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どうも皆さん、仕事にかまけていたら卒業要件が思いの外キツキツなのに気づいてちょっと焦っている何者である。無論私は完璧なのであくまで予定にバッファ(ここでは予備の時間の意味)を取っていたらそのバッファをピッタリ使い切って無事終了という意味なのだが、今まではバッファを社畜生活に充てていたので、その時間を1/4程削減しなくてはならなくなり、収入も正比例で減少したのである。憎々しい話であるがこれぞ機会費用というものなのだという実感も湧く。
18卒ミドルベンチャー内定者のヒアリングを基に
それはさておき、最近コミュニティを周回していると、思いの外諸君らがミドルベンチャーに興味があることが分かり、何故興味を持っているかを聞いてみると往々にして的外れなので、ちょっとここでミドルベンチャーについて、18卒・ミドルベンチャー内定者の生の声を引用しながら少し解説したいと思う。
猶、今回インタビューしたのは筆者の友人の、現在京都大学四「回」生で所謂ミドルベンチャーの18卒内定者・Cさんだ。Cさんの希望により、極力プライバシーを厳守しながら書く方式を取っているので、ヒアリングの内容を「何者」が纏め直して、そこに意見を追記している。
ミドルベンチャーが持つ危険性
(1)給料が低い
彼はヒアリングをした電話口で、「周りのメガベンチャーに行った人達との新卒年収の差は、やはりあります。福利厚生を考慮しても大体彼らよりは少ないので、その点は渋い」と言っていた。まずメガベンチャーの平均的な新卒年収というのは大体500万円強位であるから、そこから想像して欲しい。
ミドルベンチャーは「大企業とベンチャーのいいとこ取り」というが、それは嘘であると何者は思う。ミドルベンチャーは大企業とアーリステージのベンチャーで近似値を取れば、圧倒的にアーリステージのベンチャー寄りの性質を持つ。それは給金しかりだ。そんなもん会社の売り上げを見れば明らかなのだが、ともかく、これは普通の多くの人にとって非常にモチベーションを下げる問題だ。
端的に言えば、安月給では多くの人はがんばろうと思い続けられないのだ。それでもがんばってしまう人が疲弊していく様をベンチャー業界あるある用語で言うと「やりがい搾取」というのだが、これをしているベンチャーは非常に多い。ミドル未満のベンチャーなら8割程、ミドルベンチャーなら5割程、メガベンチャーなら1割以下の会社がこうした「やりがい搾取」を行っている傾向にあるように見える。
内定を獲得したら、お金の話をしっかり交渉したり確認したりしないと後で泣きを見る。かく言うCさんも、年収や消費癖にはとんと無頓着なタイプだが、いざ周りのコンサル・外銀・メガベンチャー内定者の収入を聞いてしまい、すこしやるせなくなったと言う。皆さんもくれぐれも気を付けて欲しい。
(2)人材の質が乱高下する
Cさんは「勿論優秀だと思える方も沢山居るのだけれども、中には話していても『あれ?』と思ってしまうような人が居て、人材にムラがある」と言っていた。これは(1)に関係する。
結局ミドルベンチャーは中核事業が無い、良く言えば事業をグロースさせなければならない時期なので、そちらへの投資が集中してしまい、採用活動に投資する余裕が無いのである。その結果ブランディングするためのインターン企画や広告費に金を掛けられず、優秀な学生にリーチするまでが上手くいかない。
一方で先述したように事業を中核事業にすべくグロースさせるために営業でも何でも猫の手も借りたい状況なので、とりあえず興味を持った学生をMARCHくらいなら取ってしまうか、となるわけである。やはり同じ会社の人は同じ時期にほぼ同じ状況で切磋琢磨する仲なので、好敵手として「それなり」では居て欲しいものである。
(3)新規事業はハードルが高い
先述したが、ミドルベンチャーは言ってしまえば「小さな事業が幾つか上手くいっているが、中核事業が見つけられていない・育っていない会社」であり、何とか中核事業を育てようとしているのであった。
その上でCさんは「現状、100→1000フェーズの事業がある中で、考えた新規事業がそもそも一旦0→1を経て、1→100にまでなった上で、さらに100→1000になるのか? という非常に高いハードルを求められます」と言っていた。まさにこの通りで、新規事業やっていくぞ! と意気込みがちなベンチャー新卒にとってはかなり肩すかしになってしまうだろう。
(4)ネームバリューがない
これは正直、高学歴にはキツいのではなかろうか。
メガベンチャーらは大々的にC向けのサービスを提供していたりするから認知度はそこそことして、それでも所謂「古い人」からすると「名門大学なのにねえ・・・」とベンチャーは一緒くただ。ましてミドルベンチャーともなれば、ぶっちゃけ中小企業なので、一般の認知度は0に等しい。
