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財務諸表の読み方を知ろう
就活生のみなさんは、 財務諸表 を見たことがあるでしょうか?
新聞やビジネス書では、「財務諸表を見ると、企業活動が見えてくる!」とよく言われます。
財務諸表とは、抽象的な企業活動を会計のルールに従って具体化な数字に落とし込んだもの であり、財務諸表を読みこなすことができれば企業分析やインターンにおいてプラスになるでしょう。この記事では、そのための知識を少しご紹介します。
会計と簿記の違い
会計や財務諸表と聞くと、「簿記」を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。生協の資格試験コーナー等でよく平積みにされているアレです。
確かに簿記は「ビジネスの言語」と呼ばれることもありますが、簿記の知識はあくまで財務諸表を作る「企業の中の人」の側の技術であって、財務諸表を読むための手助けにはなりますが、決してイコールの存在ではありません。
すなわち、簿記に関する網羅的な知識がなくとも財務諸表について理解することは可能ですし、逆に簿記に関しての知識はあっても、その集積結果である財務諸表の理解ができるかといえばそうでもありません。
しかし、会計について勉強する上で、まず簿記2級取得を目指して勉強してみるのは悪い方法ではありません(2~3ヶ月の勉強で取れます)。勉強法に関しては、最後に紹介する参考書や以下のコラムを参照してください。
会計の基礎の基礎:損益計算書・貸借対照表の見方
まずは財務諸表の主な構成要素のうちの2つ、 損益計算書と貸借対照表 について、それぞれの見方や違いについて紹介しましょう。
損益計算書(P/L)の見方
損益計算書は通称P/L(ピーエル)と呼ばれます。Profit and Loss statementの略です。
ちなみに、I/S(Income Statement)と略されることもあるようです。
このP/Lには、売上高、売上原価、当期純利益等が記されています。 その企業のある期間における成績表 みたいなものです。
貸借対照表(B/S)の見方
一方、貸借対照表は通称B/S(ビーエス)と呼ばれます。Balance Sheetの略です。
バランスシートと言われると一見何のことだかわかりませんが、これは 貸借対照表が左右に分かれていて、左側と右側の総バランスが一致(すなわち同じ額)になっていることを表しています。
このB/Sには、資産状況や負債状況等が記されており、 企業の健康状態のようなもの を表しています。
ここでいう「資産」とは、大ざっぱに言えばその企業が持つ財産で、B/Sの左側にあたります。
一方B/Sの右側にあたるものとして、「負債」と「純資産」が挙げられます。
「負債」は返さなければいけない義務を数的に表しています。
株主から提供された資金は、「純資産」として負債とは別にカテゴライズされます。「純資産」は名称的に「資産」とややこしいのですが(もちろん別物です)、きちんと区別して覚えてください。
損益計算書と貸借対照表の関係
上で紹介したP/LとB/Sの関係性をとらえることが、企業分析のための鍵となります。
俗っぽくて恐縮ですが、テレビゲームで例えるならばP/Lは1戦闘中の総与ダメージや被ダメージや、1戦闘中のパフォーマンスです。そのような戦闘を戦い抜いた後のHPやMPの状態がB/Sとなります。
もう少し一般的な他の例えとして、マラソンにおけるタイムがP/L、ゴールしたときの体の状態がB/Sとなりましょう。
つまり、 P/Lはある期間であげた成果(フロー)であって、B/Sはある時点における状態(ストック)を表している のです。
ある戦闘で頑張っていいパフォーマンスを見せても、カラダがボロボロになってしまっては次の戦闘で即戦闘不能になってしまいます。
すなわち、会社を見るときもP/Lの利益だけでなく、その健康状態を表すB/Sにも気を配らなければなりません。
・たまった疲れや経験をバネに( 負債・純資産 )、
・疲れや経験を自らの骨肉として( 資産 )、
・成果を出すために骨肉を削いで( 費用 )、
・その成果が後々の経験となります( 売上・利益→純資産 )。
↓ ↑
費用→売上・利益
このような流れを意識することが大切です。
この流れを具体的に企業の活動に沿った形でイメージすることができれば、財務諸表を“読む”ことが可能になるでしょう。
