会員登録すると
このコラムを保存して、いつでも見返せます
※こちらは2017年公開の記事の再掲です。
私は「何者」。先年就職活動を終え、あと半年で学生でもなくなるしがない東大生だ。昨今就活で路頭に迷う後輩達が多く、相談されることも多いので、しょうがなく就活相談に乗っていた縁で、今もこうして記事を深夜にシコシコ書いているわけである。
前回の記事(「『あーこういう就活生多いわ』 ダメな東大生5類型」)が好評だったらしく、何者は深夜眠れないでこうしてこの記事の締め切りに追われている。まあその話は別として、今回は「グループディスカッション(GD、グルディス)」について、どうして皆が苦戦するのか私なりに考えて、後輩達にグループディスカッションのコツお伝えしようと思う。
グループディスカッションは、就活において学生に「論理的思考力があるか」、「人の話を聞けるか」という極めて簡単な2点を検査する、至極一般的な採用方法だ。コツさえ掴めればどうとでもなることである。
最近、筆者「何者」が東大生と他大生に、それぞれ「グループディスカッションでクラッシャーに出会ったことはあるか?」と話を振った時、東大生は「やっぱりMARCHの人とか、フレームワークとかブレストとかの境がないみたいで・・・こないだなんか、海外に留学してたとかいう慶應女子が、自分の価値観を独白しちゃって大変でしたw」等とうそぶく。一方他大生は「東大生はクラッシャーが多い印象ですね。東大生はすぐ人の意見を否定するから本当に嫌い」等と愚痴をこぼす。そして面白いことに、この台詞を言った人は東大生も他大生も仲良く皆一様に落ちる。
これは非常に面白い現象である。お互いがお互いのことをクラッシャーだと思っているわけで、悪いのは(東大生から見ると)他大生である一方で、(他大生から見ると)東大生でもある訳だ。そして、結果的に皆落ちる。「何者」は、東大生と他大生がグループディスカッションの中で何故協調できないのか、結局誰が悪くて選考に落ちるのか、そこから一般的なグループディスカッションの落とされない立ち回りのコツを分析して読者諸君に与えたいと考えている。
「話が通じない」他大生達
他大生達に一番多いクラッシャーの特徴として、ロジカルさのリテラシーがない事が挙げられる。
筆者も東大生であり、ある程度以上の論理的構成力のある集団にしか所属してこなかったので、他大学の方も多く合流するインターンに行った時、この落差に最初は酷く苦労した。
我々がある事象Aが=Dを説明して他人に納得させようとするとき、AなのでB、BなのでC、そしてCならば結果Dと因果関係に漏れがなく言えるし、そのように教育されてきた。しかし他大生の多くはいきなり「Dです!なぜならAはDだと私が思うからです!」だとか、「AはCでCはDなので、Dです!」・・・これは正直キツい。
こうした他大生がどうしてロジカルさのリテラシーが低いのかと言うと、他大学生(特に私立)の大学受験の形態が記述メインではなく選択式であるため、消去法で何となしに答えにたどり着けてしまうような問題しか解いていないこと、さらに大学でも論文を書くこと・読むことの機会に恵まれなかったこと、というこの2点に背景があるのではないかと「何者」は考えている。
「否定しか出来ない」東大生達
次に東大生側だ。東大生は実際グループディスカッションですこぶる他大学から評判が悪い。他大生は一様に「東大生は議論で否定しかしない」と言う。この問題は大きく分けて3つの理由から形成される。
一つ目は、(他大学の学生のロジカルリテラシーがかなり低いことは前の章で触れたが)我ら東大生はこうしたロジカルリテラシーの低い人間に対しては極度にアレルギー反応が出てしまうので一生懸命喋られても聞く気が起きないのだ。こうした態度はクライアントを前提とするコンサルティングファーム等に就職したいのならば、早急に改善すべきだろう。
二つ目は、悲しいことだが我々東大生は概してコミュニケーション能力が低く、相手の発話の真意を汲み取ることを苦手とする。なので相手がたどたどしくも良いことを言ったとしても、論理的順序に並べられていないという点が眼についてしまって実は的を射ていたかも知れない真意を無視してしまうのだ。
