、これでもかというようにその彼を広告塔に仕立て上げ、「外資を蹴ってウチのベンチャーに入社した理由!」などというクサいPRを打つのだ。超一流企業に行けなかった残党を「ここにいてもキミは優秀なんだよ~」と精神的に癒やしながら巧みに入社まで導いていくのだ。

したがってこの需給両端での折り合い、馴れ合い、妥協点として昨今「超一流企業群に行けなかった高学歴」がベンチャー業界に新卒として大量に流れ込んでくる。彼らは入社するとそれまでガイシ! とか言っていたのがウソのようにベンチャー面し始めるが、その末路は悲惨だ。ベンチャー業界長い筆者が見るに、彼らの行末は「4、5年かけてようやく中間管理職」だったり、「どこもうまく行かずだんだんと社格を下げてのジョブホッパー」だったり、「1~2年目で第二新卒で大企業に逃げ帰る人」だったりと、人生苦しそうである。そういう人生を辿りたいのであるならもう当人の勝手であるが、何者は全然オススメしない。

ベンチャー新卒入社は、超上位層で後先顧みない“バカ”だけで良い

では散々ベンチャーをこき下ろしている筆者「何者」が何故ベンチャー企業に入社するのかというと、筆者が入るのはキャッシュ潤沢なベンチャーであり、少人数の新卒採用しか行っていないという大前提の上で、筆者が「中途を含めた全社員から裁量権を勝ち取る見込みがある」ということ、更には「早い段階で独立して必ずしやドデカいベンチャーを創り上げる腹積もりである」という確かな想いがあるからである。(幾つかの会社と個人事業主として取引をしていく目処がある・固定資産を在学中に作れた・自身が別企業の役員である、というのも年収に困らない原因ではあるが)

正直、これくらい思って生きていないとベンチャーに新卒から入社するメリットはない。もっとはっきり言ってしまえば、創業を志さないのならばベンチャーに新卒入社する意味は無い。裁量権など大企業でも十年修行したらいくらでもくれる。が、一生創業者にはなれない。創業者の裁量権は、はっきり言ってその他の裁量権と比較にならない、圧倒的独自性だ。優秀であるだけなら、外資や総合商社に行けばいい。が、筆者を含め数年後の創業の決意をしている極少数の同期(大学の同期のことである)は、それ以前に後先顧みない素敵なバカなのである。一か八かの瀬戸際をくぐり抜けるスリリングに一生囚われたまま、見果てぬ野心と共に生きていかねばならぬ損な性分なのだ。が、それが楽しい、それなしでは生きていけない・・・そんな性分の学生にこそベンチャー企業へ入ってきてほしいと、業界の一員として、「何者」は思うのだ。正直、こうした人材は現状ベンチャー業界には足りていなさすぎる。

さて、長い文章にお付き合い頂きありがとう。ここまで読んだら、諸君も夏インターンを経て内定をくれかけているベンチャー企業が途端に疑わしくなってきたのではないか。そこで少しでも戸惑いを感じるなら、戸惑いの原因を自分の心の中に探して、何者が先述したことへの不安が原因になっているのならば、それはもうそのとおりだから今すぐ日系大手や外資系に切り替えよう。なに、外資系で首になろうとベンチャー企業が中途・高収入で拾ってくれるさ。何もファーストキャリアをベンチャーにする必要はない。が、ちょっとでも「俺も新卒入社でやってやろうやんけ!」と思ったそこの君。それ、ベンチャーに向いてる熱い魂ですよ。もしそんな熱さの覚醒めを感じたら、ぜひベンチャーでしのぎを一緒に削らないか。筆者も手ぐすねを引いて待っています。ではでは。


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何者(なにもの)2018年に東京大学を卒業する、しがない4年生。就活を終え卒業見込みも立ったものの、複数企業で馬車馬の様に働いている為、その1日は忙殺を極める。が、悩める就活生達の為に少しでも力にならんと睡眠時間を削って記事を書いていく事を決意。後輩達への優しく真摯な就活指導に定評がある。ちなみに、ペンネームの由来となった小説は読んだことも手に取ったこともない。

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