Cさんは「まあ、最近4年生の合コンで女の子に内定先よく聞かれるし、そこじゃあんまモテないよね」と冗談交じりで苦笑していた。恐らくCさんはそういう類いのことは気にしない人なのは旧知の仲故知っているが、それでも切なくなってしまうときはあるだろう。むしろそういうことを気にする人は全然向かないだろう。
稀にこうしたところで「他人に認められたい」という自己承認欲求を持ち出す輩が居るが、その欲が満たされるのはミドルベンチャーがメガベンチャーにスケールするとき中間管理職であれるか(それはそれで微妙な気もするが)、卒業→起業してブイブイ言わせてる創業社長になっておくかしかないだろう。あまり(4)を大切にしている人はミドルベンチャーは向かない。というより、メガでも向かないのでベンチャーはさっさと切ってしまおう。
ミドルベンチャーが持つ可能性
一方で「ミドルベンチャーの良いところ」に関してはCさんの言説をそのまま載せておこう。
(1)「色が無い」からこその良さ
Cさんいわく、「熱意がある、という点さえ満たせば、まだまだ色がないミドルベンチャーだからこそ色々な人を受け入れてくれる、という点はあります。だから他の業界では伸び得なかった個性が強すぎるような光る原石のような方も居て、そういう方々と働いていると刺激的です。そういう人にも活躍できるフィールドがあるので、是非来て欲しい」という事らしい。
これはメガベンチャーや大企業であると、元々そこに根ざした企業文化があり、それが良いか悪いかを置いた上で、そうした企業文化だからこそ生産性が安定しているという性質がある。なので、そこに合わなかったらどんなに優秀であろうとパズルのピースがまるで違うようにはまらず、活躍できない場合も多い。
例えば仲良しこよしで働き、志向フローもアイデア単発ベースな人が9割の会社があったとして、そこでは彼らの働き方が正しいか否かは置いといて、それで上手くいっているのである。そこにロジカルモンスターで競争意識の強い新卒が入ってしまったらさあ大変、居づらい事この上ないだろう。そういうリスクは人数が少なく日が浅いミドルベンチャーだからこそ自分たちで編んでいけるという、旨味はあるだろう。
(2)人が足りていないからこその裁量権の大きさ
「事業はそこそこ大きい一方、十分人材を採用し切れていないのが現状のため、若手のうちから無茶ぶりに近い大きな課題を任せてもらえるというのはありますね。新規事業は任せてもらいにくい一方で、こうした利点はあります」
これこそ「大企業とベンチャーのいいとこ取り」と言って差し支えない側面であろう。ベンチャーに飛び込む妙味は何も新規事業立案だけではない(というより勉強もしないで絵空事のような新規事業をガンガン立案させる会社もあるというから、何者は常日頃から「サークルっぽいな~」と思っている)。
(3)熱意があることの前提、という貴重さ
「熱意があることを大前提としている為、こちらが熱い想いでぶつかって行けば、同等かそれ以上の熱量で返してくれる社員が沢山居る、というのは心地よく、やりがいを常に感じられます」
Cさんが言うのはもっともで、メガベンチャーというのは中核事業を持ってしまったが故、大企業病に陥る癖がある。中核事業とはすなわち「儲けのプラットフォーム」である。
従って一騎当千の優秀な社員が地獄のような毎日を送っていないとだめ、ということはなく、平凡な社員が定時で上がってしまっても案外問題なかったりする。こうした風土は漫然とした倦怠感のようなものを生み、「結局誰がやっても同じでしょ」と優秀な社員が辞めていく契機にもなり得る。
この点ミドルベンチャーはそういった「儲けのプラットフォーム」は無いので、一騎当千系の彼のような社員が熱い想いをはき出せる良い場所なのだろう。
最後に
Cさんは忙しい中色々語ってくれた後に、何者は「どんな人がベンチャーに向いているか? 特にどんな人がミドルベンチャーに向いているか」と聞いてみた。
Cさんはハッキリとこう言ってくれたのでそのまま記しておきたい。
「(ミドル)ベンチャー新卒は、『自分が何になりたいか』が見えていなければならないと思います。勿論私を採ってくれた事に恩を返したい、この会社を大きくしたいと思うチーム意識は有ります。一方で日系大企業のように生涯雇用ではないのは事実で、数年で辞めていく人も多いです。だからどこかの段階では『卒業して旅立つのだろう』という意識もあります。従って『自分が何になりたいか』が見えないまま『卒業の時期』が近づいてしまえば根無し草のようになってしまうでしょう」
どうだったであろうか。非常に諸君にとっては参考になる話であっただろう。
ちなみにこのCさんは、私の知る限り18卒の中では一番優秀な人である(判断基準は一緒に働いたことがある上で、私の足りないものを補完してくれて連携が出来るかどうかである)ということは言っておきたい。
次回は長期インターンをしておく利点について語ろうか検討中である。今日は以上だ。ではでは。
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