そして三つ目は、昨今の東大生は明確に学生のレベルが落ちてきているので、論理的に物事を整理は出来るが、整理した上で何か新しい価値を生むという作業が出来る人間の数が極めて少ない。寧ろ論理的に整理することに満足感を覚えているだけの輩が非常に多いのが実感だ。この手合いはグループディスカッションなどでは可能性をMECEしたり、データに基づいてあれこれ他人の意見を批判してみせたりするのだが、「じゃあ実際僕らは何を施策としてすべきなんだろう」という問いにはめっぽう弱い。
「何者」から言わせると、阿呆でもバンバン意見を言ってくれる人の方が整理は自分でやるので、よっぽど市場価値がある、と思う。MECEしきった先に新しい価値を創造できないのは、ひとえに東大生に、世にあるサービスや社会状況への「引き出し」がないからである。新しいサービスは、整理しきった議論の先で、引き出しから取り出した内容を掛け合わせることで生まれるのだ。今まで勉強しかしてこなかったからであろうか、他人に興味が無いからなのか、諸君ら東大生は著しく世の中を知らないし、引き出しも乏しい。
グループディスカッションで落とされないコツ
まずもって重要なのは、やはりロジカルシンキングを最低限出来るようになることである。これは他大生の大部分、そして一部のダメな東大生にも言えたことだが、これが出来ない学生が多すぎる。まず、一冊で良いので議論を構造的に把握出来るになるための指導書的な書籍を読もう。筆者は『世界一やさしい問題解決の授業』『イシューからはじめよ』という書籍をおすすめする。この二冊のような類いの書籍を何回も読み込むことで、まず構造化して議論をする世界があることを知ろう。
その上で何者がおすすめするのは、自身の大学の専攻の論文を何本か読み、簡単にサマリーしてみることだ。こうすることで先述の構造化を実践に移せるわけである。これは冒頭に書いたグループディスカッションにおける「論理的思考力があるか」に該当する重要な素養なのである。
次に多くの東大生に言いたいこととして、一見トンチンカンな意見を言い出す他の学生がいたとしてものっけから否定せず、一度否定する前にぐっと我慢して「貴方のおっしゃりたいことは~~ということですか?」と必ず確認する癖を付けよう。論理的に話されていないことに対してそもそも理解しない、という多くの東大生の態度は、それはそれで浅学である。否定するにしても、汲み上げるにしても相手の真意を聞き出すことはグループディスカッションにおける「人の話をきけるか」と言うことに関わる重要な部分である。
「引き出し」に関して言えば、社会に興味を持ち、常日頃新聞(最近だとNewsPicksも入れて良いか)を読んで最新情報を仕入れたり、いろんな種類の広告を眺めて見るだとか、自分自身で財・サービスを購入したりしてみることである。そうすればいざ物事を構造化し、その後アイデアを出さねばならぬ時に、クリティカルなアイデアの一つや二つは出てくるはずである。
いかがであっただろうか。繰り返しになるが、グループディスカッションとは「論理的思考力があるか」、「人の話を聞けるか」という極めて簡単な2点を検査する、至極一般的な採用方法である。が、一般的であるが故にやはりビジネスの根幹となる力を見るには格好の採用方法であり、これができないなら即ち大体の仕事が出来ないのと同義である。
さらに、私は昨今の就活記事に良くある「これさえ守ればすぐグルディスに強くなれる!!」みたいな記事がとても嫌いである。ロジカルに考える癖はそうそうつくもんでもないし(寧ろ何者は多くの就活生にとって取り返しが既につかないものであると思っていたりする)、引き出し作りも何冊か本を読めばなんとかなるという代物でもない。
だからこそ就活生の皆さん、長い目線で精進していきましょう。(今回はあえて東大生・他大生に分けて、グループディスカッションでやりがちなミスをあげつらったが、そもそも傾向の話であって、東大生でもロジカルリテラシーが足りていなかったり、他大生でもロジカルリテラシーはあるが他人の話を聞けない人も居るということは断っておきたい。)
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
渡辺 健介
ダイヤモンド社
(Amazonで詳細を見る)
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
(Amazonで詳細を見る)
会員登録すると
このコラムを保存して
いつでも見返せます
マッキンゼー ゴールドマン 三菱商事
P&G アクセンチュア
内定攻略 会員限定公開
トップ企業内定者が利用する外資就活ドットコム
この記事を友達に教える