実際の財務諸表を読んでみよう
上場企業の財務諸表については、EDINETにて一元的に公開されているので、誰でも見ることが可能です。
いちいち各社のサイトに行ってIR情報を見てもいいのですが、 数社の財務諸表を比較したいときはEDINETの方がよい でしょう。各社サイトによってIR情報ページのレイアウトがわかりづらいとこもありますし。
厳密に言うと、EDINETで公開されているのは「有価証券報告書」(略して『有報』と呼ばれることも)という資料であって、その資料の中に「財務諸表」が含まれているのです。
EDINETの操作方法
まず「提出者/発行者/ファンド/証券コード」に自分の調べたい企業の名称を入れましょう。この際、正式名称でない場合にはヒットしないことがあるので注意してください。
そして、書類種別として「有価証券報告書 / 半期報告書 / 四半期報告書」にチェックを入れて検索をします。うまく検索ができていれば、これまでにその企業が提出したこれらの書類の一覧が出てくるハズです。
どの期のものを見てもいいのですが、とりあえずは就活生としては最新の有価証券報告書を見るのがよいでしょう。
クリックすると別画面で有報が表示されます。その圧倒的な情報量に最初は面食らうことでしょう。
投資家としてはこの情報を全て咀嚼できるようになるのが理想ですが、就活生はその全てをチェックする必要はありません。
情報の選択としては
「第一部 企業情報」の「第1 企業の概況」、「第2 事業の状況」あたりを拾い読みしてイメージを作り、「第4 経理の状況」で数値の裏づけという具体化を図るのが効率的です。
特に「第2 事業の状況」は当該企業の事業展開や対処すべき課題、事業上のリスク等について書いてあり、読み物として非常に参考になるのでぜひ読み慣れておくことをおすすめします。
ちなみに、皆さんの直近の興味としてその企業の 給料 が挙げられましょうが、その目安を有報にて確認することが可能です。
「第1 企業の概況」の「5 従業員の状況」がそれです。
ここには従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が載っています。
ちなみに、この給与の値がいわゆる一般職等の給与も含まれての平均である企業も多いので、その辺りは気をつけてください。
こうした情報の一部は就職四季報にも載っていますが、EDINETならかさばりませんし、ネットがあれば見られますし、なによりタダなので私はEDINETを使うことをおすすめします。ぜひ活用してみてください。
独学のためのおすすめ書籍
おすすめの書籍を2冊ご紹介します。
会計に触ったことがない人はぜひどちらかを手に取ってみてください。
会計学入門<第5版> (日本経済新聞出版)
桜井久勝 (著)
日経BP
(Amazonで詳細を見る)
世界一わかりやすい会計の授業
林 總 (著)
中経出版
(Amazonで詳細を見る)
また、簿記の勉強を始めるのであれば、このシリーズがおすすめです。
日商簿記3級とおるテキスト【第3版】
桑原知之 (著, 編集)
ネットスクール出版
(Amazonで詳細を見る)
就活レベルは超えてしまいますが、これらの入門書を読んで会計に
興味がわいた方には、これらの本が理論的かつ面白いのでおすすめです。
新・現代会計入門 第5版 (日本経済新聞出版)
伊藤邦雄 (著)
日経BP
(Amazonで詳細を見る)
企業価値経営 (日本経済新聞出版)
伊藤邦雄 (著)
日経BP
(Amazonで詳細を見る)
財務諸表の読み方をマスターして就活を有利に進めよう
いかがでしたでしょうか。ぜひ本コラムで紹介した内容を頭に入れたうえで、財務諸表に目を通してみてください。
就活生に役立つ金融の知識に関しては以下のコラムでも取り扱っているので、ぜひこちらもご覧ください。
・就活生のための金融入門
・続・就活生のための金融入門
・【就活生なら知っておきたい】株式会社とは Part1|株式会社の発祥と仕組み
・【就活生なら知っておきたい】株式会社とは Part2|株式会社の盛衰と株主の権限
・【金融業界研究】脱・金融初心者! 二つの市場から理解する金融の見取り図
・【保存版】ジョブで役立つ会計学の基礎知識~財務三表のしくみと読み方~
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